重度障害者支援加算をわかりやすく解説!
算定要件・単位数・注意点まとめ
障害福祉サービス事業所において、強度行動障害を有する利用者さんへの専門的な支援体制を整えることは、支援の質向上のみならず、事業所の安定的な運営にも大きく関わる重要な課題です。
そのような支援体制の強化を評価する仕組みのひとつが「重度障害者支援加算」です。令和6年度の報酬改定では算定要件の見直しも行われており、改めて内容を整理しておくことが重要です。今回はこの加算の概要・対象サービス・算定要件・注意点について、わかりやすく解説します。
重度障害者支援加算とは?
重度障害者支援加算とは、強度行動障害を有する利用者に対して、専門的な研修を修了したスタッフが個別支援計画に基づく支援を行った場合に算定できる加算です。
強度行動障害は、自傷・他害・著しいこだわりなど、支援者への専門的なスキルが求められる状態像です。この加算は、そのような重度の障害のある方を積極的に受け入れ、専門的な支援体制を整える事業所に対して上乗せ評価を与えることで、受け入れ体制の整備と支援の質向上を促すことを目的としています。
令和6年度の報酬改定では、一部の加配要件が緩和されるとともに、児童を対象とした「強度行動障害児支援加算」が新設されるなど、さらなる支援体制の充実が図られました。
対象となるサービス
重度障害者支援加算を算定できる主な障害福祉サービスは以下のとおりです。サービスの種類によって算定できる区分や単位数が異なるため、注意が必要です。
| 対象サービス | 算定可能な主な区分 |
|---|---|
| 生活介護 | 加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ |
| 共同生活援助(グループホーム) | 加算Ⅰ・Ⅱ |
| 短期入所(福祉型・医療型) | 加算Ⅰ・Ⅱ |
| 施設入所支援 | 加算Ⅰ・Ⅱ |
令和6年度改定のポイント
令和6年度の報酬改定では、児童を対象とした「強度行動障害児支援加算」が新設されました。児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、強度行動障害のある児童への専門的支援が新たに評価対象となっています。また、算定要件における加配スタッフの研修要件が一部緩和され、より多くの事業所が算定しやすくなるよう見直されました。
単位数(区分ごとの詳細)
生活介護の場合
| 区分 | 対象者 | 単位数 |
|---|---|---|
| 加算Ⅰ | 支援区分6以上かつ行動関連項目合計10点以上の者 (実践研修修了者が個別支援を実施) |
180単位/日 (算定開始から180日以内はさらに+500単位/日) |
| 加算Ⅱ | 支援区分4以上かつ行動関連項目合計10点以上の者 | 7単位/日 (行動障害のある利用者に個別支援を実施した場合は別途加算あり) |
| 加算Ⅲ | 生活支援員のうち20%以上が基礎研修を修了し、支援計画シートに基づく支援を実施 | 別途告示に定める単位数 |
共同生活援助(グループホーム)の場合
| 区分 | 概要 | 単位数 |
|---|---|---|
| 加算Ⅰ | 実践研修修了者が中心となり専門的個別支援を実施 | 360単位/日 (算定開始から180日以内は860単位/日) |
| 加算Ⅱ | 基礎研修修了者が支援計画シートに基づき支援を実施 | 180単位/日 (算定開始から180日以内は580単位/日) |
※ 短期入所・施設入所支援については、サービスの種類ごとに単位数が異なります。加算の適用にあたっては、各サービスの告示・通知を必ずご確認ください。
算定開始から180日以内の上乗せに注目
重度障害者支援加算では、算定を開始した日から180日以内の期間について、通常より高い単位数が設定されています。これは、初期の集中的な支援が特に重要であることを踏まえた評価です。新たに強度行動障害のある利用者を受け入れた際には、この期間を活かして丁寧な支援体制を整えることが大切です。
算定要件のポイント
重度障害者支援加算を算定するためには、人員配置・研修要件・書類整備の3つの観点から要件を満たす必要があります。主なポイントを整理しました。
ポイント① 対象となる利用者の条件
重度障害者支援加算の対象となる利用者は、原則として障害支援区分4以上(加算Ⅰは区分6以上)かつ行動関連項目の合計点数が10点以上の方です。
「行動関連項目」とは、障害支援区分の認定調査において評価される自傷・他傷・こだわり・睡眠障害などの行動上の困難さに関する項目です。支援区分の判定結果を確認し、対象要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
ポイント② 加配スタッフの配置が必要
重度障害者支援加算(Ⅰ)を算定する場合は、通常の人員配置基準に加えて、生活支援員等を加配する必要があります。単に研修を修了したスタッフがいるだけでは算定できず、上乗せとなる実質的なスタッフ配置が求められます。
ポイント③ スタッフの研修修了が必須
算定には以下の研修要件を満たす必要があります。
サービス管理責任者または生活支援員の1名以上が、下記のいずれかを修了していること:
- 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)
- 喀痰吸引等研修(第1号・第2号研修)
- 行動援護従業者養成研修 など
さらに、生活支援員全体の20%以上が「強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)」等を修了していることが求められます。令和6年度改定で、この20%要件が明確化されました。
ポイント④ 支援計画シートの作成が必要
重度障害者支援加算を算定するにあたっては、「支援計画シート」の作成が義務付けられています。この支援計画シートは、通常の「個別支援計画」とは別に作成するものです。実践研修修了者が中心となって作成し、その内容に基づいた個別支援を実施することが算定の条件となります。
算定にあたっての注意点
実務でつまずきやすいポイント
① 支援計画シートと個別支援計画は別物
よくある誤りとして、「個別支援計画があるから大丈夫」と考えてしまうケースがあります。重度障害者支援加算では個別支援計画とは別に「支援計画シート」の作成が必要です。この書類が不備だと実地指導等で指摘を受ける可能性がありますので、必ず別立てで整備してください。
② 障害支援区分の確認を怠らない
対象となる利用者の支援区分・行動関連項目のスコアが加算要件を満たしているかどうかは、受給者証や支援区分の認定結果通知書で確認が必要です。区分の更新時には再確認を行い、加算の継続可否を適時に見直す仕組みを整えましょう。
③ 研修修了者の割合管理を継続して行う
スタッフの入退職により、基礎研修修了者の比率が20%を下回ってしまうと加算の算定要件を満たせなくなります。人員の変動がある際には、研修修了者の割合が維持されているかどうかを都度確認することが重要です。
④ 算定開始日の記録を正確に残す
算定開始から180日以内は上位の単位数が適用されます。算定開始日の記録が曖昧だと、誤った単位数で請求してしまうリスクがあります。利用者ごとに算定開始日を台帳等で管理し、180日の期間を正確に把握しておきましょう。
集中的支援加算との関係
令和6年度の報酬改定では、重度障害者支援加算と合わせて「集中的支援加算」も新設されました。これは、強度行動障害を有する利用者に対して、外部の専門家チーム(都道府県等が派遣する強度行動障害支援地域コーディネーター等)と連携した集中的な支援を行った場合に算定できるものです。
集中的支援加算は、重度障害者支援加算とは別に算定できる仕組みとなっており、特に支援困難なケースに対する「もう一段の評価」として位置づけられています。強度行動障害のある利用者への支援に取り組む事業所にとっては、両加算を組み合わせて活用することが重要なポイントとなります。
まとめ
重度障害者支援加算は、強度行動障害を有する利用者への専門的な支援体制を評価する重要な加算です。算定開始から180日以内の上乗せ評価が設定されており、適切に算定することで事業所の収益向上にも大きくつながります。
一方で、支援計画シートの整備、スタッフの研修要件の維持、障害支援区分の定期確認など、継続的な管理が求められる点が多いのも事実です。算定要件をしっかり把握したうえで、適切な体制づくりと書類管理を心がけましょう。
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※本記事の内容は令和8年4月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや各自治体にてご確認ください。

