放課後等デイサービスや児童発達支援を運営されている事業者の皆さまにとって、延長支援加算は売上アップにつながる重要な加算の一つです。
令和6年度の報酬改定では、保護者の就労支援ニーズの高まりを受けて、延長支援加算の仕組みが見直されました。時間区分の新設に伴い、延長支援加算の考え方にも変更が生じています。
今回のコラムでは、「延長支援加算って何?」「うちの事業所でも算定できるの?」という疑問にお答えしながら、制度の内容をわかりやすく解説します。
延長支援加算とは?
延長支援加算とは、児童発達支援や放課後等デイサービスにおいて、通常の支援時間を超えて支援を行った場合に算定できる加算です。
具体的には、個別支援計画で定めた支援時間の前後に、預かりニーズに対応した支援(延長支援)を計画的に行った場合に、その延長した時間に応じた単位数が上乗せされる仕組みです。
たとえば、保護者の仕事の都合でお迎えが遅くなる場合や、朝早くからの預かりが必要な場合などに、計画的に延長支援を行うことで算定の対象となります。
延長支援加算の対象となるサービスと基本要件
延長支援加算は、児童発達支援と放課後等デイサービスの両方で算定できます。ただし、それぞれ算定の前提条件が異なります。
| サービス種別 | 支援時間の要件 | 営業時間の要件 |
|---|---|---|
| 児童発達支援 | 支援時間が5時間以上の児童 | 営業時間が6時間以上 |
| 放課後等デイサービス(平日) | 支援時間が3時間以上の児童 | 要件なし |
| 放課後等デイサービス(休業日) | 支援時間が5時間以上の児童 | 営業時間が6時間以上 |
ここでいう「支援時間」とは、基本報酬の算定に用いる時間区分のうち最も長い区分のことを指します。放課後等デイサービスの平日であれば3時間以上、学校休業日であれば5時間以上が最長の時間区分にあたります。
ここがポイント!
延長支援加算は、あくまで最長の時間区分で利用している児童が対象です。たとえば放課後等デイサービスの平日に「1時間以上2時間未満」の時間区分で利用している児童には、延長支援加算は算定できません。必ず「3時間以上」の区分で利用していることが前提となります。
延長支援加算の単位数
延長支援加算の単位数は、延長した時間の長さに応じて3つの区分に分かれます。
一般の児童の場合
| 延長時間 | 単位数 |
|---|---|
| 30分以上1時間未満 | 61単位/日 |
| 1時間以上2時間未満 | 92単位/日 |
| 2時間以上 | 123単位/日 |
重症心身障害児・医療的ケア児の場合
| 延長時間 | 単位数 |
|---|---|
| 30分以上1時間未満 | 128単位/日 |
| 1時間以上2時間未満 | 192単位/日 |
| 2時間以上 | 256単位/日 |
重症心身障害児や医療的ケア児の場合は、手厚いケアが必要となることから、一般の児童と比べて約2倍の単位数が設定されています。
「30分以上1時間未満」の算定には制限があります
「30分以上1時間未満」の区分は、原則として算定できません。この区分は、あらかじめ個別支援計画で1時間以上の延長支援を予定していたにもかかわらず、利用者の都合等により結果的に1時間未満となった場合に限り算定が認められます。
つまり、最初から30分だけの延長支援を計画して算定することはできませんのでご注意ください。
算定するための5つの要件
延長支援加算を算定するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
要件① 支援時間・営業時間の基準を満たすこと
前述のとおり、対象となる児童が最長の時間区分で利用していること、また運営規程に定める営業時間が所定の時間以上であることが必要です。
要件② 個別支援計画に位置付けること
延長支援を行う場合は、個別支援計画にその内容を位置付ける必要があります。具体的には、延長支援が必要な理由と延長支援の時間を計画に記載します。「なんとなく延長した」では算定できません。
要件③ 延長支援の必要性を確認し、保護者の同意を得ること
障害児本人の状態や家族の事情など、延長支援が必要な具体的な理由を確認するとともに、あらかじめ保護者の同意を得ておく必要があります。
要件④ 延長支援時間は1時間以上で設定すること
延長支援の計画時間は1時間以上で設定する必要があります。支援の前後どちらにも延長支援を行う場合は、それぞれ1時間以上とする必要があります。
要件⑤ 職員を2名以上配置すること
延長支援を行う時間帯には、職員を2名以上配置しなければなりません。そのうち1名以上は、基準で定められた職員(児童発達支援管理責任者を含む)とする必要があります。
対象児童が10名を超える場合は、10名またはその端数を増すごとに1名を加えた人数の配置が必要です。
また、医療的ケア児に延長支援を行う場合は、看護職員等の配置も求められます。
延長時間の計算方法
延長支援加算の単位数は、実際に要した延長支援時間に基づいて算定します。計画上の時間ではなく、実績ベースで判断される点に注意が必要です。
なお、支援時間の前と後の両方で延長支援を行った場合は、前後の延長時間を合算して算定します。たとえば、支援前に30分、支援後に1時間30分の延長支援を行った場合、合計2時間として「2時間以上」の区分(123単位)で算定することになります。
具体例で見てみましょう
【例1】放課後等デイサービス(平日)の場合
個別支援計画で「15:00〜18:00(3時間)」の支援を予定し、保護者のお迎えの都合で「18:00〜19:30」の1時間30分の延長支援を計画した場合 → 延長時間は1時間30分なので「1時間以上2時間未満」の92単位を算定
【例2】児童発達支援の場合
個別支援計画で「9:00〜14:00(5時間)」の支援を予定し、保護者の就労により「8:00〜9:00」の1時間と「14:00〜16:00」の2時間の延長支援を計画した場合 → 前後合わせて3時間なので「2時間以上」の123単位を算定
算定にあたっての注意点
注意点① 記録の整備は必須です
延長支援を行った場合は、延長支援の開始・終了時刻や支援の内容を記録として残しておく必要があります。実地指導(運営指導)の際に確認される重要な書類ですので、日々の記録を丁寧に行いましょう。
注意点② 単なる「預かり」ではなく「支援」が必要です
延長支援加算は、ただ児童を預かっているだけでは算定できません。延長時間中も、児童の状態に応じた適切な支援を行うことが求められます。個別支援計画に基づき、見守りや生活支援など、具体的な支援内容を明確にしておくことが大切です。
注意点③ 送迎の時間は含められません
延長支援の時間には、送迎にかかる時間は含めることができません。あくまで事業所内で支援を提供している時間が対象となります。
令和6年度改定で何が変わった?
令和6年度の報酬改定では、放課後等デイサービス・児童発達支援に時間区分が新設されました。これに伴い、延長支援加算の考え方にもいくつかの変更が生じています。
主な変更点:
改定前は支援時間の長短に関わらず一律の基本報酬でしたが、改定後は時間区分に応じた基本報酬となりました。延長支援加算は、この最長の時間区分を超えて支援を行った場合に算定するものと整理されています。
また、延長支援時間帯の職員配置要件が明確化され、安全確保の観点から2名以上の配置が義務付けられました。さらに、児童発達支援管理責任者も延長時間帯の配置職員としてカウントできるようになるなど、運用面の見直しも行われています。
まとめ
延長支援加算は、保護者の就労支援や預かりニーズに応えながら、事業所の収益向上にもつながる加算です。
算定のためには、対象児童の支援時間や営業時間の要件を満たすこと、個別支援計画への位置付け、保護者の同意、職員の配置基準の遵守など、いくつかの要件をクリアする必要があります。特に、「30分以上1時間未満」の区分には利用者都合による場合のみという制限がある点や、延長時間は実績ベースで算定する点には注意が必要です。
要件を正しく理解し、適切な体制を整えたうえで算定に取り組みましょう。
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※本記事の内容は令和6年度報酬改定時点の情報に基づいています。最新の情報はこども家庭庁のホームページや各自治体にてご確認ください。

