【令和8年度】障害福祉サービス事業者への運営指導はここを見られる!指導方針のポイントをわかりやすく解説

令和8年度の障害福祉サービス事業者等への運営指導が、いよいよ本格化する時期となりました。

各自治体は毎年度、運営指導に当たっての「指導方針」を定め、重点的にチェックする項目を公表しています。事業者の皆さまにとっては、「自分の事業所がどこを見られるのか」を事前に把握しておくことが、安心して運営を続けるうえで非常に重要です。

今回のコラムでは、令和8年度の運営指導で重視されると考えられるポイントを、事業者の皆さまにわかりやすく整理してお伝えします。

運営指導の基本的な考え方

運営指導は、事業者を罰することが目的ではなく、よりよい障害福祉サービスの実現に向けた「育成」と「支援」が主眼とされています。

事業者が遵守すべき基準は、法律・条例・規則・報酬告示・解釈通知・Q&Aなど、複数の法令等によって定められています。疑義が生じた際には、まずこれらの根拠に立ち戻って確認することが大切です。

令和8年度に重視される5つのポイント

ポイント① 人員基準の遵守と勤務体制の確保

最低基準を満たさない人員配置や、資格要件を満たさない職員によるサービス提供がないか、改めて確認が必要です。

特に次のようなケースは、過去に請求した給付費の返還指導につながる可能性があります。

  • 従業者の勤務状況を明確に示す記録が作成・保管されていない
  • 生活支援員と職業指導員などを兼務しており、それぞれの従事時間が明確になっていない
  • サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が送迎や直接支援に長時間従事し、本来の役割を果たせていない
  • 経過措置やみなし配置の期間終了後も、配置を継続している

形式的に人員基準を満たしているように見えても、実態として役割を果たせていなければ指導の対象となり得ます。

ポイント② 適正な報酬請求の徹底

報酬体系は数次の改定で複雑化しています。算定要件を「満たしていること」が記録上で確認できなければ、たとえ実態が伴っていたとしても不適切な請求として扱われます。

押さえておきたい留意事項は次のとおりです。

  • 加算等の算定要件を満たしていることは、事業者側に説明責任があります
  • 出勤簿やサービス提供記録など、要件充足を明らかにできる資料を整備・保管してください
  • 人員欠如や定員超過が発生した場合は、減算の対象となる場合があります

毎月の請求事務において、「要件を満たしていること」を客観的に示せる体制づくりが重要です。

ポイント③ 個別支援計画の作成プロセス

個別支援計画は、利用者の希望する生活や課題を踏まえた支援を提供するための土台です。サービス管理責任者等が中心となり、次のプロセスを丁寧に踏むことが求められます。

  1. アセスメント(利用者の能力・環境・生活状況等の把握)
  2. アセスメントを踏まえた支援内容の検討
  3. 担当者会議等での検討・調整を経た原案の作成
  4. 利用者・家族への説明と文書による同意、相談支援事業者への交付
  5. モニタリングと計画の見直し

見直しの頻度は、サービス種別によって「3か月に1回以上」「6か月に1回以上」「必要に応じて」と異なります。長期目標と短期目標が同一期間になっていたり、利用者の状態にかかわらず一律の期間設定になっているケースは、見直しが必要です。

サービス管理責任者等の指揮の下で計画が作成されていない場合は、「個別支援計画未作成等減算」が適用される点にもご注意ください。

ポイント④ 利用者の安全・安心を守る運営基準の遵守

近年、特に重点的に確認される領域です。それぞれ「未実施減算」が設定されている項目もあり、形式的な整備だけでなく、実際に機能しているかが問われます。

領域主な確認事項
虐待防止委員会の定期開催、研修の実施、担当者の配置
身体拘束等の禁止緊急やむを得ない場合の記録、適正化のための委員会・指針・研修
秘密保持退職後も含めた誓約書の取得等、必要な措置
事故防止対策対応手順の整備、記録、再発防止策、自治体への報告
苦情解決情報共有とサービス改善への反映
非常災害対策計画の作成、訓練の定期実施、地域との連携
衛生管理感染症・食中毒対策の委員会、指針、研修・訓練
業務継続計画(BCP)策定、周知、研修・訓練、定期的な見直し
ハラスメント対策方針の明確化と必要な措置
安全計画(児童系)送迎時の所在確認、ブザー等の備付け
地域連携推進会議年1回以上の開催、構成員による見学、記録と公表

「規程はあるが研修が実施されていない」「委員会の議事録がない」といったケースは指導の対象となりやすいため、運用記録の整備を改めて確認してください。

ポイント⑤ 情報公表と業務管理体制

利用者が良質なサービスを選択できるよう、各種情報公表の履行も重視されます。

情報公表の種類備考
障害福祉サービス等情報公表制度全サービス対象。未報告は減算対象
自己評価結果等児童発達支援・放課後等デイサービス等。未公表は減算対象
支援プログラム児発・放デイ等。未公表は減算対象
就労継続支援A型のスコア表毎年度4月中に公表。未公表は減算対象
地域協働加算(就労B型)の取組内容地域協働加算を算定する場合に公表
ピアサポート研修修了者の配置ピアサポート体制加算算定時に公表

加えて、業務管理体制の届出や、制度改正・報酬改定情報を受け取るためのメールアドレス登録、福祉サービス第三者評価の実施状況の説明など、運営の透明性を高める取組も求められています。

ここがポイント!

運営指導で確認されるのは、「制度を理解しているか」だけではなく、「日々の運営の中で、根拠資料とともに実践できているか」です。

加算の算定要件、個別支援計画の作成プロセス、各種委員会・研修・訓練の実施――いずれも「記録に残っているか」が大きな分かれ目となります。指導当日に慌てて準備するのではなく、日常業務の中で記録と運用を積み重ねておくことが、結果的に最も確実な備えとなります。

ご注意ください ― 形式ではなく実態が問われます!

運営指導で実際に指摘されやすいのは、「規程は整備されているが、運用が伴っていない」パターンです。

  • 虐待防止委員会は設置しているが、議事録や開催記録がない
  • BCP(業務継続計画)は策定済みだが、従業者への周知・訓練を実施していない
  • 個別支援計画は作成しているが、サービス管理責任者等の関与の記録がない
  • 加算を算定しているが、算定要件を満たすことを示す資料が整備されていない

いずれも、記録の整備不足が原因で指導の対象となるケースです。

まとめ

令和8年度の指導方針からは、「人員配置」「適正な報酬請求」「個別支援計画」「利用者の安全・安心」「情報公表」という、事業運営の基本ともいえる領域に改めてスポットが当たっていることが読み取れます。

いずれも、特別な取組というよりは「当たり前のことを、根拠資料とともに、継続的に実施できているか」が問われています。一つひとつのポイントを点検し、不足があれば早めに整備しておくことが、安心して事業を継続するうえでの大きな一歩となります。

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※本記事の内容は令和8年5月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや各自治体にてご確認ください。