【令和8年6月施行】就労継続支援B型の報酬見直し ― 届出の流れと「対象外」の判定方法を徹底解説

2026年4月13日|コラム|永野将太行政書士事務所

【令和8年6月施行】就労継続支援B型の報酬見直し ―
届出の流れと「対象外」の判定方法を徹底解説

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令和8年6月から施行される就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しについて、前回の記事では基準額の引き上げや中間区分の新設など、制度変更の概要を解説しました。

今回は、厚生労働省から公表された別添資料をもとに、事業所の皆さまが特に気になる「見直しの対象外になるケース」の判定方法や、届出時の具体的な手続きの流れ、さらにはシステム上の取扱いまで、実務に直結するポイントを詳しく解説します。

見直しの「対象外」になるのはどんな事業所?

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今回の基本報酬区分の見直しは、すべての就労継続支援B型事業所に適用されるわけではありません。令和6年度改定の前後で基本報酬区分が変わらない、又は下がっている事業所は見直しの対象外とされています。

ただし、「いつの時点を比較するか」は事業所が指定を受けた時期によって異なります。ここが実務上の大きなポイントです。

指定を受けた時期による判定方法の違い

見直しの対象外となるかどうかは、事業所が指定を受けた時期に応じて、以下の3パターンに分かれます。それぞれ比較する月が異なるため、慎重に確認する必要があります。

パターン① 令和5年4月以前に指定を受けた事業所

比較するのは、「令和6年3月の基本報酬区分」「令和6年4月の基本報酬区分」です。

令和6年4月は新算定式が導入された月ですので、導入直前と直後を比較する形になります。このとき、区分が変わらない又は下がっている場合は見直しの対象外です。

※ 経過措置期間中(区分八が適用されていた事業所)も同様に、令和6年3月時点と令和6年4月時点の区分を比較します。

パターン② 令和5年5月〜令和6年3月に指定を受けた事業所

指定を受けた月や経過措置期間(区分八)が適用される期間によって、比較する月が事業所ごとに異なります

基本的な考え方は、経過措置対象の最終月の翌月の基本報酬区分が区分八のまま変わらない場合は、見直しの対象外となります。具体的には以下のとおりです。

(a)令和5年5月〜9月に指定を受けた場合
支援開始から6ヶ月間の平均工賃(新式)に基づく区分と、R6平均工賃(新式)に基づく区分を比較します。区分が変わらない又は下がっている場合は、見直しの対象外となります。

(b)令和5年10月に指定を受けた場合
経過措置期間後の区分と、R6平均工賃(新式)による区分を比較します。

(c)令和5年11月〜令和6年3月に指定を受けた場合
経過措置期間(区分八)後の、支援開始から6ヶ月間の平均工賃(新式)に基づく区分と、R6平均工賃(新式)を比較します。

判定のポイント

いずれのパターンでも共通して言えるのは、「令和6年度の新算定式の導入によって区分が上がったかどうか」が見直し対象の判断基準であるということです。新算定式の導入で区分が上がっていなければ、今回の基準額の引き上げは適用されません。

届出時の確認の流れ ― 令和8年4月から始まる手続き

就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しは令和8年6月施行ですが、事業所・自治体の事務処理負担を軽減するため、令和8年4月の段階で「令和8年4月・5月分」と「令和8年6月以降分」の届出書を同時に提出できる仕組みとなっています。

STEP 1|令和8年4月15日まで

就労継続支援B型サービス費(I)・(II)・(III)の事業所は、以下の2つの届出書を提出します。

ア)現行の報酬区分に基づく基本報酬区分に関する届出書(令和8年4月・5月分)

イ)見直し後の報酬区分に基づく基本報酬区分に関する届出書(令和8年6月以降分)

STEP 2|届出書「イ」の提出が不要なケース

以下に該当する事業所は、「イ」の提出は不要です。ただし、該当することが分かる根拠書類の提出が必要です。

① 令和7年度平均工賃月額が1万5千円未満(報酬区分が区分七または八)の場合

② 令和6年度改定前後で区分が変わらない又は下がっている場合(見直し対象外の事業所)

STEP 3|指定権者の確認・登録

4月:指定権者は、事業所から提出された「ア」の届出書に基づき、事業所台帳に登録します。

6月:指定権者は、「イ」の届出書に基づき事業所台帳を再登録します。また、「イ」の提出が不要の事業所については、根拠書類を確認します。

システム上の取扱い ― 令和8年6月以降の自動切替

令和8年6月以降、システム上の報酬区分は以下のように自動で切り替わります。事業所の状況によって対応が異なりますので、しっかり確認しておきましょう。

事業所の区分 6月以降のシステム対応 届出の要否
見直し対象の事業所
(現行 区分一〜六)
新設される区分(R8改定対象)に切り替わる 区分変更の届出が必要
(6月に届出)
見直し対象外の事業所
(現行 区分一〜六)
「R8改定対象外」と記載された区分に自動で切り替わる 変更届出は不要
(根拠書類は必要)
工賃が1万5千円未満の事業所
(区分七・八・九)
区分変更なし(そのまま) 変更届出は不要

システム区分の具体的な変更イメージ

現行でシステム上「(一)〜(六)」と表示されていた区分は、見直し対象外の事業所の場合、6月以降は「(R8改定対象外)(一)〜(六)」に自動で切り替わります。見直し対象の事業所は、「(R8改定対象)(一)〜(F)」という新設区分が適用されます。

現行の(七)〜(九)の区分については変更ありません。

R8改定後の報酬区分一覧

令和8年6月以降の報酬区分の全体像を整理すると、以下のようになります。

<R8改定対象の事業所>新設区分

区分 平均工賃月額の基準
(R8改定対象)(一)4万8千円以上
(R8改定対象)(A)4万5千円以上4万8千円未満
(R8改定対象)(二)3万8千円以上4万5千円未満
(R8改定対象)(B)3万5千円以上3万8千円未満
(R8改定対象)(三)3万3千円以上3万5千円未満
(R8改定対象)(C)3万円以上3万3千円未満
(R8改定対象)(四)2万8千円以上3万円未満
(R8改定対象)(D)2万5千円以上2万8千円未満
(R8改定対象)(五)2万3千円以上2万5千円未満
(R8改定対象)(E)2万円以上2万3千円未満
(R8改定対象)(六)1万8千円以上2万円未満
(R8改定対象)(F)1万5千円以上1万8千円未満

<改定なしの区分>

区分 平均工賃月額の基準
(七)1万円以上1万5千円未満
(八)1万円未満
(九)なし(経過措置対象)

<R8改定対象外の事業所>従前の区分

区分 平均工賃月額の基準
(R8改定対象外)(一)4万5千円以上
(R8改定対象外)(二)3万5千円以上4万5千円未満
(R8改定対象外)(三)3万円以上3万5千円未満
(R8改定対象外)(四)2万5千円以上3万円未満
(R8改定対象外)(五)2万円以上2万5千円未満
(R8改定対象外)(六)1万5千円以上2万円未満

運営指導時の確認の流れ

確認

令和8年6月以降の運営指導等においては、指定権者が事業所の基本報酬区分を確認する際、区分の種類に応じて確認方法が異なります。

R8改定後の区分 / 改定なしの区分(七〜九)の場合

指定権者は、平均工賃月額と齟齬がないかのみ確認します。R8改定の対象であることの確認は不要です。

従前の区分(R8改定対象外)の場合

指定権者は、平均工賃月額と齟齬がないか確認するとともに、R8改定の対象外となる要件とその根拠書類(令和6年3月及び令和6年4月の基本報酬区分が分かる書類等)を確認します。

事業所が今から準備しておくべきこと

① 自事業所が「見直し対象」か「対象外」かを判定する
指定を受けた時期に応じて、比較する時点の報酬区分を確認しましょう。令和5年5月〜令和6年3月に指定を受けた事業所は、比較する月が個別に異なるため特に注意が必要です。

② 根拠書類を準備する
見直し対象外に該当する場合は、令和6年3月及び令和6年4月の基本報酬区分が分かる書類等が必要になります。運営指導時にも求められますので、早めに整理しておきましょう。

③ 令和8年4月15日までに届出書を提出する
「ア」現行区分の届出書は全事業所が提出必要です。「イ」見直し後区分の届出書は、対象外事業所と工賃1万5千円未満の事業所を除き提出が必要です。

④ 6月の届出も忘れずに
見直し対象の事業所は、新設区分が適用されるため6月以降に区分変更の届出が必要です。

まとめ

今回の記事では、就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しについて、「見直しの対象外」となるケースの判定方法届出の具体的な流れシステム上の取扱い、そして運営指導時の確認方法を解説しました。

特に注意していただきたいのは、見直しの対象外かどうかの判定は指定を受けた時期によって比較する月が異なる点です。令和5年5月〜令和6年3月に指定を受けた事業所は、経過措置期間との兼ね合いで判定が複雑になりますので、早めの確認をお勧めします。

また、届出は令和8年4月と6月の2段階で行う仕組みになっており、提出の要否も事業所の状況によって異なります。スケジュールを把握し、漏れのないよう準備を進めていきましょう。

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※本記事の内容は令和8年4月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや各自治体にてご確認ください。