令和8年6月から施行される就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しには、対象外となる事業所があります。対象外かどうかは、事業所が指定を受けた時期に応じて判定方法が分かれ、令和5年4月以前の指定か、令和5年5月以降の指定かで比較する報酬区分が変わります。いずれの場合も、令和6年度の新しい算定式の導入によって区分がどう動いたかが判定の軸になります。
- 見直しはすべてのB型事業所に適用されるわけではない
- 判定方法は、指定を受けた時期によって2つのパターンに分かれる
- 経過措置期間が適用されていた事業所は比較の対象が変わる
令和8年6月から施行される就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しについて、前回の記事では基準額の引き上げや中間区分の新設など、制度変更の概要を解説しました。
今回は、厚生労働省から公表された別添資料をもとに、事業所の皆さまが特に気になる「見直しの対象外になるケース」の判定方法や、届出時の具体的な手続きの流れ、さらにはシステム上の取扱いまで、実務に直結するポイントを詳しく解説します。
見直しの「対象外」になるのはどんな事業所?
今回の基本報酬区分の見直しは、すべての就労継続支援B型事業所に適用されるわけではありません。令和6年度改定の前後で基本報酬区分が変わらない、又は下がっている事業所は見直しの対象外とされています。
ただし、「いつの時点を比較するか」は事業所が指定を受けた時期によって異なります。ここが実務上の大きなポイントです。
基本の考え方
- 令和6年度改定の前後で基本報酬区分が変わらない、または下がっている事業所は見直しの対象外
「いつの時点を比較するか」は指定時期で異なる
- 令和5年4月以前に指定:令和6年3月と令和6年4月の区分を比較
- 令和5年5月〜令和6年3月に指定:経過措置対象の最終月の翌月の区分が区分八のまま変わらなければ対象外(比較する月は事業所ごとに異なる)
指定を受けた時期による判定方法の違い
見直しの対象外となるかどうかは、事業所が指定を受けた時期に応じて、以下の3パターンに分かれます。それぞれ比較する月が異なるため、慎重に確認する必要があります。
パターン① 令和5年4月以前に指定を受けた事業所
比較するのは、「令和6年3月の基本報酬区分」と「令和6年4月の基本報酬区分」です。
令和6年4月は新算定式が導入された月ですので、導入直前と直後を比較する形になります。このとき、区分が変わらない又は下がっている場合は見直しの対象外です。
※ 経過措置期間中(区分八が適用されていた事業所)も同様に、令和6年3月時点と令和6年4月時点の区分を比較します。
パターン② 令和5年5月〜令和6年3月に指定を受けた事業所
指定を受けた月や経過措置期間(区分八)が適用される期間によって、比較する月が事業所ごとに異なります。
基本的な考え方は、経過措置対象の最終月の翌月の基本報酬区分が区分八のまま変わらない場合は、見直しの対象外となります。具体的には以下のとおりです。
(a)令和5年5月〜9月に指定を受けた場合
支援開始から6か月間の平均工賃(新式)に基づく区分と、R6平均工賃(新式)に基づく区分を比較します。区分が変わらない又は下がっている場合は、見直しの対象外となります。
(b)令和5年10月に指定を受けた場合
経過措置期間後の区分と、R6平均工賃(新式)による区分を比較します。
(c)令和5年11月〜令和6年3月に指定を受けた場合
経過措置期間(区分八)後の、支援開始から6か月間の平均工賃(新式)に基づく区分と、R6平均工賃(新式)を比較します。
判定のポイント
いずれのパターンでも共通して言えるのは、「令和6年度の新算定式の導入によって区分が上がったかどうか」が見直し対象の判断基準であるということです。新算定式の導入で区分が上がっていなければ、今回の基準額の引き上げは適用されません。
届出時の確認の流れ|令和8年4月から始まる手続き
就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しは令和8年6月施行ですが、事業所・自治体の事務処理負担を軽減するため、令和8年4月の段階で「令和8年4月・5月分」と「令和8年6月以降分」の届出書を同時に提出できる仕組みとなっています。
就労継続支援B型サービス費(I)・(II)・(III)の事業所は、以下の2つの届出書を提出します。
ア)現行の報酬区分に基づく基本報酬区分に関する届出書(令和8年4月・5月分)
イ)見直し後の報酬区分に基づく基本報酬区分に関する届出書(令和8年6月以降分)
以下に該当する事業所は、「イ」の提出は不要です。ただし、該当することが分かる根拠書類の提出が必要です。
① 令和7年度平均工賃月額が1万5千円未満の場合(区分七・八が該当し得ます)
② 令和6年度改定前後で区分が変わらない又は下がっている場合(見直し対象外の事業所)
4月:指定権者は、事業所から提出された「ア」の届出書に基づき、事業所台帳に登録します。
6月:指定権者は、「イ」の届出書に基づき事業所台帳を再登録します。また、「イ」の提出が不要の事業所については、根拠書類を確認します。
基本報酬区分の届出に添付する書類
基本報酬区分の届出は、届出書1枚で完結するとは限りません。ある中核市の手引きでは、就労継続支援B型の基本報酬算定区分(平均工賃月額区分)の届出について、次の書類を求めています。
| 区分 | 提出書類 |
|---|---|
| 必須書類 | 介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書 介護給付費等の算定に係る体制等状況一覧表 |
| 基本報酬算定区分(平均工賃月額区分) | 基本報酬の算定区分に関する届出書 工賃向上計画の写し(上位区分を算定する場合) |
(様式番号は指定権者ごとに異なります。)
ポイントは、上位区分を算定する場合に工賃向上計画の写しの添付を求められる点です。今回の見直しで新設される区分は、いずれも平均工賃月額1万5千円以上の区分です。届出の直前に工賃向上計画を作り始めるのではなく、年度当初から計画を整備し、写しをすぐ提出できる状態にしておいてください。
また、目標工賃達成指導員配置加算や目標工賃達成加算を算定している事業所も、それぞれの届出書に工賃向上計画の写しの添付が必要です。1つの計画書を複数の届出で使うことになるため、年度・事業所名・目標額の記載に誤りがないか確認しておいてください。
イ)見直し後の報酬区分に基づく届出書(令和8年6月以降分)
「イ」の提出が不要な事業所(根拠書類は必要)
- 令和7年度平均工賃月額が1万5千円未満(区分七または八)
- 令和6年度改定前後で区分が変わらない又は下がっている(見直し対象外)
基本報酬区分の届出は「加算の届出」の期限ルールで動く
基本報酬区分に関する届出は、実務上、加算の届出(体制届)と同じ枠組みで取り扱われます。届出の期限は、指定権者が定める加算の届出期限に従います。
ある中核市の手引きでは、加算の届出について次のように整理されています。提出期限や提出方法は指定権者によって異なるため、申請先の自治体の最新の手引きを必ず確認してください。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 新たに算定する場合、区分を上げる場合 | 算定する月の前月15日(閉庁日の場合、直後の開庁日)まで(必着) |
| 区分を下げる場合 | 速やかに提出(届出が遅れた場合、返還が生じることがある) |
| 取りやめる場合 | 速やかに提出(届出が遅れた場合、返還が生じることがある) |
実績に基づく区分の引上げには例外がある
ここで注意したいのが、基本報酬算定区分の取扱いです。同じ手引きでは、人員配置区分、基本報酬算定区分、夜間支援等体制加算など、直近6か月や前年度1年間の実績などに基づき区分を上げる場合、提出期限を例外として「変更する月の15日まで」としています。
平均工賃月額に基づく区分は、まさにこの実績に基づく区分にあたります。前月15日ではなく、変更する月の15日が期限となる運用の指定権者もあるということです。今回の見直しに伴う6月の区分変更届についても、自分の事業所の指定権者がどちらの期限で運用しているかを、4月の届出の際に併せて確認しておくと安全です。
4月からの算定は別スケジュールで案内されることがある
年度替わりで加算を新たに算定する場合や区分を変更する場合について、4月15日までに加算届を提出することとし、その詳細を2月下旬に事業所へ通知する、という運用を採っている指定権者もあります。今回の見直しでは令和8年4月15日が「ア」「イ」の提出期限とされていますが、これは年度替わりの通常スケジュールとも重なります。指定権者からの事前通知を見落とさないようにしてください。
提出書類
- 必須:介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書/体制等状況一覧表
- 基本報酬算定区分(平均工賃月額区分)に関する届出書
- 工賃向上計画の写し(上位区分を算定する場合)
期限のルール(加算の届出と同じ枠組み)
- 新たに算定する場合、区分を上げる場合:算定する月の前月15日まで(必着)
- 区分を下げる場合/取りやめる場合:速やかに提出(遅れると返還が生じることがある)
実績に基づく区分の引上げには例外がある
- 人員配置区分、基本報酬算定区分、夜間支援等体制加算など、直近6か月や前年度1年間の実績に基づき区分を上げる場合は「変更する月の15日まで」とする指定権者がある
- 平均工賃月額に基づく区分は、まさにこの実績に基づく区分にあたる
システム上の取扱い|令和8年6月以降の自動切替
令和8年6月以降、システム上の報酬区分は以下のように自動で切り替わります。事業所の状況によって対応が異なりますので、しっかり確認しておいてください。
| 事業所の区分 | 6月以降のシステム対応 | 届出の要否 |
|---|---|---|
| 見直し対象の事業所 (現行 区分一〜六) |
新設される区分(R8改定対象)に切り替わる | 事業所側の再提出は原則不要 (4月15日までに「ア」「イ」を同時提出していれば、6月は指定権者が台帳を再登録。指定権者によっては6月改定分の期限を6月15日としている例もあるため要確認) |
| 見直し対象外の事業所 (現行 区分一〜六) |
「R8改定対象外」と記載された区分に自動で切り替わる | 変更届出は不要 (根拠書類は必要) |
| 工賃が1万5千円未満の事業所 (区分七・八) |
区分変更なし(そのまま) | 変更届出は不要 |
システム区分の具体的な変更イメージ
現行でシステム上「(一)〜(六)」と表示されていた区分は、見直し対象外の事業所の場合、6月以降は「(R8改定対象外)(一)〜(六)」に自動で切り替わります。見直し対象の事業所は、「(R8改定対象)(一)〜(F)」という新設区分が適用されます。
現行の(七)〜(九)の区分については変更ありません。
見直し対象の事業所(現行 区分一〜六)
- 新設される区分(R8改定対象)に切り替わる
- 事業所側の再提出は原則不要(6月は指定権者が台帳を再登録。指定権者によっては6月改定分の期限を6月15日としている例もあるため要確認)
見直し対象外の事業所(現行 区分一〜六)
- 「R8改定対象外」と記載された区分に自動で切り替わる
- 変更届出は不要(根拠書類は必要)
工賃が1万5千円未満の事業所(区分七・八)
- 区分変更なし(そのまま)/変更届出は不要
R8改定後の報酬区分一覧
令和8年6月以降の報酬区分の全体像を整理すると、以下のようになります。
<R8改定対象の事業所>新設区分
| 区分 | 平均工賃月額の基準 |
|---|---|
| (R8改定対象)(一) | 4万8千円以上 |
| (R8改定対象)(A) | 4万5千円以上4万8千円未満 |
| (R8改定対象)(二) | 3万8千円以上4万5千円未満 |
| (R8改定対象)(B) | 3万5千円以上3万8千円未満 |
| (R8改定対象)(三) | 3万3千円以上3万5千円未満 |
| (R8改定対象)(C) | 3万円以上3万3千円未満 |
| (R8改定対象)(四) | 2万8千円以上3万円未満 |
| (R8改定対象)(D) | 2万5千円以上2万8千円未満 |
| (R8改定対象)(五) | 2万3千円以上2万5千円未満 |
| (R8改定対象)(E) | 2万円以上2万3千円未満 |
| (R8改定対象)(六) | 1万8千円以上2万円未満 |
| (R8改定対象)(F) | 1万5千円以上1万8千円未満 |
<改定なしの区分>
| 区分 | 平均工賃月額の基準 |
|---|---|
| (七) | 1万円以上1万5千円未満 |
| (八) | 1万円未満 |
| (九) | なし(経過措置対象) |
<R8改定対象外の事業所>従前の区分
| 区分 | 平均工賃月額の基準 |
|---|---|
| (R8改定対象外)(一) | 4万5千円以上 |
| (R8改定対象外)(二) | 3万5千円以上4万5千円未満 |
| (R8改定対象外)(三) | 3万円以上3万5千円未満 |
| (R8改定対象外)(四) | 2万5千円以上3万円未満 |
| (R8改定対象外)(五) | 2万円以上2万5千円未満 |
| (R8改定対象外)(六) | 1万5千円以上2万円未満 |
R8改定後の区分/改定なしの区分(七〜九)
- 平均工賃月額と齟齬がないかのみ確認
- R8改定の対象であることの確認は不要
従前の区分(R8改定対象外)
- 平均工賃月額と齟齬がないかを確認
- あわせて、R8改定の対象外となる要件とその根拠書類(令和6年3月・4月の基本報酬区分が分かる書類等)を確認
運営指導時の確認の流れ
令和8年6月以降の運営指導等においては、指定権者が事業所の基本報酬区分を確認する際、区分の種類に応じて確認方法が異なります。
R8改定後の区分 / 改定なしの区分(七〜九)の場合
指定権者は、平均工賃月額と齟齬がないかのみ確認します。R8改定の対象であることの確認は不要です。
従前の区分(R8改定対象外)の場合
指定権者は、平均工賃月額と齟齬がないか確認するとともに、R8改定の対象外となる要件とその根拠書類(令和6年3月及び令和6年4月の基本報酬区分が分かる書類等)を確認します。
事業所が今から準備しておくべきこと
① 自事業所が「見直し対象」か「対象外」かを判定する
指定を受けた時期に応じて、比較する時点の報酬区分を確認してください。令和5年5月〜令和6年3月に指定を受けた事業所は、比較する月が個別に異なるため特に注意が必要です。
② 根拠書類を準備する
見直し対象外に該当する場合は、令和6年3月及び令和6年4月の基本報酬区分が分かる書類等が必要です。運営指導時にも求められますので、早めに整理しておいてください。
③ 令和8年4月15日までに届出書を提出する
「ア」現行区分の届出書は全事業所が提出必要です。「イ」見直し後区分の届出書は、対象外事業所と工賃1万5千円未満の事業所を除き提出が必要です。
④ 6月は指定権者側で台帳が切り替わります
4月15日までに「ア」「イ」を同時提出していれば、事業所側の再提出は原則不要です。ただし指定権者によっては6月改定分の届出期限を6月15日としている例もあるため、申請先の案内を確認してください。
⑤ 届出漏れ・遅延のリスクを理解しておく
指定申請の手引きでは、申請・届出にあたっての留意事項として、次の点が示されています。いずれも今回の届出にそのまま当てはまります。
- 指定後に提出した書類に不備があり、過大に報酬を請求していたことが発覚した場合、いかなる理由であっても過大請求分は返還すること
- 指定の内容や加算の内容に変更が生じた際の届出は、事業者の責任において随時行うこと
- 提出期限までに届出書類を提出できなかった場合、遡って報酬を請求することはできないこと
- 指定基準や報酬告示、留意事項通知の内容は、手続きを行政書士などに委託する場合でも、事業所の管理者・従業者において必ず理解しておくこと
期限に遅れた場合、要件を満たしていたことを理由に遡及して請求することはできません。反対に、見直しの対象外であるにもかかわらず新設区分で請求していた場合は、返還の対象となります。判定を誤らないこと、そして根拠書類を保存しておくことが、そのまま返還リスクの回避につながります。
よくある質問
令和6年度改定の前後で基本報酬区分が変わらない、または下がっている事業所です。新算定式の導入によって区分が上がった事業所のみが今回の見直しの影響を受けます。
指定を受けた時期によって異なります。令和5年4月以前に指定を受けた事業所は令和6年3月と令和6年4月の区分を比較します。令和5年5月〜令和6年3月に指定を受けた事業所は、経過措置対象の最終月の翌月の区分が区分八のまま変わらなければ対象外で、比較する月は事業所ごとに異なります。
令和8年4月15日までに、ア)現行の報酬区分に基づく届出書(令和8年4月・5月分)と、イ)見直し後の報酬区分に基づく届出書(令和8年6月以降分)を同時に提出します。対象は就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の事業所です。
令和7年度の平均工賃月額が1万5千円未満(区分七または八)の場合と、令和6年度改定の前後で区分が変わらない又は下がっている(見直しの対象外)場合です。いずれも、該当することが分かる根拠書類の提出は必要です。
基本報酬区分の届出は、実務上は加算の届出(体制届)と同じ枠組みで扱われます。新たに算定する場合と区分を上げる場合は算定する月の前月15日まで(必着)、区分を下げる場合と取りやめる場合は速やかに提出します。ただし、直近6か月や前年度1年間の実績に基づいて区分を上げる場合は「変更する月の15日まで」という例外を設けている指定権者もあります。
届出書「イ」に基づいて事業所台帳が再登録されます。「イ」の提出が不要な事業所については、根拠書類によって確認されます。
R8改定後の区分と改定なしの区分(七〜九)は、平均工賃月額と齟齬がないかのみが確認されます。従前の区分(R8改定の対象外)の場合は、これに加えて対象外となる要件とその根拠書類(令和6年3月・4月の基本報酬区分が分かる書類等)が確認されます。
まとめ
就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しについて、「見直しの対象外」となるケースの判定方法、届出の具体的な流れ、システム上の取扱い、運営指導時の確認方法を整理しました。
特に注意していただきたいのは、見直しの対象外かどうかの判定は指定を受けた時期によって比較する月が異なる点です。令和5年5月〜令和6年3月に指定を受けた事業所は、経過措置期間との兼ね合いで判定が複雑になりますので、早めに確認してください。
また、届出は令和8年4月と6月の2段階で行う仕組みになっており、提出の要否も事業所の状況によって異なります。スケジュールを把握し、漏れのないよう準備を進めてください。
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※本記事の内容は令和8年4月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや各自治体にてご確認ください。

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