特定相談支援事業(計画相談支援)は、障害者総合支援法に位置づけられた相談支援の一類型です。ほかの障害福祉サービスと違い、指定を出すのは都道府県ではなく市町村である点に注意が必要です。相談支援専門員は、実務経験と研修の両方の要件を満たして初めて名乗れる資格で、実務経験は年数だけでなく従事日数でも判定されます。
- 指定権者は市町村
- 相談支援専門員は実務経験と研修の両方の要件を満たす必要がある
- 実務経験は年数だけでなく従事日数でも判定される
この記事で分かること
計画相談支援(特定相談支援事業)の指定申請と開業の進め方を、指定権者が市町村であることや相談支援専門員の要件を中心に、初めて開業する方にも分かりやすく解説します。
はじめに
「特定相談支援事業所の指定申請」を調べ始めると、他の障害福祉サービスとは勝手が違うことに気づきます。指定を出すのが都道府県ではなく市町村だからです。窓口も様式も期限も市町村ごとに決まります。
計画相談支援の開業は、大きな設備投資がいらず、相談支援専門員が1人いれば始められる点でも独特です。その代わり相談支援専門員になるハードルは高く、報酬の考え方も他サービスと異なります。
なお、計画相談支援の基本報酬|サービス利用支援費・継続サービス利用支援費の単位数では、機能強化型を含む全区分の単位数と相談支援事業の収支構造を一覧表で掲載しています。収支計画を作成する際は、あわせてご確認ください。
この記事のポイント
- 特定相談支援事業(計画相談支援)の指定権者は市町村です。都道府県が指定する一般相談支援事業とは申請先が違います。
- 最大の関門は相談支援専門員の確保です。実務経験の年数要件、初任者研修の修了、5年ごとの現任研修が必要です。
- 設備基準は緩やかで、併設や小規模事務所でも開業できる場合があります。
1. 特定相談支援事業(計画相談支援)とは
特定相談支援事業は、障害者総合支援法に位置づけられた相談支援の一類型です。中身は「基本相談支援」と「計画相談支援」の2つ。前者は幅広い相談に応じ、後者はサービス利用に直接結びつきます。
計画相談支援は「サービス利用支援」と「継続サービス利用支援」に分かれます。前者は本人の状況や希望を聞き取り、サービス等利用計画案を作って市町村に提出する業務です。支給決定後は担当者会議を開いて計画を確定します。
後者はいわゆるモニタリングです。定められた期間ごとに訪問して面接し、計画を見直します。標準的な期間は利用サービスや状況により毎月・3か月ごと・6か月ごとなどに分かれ、市町村が個別に定めます。
- 相談の受付と訪問による聞き取り(アセスメント)
- サービス等利用計画案の作成と市町村への提出
- サービス担当者会議の開催と計画の確定・交付
- 定期的なモニタリング訪問と計画の見直し
- 医療機関・学校・行政・事業所との連絡調整
基本相談支援
- 幅広い相談に応じる
計画相談支援
- サービス利用支援:状況や希望を聞き取り、サービス等利用計画案を作成して市町村に提出。支給決定後は担当者会議を開いて計画を確定
- 継続サービス利用支援(モニタリング):定められた期間ごとに訪問して面接し、計画を見直す
2. 指定権者は市町村|相談支援専門員の要件が最大のハードル
この事業でもっとも誤解が多いのが、指定を出す役所です。生活介護や就労継続支援などは都道府県(政令指定都市・中核市を含む)が指定権者ですが、特定相談支援事業は市町村が指定します。障害児相談支援事業も同じです。
一方、地域移行支援・地域定着支援を行う一般相談支援事業は都道府県が指定権者です。同じ「相談支援」でも申請先が分かれます。
| 事業の種類 | 支援の内容 | 指定権者 |
|---|---|---|
| 特定相談支援事業 | 基本相談支援+計画相談支援(サービス利用支援・継続サービス利用支援) | 市町村 |
| 一般相談支援事業 | 基本相談支援+地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援) | 都道府県等 |
| 障害児相談支援事業 | 障害児支援利用援助・継続障害児支援利用援助 | 市町村 |
市町村指定の意味は2つです。事前協議の進め方も様式も期限も市町村ごとに違うこと。そして他市町村の方を担当する場合、その市町村からも指定を受ける必要が生じることがある点です。
相談支援専門員になるための要件
相談支援専門員は、次の2つを両方満たして初めて名乗れる資格です。
- 定められた実務経験があること。相談支援業務ならおおむね5年以上、資格を持たない直接支援業務のみなら10年以上が目安です。国家資格や任用資格による従事期間があれば3年や5年に短縮される区分もあります。
- 都道府県が実施する「相談支援従事者初任者研修」を修了していること。修了して初めて業務に就けます。
資格の維持には現任研修が必要です。初任者研修の修了後おおむね5年目の年度末までに修了し、以後も5年ごとに受講します。期限を過ぎると従事できなくなります。
実務経験は「年数」だけでなく「従事日数」で判定される
実務経験でつまずく方の多くは、年数ではなく従事日数で足りていません。年数と日数の両方を満たす必要があります。ある中核市の手引きでは次のように整理されています。
| 区分 | 業務内容の例 | 必要年数など |
|---|---|---|
| 相談支援業務 | 相談支援事業所、児童相談所・更生相談所・発達障害者支援センター・福祉事務所・保健所・市町村役場、障害児入所施設・障害者支援施設・障害福祉サービス事業所・障害児通所支援事業所・介護老人保健施設・老人福祉施設等、障害者職業センター・障害者就業生活支援センター等、特別支援学校における相談支援業務など | 5年かつ900日以上 |
| 直接支援業務 | 障害児入所施設・障害者支援施設・老人福祉施設・介護老人保健施設・療養病床等における介護業務、障害福祉サービス事業・障害児通所支援事業・老人居宅介護等事業における介護業務、保険医療機関・保険薬局・訪問看護事業所における介護業務、特例子会社等における就業支援など | 10年以上かつ1,800日以上 |
| 有資格者など(1) | 社会福祉主事任用資格・児童指導員任用資格・保育士等を有する、または訪問介護員2級以上相当の研修を修了した者で、上記の相談支援業務・直接支援業務に従事 | 5年かつ900日以上 |
| 有資格者など(2) | 国家資格等による業務(資格取得後に限る)に従事し、あわせて相談支援業務・直接支援業務にも従事 | 国家資格等の業務が5年かつ900日以上、相談支援・直接支援業務が3年かつ540日以上 |
ここでいう国家資格等とは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士を指します。
週2日勤務のパートで5年働いても、900日には届きません。候補者の経歴を確認するときは、必ず「在籍期間」と「実際に従事した日数」の両方を洗い出してください。詳細は厚生労働省告示に定められており、区分の当てはめは最終的に研修実施主体・指定権者の判断となります。
資格の維持には現任研修が必要です。初任者研修(講義・演習あわせておおむね42.5時間と現場実習。日程や形式は都道府県により異なります)の修了後、5年ごとに現任研修を受講します。
障害児相談支援もあわせて指定を受けるのが一般的
実務では、特定相談支援と障害児相談支援の両方の指定を受ける事業所が多数派です。18歳を超えても担当を切らずに支援を続けられるためで、どちらも市町村指定・基準もほぼ共通のため同時申請の負担は大きくありません。
障害児相談支援の詳細は別記事「障害児相談支援の開業」をご覧ください。
指定権者が「両方の指定」を基本方針としている場合がある
両方の指定を受けるのは実務上の慣行というだけでなく、指定権者が基本方針として示している場合があります。ある中核市の手引きでは、障害児は障害福祉サービス(居宅介護、短期入所など)と障害児通所支援の利用を一体的に判断することが望ましいことから、特定相談支援と障害児相談支援のいずれも指定を受けることを基本とする、と明記されています。
同様に、一般相談支援(地域移行支援・地域定着支援)についても、支援の継続性を確保する観点から、いずれも指定を受けることを基本とするとされています。片方だけの指定を希望する場合は、その理由を事前協議で説明できるよう準備しておくとよいでしょう。
特定相談支援事業 → 市町村
- 基本相談支援+計画相談支援(サービス利用支援・継続サービス利用支援)
障害児相談支援事業 → 市町村
- 障害児支援利用援助・継続障害児支援利用援助
一般相談支援事業 → 都道府県等
- 基本相談支援+地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)
3. 指定を受けるための基準(人員・設備・運営)
基準は厚生労働省令「指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」に定められています。設備の要求が緩やかで、人員も少人数で満たせます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 管理者 | 1人。専従が原則ですが、支障がなければ相談支援専門員や併設事業所の職務と兼務可。資格要件なし。 |
| 相談支援専門員 | 1人以上。前6月平均の対象者数が35人またはその端数を増すごとに1人を置くことが「員数の標準」とされています。実務経験と所定の研修修了等が必要です。 |
| 設備・備品 | 事業を行うために必要な広さの区画と設備・備品。相談内容が外部に漏れない配慮。 |
| 運営規程 | 事業の目的・運営方針、営業日と営業時間、実施地域、職種と員数など。 |
| 主な運営基準 | 秘密保持、苦情解決、虐待防止、身体拘束等の適正化、業務継続計画(BCP)、記録の整備など。 |
| 指定の有効期間 | 6年。6年ごとに更新申請が必要。 |
「従業者」と「相談支援専門員」の関係
人員基準は「管理者」と「従業者」の2本立てで整理されます。ある中核市の手引きでは次のとおりです。
| 職種 | 必要員数 |
|---|---|
| 管理者 | 1人(業務に支障がない場合、他の職種を兼務可) |
| 従業者 | 1人以上(業務に支障がない場合、他の職種を兼務可)。うち1人以上は相談支援専門員 |
つまり、従業者すべてが相談支援専門員である必要はなく、最低1人が相談支援専門員であれば足ります。事務職員や補助者を従業者として配置する設計も可能です。ただし報酬の機能強化型区分では常勤専従の相談支援専門員の人数が問われるため、最低基準の充足と報酬区分の設計は分けて考えてください。
一定の要件を満たすと「相談支援員」を配置できる
あまり知られていませんが、計画相談支援・障害児相談支援では、相談支援専門員以外に「相談支援員」を従業者として配置できる仕組みがあります。相談支援専門員の確保に苦しむ事業所にとって、体制拡大の選択肢になります。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 資格要件 | 社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有する者 |
| 事業者要件 | 次のいずれにも該当する事業者であること ・機能強化型サービス利用支援費、機能強化型障害児支援利用援助費の算定要件を満たしている ・主任相談支援専門員を配置しており、相談支援員に対して指導及び助言が行われる体制が確保されている |
要件からわかるとおり、これは新規開業事業所がすぐに使える仕組みではありません。機能強化型の算定と主任相談支援専門員の配置が前提であり、事業所が一定の規模と体制に育ったあとの拡大策として位置づけられます。将来的に相談支援専門員以外の有資格者を戦力化する道筋がある、という点を人員計画に織り込んでおくとよいでしょう。
この取扱いは指定権者の運用によって差があるため、申請先の自治体の最新の手引きを確認してください。
管理者の資格要件と兼務の範囲
計画相談支援の管理者に資格要件はありません。生活介護や就労系サービスでは社会福祉主事任用資格や社会福祉事業への2年以上の従事などが求められますが、計画相談支援・障害児相談支援・一般相談支援は資格要件なしとされています。
兼務については、次の運用が示されています。
- 管理者と別の職種を兼務する場合、常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分以上は管理者として従事することを基本に、適切な時間数を確保すること
- 管理者と別に兼務できる職種は1つまで。3職種以上を兼務する場合は業務に支障があるものとみなされ、認められない
- 管理者のみを兼務する場合は、最大3事業所まで認められる(移動時間30分以内)
これは指定権者の運用であり、取扱いは自治体によって異なります。申請先の自治体の最新の手引きを確認してください。
自治体ごとの指定・運用確認も重要
指定や加算・自治体運用では、幅広い相談への対応や地域連携の体制が確認されることがあります。基本基準に加え、申請先市町村の手引きで追加の確認事項がないか確認してください。
- 運営規程で主たる対象とする障害の種類を定めていないこと
- 協議会への定期的な参加など、関係機関との連携体制があること
- 相談支援専門員への計画的な研修や事例検討の体制があること
設備は全国一律の具体的な面積基準がなく、自治体確認が重要
国基準では具体的な面積の数値は示されていませんが、事業運営に必要な区画・設備と、相談内容の秘密を確保できる環境が必要です。併設・共用や自宅の一部利用が認められるかは市町村の運用を確認してください。
自宅の一室での開業が認められる市町村もありますが、判断は分かれます。
指定権者の手引きでは、事務室・相談室・便所が具体的に示されることがある
国の基準に具体的な面積の数値はありませんが、指定権者の手引きでは運用上の目安が示されていることがあります。ある中核市の手引きでは、次のように整理されています。物件を決める前の確認項目として実務的です。
| 設備 | 内容 |
|---|---|
| 事務室 | 事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の区画を設けること。間仕切りするなど他の事業と明確に区分する場合は、同一の事務室でも可。区分されていなくても業務に支障がない場合、事業を行うための区画が明確に特定されていれば可。 |
| 相談室 | 利用者が直接出入りできるなど利用しやすい構造とすること。利用者・相談員を含め4人程度が使用することを想定し、部屋の広さは4平方メートル以上を確保すること。他の事業と共用する場合は、来客の重複などに臨機に対応できるよう、予備の相談スペースを確保しておくことが望ましい。 |
| 便所 | 利用者の特性に応じたものを設置すること。 |
「4平方メートル以上」「4人程度」といった数値は指定権者ごとの運用であり、全国共通のルールではありません。申請先の自治体の最新の手引きを確認してください。ただし、面積基準がない自治体でも、相談室に4人が着席できるかどうかは実質的に問われます。物件を選ぶ段階から、この程度の広さは確保しておくと安全です。
自宅の一部を事業所にする場合の具体的な整理
自宅の一部を事業所とする場合の取扱いも、手引きで明示されることがあります。ある中核市の手引きでは、次の条件が示されています。
- 事務室、相談室を専用に設けること
- 出入口に鍵を取り付けて、居宅(自宅)と明確に区分すること
- 玄関、廊下(通路)、便所などの設備は居宅との共用が可能だが、利用者の支援に支障がない構造とすること
ポイントは「事務室と相談室は専用」「出入口に鍵」という2点です。リビングの一角をパーテーションで区切る形では認められない可能性が高くなります。取扱いは指定権者によって異なるため、間取り図を持参して事前に相談してください。
人員
- 管理者1人(専従が原則。支障がなければ相談支援専門員や併設事業所の職務と兼務可。資格要件なし)
- 相談支援専門員1人以上。前6月平均の対象者数が35人またはその端数を増すごとに1人が「員数の標準」
- 従業者すべてが相談支援専門員である必要はない
設備・運営
- 事業を行うために必要な広さの区画と設備・備品。相談内容が外部に漏れない配慮
- 運営規程(目的・運営方針、営業日と営業時間、実施地域、職種と員数など)
- 秘密保持、苦情解決、虐待防止、身体拘束等の適正化、業務継続計画(BCP)、記録の整備
- 指定の有効期間は6年
4. 開業までの流れ
① 法人を設立し、定款の事業目的を整える
法人の定款・登記上の事業目的が特定相談支援事業をカバーしているか確認します。既存の目的文言で足りるか、変更が必要かは法人形態や市町村の運用を踏まえて判断します。
定款・登記の事業目的の書き方
目的欄の文言は、申請する事業が読み取れることが必要です。ある中核市の手引きでは、次の記載例が示されています。
| サービス種別 | 記載例 |
|---|---|
| 特定相談支援 | 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく特定相談支援事業 |
| 一般相談支援 | 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく一般相談支援事業 |
| 障害児相談支援 | 児童福祉法に基づく障害児相談支援事業 |
注意したいのは、特定相談支援と障害児相談支援で根拠法が異なるため、目的も別々に記載が必要になる点です。「障害福祉サービス事業」という包括的な文言だけでは相談支援をカバーできない場合があります。両方の指定を受けるつもりなら、設立時に両方の文言を入れておくと、あとから目的変更をする手間と費用を省けます。認められる文言は指定権者によって異なるため、事前相談で確認してください。
② 市町村に事前相談する
障害福祉担当課で様式・事前協議の期限・指定予定日を確認します。協議を経ないと申請を受け付けない市町村もあります。
③ 相談支援専門員を確保する
実務経験と初任者研修修了を証明できる人材を確保します。研修の実施時期・申込要件・定員は都道府県等で異なるため、候補者の修了状況と次回研修日程を確認して開業工程を組みます。
④ 事務所を確保し、レイアウトを整える
相談スペース、鍵のかかる書庫、電話・パソコンを準備します。平面図と写真の提出を求められます。
⑤ 申請書類を作成する
指定申請書、登記事項証明書、定款、平面図と写真、運営規程、資格証、実務経験証明書、勤務体制一覧表などを整えます。実務経験証明書は前職の法人に依頼します。
⑥ 申請書を提出し、審査を受ける
指定日・申請締切は市町村ごとに異なります。不備の補正が期限までに完了しないと、希望指定日に間に合わない場合があります。
⑦ 指定を受け、運営を開始する
国保連への請求手続きや契約書・重要事項説明書を整備します。市町村や基幹相談支援センターへのあいさつ回りが初期の紹介につながります。
特定相談支援
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく特定相談支援事業
一般相談支援
- 同法に基づく一般相談支援事業
障害児相談支援
- 児童福祉法に基づく障害児相談支援事業
5. 指定申請で提出する書類
指定申請では、申請書のほかに次の書類を提出します。書類名や様式は指定権者ごとに異なりますが、求められる内容は概ね共通です。
| 区分 | 提出書類 |
|---|---|
| 申請書 | 指定申請書、サービス種別ごとの付表 |
| 法人関係 | 法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)※目的欄に申請に係る事業について記載してあること/役員等名簿 |
| 建物・設備 | 事業所(建物)の平面図、写真/建物が法人所有の場合は登記事項証明書などの写し、賃貸の場合は賃貸借契約書の写し |
| 運営 | 運営規程/指定障害福祉サービス等の主たる対象者を特定する理由等(特定する場合)/利用者(入所者)又はその家族からの苦情を解決するために講ずる措置の概要/誓約書(サービスごとの別紙を添付) |
| 人員 | 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表/管理者の経歴書/相談支援専門員の経歴書/相談支援専門員の研修修了証・資格証・実務経験証明書の写しなど/相談支援員の資格証の写し(配置する場合。主任相談支援専門員の研修修了証の写しを添付) |
| その他 | 事業開始届/消防用設備等検査済証の写し(必要な場合) |
| 報酬関係 | 介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書、介護給付費等の算定に係る体制等状況一覧表、障害児通所・入所給付費の算定に係る体制等状況一覧表(障害児相談支援)/処遇改善計画書(算定する場合) |
書類作成のポイント
- 平面図には、写真に対する番号と矢印を記載し、撮影位置と撮影方向を示します。内観の写真は死角がないように撮影し、外観の写真は1枚または2枚撮影します。
- 事業開始届に記載のある収支予算書、事業計画書などの添付は不要とされる取扱いが一般的です。
- 地域移行支援、地域定着支援、計画相談支援、障害児相談支援を同時に申請する場合、重複する書類は1部で足ります。地域移行支援と地域定着支援はいずれも指定を受けることが基本とされ、特定相談支援と障害児相談支援も同様ですので、まとめて申請するケースが多くみられます。
- 暴力団員等の排除に関する誓約・同意書は、相談支援事業では不要としている指定権者があります。
- 管理者が相談支援専門員を兼務する場合、経歴書は1つにまとめて提出できる取扱いが一般的です。
提出書類の名称・様式・部数、添付書類の要否は指定権者ごとに異なります。また、申請書類は事前予約のうえ持参提出とし、提出までに複数回の打合せを求める指定権者もあります。申請先の最新の手引きを確認し、早い段階で事前相談を行ってください。
6. 開業資金とランニングコストの目安
計画相談支援は、障害福祉サービスのなかで初期投資がもっとも小さい部類です。必要なのは事務所と情報機器、そして人です。
- 法人設立・変更費用:法人形態や既存法人の目的変更の有無によって異なるため、登録免許税・専門家費用等を個別に積算します。
- 事務所:敷金・礼金・前家賃等。金額は賃貸条件に応じて個別に積算します。
- 備品:机、鍵付き書庫、パソコン、複合機、記録・請求システムなど、運営方法に応じて必要額を積算します。
- システム:計画作成・請求ソフトの初期費用と月額利用料
- その他:訪問用の車両、賠償責任保険、ホームページ
給付費の入金までのタイムラグと、担当件数が積み上がるまでの期間を踏まえて、月次資金繰り表で必要な運転資金を見積もります。
7. 報酬の考え方と、経営が成り立つ担当件数
収入は利用者1人あたりの月額報酬の積み上げです。柱は、計画を作成した月に算定するサービス利用支援費と、モニタリングを実施した月に算定する継続サービス利用支援費の2つです。
モニタリングは毎月とは限りません。標準的な期間が6か月ごとの方なら報酬が入るのは年2回で、担当者数がそのまま毎月の売上にはなりません。
機能強化型と加算で報酬は大きく変わる
基本報酬には「機能強化型」の区分があります。常勤専従の相談支援専門員の人数、現任研修などの修了者の有無、24時間の連絡体制で区分が上がります。令和6年度報酬改定では機能強化型の評価が引き上げられ、協議会への定期的な参画などが要件に加わりました。
加算も見直され、主任相談支援専門員配置加算が2段階に整理されたほか、地域生活支援拠点等のコーディネーター配置や関係機関との連携への評価が拡充されました。
1人あたり何件担当できるか
相談支援専門員の員数は、前6月平均の対象者数35人またはその端数につき1人が「標準」とされています。一方、報酬上は取扱件数40未満の部分と40以上の部分で評価が異なるため、人員基準と報酬の考え方を分けて管理します。
実際に担当できる件数は、モニタリング頻度、訪問距離、会議数、支援の複雑さで大きく変わります。35人という数字を単純な上限・目標とせず、移動や記録時間を含む業務量から設計してください。
担当者数=毎月の売上ではない
- 標準的な期間が6か月ごとの方なら報酬が入るのは年2回
人員基準と報酬は分けて管理
- 人員基準:前6月平均の対象者数35人またはその端数につき1人が「標準」
- 報酬:取扱件数40未満の部分と40以上の部分で評価が異なる
- 機能強化型は常勤専従の相談支援専門員の人数、研修修了者の有無、24時間の連絡体制で区分が上がる
8. つまずきやすいポイント
申請先を都道府県だと思い込む
もっとも多い勘違いです。特定相談支援事業は市町村、一般相談支援事業は都道府県が指定権者です。それぞれの運用を確認してください。
相談支援専門員の実務経験が足りていない
「福祉の仕事を10年やってきたから大丈夫」と思っていたのに経験の種別が認められず、初任者研修の受講資格すら満たしていなかった、という相談は珍しくありません。
現任研修の期限を管理していない
期限を過ぎると従事できず、人員基準を満たせません。定員があり希望の年度に受講できるとは限らないため、1人体制の事業所ほど早めの申込が必要です。
運営規程で対象障害を限定してしまう
運営規程で主たる対象とする障害の種類を定めること自体は基準上想定されていますが、対象を限定する場合は、利用申込みへの対応、公正中立性、自治体の指定方針との整合を確認してください。
相談支援専門員が併設事業所と兼務する場合の5要件
相談支援事業所を他の障害福祉サービス事業所と併設し、相談支援専門員を兼務させたいという相談は多くあります。ある中核市の手引きでは、次の5つの要件をすべて満たす場合に限って、相談支援専門員を併設する事業所の業務に従事させることができるとされています。
| 要件 | |
|---|---|
| ① | 相談支援専門員は、同一相談支援事業所の管理者を兼務しないこと |
| ② | 相談支援専門員は、他の指定障害福祉サービス事業所などにおいて、サービス管理責任者及びサービス提供責任者を兼務しないこと |
| ③ | 兼務する場合であっても、相談支援専門員の勤務時間は、相談支援事業所の営業日におけるサービス提供時間の半分以上となるように割り振ること。また、兼務先の事業所では、就業規則などで定める勤務時間から相談支援専門員の勤務時間を差し引いた勤務時間とすること |
| ④ | 兼務のため、相談支援事業所のサービス提供時間帯において相談支援専門員が不在となる時間には、管理者が必ず配置されていること |
| ⑤ | 兼務先の併設事業所は、相談支援専門員が相談支援業務の突発的事態に対応することがあっても、事業所の人員配置基準などに支障が生じないよう勤務体制を確保していること |
実務上重いのは②と③です。「サービス管理責任者と相談支援専門員を1人で兼ねる」という設計は、この運用では認められません。また③により、兼務先での勤務は実質的に半分以下に制限されます。
なお①は、併設事業所と兼務させる場合の要件です。併設事業所との兼務をしない小規模事業所で、管理者と相談支援専門員を同一人が担うこと自体は、管理業務に支障がない範囲で認められる場合があります。兼務の可否は指定権者によって判断が分かれるため、勤務形態一覧表の案を持って事前に相談してください。
指定後の運営まで見据えた実務ポイント
支援の流れを記録でつなぐ
相談支援では、アセスメント、計画案、本人・家族への説明と同意、担当者会議、計画交付、モニタリングまでの時系列が重要です。各書類を単独で作るのではなく、本人の希望と課題が計画の目標に反映され、モニタリングでその達成状況を確認できるようにします。
最低基準と報酬・加算要件を分けて確認
指定を維持するための最低人員・設備基準と、より手厚い配置や取組を前提とする基本報酬区分・加算の要件は別物です。開業時に算定予定の報酬を決めたら、最低基準の勤務表とは別に、加算要件まで満たしているかを確認し、月途中の退職・休職・利用者増にも対応できるよう余裕を持った配置を検討します。
実務上の注意
申請先を都道府県だと思い込む
- 特定相談支援は市町村、一般相談支援は都道府県
相談支援専門員の実務経験が足りていない
- 経験の種別が認められず、初任者研修の受講資格すら満たしていなかったという例
現任研修の期限を管理していない
- 期限を過ぎると従事できず人員基準を満たせない
- 定員があり希望の年度に受講できるとは限らない。1人体制の事業所ほど早めの申込を
開業前チェックリスト
□ 相談支援専門員の実務経験・研修要件を確認した
□ 訪問・面談・会議を含む担当件数を試算した
□ アセスメント・計画・モニタリング様式を整えた
□ 本人同意・交付・担当者会議の手順を決めた
□ 公正中立な事業所情報提供の方法を決めた
□ 地域資源・関係機関の一覧を作った
□ 請求・記録・資格更新を管理する仕組みを作った
よくある質問
指定を受けるには相談支援専門員を1人以上配置する必要があります。管理者に資格要件はないため、代表者が管理者、要件を満たす方を雇用して相談支援専門員とする体制も可能です。
認められる場合があります。設備基準は「事業を行うために必要な広さの区画」と備品を求めるにとどまり、面積の下限はありません。ただし生活空間と区分され、相談内容が第三者に聞こえないことが問われます。
申請締切や指定日は市町村ごとに異なります。事前協議を申請受付の前提とする自治体もあるため、開業予定地の市町村へ早めに確認してください。
はい。どちらも指定権者は市町村で基準もほぼ共通のため、同一事業所で両方の指定を受ける例が多数です。同じ相談支援専門員が両方を担当でき、18歳到達後も支援を継続できます。
まとめ
計画相談支援(特定相談支援事業)の開業でまず押さえるべきは、指定権者が市町村であることです。様式も期限も市町村ごとに違うため、早い段階で担当課に相談することが遠回りを避ける近道です。
次に重要なのが相談支援専門員の確保です。実務経験の年数要件、初任者研修の修了、5年ごとの現任研修が揃って初めて人員基準を安定して満たせます。開業スケジュールは研修日程から逆算してください。
比較的小規模な設備で始めやすい一方、収入は担当件数とモニタリング頻度、機能強化型の区分等に左右されます。無理な件数を抱えず、移動・会議・記録時間まで含めて体制を設計することが重要です。
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主な参考資料
- 参考:厚生労働省「指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」/「指定計画相談支援に要する費用の額の算定に関する基準」/「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定」
※本記事は令和8年8月26日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
