就労選択支援は、令和7年10月に開始された障害福祉サービスです。短期間の生産活動や作業体験などを通じて、本人の就労に関する希望や適性を整理し、標準的なアセスメントを行います。指定にあたっては人員・設備基準に加えて中立性の確保が求められ、特定事業所集中減算にも注意が必要です。
- 令和7年10月に始まったサービスで、標準的なアセスメントを行う
- 対象は就労移行支援や就労継続支援A型・B型の利用に関わる方
- 中立性の確保が求められ、特定事業所集中減算の対象になる
この記事で分かること
就労選択支援の制度概要、対象者と利用の流れ、アセスメントの内容、指定を受けられる事業者・人員・設備基準、基本報酬、中立性の確保と特定事業所集中減算、指定申請時の注意点までをまとめています。
はじめに|就労選択支援は「就労の可否を判定する制度」ではありません
就労選択支援は、令和7年10月に始まった新しい障害福祉サービスです。短期間の生産活動や作業体験などを通じて、本人の就労能力や適性、希望、必要な配慮を整理し、一般就労や就労系障害福祉サービスなどの選択を支援します。
制度の理解で特に重要なのは、事業所が本人の進路を決めたり、利用するサービスを一方的に振り分けたりする制度ではないという点です。本人と協同して強み・課題・必要な配慮を整理し、本人が納得できる働き方を選択できるよう支援することが、制度の中心にあります。
重要ポイント
就労選択支援は「就労の可否を判定するサービス」ではありません。本人の意思決定を支援し、納得して働き方を選べるようにすることが目的であり、特定のサービスや自法人の事業所へ誘導する運用は適切ではありません。
この記事の要点
- 就労選択支援は、令和7年10月に開始された障害福祉サービスで、標準的な利用期間は原則1か月です。
- 対象は、就労移行支援・就労継続支援A型・B型の利用を希望する方や、既に利用している方です。
- 令和7年10月以降、就労継続支援B型を新たに利用する方は、原則として事前に就労選択支援を利用します(一定の方は希望に応じて利用)。
- アセスメントは作業場面の行動観察を基本とし、本人と協同して強み・課題・必要な配慮を整理します。
- 指定を受けるには、一般就労実績などの実施主体要件、就労選択支援員の確保、設備、中立性を確保した地域連携体制が必要です。
- 基本報酬は1日1,210単位で、報酬を算定できるのは原則として直接支援を行った日です。
1. 就労選択支援とは(制度の概要)
就労選択支援とは、短期間の生産活動や作業体験などを通じて、本人の就労に関する状況を客観的に把握し、本人が適切な働き方を選べるよう支援するサービスです。まずは制度の全体像を確認します。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 制度開始 | 令和7年10月 |
| 主な目的 | 本人が自分に合った就労先・働き方を選択できるよう支援する |
| 標準的な利用期間 | 原則1か月 |
| 利用定員 | 10人以上 |
| 主な人員 | 管理者、就労選択支援員(利用者15人に対して1人以上) |
| サービス管理責任者 | 配置不要(個別支援計画の作成も不要) |
| 主な指定要件 | 就労支援の経験・実績、就労選択支援員、必要な設備、地域連携体制等 |
アセスメントでは、本人が希望する働き方、これまでの就労経験、作業能力・適性・得意なこと、働く上で課題となること、必要な支援や合理的配慮、本人が力を発揮しやすい作業環境などを、本人と協同して整理します。その結果を本人と一緒に確認し、一般就労、就労移行支援、就労継続支援A型・B型など、今後の選択肢を検討します。
中立性・客観性が重要です
本人の強みや課題、必要な支援を整理し、本人が納得して就労先や働き方を選択できるようにすることが制度の目的です。「一般就労は難しい」「この方はB型が適切である」などと事業所が一方的に判断したり、特定のサービスや自法人の事業所へ誘導したりする運用は適切ではありません。
2. 就労選択支援の対象者
就労選択支援の対象となるのは、就労移行支援または就労継続支援A型・B型の利用を希望する方や、既にこれらのサービスを利用している方です。サービスの種類と時期によって、利用が「原則」となるか「希望に応じて」となるかが異なります。
| サービス | 新たに利用する場合 | 既に利用中・更新時 |
|---|---|---|
| 就労継続支援B型 | 令和7年10月から原則利用(一定の方は希望に応じて利用) | 希望に応じて利用 |
| 就労継続支援A型 | 令和9年4月から原則利用 | 希望に応じて利用 |
| 就労移行支援 | 希望に応じて利用 | 令和9年4月から原則利用(標準利用期間を超えて更新する方) |
就労継続支援B型を新たに利用する方
令和7年10月以降、新たに就労継続支援B型を利用する方については、原則として事前に就労選択支援を利用し、就労面の課題などを把握する必要があります。ただし、次の方は、本人の希望に応じて利用する取扱いとされています。
- 50歳に達している方
- 障害基礎年金1級を受給している方
- 就労経験があり、年齢や体力の面から一般企業での雇用が困難となった方
また、近隣に就労選択支援事業所がない場合や、事業所数が少なく待機期間が生じる場合には、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経て、B型を利用できる場合があります。
特別支援学校等の在学者
特別支援学校等に在学している生徒も、就労選択支援を利用できます。事業所への通所だけでなく、就労選択支援員が学校の校内実習や職場実習の場に出向き、作業状況を観察する方法も認められています。在学中に複数回利用することも可能です。
就労継続支援B型
- 新たに利用する場合:令和7年10月から原則利用(一定の方は希望に応じて利用)
- 既に利用中・更新時:希望に応じて利用
就労継続支援A型
- 新たに利用する場合:令和9年4月から原則利用
- 既に利用中・更新時:希望に応じて利用
就労移行支援
- 新たに利用する場合:希望に応じて利用
- 更新時:令和9年4月から原則利用(標準利用期間を超えて更新する方)
3. 就労選択支援の利用期間
就労選択支援の支給決定期間は、原則として1か月です。この期間内に、面談、作業場面の観察、ケース会議、アセスメント結果の作成、本人へのフィードバック、関係機関との連絡調整などを行います。毎日通所することが前提ではなく、本人の状況やアセスメント内容に応じて、複数日に分けて実施します。
4. 就労選択支援の基本的な流れ
就労選択支援は、おおむね次の流れで進みます。
- 利用相談・申請:本人が市区町村や相談支援事業所などへ相談し、就労選択支援の利用申請を行います。計画相談支援を利用する場合は、相談支援専門員がサービス等利用計画案を作成し、市区町村が支給決定を行います。
- 本人への説明・面談:本人や家族に対して、就労選択支援の目的や実施内容、利用期間などを説明します。本人の就労希望、生活状況、体調、これまでの就労経験、得意なこと、苦手なことなどを確認します。
- 作業場面等を活用したアセスメント:実際の作業やコミュニケーションの場面を通じて、作業の正確性・スピード、集中力、持続力、指示理解、報告・連絡・相談、対人関係、疲れやすさ、能力を発揮しやすい環境などを把握します。行動観察が重要であるため、対面での実施が基本です。
- 多機関連携によるケース会議:本人、家族、相談支援事業所、市区町村、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、医療機関、教育機関など、必要な関係者を招集し、アセスメント結果を共有しながら今後の働き方や必要な支援を検討します。個人情報を共有する場合は、事前に本人の同意を得る必要があります。
- アセスメント結果の作成・フィードバック:ケース会議の意見も踏まえ、本人と協同してアセスメント結果を作成します。作成した結果は本人や相談支援事業所などに共有し、その後のサービス利用や一般就労に向けた支援に活用します。
個別支援計画は不要ですが、サービス等利用計画は別です
就労選択支援では個別支援計画を作成しません。一方、支給決定に当たっては、原則としてサービス等利用計画案を含む通常の支給決定手続が行われます。
できないことだけを並べない
アセスメント結果は、弱点や課題だけでなく、本人の強み、得意なこと、力を発揮しやすい環境、必要な配慮を具体的に整理することが重要です。
5. 指定を受けられる事業者(実施主体要件)
ここからは、就労選択支援の指定基準を確認します。原則として、就労移行支援または就労継続支援A型・B型の指定事業者であり、過去3年以内に、当該事業者の事業所等から3人以上の利用者を新たに一般企業等へ就職させた実績が必要です。
そのほか、同等の就労支援経験や実績があると指定権者が認める事業者も対象となります。例として、次のような事業者が挙げられます。
- 障害者就業・生活支援センター事業の受託法人
- 自治体が設置する就労支援センター
- 障害者職業能力開発訓練事業を行う機関
指定権者との事前協議が重要です
一般就労実績の数え方や「同等の経験・実績」の判断、地域の実情を踏まえた取扱いは、指定権者によって確認方法が異なります。申請準備の早い段階で相談する必要があります。
一般就労実績は「1つの事業所」単位で数える例がある
一般就労実績の数え方は、指定権者の手引きによって整理が異なります。ある中核市の手引きでは、就労移行支援、就労継続支援A型・B型の指定を受けており、運営する1つの事業所で過去3年間に一般就労へ移行した者が3人以上いることを事業者要件としています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 前提となる指定 | 就労移行支援、就労継続支援A型・B型のいずれかの指定を受けていること |
| 実績の単位 | 運営する1つの事業所で、過去3年間に一般就労へ移行した者が3人以上 |
| 運営期間が短い場合 | 事業運営が3年に満たない場合でも、一般就労へ移行した者が3人以上いれば可 |
法人全体で3人以上いても、1事業所あたりでは3人に届かないというケースがあり得ます。逆に、開設から3年経っていなくても、3人以上の実績があれば要件を満たすと整理されています。実績の単位(法人単位か事業所単位か)と対象期間の起算点は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
前提となる指定
- 就労移行支援、就労継続支援A型・B型のいずれかの指定を受けていること
実績の単位(ある中核市の例)
- 運営する1つの事業所で、過去3年間に一般就労へ移行した者が3人以上
- 事業運営が3年に満たない場合でも、3人以上いれば可
そのほか
- 同等の就労支援経験や実績があると指定権者が認める事業者も対象
6. 人員配置基準
利用定員は10人以上です。人員配置基準は次のとおりです。
| 職種 | 配置基準・主な要件 |
|---|---|
| 管理者 | 事業所ごとに配置。管理上支障がない場合は、就労選択支援員や他の事業所・施設の職務との兼務が可能。 |
| 就労選択支援員 | 利用者15人に対して1人以上を常勤換算で配置。原則専従だが、利用者支援に支障がない場合は兼務可能。 |
| サービス管理責任者 | 配置不要。就労選択支援では個別支援計画の作成も不要。 |
新規指定の場合、就労選択支援員の配置数を算定する利用者数は、事業開始後の推定利用者数を基に算定します。
人員(利用定員10人以上)
- 管理者:事業所ごとに配置。支障がなければ就労選択支援員や他事業所の職務と兼務可
- 就労選択支援員:利用者15人に対して1人以上を常勤換算で配置。原則専従(支障がない場合は兼務可)
- サービス管理責任者:配置不要。個別支援計画の作成も不要
設備
- 訓練・作業室:作業に支障がない広さと機械器具等
- 相談室:間仕切り等で外部に漏れない措置
- 洗面所・便所:障害特性に応じた設備
- 多目的室:支障がなければ相談室との兼用が認められる場合がある
- 事務室・書庫:鍵付き書庫等で個人情報の漏えい防止
7. 就労選択支援員の資格要件と経過措置
就労選択支援員は、原則として「就労選択支援員養成研修」を修了している必要があります。養成研修の主な受講要件は、障害者の就労支援に関する基礎的研修を修了していること、または障害者の就労支援分野で通算5年以上の勤務実績があることです。
令和9年度末までの経過措置
令和10年3月31日までは、基礎的研修または一定の同等以上の研修を修了した方について、就労選択支援員養成研修を修了していなくても就労選択支援員の業務に従事できる経過措置があります。対象となる研修には、次のようなものがあります。
- 障害者の就労支援に関する基礎的研修
- 就業支援基礎研修(就労支援員対応型)
- 訪問型職場適応援助者養成研修
- サービス管理責任者研修専門コース別研修(就労支援コース)
- 相談支援従事者研修専門コース別研修(就労支援コース)
8. 設備基準
就労選択支援事業所には、次の設備が必要です。
| 設備 | 主な基準・注意点 |
|---|---|
| 訓練・作業室 | 作業に支障がない広さと機械器具等を確保。複数種類の活動を行う場合は、活動に応じた区分と設備が必要。 |
| 相談室 | 相談内容が外部に漏れないよう、間仕切り等の措置を講じる。 |
| 洗面所・便所 | 利用者の障害特性に応じた設備とする。 |
| 多目的室 | 運営上必要な設備として確保。支援に支障がない場合は相談室との兼用が認められる場合がある。 |
| 事務室・書庫 | 個人情報の漏えい防止措置を講じ、鍵付き書庫等を整備する。 |
自治体によっては、訓練・作業室を利用者1人当たり3平方メートル以上とし、定員10人の場合は最低30平方メートルとする取扱いを示している例があります。ただし、これは自治体独自の取扱いであり、全国一律の基準ではありません。既存の就労移行支援、A型・B型事業所に併設する場合は、既存サービスの定員に必要な面積を確保した上で、就労選択支援に必要な余剰面積があるかを確認する必要があります。必ず指定権者へ確認してください。
面積要件が具体的に示されている例
設備基準の広さは、指定権者が手引きで具体的な数値を示している場合があります。ある中核市の手引きでは、次のとおり整理されています。
| 設備 | 内容 |
|---|---|
| 訓練・作業室 | 利用者1人あたり2平方メートル以上を確保する。複数種類の活動を行う場合は、活動の種類ごとに区分する |
| 事務室 | 事業の運営に必要な面積を有する専用の区画を設ける(間仕切りするなど他の事業と明確に区分する場合は、同一の事務室でも可) |
| 相談室 | 利用者・相談員を含め4人程度が使用することを想定し、4平方メートル以上を確保する |
| 手洗い設備 | 便所内の手洗いとは別に設置する |
| 便所 | 利用者の特性に応じたものを設置する |
| 多目的室 | 利用者1人あたり2平方メートル以上を確保する。支援に支障がない場合は相談室と兼用可(ただし相談室と兼用する部分を除き、1人あたり2平方メートル以上を確保する) |
面積の数値は全国一律の基準ではなく、1人あたり2平方メートルとする例も3平方メートルとする例もあります。物件を契約する前に、申請先の最新の手引きで数値を確認してください。
特に注意したいのが、多目的室と相談室を兼用する場合の考え方です。兼用部分を差し引いてなお1人あたりの面積を満たす必要があるとされており、「兼用にすれば面積が不要になる」わけではありません。手洗い設備を便所内の手洗いと別に求める取扱いも、既存物件では見落としやすい項目です。
既存の就労系事業所と一体的に運営する場合の兼用
生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型と一体的に運営する場合、訓練・作業室を除き、既存の設備を兼用できるとされています。相談室、多目的室、便所・手洗い設備、事務室は共用できても、訓練・作業室は就労選択支援の分を別に確保する必要があるということです。
一体的に運営する事業所の訓練・作業室内に就労選択支援の訓練・作業室を設ける場合は、事業ごとにパーテーション等によって区分します。同じフロアの一角を使う計画であれば、区分の方法と面積の算定を平面図に明示できるようにしておいてください。兼用の可否は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
本則
- 就労選択支援員養成研修の修了
- 養成研修の受講要件:障害者の就労支援に関する基礎的研修の修了、または就労支援分野で通算5年以上の勤務実績
令和10年3月31日までの経過措置
- 障害者の就労支援に関する基礎的研修
- 就業支援基礎研修(就労支援員対応型)
- 訪問型職場適応援助者養成研修
- サービス管理責任者研修専門コース別研修(就労支援コース)
- 相談支援従事者研修専門コース別研修(就労支援コース)
9. 運営基準で特に留意すべき事項
指定を受けた後の運営で、運営指導の指摘対象になりやすい項目です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 生産活動 | 生産活動を行う利用者の利用時間、作業量などが過重な負担とならないよう配慮する。生産活動の能率の向上が図られるよう、利用者の障害の特性などを踏まえた工夫を行う |
| 工賃の支払 | 生産活動に係る事業の収入から、生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払う |
| 会計の区分 | 事業所ごとに経理を区分するとともに、障害福祉サービス事業の会計をその他の事業の会計と区分する |
| 利用定員の遵守 | 利用定員を超えた受入れはしない |
| 利用者負担の範囲 | 食事の提供に要する費用(食材料費および料理などに係る費用に相当する額)、日用品費などは、あらかじめ利用者にサービスの内容・費用を説明し、同意を得たうえで実費相当額を徴収する。金銭を受け取った後は領収書を交付する。定期的に精算し、余剰金が生じた場合は他の費目に充てるのではなく、利用者に返金する |
就労選択支援は短期間の生産活動や作業体験を行うサービスであるため、生産活動と工賃の取扱いが求められます。実費徴収については、定期的な精算と余剰金の返金まで求められる点に注意してください。1日あたり定額で徴収したまま精算していない、という運用は認められません。
10. 基本報酬と算定上の注意点
就労選択支援サービス費は、1日につき1,210単位です。要件を満たした場合には、福祉専門職員配置等加算、食事提供体制加算、送迎加算などを算定できます。
直接支援を行った日の記録が必要
報酬を算定できるのは、原則として利用者に対する直接支援を行った日です。利用者が参加するケース会議や企業訪問は算定対象となり得ますが、利用者が参加しない関係機関との連絡調整のみを行った日は、原則として算定できません。1日ごとのサービス提供内容を記録し、制度上必要な一連の支援を実施したことを確認できるようにしておく必要があります。
11. 中立性の確保と特定事業所集中減算
就労選択支援では、本人を自法人の就労移行支援やA型・B型事業所へ誘導することがないよう、中立性と客観性の確保が必要です。正当な理由なく、就労選択支援終了後の利用先が特定の法人に80%を超えて集中している場合は、特定事業所集中減算として1日200単位が減算されます。
事業所は毎年度2回、移行先の割合を計算し、80%を超えなかった場合も算定書類を5年間保存する必要があります。移行先が決まっていない利用者についても、アセスメント終了後の進路を継続的に把握できる体制が必要です。
報酬
- 就労選択支援サービス費 1日につき1,210単位
- 福祉専門職員配置等加算、食事提供体制加算、送迎加算などを算定できる
- 算定できるのは原則として直接支援を行った日
- 利用者が参加しない関係機関との連絡調整のみの日は原則算定できない
特定事業所集中減算
- 終了後の利用先が特定の法人に80%を超えて集中している場合、1日200単位を減算
- 毎年度2回、移行先の割合を計算
- 80%を超えなかった場合も算定書類を5年間保存
- 移行先が決まっていない利用者の進路も継続的に把握できる体制が必要
12. 指定申請で注意すべきポイント
就労選択支援の指定申請では、単に人員と設備を整えるだけでなく、地域で中立的なアセスメントを実施できる体制が必要です。申請前に、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 法人が実施主体要件を満たしているか:一般就労実績や同等の就労支援経験を確認します。
- 就労選択支援員を確保できるか:養成研修、経過措置の対象研修、実務経験を確認します。
- 既存事業との兼務が可能か:勤務形態一覧表により、専従・兼務、常勤換算、人員欠如の有無を整理します。
- アセスメントに適した作業環境があるか:複数の作業を行える設備、相談室、個人情報管理体制を確認します。
- 地域の関係機関と連携できるか:相談支援事業所、市区町村、ハローワーク、学校、医療機関等との連携方法を整理します。
- 中立性を確保できるか:自法人の事業所への誘導を防ぎ、複数の選択肢を提示できる運用とします。
- 記録様式を整備しているか:アセスメント、ケース会議、同意、情報提供、サービス提供実績等の記録を整備します。
申請前の事前確認が成否を左右します
指定権者によっては、正式な指定申請の前に、平面図、事業内容、一般就労実績、地域連携体制などの事前確認を求めます。物件契約や職員採用を進める前に、指定権者との事前協議を行うことが重要です。
自立支援協議会等による評価を求められる場合がある
就労選択支援は、他のサービスにはない手続きが加わることがあります。ある中核市の手引きでは、指定申請にあたり自治体の障害者自立支援協議会による評価を受ける必要があるとされ、評価実施時期の前月15日までに事前協議書類を提出することとされています。
評価は年間を通じて随時行われるとは限らず、実施時期が限られている場合があります。評価の時期を外すと、指定日が数か月単位で後ろにずれることになります。中立性の確保や地域連携体制の説明を求められるため、物件と人員だけでなく、地域でどのようにアセスメントを行うかを説明できる資料を準備しておく必要があります。
こうした協議会評価の要否・時期・様式は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
指定申請で求められる主な提出書類
就労選択支援は個別支援計画の作成が不要でサービス管理責任者の配置も不要ですが、提出書類は他の日中活動系サービスとほぼ共通です。ある中核市の手引きでは、次の書類が挙げられています(様式番号は指定権者ごとに異なる)。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 申請の基本 | 指定申請書、サービス別の付表、法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書) |
| 建物・設備 | 事業所の平面図、外観の写真、設備の概要、建物が法人所有の場合は登記事項証明書等の写し・賃貸の場合は賃貸借契約書の写し |
| 運営 | 運営規程、苦情を解決するために講ずる措置の概要、主たる対象者を特定する理由等(特定する場合)、誓約書 |
| 人員 | 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表、平均利用者数算定シート、管理者の経歴書・実務経験証明書の写し、従業者の研修修了証の写し |
| その他 | 協力医療機関に関する協定書、暴力団員等の排除に関する誓約および照会に対する同意書、役員等名簿、事業開始届、消防用設備等検査済証の写し(必要な場合) |
| 報酬関係 | 体制等に関する届出書、体制等状況一覧表、処遇改善計画書(算定する場合) |
サービス管理責任者の経歴書・研修修了証は就労選択支援では不要とされる一方、協力医療機関に関する協定書は必要とされています。協定先の確保は時間がかかるため、早めに着手してください。平面図には写真に対する番号と矢印を記載し、撮影位置と撮影方向を示すよう求められる点も、実務上の手戻りが多い箇所です。
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令和7年10月に始まった障害福祉サービスで、短期間の生産活動や作業体験などを通じて本人の就労能力や適性、希望、必要な配慮を整理し、働き方の選択を支援します。就労の可否を判定する制度ではなく、事業所が進路を決めたり利用するサービスを一方的に振り分けたりするものでもありません。
支給決定期間は原則として1か月です。この期間内に、面談、作業場面の観察、ケース会議、アセスメント結果の作成、本人へのフィードバック、関係機関との連絡調整などを行います。毎日通所することが前提ではありません。
令和7年10月以降、新たにB型を利用する方は原則として事前に就労選択支援を利用します。ただし、50歳に達している方、障害基礎年金1級を受給している方、就労経験があり年齢や体力の面から一般企業での雇用が困難となった方は、本人の希望に応じて利用する取扱いです。近隣に事業所がない場合などは、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経てB型を利用できる場合があります。
原則として就労移行支援または就労継続支援A型・B型の指定事業者で、過去3年以内に自らの事業所等から3人以上の利用者を新たに一般企業等へ就職させた実績が必要です。障害者就業・生活支援センター事業の受託法人や自治体の就労支援センターなど、同等の経験・実績があると指定権者が認める事業者も対象になります。実績の数え方は指定権者によって異なるため、早い段階で相談してください。
利用定員は10人以上です。管理者を事業所ごとに配置し、就労選択支援員を利用者15人に対して1人以上、常勤換算で配置します。サービス管理責任者の配置は不要で、個別支援計画の作成も不要です。
原則として就労選択支援員養成研修を修了している必要があります。養成研修の主な受講要件は、障害者の就労支援に関する基礎的研修を修了していること、または障害者の就労支援分野で通算5年以上の勤務実績があることです。
就労選択支援サービス費は1日につき1,210単位です。算定できるのは原則として利用者への直接支援を行った日で、利用者が参加しない関係機関との連絡調整のみを行った日は原則として算定できません。1日ごとのサービス提供内容を記録しておく必要があります。
正当な理由なく、就労選択支援終了後の利用先が特定の法人に80%を超えて集中している場合に、1日200単位が減算されるものです。事業所は毎年度2回、移行先の割合を計算し、80%を超えなかった場合も算定書類を5年間保存する必要があります。
まとめ
就労選択支援は、障害のある方の就労能力を判定したり、利用するサービスを一方的に振り分けたりする制度ではありません。本人と協同して強みや課題、必要な配慮を整理し、本人が納得できる働き方を選択できるよう支援することが制度の中心です。
指定申請に当たっては、一般就労実績などの実施主体要件、就労選択支援員の確保、アセスメントを実施できる設備、中立性を確保した地域連携体制などを総合的に整備する必要があります。新しい制度であり、指定権者ごとの確認事項や地域の実情を踏まえた調整が重要となるため、指定要件や物件、人員配置に不安がある場合は、申請準備の初期段階から専門家へ相談することをおすすめします。
当法人での対応例
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。
就労選択支援の実施主体要件や一般就労実績の確認、人員配置や就労選択支援員の資格要件の確認について、ご相談・助言を承っています。運営顧問では、実際の書類や運用を一緒に確認しながら進めます。
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- 厚生労働省「就労選択支援実施マニュアル」(令和7年4月)
- 障害者総合支援法及び関係省令・報酬告示
- 指定権者作成「就労選択支援の基準」
※本記事は令和8年7月時点の制度・資料に基づく一般的な解説です。自治体ごとの取扱い、指定申請の受付時期、必要書類等は異なる場合があります。実際の申請に当たっては、指定権者へ最新の取扱いをご確認ください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
