延長支援加算は、児童発達支援と放課後等デイサービスで、通常の支援時間を超えて支援を行った場合に算定できる加算です。対象になるのは、最長の時間区分で利用している児童に限られます。単位数は、延長した時間の長さに応じて3つの区分に分かれます。
- 児童発達支援と放課後等デイサービスの両方で算定できる
- 対象は、最長の時間区分で利用している児童に限られる
- 単位数は延長した時間の長さに応じて3区分に分かれる
放課後等デイサービスや児童発達支援を運営されている事業者にとって、延長支援加算は売上アップにつながる重要な加算の一つです。
令和6年度の報酬改定では、保護者の就労支援ニーズの高まりを受けて、延長支援加算の仕組みが見直されました。時間区分の新設に伴い、延長支援加算の考え方にも変更が生じています。
この記事では、「延長支援加算って何?」「うちの事業所でも算定できるの?」という疑問にお答えしながら、制度の内容をわかりやすく解説します。
延長支援加算とは?

延長支援加算とは、児童発達支援や放課後等デイサービスにおいて、通常の支援時間を超えて支援を行った場合に算定できる加算です。
具体的には、個別支援計画で定めた支援時間の前後に、預かりニーズに対応した支援(延長支援)を計画的に行った場合に、その延長した時間に応じた単位数が上乗せされる仕組みです。
たとえば、保護者の仕事の都合でお迎えが遅くなる場合や、朝早くからの預かりが必要な場合などに、計画的に延長支援を行うことで算定の対象となります。
延長支援加算の対象となるサービスと基本要件
延長支援加算は、児童発達支援と放課後等デイサービスの両方で算定できます。ただし、それぞれ算定の前提条件が異なります。
| サービス種別 | 支援時間の要件 | 営業時間の要件 |
|---|---|---|
| 児童発達支援 | 支援時間が5時間以上の児童 | 営業時間が6時間以上 |
| 放課後等デイサービス(平日) | 支援時間が3時間以上の児童 | 要件なし |
| 放課後等デイサービス(休業日) | 支援時間が5時間以上の児童 | 営業時間が6時間以上 |
ここでいう「支援時間」とは、基本報酬の算定に用いる時間区分のうち最も長い区分のことを指します。放課後等デイサービスの平日であれば3時間以上、学校休業日であれば5時間以上が最長の時間区分にあたります。
ここがポイント
延長支援加算は、あくまで最長の時間区分で利用している児童が対象です。たとえば放課後等デイサービスの平日に「1時間以上2時間未満」の時間区分で利用している児童には、延長支援加算は算定できません。必ず「3時間以上」の区分で利用していることが前提となります。
障害福祉サービス側にも「延長支援加算」がある
延長支援加算という名称の加算は、児童発達支援・放課後等デイサービスだけのものではありません。障害者向けの障害福祉サービスのうち、生活介護にも延長支援加算が設けられています。
ある中核市の手引きでは、生活介護の加算の届出書類一覧に「延長支援加算」が掲げられ、延長支援加算に関する届出書(様式番号は指定権者ごとに異なる)を提出することとされています。生活介護の延長支援加算は、運営規程に定める標準的な支援時間を超えて支援を行った場合に算定するもので、児童分野の延長支援加算とは算定要件も単位数も別の制度です。
多機能型事業所などで生活介護と放課後等デイサービスを併設している場合、同じ「延長支援加算」という名称でもサービスごとに要件・届出書が異なりますので、混同しないよう注意してください。
算定できる加算の種類や届出書の様式は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
児童発達支援
- 支援時間が5時間以上の児童
- 営業時間が6時間以上
放課後等デイサービス(平日)
- 支援時間が3時間以上の児童
- 営業時間の要件なし
放課後等デイサービス(休業日)
- 支援時間が5時間以上の児童
- 営業時間が6時間以上
延長支援加算の単位数
延長支援加算の単位数は、延長した時間の長さに応じて3つの区分に分かれます。
一般の児童の場合
| 延長時間 | 単位数 |
|---|---|
| 30分以上1時間未満 | 61単位/日 |
| 1時間以上2時間未満 | 92単位/日 |
| 2時間以上 | 123単位/日 |
重症心身障害児・医療的ケア児の場合
| 延長時間 | 単位数 |
|---|---|
| 30分以上1時間未満 | 128単位/日 |
| 1時間以上2時間未満 | 192単位/日 |
| 2時間以上 | 256単位/日 |
重症心身障害児や医療的ケア児の場合は、手厚いケアが必要となることから、一般の児童と比べて約2倍の単位数が設定されています。
「30分以上1時間未満」の算定には制限があります
「30分以上1時間未満」の区分は、原則として算定できません。この区分は、あらかじめ個別支援計画で1時間以上の延長支援を予定していたにもかかわらず、利用者の都合等により結果的に1時間未満となった場合に限り算定が認められます。
つまり、最初から30分だけの延長支援を計画して算定することはできませんのでご注意ください。
一般の児童
重症心身障害児・医療的ケア児
算定するための5つの要件
延長支援加算を算定するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
要件① 支援時間・営業時間の基準を満たすこと
前述のとおり、対象となる児童が最長の時間区分で利用していること、また運営規程に定める営業時間が所定の時間以上であることが必要です。
要件② 個別支援計画に位置付けること
延長支援を行う場合は、個別支援計画にその内容を位置付ける必要があります。具体的には、延長支援が必要な理由と延長支援の時間を計画に記載します。「なんとなく延長した」では算定できません。
要件③ 延長支援の必要性を確認し、保護者の同意を得ること
障害児本人の状態や家族の事情など、延長支援が必要な具体的な理由を確認するとともに、あらかじめ保護者の同意を得ておく必要があります。
要件④ 延長支援時間は1時間以上で設定すること
延長支援の計画時間は1時間以上で設定する必要があります。支援の前後どちらにも延長支援を行う場合は、それぞれ1時間以上とする必要があります。
要件⑤ 職員を2名以上配置すること
延長支援を行う時間帯には、職員を2名以上配置しなければなりません。そのうち1名以上は、基準で定められた職員(児童発達支援管理責任者を含む)とする必要があります。
対象児童が10名を超える場合は、10名またはその端数を増すごとに1名を加えた人数の配置が必要です。
また、医療的ケア児に延長支援を行う場合は、看護職員等の配置も求められます。
① 支援時間・営業時間の基準
- 最長の時間区分で利用していること
- 運営規程に定める営業時間が所定の時間以上
② 個別支援計画に位置付ける
- 延長支援が必要な理由と延長支援の時間を記載
- 「なんとなく延長した」では算定できない
③ 必要性の確認と保護者の同意
- 本人の状態や家族の事情など具体的な理由を確認
- あらかじめ同意を得ておく
④ 延長支援時間は1時間以上
- 前後どちらにも行う場合はそれぞれ1時間以上
⑤ 職員を2名以上配置
- うち1名以上は基準で定められた職員(児発管を含む)
- 対象児童が10名を超える場合は、10名またはその端数を増すごとに1名を加えた人数
- 医療的ケア児には看護職員等の配置も
延長時間の計算方法
延長支援加算の単位数は、実際に要した延長支援時間に基づいて算定します。計画上の時間ではなく、実績ベースで判断される点に注意が必要です。
なお、支援時間の前と後の両方で延長支援を行った場合は、前後の延長時間を合算して算定します。たとえば、支援前に1時間、支援後に1時間の延長支援を個別支援計画に位置づけて実施した場合、実際に要した時間を合計して「2時間以上」の区分(123単位)で算定することになります。
具体例で確認します
【例1】放課後等デイサービス(平日)の場合
個別支援計画で「15:00〜18:00(3時間)」の支援を予定し、保護者のお迎えの都合で「18:00〜19:30」の1時間30分の延長支援を計画した場合 → 延長時間は1時間30分なので「1時間以上2時間未満」の92単位を算定
【例2】児童発達支援の場合
個別支援計画で「9:00〜14:00(5時間)」の支援を予定し、保護者の就労により「8:00〜9:00」の1時間と「14:00〜16:00」の2時間の延長支援を計画した場合 → 前後合わせて3時間なので「2時間以上」の123単位を算定
例1 放課後等デイサービス(平日)
- 個別支援計画:15:00〜18:00(3時間)
- 延長:18:00〜19:30(1時間30分)
- →「1時間以上2時間未満」の92単位
例2 児童発達支援
- 個別支援計画:9:00〜14:00(5時間)
- 延長:8:00〜9:00(1時間)+14:00〜16:00(2時間)
- → 前後合わせて3時間なので「2時間以上」の123単位
算定にあたっての注意点
注意点① 記録の整備は必須です
延長支援を行った場合は、延長支援の開始・終了時刻や支援の内容を記録として残しておく必要があります。運営指導(運営指導)の際に確認される重要な書類ですので、日々の記録を丁寧に行ってください。
注意点② 単なる「預かり」ではなく「支援」が必要です
延長支援加算は、ただ児童を預かっているだけでは算定できません。延長時間中も、児童の状態に応じた適切な支援を行うことが求められます。個別支援計画に基づき、見守りや生活支援など、具体的な支援内容を明確にしておくことが大切です。
注意点③ 送迎の時間は含められません
延長支援の時間には、送迎にかかる時間は含めることができません。あくまで事業所内で支援を提供している時間が対象となります。
注意点④ 届出が遅れると遡って請求できません
ある中核市の手引きでは、申請・届出にあたっての留意事項として次の点が示されています。
- 指定の内容や加算の内容に変更が生じた際の申請・届出は、事業者の責任において随時行うこと。提出期限までに書類を提出できなかった場合、遡って報酬を請求することはできない。
- 事後調査などで、提出書類に不備があり過大に報酬を請求していたことが発覚した場合、いかなる理由であっても過大請求分は返還すること。
- 指定基準、報酬告示、留意事項通知は事業者の責任において必ず確認したうえで申請・届出を行うこと。
- 手続きを行政書士などに委託する場合でも、事業所の管理者・従業者において指定基準や届出書類の内容を必ず理解しておくこと。
延長支援加算は日々の運用の中で算定要件を満たすかどうかが変わる加算です。営業時間や職員配置を変更したのに届出を怠っていた、というケースは返還のリスクに直結します。体制に変更が生じたら、その都度届出の要否を確認してください。
算定を始める前に必要な「加算の届出」
要件を満たしていても、加算の届出(体制届)が受理されていなければ算定はできません。ある中核市の手引きでは、加算の届出について次のように整理されています。
| 区分 | 提出期限・提出方法 |
|---|---|
| 新たに算定する場合、区分を上げる場合 | 算定する月の前月15日まで(必着)/郵送または持参 |
| 区分を下げる場合 | 速やかに提出(届出が遅れた場合、返還が生じることがある)/郵送または持参 |
| 取りやめる場合 | 速やかに提出(届出が遅れた場合、返還が生じることがある)/郵送または持参 |
提出書類は、加算の届出書に加えて、体制等に関する届出書と体制等状況一覧表が必須とされています。障害児に係る給付費については、障害児通所・入所給付費の算定に係る体制等状況一覧表が用いられます(様式番号は指定権者ごとに異なる)。
また、同じ手引きでは、加算の届出と同時に事業所の内容に変更が生じた場合、変更届を別途提出することとされています。営業時間を延ばして延長支援加算の要件を満たす場合は、運営規程の変更届もあわせて必要になる点に注意してください。
提出期限・提出方法・様式はいずれも指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
① 記録の整備は必須
- 延長支援の開始・終了時刻と支援の内容を記録
② 「預かり」ではなく「支援」
- 延長時間中も児童の状態に応じた適切な支援を行う
- 見守りや生活支援など具体的な支援内容を明確に
③ 送迎の時間は含められない
- 事業所内で支援を提供している時間が対象
④ 届出が遅れると遡って請求できない
- 新規算定・区分の引上げは前月15日まで(必着)
- 区分を下げる・取りやめるときは速やかに
- 営業時間を延ばす場合は運営規程の変更届もあわせて必要
令和6年度改定での変更点
令和6年度の報酬改定では、放課後等デイサービス・児童発達支援に時間区分が新設されました。これに伴い、延長支援加算の考え方にもいくつかの変更が生じています。
主な変更点:
改定前は支援時間の長短に関わらず一律の基本報酬でしたが、改定後は時間区分に応じた基本報酬となりました。延長支援加算は、この最長の時間区分を超えて支援を行った場合に算定するものと整理されています。
また、延長支援時間帯の職員配置要件が明確化され、安全確保の観点から2名以上の配置が義務付けられました。さらに、児童発達支援管理責任者も延長時間帯の配置職員としてカウントできるようになるなど、運用面の見直しも行われています。
よくある質問
個別支援計画で定めた支援時間の前後に、預かりニーズに対応した支援(延長支援)を計画的に行った場合に、延長した時間に応じて算定できます。児童発達支援と放課後等デイサービスの両方で算定できますが、支援時間・営業時間の要件はサービスや平日・休業日で異なります。
一般の児童は、30分以上1時間未満で61単位/日、1時間以上2時間未満で92単位/日、2時間以上で123単位/日です。重症心身障害児・医療的ケア児は、それぞれ128単位/日、192単位/日、256単位/日と、約2倍の単位数が設定されています。
できません。「30分以上1時間未満」の区分は原則として算定できず、あらかじめ個別支援計画で1時間以上の延長支援を予定していたにもかかわらず、利用者の都合等により結果的に1時間未満となった場合に限り算定が認められます。
前後の延長時間を合算して算定します。支援前に1時間、支援後に1時間の延長支援を個別支援計画に位置づけて実施した場合は、合計して「2時間以上」の区分で算定します。単位数は計画上の時間ではなく、実際に要した時間で判断します。
職員を2名以上配置し、そのうち1名以上は基準で定められた職員(児童発達支援管理責任者を含む)とする必要があります。対象児童が10名を超える場合は、10名またはその端数を増すごとに1名を加えた配置が必要です。医療的ケア児に延長支援を行う場合は、看護職員等の配置も求められます。
含められません。延長支援の時間は、事業所内で支援を提供している時間が対象です。
できません。延長時間中も児童の状態に応じた適切な支援を行うことが必要です。個別支援計画に基づき、見守りや生活支援など具体的な支援内容を明確にし、記録を整備しておく必要があります。
まとめ
延長支援加算は、保護者の就労や預かりのニーズに応えながら、事業所の収入にもつながる加算です。
算定のためには、対象児童の支援時間や営業時間の要件を満たすこと、個別支援計画への位置付け、保護者の同意、職員の配置基準の遵守など、いくつかの要件をクリアする必要があります。特に、「30分以上1時間未満」の区分には利用者都合による場合のみという制限がある点や、延長時間は実績ベースで算定する点には注意してください。
要件を確認し、体制を整えたうえで算定してください。
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※本記事の内容は令和6年度報酬改定時点の情報に基づいています。最新の情報はこども家庭庁のホームページや各自治体にてご確認ください。
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障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
