【令和8年度】処遇改善加算「ロ」区分の「生産性向上や協働化の取組」とは?|特例要件の考え方

【令和8年度】処遇改善加算「ロ」区分の算定に必要な「生産性向上や協働化の取組」とは?特例要件をわかりやすく解説

令和8年6月から施行される処遇改善加算では、加算Ⅰ・Ⅱそれぞれに「イ」と「ロ」の区分が設けられました。「ロ」は加算率が高く設定されている一方で、加算Ⅰまたは加算Ⅱの取得要件をすべて満たしたうえで、生産性向上や協働化の取組に関する要件を満たす必要があります。判断の中心になるのは、職場環境等要件の生産性向上に関する項目です。

  • 加算Ⅰ・Ⅱそれぞれに「イ」と「ロ」の区分がある
  • 「ロ」は加算率が高く、上乗せの賃上げが前提になる
  • 加算Ⅰ・Ⅱの要件に加えて、生産性向上や協働化の取組の要件を満たす

令和8年6月から施行される処遇改善加算の改定では、新たに「イ」「ロ」の区分が設けられました。このうち「ロ」区分は加算率が高く設定されており、福祉・介護職員の月0.3万円(1.0%)の上乗せ賃上げを実現するための区分です。

しかし、「ロ」区分を算定するには、従来の要件に加えて「令和8年度特例要件」と呼ばれる新たな要件を満たす必要があります。この特例要件の中心にあるのが、生産性向上や協働化に係る取組です。

この記事では、「ロ」区分の算定を目指す事業者に向けて、特例要件の具体的な内容と対応のポイントをわかりやすく解説します。

「ロ」区分とは?|「イ」との違い

障害福祉事業に専門特化

令和8年6月以降の処遇改善加算では、加算Ⅰ・Ⅱそれぞれに「イ」と「ロ」の2つの区分が新設されます。

「イ」は従来の要件をベースにした区分で、「ロ」は生産性向上や協働化に取り組む事業者を上乗せで評価する区分です。「ロ」区分では加算率が引き上げられており、加算Ⅰ・Ⅱを取得した事業者の福祉・介護職員分の加算率に上乗せが行われます。

たとえば居宅介護の場合、加算Ⅰイの加算率が44.6%であるのに対し、加算Ⅰロは45.6%と高く設定されています。この差額分が、生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員の賃上げに充てられる仕組みです。

図解1「イ」と「ロ」の違い

  • 従来の要件をベースにした区分

  • 生産性向上や協働化に取り組む事業者を上乗せで評価する区分
  • 加算Ⅰ・Ⅱを取得した事業者の福祉・介護職員分の加算率に上乗せ
例:居宅介護の加算Ⅰイは44.6%、加算Ⅰロは45.6%差額分が、生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員の賃上げに充てられる
※令和8年6月以降の処遇改善加算で、加算Ⅰ・Ⅱそれぞれに「イ」と「ロ」の2区分が新設されます。

「ロ」区分の算定に必要な「令和8年度特例要件」とは?

「ロ」区分を算定するには、加算Ⅰまたは加算Ⅱの取得要件をすべて満たしたうえで、さらに「令和8年度特例要件」を満たす必要があります。

この特例要件は、「ア・イのいずれか」及び「ウ」を満たすことが条件です。

ア)職場環境等要件の生産性向上に関する取組を5つ以上実施

職場環境等要件に定められた「生産性向上のための業務改善の取組」の区分から、5つ以上の取組を実施していることが必要です。

そのうち、⑱「現場の課題の見える化」㉑「業務支援ソフト・情報端末の導入」の2つは必須とされています。

イ)社会福祉連携推進法人に所属していること

令和4年度に創設された社会福祉連携推進法人に所属していることで、特例要件を満たすことができます。社会福祉連携推進法人とは、複数の社会福祉法人等が連携して地域福祉の充実を図るための法人制度です。

ウ)加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を月給賃金で配分

加算Ⅱロに相当する加算額の2分の1以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善に充てていることが求められます。ベースアップによる賃金改善を重視する要件です。

ここがポイント

ア・ウの要件については、令和8年度中の対応の誓約で可とされています。つまり、処遇改善計画書の提出時点では誓約で済ませ、年度末までに実際に取組を行い、実績報告書で対応の実施を確認するという流れになります。ただし、未対応が確認された場合は加算額の一部又は全部を返還する必要がありますのでご注意ください。

図解2「令和8年度特例要件」の組み合わせ
職場環境等要件の生産性向上に関する取組を5つ以上実施(⑱と㉑は必須)
または
社会福祉連携推進法人に所属している
加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を基本給または毎月支払われる手当の改善に充てる
「ロ」区分の算定加算Ⅰまたは加算Ⅱの取得要件をすべて満たしたうえで
ア・ウの要件は令和8年度中の対応の誓約で可計画書提出時は誓約、年度末までに実施、実績報告書で確認未対応が確認された場合は加算額の一部または全部を返還
※社会福祉連携推進法人は、令和4年度に創設された、複数の社会福祉法人等が連携して地域福祉の充実を図るための法人制度です。

特例要件の「生産性向上に関する取組」とは

特例要件のうち、多くの事業所が取り組みやすいのがア)の生産性向上に関する取組です。ここでは、職場環境等要件の「生産性向上のための業務改善の取組」に該当する具体的な項目を確認します。

No. 取組の内容 必須
現場の課題の見える化(課題の抽出、構造化、業務時間調査の実施等)を実施している 必須
5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業組織の効率化を行っている
業務支援ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。介護報酬についてはLIFE関連等のクラウド型のソフトのみ)や業務支援機器(スマートフォン・タブレット端末等)の導入 必須
介護ロボット(見守りセンサー、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入
業務内容の明確化と役割分担を行い、福祉・介護職員が専業で集中できる環境を整備。特に、食事の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等の業務については、間接支援業務に従事する者の配置や外注で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う
各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施

上記の⑱~㉔のうち、⑱と㉑を含む5つ以上を実施すれば「ア」の要件を満たすことができます。

具体的な取組の例

「要件の文言を読んでもピンとこない…」という事業者の方も少なくありません。ここでは、取り組みやすい具体例を紹介します。

⑱ 現場の課題の見える化(必須)

業務のどこに時間がかかっているのか、どこに無駄があるのかを「見える化」する取組です。具体的には以下のような方法が考えられます。

・職員へのアンケートやヒアリングで業務上の課題を収集する ・1日の業務の流れをタイムスタディ(時間調査)で記録・分析する ・課題を一覧化し、優先順位をつけて改善計画を策定する

⑲ 5S活動による職場環境の整備

・5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を定期的に実施する ・作業スペースの整理整頓や不要な書類の廃棄を組織的に行う

⑳ 業務手順書・様式の工夫

・業務マニュアルの作成・見直し ・記録様式の統一化・簡素化 ・報告書のテンプレート化による作業時間の短縮

㉑ 業務支援ソフト・情報端末の導入(必須)

記録業務や請求業務の効率化を図るためのソフトウェアや端末の導入です。

・サービス提供記録をタブレット端末で入力できるシステムの導入 ・記録から国保連請求まで転記不要で連動するソフトの導入 ・スマートフォンを活用した情報共有の仕組みの整備

㉒ ICT機器・インカム等の導入

・インカム(トランシーバー型通信機器)の導入による職員間の連携強化 ・ビジネスチャットツール(LINE WORKS、Chatworkなど)の導入 ・見守りセンサーの活用による夜間業務の効率化

㉔ 協働化を通じた取組

・近隣の事業所と合同で研修を開催する ・複数事業所で物品を共同購入してコスト削減を図る ・法人内で人事管理システムや給与計算ソフトを共通化する ・他法人との合同委員会(虐待防止委員会等)の設置

取組の組み合わせ例

たとえば、以下の5つを実施すれば「ア」の要件を満たせます。

① ⑱ 職員アンケートによる業務課題の見える化(必須) ② ㉑ 記録ソフトとタブレット端末の導入(必須) ③ ⑲ 5S活動による職場環境の整備 ④ ㉒ ビジネスチャットツールの導入 ⑤ ㉔ 近隣事業所との合同研修の実施

すでに取り組んでいるものも少なくありません。現在の取組を棚卸しすることで、意外と要件を満たせる可能性があります。

図解3生産性向上に関する取組(⑱と㉑を含む5つ以上)

⑱ 現場の課題の見える化【必須】

  • 職員へのアンケートやヒアリングで業務上の課題を収集する
  • 1日の業務の流れをタイムスタディ(時間調査)で記録・分析する
  • 課題を一覧化し、優先順位をつけて改善計画を策定する

㉑ 業務支援ソフト・業務支援機器の導入【必須】

  • 記録、情報共有、請求業務の転記が不要なソフト
  • スマートフォン・タブレット端末等

そのほかの選択肢

  • ⑲ 5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)等の実践による職場環境の整備
  • ⑳ 業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有・作業組織の効率化
  • ㉒ 介護ロボット(見守りセンサー、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援等)の導入 ほか
※本文「3. 特例要件の「生産性向上に関する取組」」「4. 実際にどんな取組をすればいい?」を図解化したものです。
あわせて読みたい処遇改善加算の配分方法|対象職員・賃金項目・注意点を解説

特例要件を満たす事業所は、加算Ⅰ~Ⅳの要件が緩和される

今回の改定では、「ロ」区分の算定に必要な特例要件を満たす事業所に対して、キャリアパス要件や職場環境等要件が緩和される特例措置も設けられています。

特例要件を満たす事業所は、加算Ⅰ~Ⅳで求められるキャリアパス要件Ⅰ~Ⅳ及び職場環境等要件について、令和8年度中の対応の誓約で算定可能です。実績報告書において対応の実施を確認することとされています。

つまり、年度当初に要件をすべて完璧に整備していなくても、誓約をしたうえで年度内に順次整備を進めることが認められているということです。新たに処遇改善加算の上位区分を目指す事業所にとっては、大きな後押しとなる措置です。

誓約した内容は実績報告書で確認される

「ア」「ウ」の要件やキャリアパス要件は、令和8年度中の対応を誓約することで算定が可能です。ただし、誓約した内容は年度終了後の実績報告書で確認されます。

ある中核市の手引きでは、処遇改善加算を算定している事業者は、毎年7月末日までに前年度の処遇改善実績報告書(様式番号は指定権者ごとに異なる)を提出することとされ、6月下旬に指定権者から詳細を通知するとされています。

つまり、令和8年度に誓約をした事業所は、令和9年3月末までに取組を完了させ、令和9年7月頃の実績報告で対応済みであることを報告する流れになります。未対応が確認された場合は加算額の一部または全部の返還が生じますので、以下の証憑を年度内に整えておいてください。

  • 現場の課題の見える化:職員アンケートの用紙と集計結果、業務時間調査の記録、改善計画書
  • 業務支援ソフト・情報端末の導入:契約書・請求書の写し、導入日が分かる書類、運用マニュアル
  • 5S活動、業務手順書の整備:実施記録、作成した手順書・様式
  • 協働化の取組:合同研修の開催記録、共同購入や共同委員会の議事録

実績報告書の提出期限・様式は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

図解4特例要件を満たすと本体要件も緩和される
特例要件を満たす事業所
加算Ⅰ〜Ⅳのキャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳ及び職場環境等要件について、令和8年度中の対応の誓約で算定可能実績報告書において対応の実施を確認
年度当初に要件をすべて完璧に整備していなくても、誓約のうえ年度内に順次整備を進めることが認められる新たに上位区分を目指す事業所にとっては大きな後押し
※未対応が確認された場合には加算額の一部または全部を返還させることとされています。

新たに処遇改善加算の対象となるサービスの場合

令和8年度からは、これまで処遇改善加算の対象外だった計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援にも新たに処遇改善加算が創設されます。

これらの新規対象サービスについては、現行の処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件として、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ並びに職場環境等要件を算定の要件とすることとされています。

ご注意ください

新規対象サービスにおいても、要件の整備には一定の期間を要することから、令和8年度中の対応の誓約で可とされています。ただし、未対応が確認された場合には加算額の一部又は全部を返還させることとされていますので、計画的な準備が必要です。

なお、生産性向上や協働化に取り組む事業所(特例要件を満たす事業所)については、上記の要件を満たさなくてもよいこととされています。

相談支援事業所は指定申請の段階から計画書を準備する

新たに処遇改善加算の対象となる計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援では、既存事業所だけでなく、これから指定を受ける事業所も加算の対象です。

ある中核市の手引きでは、地域移行支援・地域定着支援・計画相談支援・障害児相談支援の指定申請の提出書類一覧に「処遇改善計画書(算定する場合)」が含まれています。指定申請書類と一緒に処遇改善計画書を提出できる運用です。

相談支援事業所は職員数が少なく、キャリアパス要件や職場環境等要件の整備がこれからという事業所も少なくありません。まずは加算Ⅳ相当(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件)の整備から着手し、生産性向上の取組が整った段階で「ロ」区分を検討するという段取りが現実的です。

指定申請時に処遇改善計画書を同時提出できるかどうかは指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

図解5新たに処遇改善加算の対象となるサービス

令和8年度から新たに対象

  • 計画相談支援
  • 障害児相談支援
  • 地域相談支援

算定の要件

  • 現行の処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件として、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ並びに職場環境等要件
  • 令和8年度中の対応の誓約で可
  • 特例要件を満たす事業所は、上記の要件を満たさなくてもよい

これから指定を受ける事業所も対象

  • 指定申請の提出書類一覧に「処遇改善計画書(算定する場合)」が含まれる例がある
  • まずは加算Ⅳ相当(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件)の整備から着手し、生産性向上の取組が整った段階で「ロ」区分を検討する段取りが現実的
※指定申請時に処遇改善計画書を同時提出できるかどうかは指定権者によって異なります。
あわせて読みたい処遇改善加算の計画書と実績報告

加算Ⅰ・Ⅱ の「ロ」区分で求められるその他の要件変更

「ロ」区分の算定にあたっては、特例要件に加えて、加算Ⅰ・Ⅱの本体要件についても見直しが行われています。

要件 変更内容
キャリアパス要件Ⅳ (改善後賃金年額) 従来の年額440万円以上から、直近の全産業平均水準を踏まえ年額460万円以上に引き上げ
職場環境等要件 (加算Ⅰ・Ⅱの場合) 現行の要件に加えて、区分ごとに2つ以上(生産性向上は3つ以上)、全体で14以上取り組むこと
職場環境等要件 (加算Ⅲ・Ⅳの場合) 現行の要件に加えて、区分ごとに1つ以上(生産性向上は2つ以上)、全体で8以上取り組むこと

加算Ⅰ・Ⅱでは、a・bのいずれかを満たすこととされています。a)キャリアパス要件Ⅳの年額460万円以上をクリアする方法、b)職場環境等要件の取組数を増やす方法の、どちらかを選択できる仕組みです。

施行時期と届出スケジュール

「ロ」区分を含む新たな加算区分は、令和8年6月施行です。

なお、令和8年4月・5月については、令和7年度補正予算における「障害福祉分野における賃上げに対する支援」により賃上げ相当分が支援されるため、令和8年6月の施行に合わせて準備を進めることになります。

算定開始時期 届出期限
令和8年6月または7月から「ロ」区分を算定する場合 令和8年6月15日(月)必着
令和8年8月以降に算定する場合 算定する月の前々月の末日 必着

「イ」から「ロ」への変更は“区分変更”として扱われる

「ロ」区分の届出期限を考えるときは、自事業所が「新規算定」なのか「区分変更」なのかを整理しておく必要があります。指定権者によっては、この2つで提出期限が分けられているためです。

ある中核市の手引きでは、処遇改善計画書の提出期限が次のように整理されています。

区分 提出期限
新たに算定する場合 算定する月の前々月の末日まで(必着)
区分を変更する場合、対象事業所・サービス種別に増減がある場合 算定する月の前月15日まで(必着)

すでに処遇改善加算Ⅰ・Ⅱを算定している事業所が令和8年6月から「ロ」区分に移行するケースは、「区分を変更する場合」に当たると考えられます。また、法人内の複数事業所のうち一部だけを「ロ」区分にする場合など、対象事業所に増減が生じるケースも同じ扱いです。

さらに同じ手引きでは、前年度から継続して処遇改善加算を算定する事業者に対して、3月下旬に指定権者から提出期限を通知するとされています。全国一律の期限とは別に、指定権者独自の締切が設定されることがありますので、通知を必ず確認してください。

提出期限は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

図解6施行時期と届出スケジュール
令和8年4月・5月令和7年度補正予算「障害福祉分野における賃上げに対する支援」により賃上げ相当分が支援される
令和8年6月「ロ」区分を含む新たな加算区分が施行

自事業所は「新規算定」か「区分変更」か

  • すでに加算Ⅰ・Ⅱを算定している事業所が令和8年6月から「ロ」区分に移行 → 「区分を変更する場合」
  • 法人内の複数事業所のうち一部だけを「ロ」区分にする場合など、対象事業所に増減が生じるケースも同じ扱い

通知の確認

  • 前年度から継続して算定する事業者には、3月下旬に指定権者から提出期限が通知される
  • 全国一律の期限とは別に、指定権者独自の締切が設定されることがある
※提出期限は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
あわせて読みたい処遇改善加算と法定福利費|賃金改善額に含められる範囲と計算方法

よくある質問

Q
処遇改善加算の「イ」と「ロ」はどう違いますか。
A

令和8年6月以降、加算Ⅰ・Ⅱそれぞれに「イ」と「ロ」の区分が新設されます。「イ」は従来の要件をベースにした区分、「ロ」は生産性向上や協働化に取り組む事業者を上乗せで評価する区分で、加算率が高く設定されています。

Q
「ロ」区分を算定するには何が必要ですか。
A

加算Ⅰまたは加算Ⅱの取得要件をすべて満たしたうえで、「令和8年度特例要件」を満たす必要があります。特例要件は、ア)またはイ)のいずれかと、ウ)を満たすことが条件です。

Q
特例要件の「ア」はどのような内容ですか。
A

職場環境等要件に定められた「生産性向上のための業務改善の取組」の区分から、5つ以上の取組を実施していることです。そのうち⑱「現場の課題の見える化」と㉑「業務支援ソフト・情報端末の導入」の2つは必須とされています。

Q
特例要件の「ウ」はどのような内容ですか。
A

加算Ⅱロに相当する加算額の2分の1以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てていることです。ベースアップによる賃金改善を重視する要件です。

Q
年度当初に要件をすべて整えていないと算定できませんか。
A

特例要件を満たす事業所は、加算Ⅰ〜Ⅳで求められるキャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳおよび職場環境等要件について、令和8年度中の対応を誓約することで算定が可能です。ただし誓約した内容は、年度終了後の実績報告書で確認されます。

Q
キャリアパス要件Ⅳの金額は変わりますか。
A

従来の年額440万円以上から、直近の全産業平均水準を踏まえて年額460万円以上に引き上げられます。あわせて職場環境等要件も、加算Ⅰ・Ⅱでは区分ごとに2つ以上(生産性向上は3つ以上)・全体で14以上、加算Ⅲ・Ⅳでは区分ごとに1つ以上(生産性向上は2つ以上)・全体で8以上の取組が必要です。

Q
「イ」から「ロ」へ移行する場合の届出期限はいつですか。
A

すでに加算Ⅰ・Ⅱを算定している事業所が「ロ」区分へ移行する場合は「区分を変更する場合」に当たると考えられます。ある中核市の手引きでは、新たに算定する場合は算定する月の前々月の末日まで、区分を変更する場合や対象事業所・サービス種別に増減がある場合は算定する月の前月15日までとされています。提出期限は指定権者によって異なるため、申請先の手引きを確認してください。

Q
相談支援も処遇改善加算の対象になりますか。
A

令和8年度から、計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援にも新たに処遇改善加算が創設されます。現行の加算Ⅳの取得に準ずる要件として、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件が算定要件とされ、令和8年度中の対応の誓約でも算定できますが、未対応が確認された場合は加算額の一部または全部の返還を求められます。

まとめ|「ロ」区分は生産性向上への取組がポイント

令和8年度の処遇改善加算で新設された「ロ」区分は、生産性向上や協働化に積極的に取り組む事業者を評価し、さらなる賃上げを後押しする仕組みです。

特例要件は「ア・イのいずれか及びウ」を満たす必要がありますが、特にア)の生産性向上に関する取組はすでに実施している取組を整理するだけで満たせる可能性があります。業務支援ソフトの導入やビジネスチャットの活用、業務の見える化など、日頃から取り組んでいることが要件に該当するケースも少なくありません。

また、令和8年度中は誓約による算定が認められていますので、年度内に計画的に取組を進めることで「ロ」区分の算定が可能です。職員の賃金改善をさらに進めるためにも、「ロ」区分の算定を検討してみてください。

処遇改善加算「ロ」区分の算定でお困りではありませんか?

障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

処遇改善加算「ロ」区分の特例要件の確認や、生産性向上・協働化の取組の整理について、ご相談・助言を承っています。運営顧問では、実際の書類や運用を一緒に確認しながら進めます。

処遇改善加算サポートの内容を見る

無料相談はこちら

※本コラムの内容は令和8年4月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや各自治体にてご確認ください。

関連記事

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。

体系的に知りたい方はこちら処遇改善加算 完全ガイド|区分の選び方から配分・実績報告までの全体像