就労継続支援A型の基本報酬は、人員配置・利用定員・スコア方式の評価点という3つの要素で決まります。人員配置ではサービス費(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれ、利用定員は20人以下から段階的に区分されます。評価点は7区分で、新規に指定を受けた事業所には1年間の取扱いが別に定められています。
- 基本報酬は人員配置・利用定員・評価点の3要素で決まる
- 評価点(スコア方式)は7区分
- 収入は訓練等給付費と生産活動収入の二本立て
この記事で分かること
就労継続支援A型の基本報酬が、人員配置・利用定員・スコア方式の評価点という3つの要素でどのように決まるのかを整理し、全区分の単位数を一覧で掲載します。あわせて、新規に指定を受けた事業所の1年間の特例、単位数に乗じられる各種の減算、令和8年度報酬改定での取扱いまで解説します。
はじめに
就労継続支援A型の事業計画を立てるとき、最初に必要になるのが「1人・1日あたり何単位の報酬が入るのか」という数字です。ところがA型の基本報酬は、定員規模だけでなく、人員配置の手厚さと、スコア方式で算出した評価点の組み合わせで決まるため、区分の数が多く、全体像がつかみにくい仕組みになっています。
この記事では、厚生労働省が公表する報酬算定構造とサービスコード表に基づき、就労継続支援A型の基本報酬の決まり方と全区分の単位数を整理します。開業前の収支計画づくりにも、指定後の報酬区分の見直しにも使える形でまとめました。
この記事のポイント
- 基本報酬は「人員配置(7.5:1か10:1か)」「利用定員」「評価点」の3つで区分が決まります。
- 評価点はスコア方式で算出します。労働時間・生産活動・多様な働き方・支援力向上・地域連携活動の5項目の合計点です。
- 新規に指定を受けた日から1年間は、評価点が80点以上105点未満であるものとみなして算定します。開業初年度の収支計画は、この区分を前提に組みます。
- 令和8年度報酬改定では、A型の基本報酬の単位数は見直しの対象外です。現行の単位数は令和6年度報酬改定によるものです。
1. 就労継続支援A型の収入構造と「基本報酬」の位置づけ
就労継続支援A型の収入は、訓練等給付費と生産活動収入の二本立てです。このうち訓練等給付費は、基本報酬に各種加算を積み上げ、必要に応じて減算を適用して算定します。
基本報酬は「1日につき◯単位」という形で定められており、利用者がサービスを利用した日ごとに算定します。単位数に1単位あたりの単価を掛けたものが、実際の金額になります。1単位の単価は10円を基本としながら、事業所の所在地に応じた地域区分と、サービスごとに定められた人件費割合によって上乗せされます。同じ単位数でも地域によって金額が変わりますので、収支計画を立てる際は事業所所在地の地域区分を必ず確認してください。
なお、利用者に支払う賃金の原資は生産活動収入であり、訓練等給付費から賃金を支払うことは原則として認められません。基本報酬は事業所の運営費であるという前提を、収支計画の出発点として押さえておいてください。
訓練等給付費
- 基本報酬 + 各種加算 - 各種減算
- 「1日につき◯単位」を利用日ごとに算定
- 単位数 × 1単位の単価(地域区分・人件費割合で上乗せ)= 金額
生産活動収入
- 利用者に支払う賃金の原資
2. 基本報酬の区分は3つの要素で決まる
(1)人員配置 ── サービス費(Ⅰ)と(Ⅱ)
就労継続支援A型サービス費には(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、職業指導員および生活支援員の配置の手厚さで分かれます。(Ⅰ)は7.5:1、(Ⅱ)は10:1の配置です。手厚い配置である(Ⅰ)のほうが単位数は高く設定されています。(Ⅰ)を算定するには施設基準に適合するものとして都道府県知事への届出が必要です。
(2)利用定員
利用定員は、20人以下/21人以上40人以下/41人以上60人以下/61人以上80人以下/81人以上の5区分です。定員が小さいほど1人あたりの単位数は高くなります。
(3)評価点(スコア方式)
評価点は7区分です。170点以上/150点以上170点未満/130点以上150点未満/105点以上130点未満/80点以上105点未満/60点以上80点未満/60点未満に分かれ、点数が高いほど単位数が高くなります。評価点は都道府県知事に届け出た点数によります。
この3要素の組み合わせにより、基本報酬は2×5×7=70区分に分かれます。
3. 基本報酬の単位数一覧(全区分)
以下は令和8年8月時点で適用されている単位数です。いずれも1日につきの単位数です。
表1 就労継続支援A型サービス費(Ⅰ)(7.5:1)
| 評価点の区分 | 定員20人以下 | 21〜40人 | 41〜60人 | 61〜80人 | 81人以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 170点以上 | 791単位 | 710単位 | 672単位 | 660単位 | 641単位 |
| 150点以上170点未満 | 733単位 | 656単位 | 619単位 | 609単位 | 588単位 |
| 130点以上150点未満 | 701単位 | 626単位 | 590単位 | 580単位 | 559単位 |
| 105点以上130点未満 | 666単位 | 594単位 | 558単位 | 547単位 | 529単位 |
| 80点以上105点未満 | 533単位 | 474単位 | 445単位 | 438単位 | 422単位 |
| 60点以上80点未満 | 419単位 | 373単位 | 350単位 | 344単位 | 333単位 |
| 60点未満 | 325単位 | 288単位 | 271単位 | 266単位 | 258単位 |
表2 就労継続支援A型サービス費(Ⅱ)(10:1)
| 評価点の区分 | 定員20人以下 | 21〜40人 | 41〜60人 | 61〜80人 | 81人以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 170点以上 | 727単位 | 655単位 | 613単位 | 602単位 | 583単位 |
| 150点以上170点未満 | 671単位 | 604単位 | 563単位 | 552単位 | 534単位 |
| 130点以上150点未満 | 641単位 | 574単位 | 535単位 | 524単位 | 507単位 |
| 105点以上130点未満 | 608単位 | 543単位 | 505単位 | 495単位 | 478単位 |
| 80点以上105点未満 | 486単位 | 432単位 | 403単位 | 394単位 | 381単位 |
| 60点以上80点未満 | 382単位 | 341単位 | 318単位 | 311単位 | 301単位 |
| 60点未満 | 296単位 | 264単位 | 246単位 | 241単位 | 232単位 |
例えば、定員20人・人員配置7.5:1・評価点150点の事業所であれば、1人1日あたり733単位です。同じ事業所で評価点が105点まで下がると666単位となり、1人1日あたり67単位の差が生じます。利用者20人が月22日利用する前提で計算すると、月あたりでは相応の差になりますので、スコアの管理は運営上の重要なテーマです。
4. スコア方式の5項目と評価点
評価点は、次の5つの評価項目の合計点で算出します。令和6年度報酬改定において、評価方法と配点が見直されました。
- 労働時間:利用者の1日あたり平均労働時間を評価します。配点の幅が最も大きい項目です。
- 生産活動:生産活動収支が利用者に支払う賃金の総額を上回っているか、その状況が継続しているかを評価します。
- 多様な働き方:短時間勤務や在宅就労などの制度を整備し、実際に運用しているかを評価します。
- 支援力向上:職員の資格取得、外部研修の受講、実践報告などの取組を評価します。
- 地域連携活動:地域の企業や団体と連携した活動の実施を評価します。
スコアの合計点と各項目の内訳は、毎年度インターネット等で公表することが義務づけられています。公表を行わない場合は減算の対象となります。
5. 新規指定から1年間は「80点以上105点未満」とみなす
新規に開業する事業所にとって最も重要な取扱いがこれです。報酬告示では、新規に指定を受けた日から1年間は、当該事業所の評価点が80点以上105点未満である場合とみなして所定単位数を算定することとされています。
実務上は、留意事項通知の取扱いもあわせて確認してください。通知では「新規指定の就労継続支援A型事業所において初年度は、評価点が80点以上105点未満の場合であるとみなし、年度途中に指定された事業所については、初年度及び2年度目は、評価点が80点以上105点未満の場合であるとみなして基本報酬を算定する」とされています。年度の途中に指定を受けた場合、みなしの取扱いは翌年度末まで続きます。
開業初年度は前年度の実績がないため、スコアを算出できません。そこで一律に80点以上105点未満の区分が適用されます。したがって、定員20人・7.5:1の事業所であれば、初年度は533単位が基本報酬となります。
収支計画を作成する際、最高区分の791単位を前提に置いてしまうと、初年度の見込みが大きく過大になります。1年目は該当区分の単位数で、2年目以降は実際に達成できるスコアを想定した区分で、それぞれ試算するのが実務的です。
6. 所定単位数に乗じられる減算・調整
基本報酬の単位数には、次のような調整が加わる場合があります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 地方公共団体が設置する事業所 | 所定単位数の1000分の965 |
| 就労継続支援A型計画等が未作成 | 作成されていない期間が3月未満は100分の70、3月以上は100分の50 |
| 利用者数・従業者数が基準に該当 | 別に厚生労働大臣が定める割合 |
| 情報公表未報告減算 | 所定単位数の100分の5(指定障害者支援施設は100分の10)を減算 |
| 身体拘束廃止未実施減算 | 所定単位数の100分の1(指定障害者支援施設は100分の10)を減算 |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の100分の1(指定障害者支援施設は100分の3)を減算 |
| 虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の100分の1を減算 |
これらは基本報酬に直接かかる調整ですので、区分の選択と同じ重みで確認が必要です。特に情報公表未報告減算とスコアの公表義務は、開業時から体制を組んでおかないと見落としやすい項目です。
7. 令和8年度報酬改定での取扱い
令和8年6月1日施行の令和8年度報酬改定(臨時応急的な見直し)において、就労継続支援A型の基本報酬の単位数は見直しの対象とされていません。本記事に掲載した単位数は、令和6年度報酬改定によるものが引き続き適用されているものです。
同改定では、福祉・介護職員等処遇改善加算の拡充が中心に行われました。基本報酬とは別に、加算の算定要件や加算率の確認が必要です。
つまずきやすいポイント
初年度の収支計画を高いスコア前提で作ってしまう
前述のとおり、新規指定から1年間は評価点80点以上105点未満とみなされます。事業計画の収入見込みが指定権者の想定と大きく乖離すると、審査で説明を求められる原因にもなります。
サービス費(Ⅰ)を前提にしながら届出をしていない
7.5:1の配置による(Ⅰ)を算定するには、施設基準に適合するものとして届け出る必要があります。人員を配置していても届出がなければ算定できません。
スコアの公表を失念する
スコアの合計点と内訳は毎年度公表が義務づけられており、行わない場合は減算対象です。公表の方法と時期を、年間の業務スケジュールに組み込んでおきます。
よくある質問
人員配置・利用定員・評価点の組み合わせで決まり、232単位から791単位までの幅があります。金額に換算する際は、事業所所在地の地域区分に応じた1単位あたりの単価を掛けて計算します。
新規に指定を受けた日から1年間は、評価点が80点以上105点未満であるものとみなして算定します。
都道府県知事に届け出た評価点に応じて算定します。届出の時期や様式は指定権者ごとに定められていますので、所轄の手引きを確認してください。
令和8年度報酬改定において、A型の基本報酬の単位数は見直しの対象外です。
まとめ
就労継続支援A型の基本報酬は、人員配置・利用定員・評価点の3要素で70区分に分かれます。区分の幅が大きいため、どの区分を目指すのかを開業の設計段階で決めておくことが、その後の運営を大きく左右します。
特に、新規指定から1年間は評価点80点以上105点未満とみなされる取扱いは、初年度の資金繰りに直結します。2年目以降にどのスコアを取りにいくのかまで含めて、収支計画を組み立ててください。
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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。開業支援は20万円〜(税別)、物件や事業計画の検討段階から承っています。
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主な参考資料
- 参考:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」/「介護給付費等単位数サービスコード表」/「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」/「指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
※本記事は令和8年8月27日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。単位数は厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年6月施行)」および「介護給付費等単位数サービスコード表」により確認しています。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

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