【障害福祉】前年度平均利用者数の考え方・計算方法をわかりやすく解説

障害福祉サービスの報酬算定や加算の届出において、「前年度平均利用者数」は非常に重要な数値です。

しかし、「開所したばかりで前年度の実績がない」「定員を変更した」など、事業所の状況によって計算方法が異なるため、「どの数字を使えばいいのかわからない…」というお声をよくいただきます。

今回のコラムでは、サービス種類ごと・状況ごとの前年度平均利用者数の考え方と計算方法を、わかりやすく整理してお伝えします。

📌 共通ルール:端数処理について

いずれの計算においても、小数点第2位以下は切り上げて計算します(例:4.01 → 4.1、4.11 → 4.2)。

1 療養介護・自立訓練・就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援A型・B型・短期入所・共同生活援助・施設入所支援の場合

障害福祉事業に専門特化

これらのサービスでは、「前年度(4月1日〜翌年3月31日の12か月間)の実績があるかどうか」によって、使用する数値が変わります。

まず「前年度実績があるか」を確認し、ない場合はさらに事業所の開設・定員変更からの経過期間等に応じて計算方法を選びます。

(1)前年度(12か月間)の実績がある場合
計算式

前年度実績を使用します。

前年度の利用者延べ数 ÷ 開所日数

(2)前年度(12か月間)の実績がない場合

事業所を新設した、または定員を増やした時点からの経過期間によって、以下の①〜⑤に分かれます。

① 6か月未満

新設・定員増の時点から6か月未満の場合(新規指定申請の場合など)

定員数 × 90%

② 6か月〜1年未満

新設・定員増の時点から6か月以上1年未満の場合

直近6か月の実績を使用します。

直近6か月の利用者延べ数 ÷ 直近6か月の開所日数

③ 1年以上

新設・定員増の時点から1年以上の場合

直近12か月の実績を使用します。

直近12か月の利用者延べ数 ÷ 直近12か月の開所日数

定員を「減らした」場合のルール(④・⑤)

定員減の場合は、上記①〜③とは別の扱いになります。

④ 3か月未満

定員減の時点から3か月未満の場合

定員減前の前年度平均利用者数をそのまま使用

⑤ 3か月〜前年度実績ができるまで

定員減から3か月以上経過し、前年度実績ができるまでの間

定員減後の直近3か月間の実績を使用します。

当該3か月間の利用者延べ数 ÷ 当該3か月間の開所日数

状況 使用する数値
前年度(12か月)実績あり 前年度の利用者延べ数 ÷ 開所日数
新設・定員増から6か月未満 定員数 × 90%
新設・定員増から6か月以上1年未満 直近6か月の利用者延べ数 ÷ 直近6か月の開所日数
新設・定員増から1年以上 直近12か月の利用者延べ数 ÷ 直近12か月の開所日数
定員減から3か月未満 定員減前の前年度平均利用者数
定員減から3か月以上(前年度実績ができるまで) 定員減後の3か月間の利用者延べ数 ÷ 当該3か月間の開所日数

2 就労定着支援の場合

確認

就労定着支援は、利用者が月単位で登録・支援される仕組みであるため、「開所日数」ではなく「開所月数」で割る点が大きな特徴です。

また、前年度実績がない場合の新設時の計算式も、他のサービスとは異なります。

(1)前年度(12か月間)の実績がある場合
計算式

前年度実績を使用します。「÷ 開所日数」ではなく「÷ 開所月数」になる点に注意してください。

前年度の利用者延べ数 ÷ 開所月数

(2)前年度(12か月間)の実績がない場合
① 6か月未満

新設等の時点から6か月未満の場合(新規指定申請の場合など)

就労を継続している期間が6か月に達した者の数(過去3年間の総数)をもとに計算します。

就労継続6か月到達者の過去3年間の総数 × 70%

② 6か月〜1年未満

新設等の時点から6か月以上1年未満の場合

直近6か月の実績を月数で割ります。

直近6か月の利用者延べ数 ÷ 6

③ 1年以上

新設・増床の時点から1年以上の場合

直近12か月の実績を月数で割ります。

直近12か月の利用者延べ数 ÷ 12

状況 使用する数値
前年度(12か月)実績あり 前年度の利用者延べ数 ÷ 開所月数
新設等から6か月未満 就労継続6か月到達者の過去3年間の総数 × 70%
新設等から6か月以上1年未満 直近6か月の利用者延べ数 ÷ 6
新設・増床から1年以上 直近12か月の利用者延べ数 ÷ 12

まとめ

前年度平均利用者数の計算方法は、サービスの種類と事業所の状況(開設・定員変更からの経過期間)によって細かく異なります。誤った数値を使ってしまうと、報酬の過誤請求や加算の算定誤りにつながるおそれがあるため、慎重に確認することが大切です。

特に以下の点を押さえておきましょう。

① 端数処理は「切り上げ」
小数点第2位以下は切り上げが原則です。四捨五入や切り捨てと混同しないようにご注意ください。

② 就労定着支援は「÷ 開所月数」
他のサービスが「÷ 開所日数」であるのに対し、就労定着支援は月単位で計算します。

③ 定員減・定員増で適用ルールが異なる
定員を増やした場合と減らした場合では、参照する期間の考え方が違います。混同しないよう整理しておきましょう。

ご注意ください

前年度平均利用者数は、各種加算の届出・体制届・報酬算定など、幅広い場面で参照される重要な数値です。自事業所の状況がどのケースに該当するか不明な場合は、指定権者(都道府県・市町村)への確認や、専門家への相談をお勧めします。

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※本記事の内容は令和8年3月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや各自治体にてご確認ください。