令和7年3月31日、障害福祉サービスの指定申請等に用いる標準様式を法的に位置づける法令改正が公布されました。厚生労働省とこども家庭庁が共同で進めてきたもので、障害者総合支援法施行規則の改正、報酬算定基準の告示改正、地域相談支援の報酬算定基準の改正など、複数の法令にわたります。標準様式の導入に法的な裏付けが与えられた改正という位置づけです。
- 公布は令和7年3月31日で、標準様式の法的根拠が整備された
- 厚生労働省とこども家庭庁が共同で進めてきた改正
- 施行規則と報酬算定基準の告示など、複数の法令が同時に改正された
令和7年(2025年)3月31日、障害福祉サービスの指定申請等に関する標準様式を法的に位置づける法令改正が公布されました。
前回のコラムでは標準様式の導入についてご紹介しましたが、今回はその法的な裏付けとなる法改正の内容について解説します。法改正の全体像を押さえておくことで、今後の手続き変更にも余裕をもって対応できるようになります。
改正の全体像
今回の法改正は、厚生労働省とこども家庭庁が共同で進めてきた「障害福祉分野における手続負担の軽減」の取り組みの一環です。
標準様式自体はすでに事務連絡等で示されていましたが、今回の法改正により、法令上の根拠が正式に整備されたことが大きなポイントです。これにより、全国の自治体は標準様式の使用を「基本原則」として運用することが求められます。
① 障害者総合支援法施行規則の改正
- 令和7年内閣府・厚生労働省令第3号(令和7年3月31日公布)
- 指定申請等の手続を標準様式により行うことを規定
② 報酬算定基準の改正(告示)
- 令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第2号
- 加算届出に関する標準様式の使用を位置づけ
③ 地域相談支援の報酬算定基準の改正(告示)
- 令和7年厚生労働省告示第87号
④ 標準様式の告示
- 令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第3号(令和7年12月3日更新)
- 指定申請関連と加算届出関連の両方の標準様式を規定
改正された法令の一覧
今回の改正で関係する主な法令は以下のとおりです。
① 障害者総合支援法施行規則の改正
令和7年内閣府・厚生労働省令第3号(令和7年3月31日公布)
障害福祉サービス事業者が自治体に行う指定申請等の手続について、こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める様式(標準様式)により行うことを規定する改正です。
② 報酬算定基準の改正(告示)
令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第2号
指定障害福祉サービス等に要する費用の額の算定基準、および指定計画相談支援に要する費用の額の算定基準について、加算届出に関する標準様式の使用を位置づけるための改正です。
③ 地域相談支援の報酬算定基準の改正(告示)
令和7年厚生労働省告示第87号
指定地域相談支援に要する費用の額の算定基準について、同様に標準様式の使用を位置づけるための改正です。
④ 標準様式の告示
令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第3号(令和7年12月3日更新)
児童福祉法施行規則及び障害者総合支援法施行規則の規定に基づき、こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める具体的な様式を示した告示です。指定申請関連と加算届出関連の両方の標準様式が定められています。
改正のスケジュール
法令改正の公布。標準様式の法的根拠が整備されました。
標準様式の告示が更新され、最新版の様式が示されました。
改正法令の施行。全国の自治体で標準様式の使用が基本原則に。
「基本原則化」とは?
標準様式の使用が「基本原則」とされることで、自治体は原則として標準様式を使用しなければならなくなります。ただし、地域固有の事情により追加的な書類を求めることは引き続き認められる場合があります。
なお、施行前であっても、対応可能な自治体には早期の導入が求められています。
実際の手引きでは、標準様式と自治体独自様式が併存している
「地域固有の事情により追加的な書類を求めることは引き続き認められる場合があります」という点は、実際の手引きを見ると具体的にわかります。ある中核市の手引き(令和8年度版)では、提出書類の一覧に次の4系統の様式が混在しています。
| 様式の系統 | 位置づけ |
|---|---|
| 標準様式 | 国が定めた全国統一の様式。勤務形態一覧表などが該当します。 |
| 付表 | サービス種別ごとの事業所の概要を記載する様式。 |
| 参考様式 | 実務経験証明書、体制等に関する届出書、算定シートなど。 |
| 別紙 | 体制等状況一覧表や、加算ごとの届出書。 |
(様式番号は指定権者ごとに異なる)
つまり、標準様式が基本原則になったからといって、提出物がすべて標準様式に置き換わるわけではありません。標準様式を軸に、自治体独自の様式が組み合わされる形が当面続くと考えておくのが実務的です。どの様式を何部提出するかは、必ず申請先の自治体の最新の手引きで確認してください。
標準様式
- 国が定めた全国統一の様式
- 勤務形態一覧表などが該当
付表
- サービス種別ごとの事業所の概要を記載する様式
参考様式
- 実務経験証明書、体制等に関する届出書、算定シートなど
別紙
- 体制等状況一覧表や、加算ごとの届出書
事業者への影響
今回の法改正が事業者に与える影響を整理すると、以下のとおりです。
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| 指定申請の様式 | 全国統一の標準様式に変更 |
| 加算届出の様式 | 体制等届出に標準様式を導入 |
| 指導監査の様式 | 主眼事項・着眼点の標準化 |
| 施行時期 | 令和8年4月(一部自治体は前倒し) |
日常的な手続きの中で使用する書類が変わるため、事前に新しい様式をダウンロードして内容を確認しておくことをおすすめします。
様式が統一されても、手続きの運用は自治体ごとに残る
様式の統一で変わるのは「書類の形」であって、「手続きの進め方」ではありません。ある中核市の手引きでは、次のような運用が示されています。いずれも標準様式化とは別の話として残ります。
| 区分 | 運用の例 |
|---|---|
| 事前協議 | 指定の3か月前の15日までに、事前協議書・平面図・建築物関連法令協議記録を持参して提出(予約制)。自治体側で約1週間かけて審査。 |
| 申請書類の提出 | 指定2か月前の7日までに1回目提出、末日までに最終提出。修正などで少なくとも3〜4回、自治体との打合せが必要。 |
| 現地確認 | 指定前月の中〜下旬に実施。事業者は現地確認までに備品の搬入、運営規程・勤務形態一覧表・重要事項説明の掲示を完了しておく。 |
| 指定日 | 毎月1日付け。 |
| 提出方法 | 事前協議書類・申請書類は予約のうえ持参。加算の届出は郵送または持参。 |
| 加算届出の期限 | 新たに算定する場合・区分を上げる場合は、算定する月の前月15日まで(必着)。区分を下げる場合・取りやめる場合は速やかに提出(届出が遅れた場合、返還が生じることがある)。 |
提出方法が「郵送または持参」とされているように、電子申請が前提になっているわけではありません。様式が統一されても、締切日・予約の要否・提出方法・指定日のサイクルは指定権者ごとに定められており、申請先の自治体の最新の手引きを確認する必要があります。
また、事業内容について十分に理解している管理者などが手続きを行う(または手続きに同席する)ことを求める運用もあります。様式の準備だけを外部に任せて済ませられる手続きではない、という点は改正後も変わりません。
各自治体での対応が始まっています
法令改正を受け、すでに標準様式への切り替え対応を開始している自治体が出てきています。
指定申請の手引きが改訂されているケースもありますので、次回の申請・届出の際には、管轄の自治体ホームページで最新版をご確認ください。
様式が変わっても、届出の責任は事業者にある
様式の切り替え時期は、記載漏れや旧様式の誤用が起きやすい時期でもあります。ある中核市の手引きでは、申請・届出にあたっての留意事項として次の点が示されています。
- 事後調査などにおいて、指定後に提出した書類などに不備があり、過大に報酬を請求していたことが発覚した場合、いかなる理由であっても過大請求分は返還すること。したがって、指定基準、報酬告示や留意事項通知などについては、事業者の責任において必ず確認したうえで申請・届出を行うこと
- 指定の内容や加算の内容に変更が生じた際の申請・届出は、事業者の責任において随時行うこと。提出期限までに申請・届出書類を提出できなかった場合、遡って報酬を請求することはできないほか、不正に請求していた報酬がある場合、返還が生じることがある
- 事業者が遵守すべき指定基準などや申請・届出書類の内容については、手続きを行政書士などに委託する場合でも、事業所の管理者、従業者において必ず理解しておくこと
「様式が変わったから記載を誤った」は理由になりません。新しい様式をダウンロードする際は、記載要領もあわせて確認し、旧様式で提出していた内容がどの欄に移ったかを1件ずつ突き合わせてください。
変わること
- 指定申請の様式 → 全国統一の標準様式に変更
- 加算届出の様式 → 体制等届出に標準様式を導入
- 指導監査の様式 → 主眼事項・着眼点の標準化
- 施行時期 → 令和8年4月(一部自治体は前倒し)
変わらないこと
- 事前協議の時期、申請書類の提出回数、現地確認、指定日のサイクル
- 提出方法(郵送または持参とされ、電子申請が前提になっているわけではない)
- 加算届出の期限(新規算定・区分引上げは前月15日まで等)
よくある質問
障害福祉サービス事業者が自治体に行う指定申請等の手続について、こども家庭庁長官および厚生労働大臣が定める様式(標準様式)により行うことが規定されました。標準様式自体はすでに事務連絡等で示されていましたが、今回の改正で法令上の根拠が正式に整備されました。
障害者総合支援法施行規則(令和7年内閣府・厚生労働省令第3号、令和7年3月31日公布)、報酬算定基準の改正告示(令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第2号)、地域相談支援の報酬算定基準の改正告示(令和7年厚生労働省告示第87号)、標準様式の告示(令和7年こども家庭庁・厚生労働省告示第3号、令和7年12月3日更新)です。
令和7年3月31日に公布され、令和7年12月3日に標準様式の告示が更新されました。改正法令の施行は令和8年4月で、全国の自治体で標準様式の使用が基本原則となります。施行前であっても、対応可能な自治体には早期の導入が求められています。
自治体は原則として標準様式を使用しなければならなくなるということです。ただし、地域固有の事情により追加的な書類を求めることは引き続き認められる場合があります。
実際の手引きでは、標準様式と自治体独自の様式が併存しています。ある中核市の令和8年度版の手引きでも、提出書類の一覧に複数の系統の様式が混在しています。申請先の最新の手引きで、どの様式を使うかを確認してください。
なりません。様式の統一で変わるのは書類の形であって、手続きの進め方ではありません。事前協議の時期や予約制の有無、提出期限などの運用は、引き続き自治体ごとに異なります。
変わりません。指定の内容や加算の内容に変更が生じた際の申請・届出は、引き続き事業者の責任において行う必要があります。
まとめ
今回の法改正により、障害福祉サービスの指定申請等における標準様式が法的にも明確に位置づけられました。
令和8年4月の施行に向けて、いまから準備を始めれば、無理なく新制度に移行できます。書類の様式変更は目立たない作業ですが、日々の事務に直結します。早めに確認してください。
法改正への対応でお困りではありませんか?
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。
改正の内容や標準様式の法的な位置づけ、実務への影響の確認について、ご相談・助言を承っています。運営顧問では、実際の書類や運用を一緒に確認しながら進めます。
※本記事の内容は令和8年3月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや各自治体にてご確認ください。
参考:厚生労働省「指定申請等の標準様式等」
関連記事

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
