従業員の氏名や住所が変わったときは、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、原則として届出は不要です。ただし、結びついていない場合など、届出が必要になるケースがあります。加入している制度の組み合わせによって使う様式が変わる点にも注意が必要です。
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば原則届出不要
- 結びついていない場合などは届出が必要
- 外国籍の従業員にはローマ字氏名届の取扱いがある
この記事で分かること
従業員の氏名や住所が変わったときの社会保険の手続きを整理します。マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合に届出が原則不要となること、それでも届出が必要になるケース、様式の使い分け、基礎年金番号通知書を紛失したときの再交付、健康保険被保険者資格証明書の交付までを解説します。
はじめに
結婚による氏名変更や引っ越しによる住所変更は、どの事業所でも定期的に発生します。かつては届出が必要だったこれらの手続きは、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、原則として届出が不要になっています。
一方で、届出が必要となる例外は残っています。「不要」と思い込んで放置した結果、決定通知書が旧住所に送られてしまう、といったトラブルも起こります。どの場合に届出が必要なのかを整理しておくことが実務のポイントです。
この記事では、日本年金機構が公表している手続き案内をもとに、氏名・住所の変更に伴う手続きと、あわせて発生しやすい基礎年金番号通知書の再交付・資格証明書の交付を整理します。
この記事のポイント
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、氏名変更・住所変更のいずれも原則として届出は不要です。
- 住所変更の届出が必要になるのは、次の6つです。マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合、マイナンバーを有していない海外居住者、短期在留外国人です。ほかに、健康保険組合の被保険者および70歳以上で健康保険のみに加入している被保険者、住民票住所以外の居所を登録する場合、その居所登録を解除する場合です。
- 氏名変更の届出が必要になるのは、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない方、健康保険(協会けんぽ管掌)のみに加入している方、マイナンバーを有していない海外居住者、短期在留外国人です。
- 氏名変更・住所変更のいずれも提出時期は「速やかに」です。
- 基礎年金番号通知書や年金手帳を紛失・き損したときは、基礎年金番号通知書再交付申請書を提出します。
1. 住所が変わったとき
マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、住民基本台帳の情報により住所が更新されるため、原則として届出は不要です。次の場合には健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届(国民年金第3号被保険者住所変更届)を提出します。
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者
- マイナンバーを有していない海外居住者
- 短期在留外国人
- 健康保険組合の被保険者および70歳以上で健康保険のみに加入している被保険者
- 住民票住所以外の居所を登録する被保険者
- 当該居所登録を解除し、住民票住所を届け出る被保険者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出時期 | 速やかに |
| 提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
| 提出方法 | 郵送、窓口持参 |
| 添付書類 | なし |
様式の使い分け
協会けんぽの健康保険と厚生年金保険の両方に加入している場合、被保険者と被扶養配偶者の両方が変更なら1枚目と2枚目を、被保険者のみなら1枚目を、被扶養配偶者のみなら2枚目を提出します。協会けんぽの健康保険のみに加入している場合は、被保険者の変更であれば1枚目のみ(被扶養配偶者欄は記入不要)、被扶養配偶者のみの変更であれば届出不要です。
被扶養配偶者から2枚目が提出された場合は、事業主があわせて届け出る必要があります。
原則は届出不要
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者は、住民基本台帳の情報により住所が更新される
届出が必要な場合
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者
- マイナンバーを有していない海外居住者、短期在留外国人
- 健康保険組合の被保険者、70歳以上で健康保険のみに加入している被保険者
- 住民票住所以外の居所を登録する被保険者/その居所登録を解除する被保険者
2. 氏名が変わったとき
氏名変更も、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている従業員については原則として手続き不要です。次の場合には健康保険・厚生年金保険 被保険者氏名変更(訂正)届を提出します。
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない方
- 健康保険(全国健康保険協会管掌)のみに加入している方
- マイナンバーを有していない海外居住者
- 短期在留外国人
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出時期 | 速やかに |
| 提出先 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
| 提出方法 | 電子申請、郵送、窓口持参 |
| 添付書類 | 資格確認書等(交付されている場合のみ)/被扶養者の資格確認書等(交付されている場合のみ) |
被保険者氏名のフリガナのみの変更である場合、被扶養者の資格確認書等の添付は不要です。また、基礎年金番号通知書や年金手帳の添付は不要とされています。
なお、協会けんぽの被扶養者の氏名が変わった場合は、別途健康保険被扶養者(異動)届の提出が必要です。被保険者本人の氏名変更届では対応できない点に注意してください。
マイナンバーと基礎年金番号が結びついている方は、変更後の資格確認書等を受け取ったら、変更前のものを速やかに返納します。
原則は手続き不要
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついている従業員
被保険者氏名変更(訂正)届が必要な場合
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない方
- 健康保険(全国健康保険協会管掌)のみに加入している方
- マイナンバーを有していない海外居住者、短期在留外国人
添付書類
- 資格確認書等(交付されている場合のみ)/被扶養者の資格確認書等(同)
- フリガナのみの変更なら被扶養者の資格確認書等の添付は不要
- 基礎年金番号通知書や年金手帳の添付は不要
3. 外国籍の従業員の氏名
外国籍の従業員については、ローマ字氏名届に関する取扱いがあります。被保険者氏名変更(訂正)届(または厚生年金保険被保険者資格取得届等)を電子申請により手続きする場合に限り、ローマ字氏名届を電子添付書類として画像ファイル(PDF形式・JPEG形式)で提出できます。
障害福祉サービス事業所では、外国籍の生活支援員や世話人を採用するケースが増えています。在留資格の確認とあわせて、氏名の表記(ローマ字・カタカナ)を採用時に確定させておくと、その後の届出がスムーズです。
厚生年金保険・船員保険の被保険者
- 勤務する事業所を経由して、または直接、事務センターまたは管轄の年金事務所
国民年金第1号被保険者・任意加入被保険者
- 事務センター、お近くの年金事務所、または住所地の市区町村役場
国民年金第3号被保険者
- 配偶者の勤務する事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所
4. 基礎年金番号通知書を紛失・き損したとき
基礎年金番号通知書や年金手帳を紛失またはき損したとき、あるいは届出によらず住民基本台帳ネットワークの異動情報に基づき氏名の変更が行われたときは、基礎年金番号通知書再交付申請書を提出します。
| 被保険者の種別 | 提出先 |
|---|---|
| 厚生年金保険・船員保険の被保険者 | 勤務する事業所を経由して、または直接、事務センターまたは管轄の年金事務所 |
| 国民年金第1号被保険者・任意加入被保険者 | 事務センター、お近くの年金事務所、または住所地の市区町村役場 |
| 国民年金第3号被保険者 | 配偶者の勤務する事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所 |
提出方法は電子申請、郵送、窓口持参です。事業主経由によらず本人が個人番号を記載して提出する場合は、マイナンバーカード(両面)、または個人番号確認書類と身元(実存)確認書類(運転免許証、パスポート、在留カード等)を添付します。郵送の場合はコピーを添付します。
再交付された通知書は、原則として日本年金機構が管理している住所あてに送付されます(海外居住者は事業所あて)。本人確認書類を持参すれば窓口での交付も可能です。
あわせて読みたい被保険者資格取得届|従業員を採用したときの手続き5. 資格確認書が届くまでに受診が必要なとき
入社直後など、マイナ保険証が利用可能となるまでの間や資格確認書が交付されるまでの間に医療機関で受診する必要がある場合は、健康保険 被保険者資格証明書交付申請書を提出します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 事業所の所在地を管轄する年金事務所 |
| 提出方法 | 窓口持参または郵送 |
| 添付書類 | 原則なし(代理人が申請する場合は委任状) |
| 有効期限 | 証明日から20日以内 |
原則として当日中に交付されますが、新規適用届と同時に提出する場合や多数の申請がある場合は、当日中の交付ができないことがあります。窓口に行く際は身分証明書を持参してください。
新規開設の事業所では、開設直後に職員が受診するケースが出てきます。新規適用届の提出と同時に資格証明書が必要になる可能性を想定し、余裕をもって手続きしておくと安心です。
実務上の注意点
「届出不要」でも事業所の台帳は更新する
年金事務所への届出が不要であっても、事業所の労働者名簿・給与計算システム・緊急連絡網の更新は必要です。特に住所は通勤手当の計算に直結するため、変更の申出を受ける社内様式を整えておいてください。
居所登録は意識的に選ぶ
住民票住所以外の居所を登録する場合は、届出が必要です。単身赴任や施設入居などで郵便物の受取先を変えたい場合に使う仕組みですが、逆に言えば、居所登録をしていると住民票の異動だけでは通知書の送付先が変わりません。登録の有無を把握しておいてください。
氏名変更は複数の制度で手続きが分かれる
氏名が変わったときは、社会保険のほか、雇用保険、住民税の特別徴収、財形貯蓄、資格証(社会福祉士・介護福祉士等)の名義など、複数の手続きが発生します。障害福祉サービス事業所では資格者の氏名が指定申請書類にも記載されているため、指定権者への変更届の要否もあわせて確認してください。
「届出不要」でも事業所の台帳は更新する
- 労働者名簿・給与計算システム・緊急連絡網の更新は必要
- 住所は通勤手当の計算に直結する。変更の申出を受ける社内様式を整えておく
居所登録は意識的に選ぶ
- 居所登録をしていると、住民票の異動だけでは通知書の送付先が変わらない
- 登録の有無を把握しておく
氏名変更は複数の制度で手続きが分かれる
- 社会保険のほか、雇用保険、住民税の特別徴収、財形貯蓄、資格証の名義など
- 資格者の氏名は指定申請書類にも記載されるため、指定権者への変更届の要否もあわせて確認
実務チェックリスト
□ 対象者のマイナンバーと基礎年金番号が結びついているかを確認した
□ 健康保険組合に加入している場合、組合側の手続きを確認した
□ 住所変更で居所登録・解除に該当するかを確認した
□ 協会けんぽの被扶養者の氏名変更は、被扶養者(異動)届で手続きした
□ 変更前の資格確認書等を返納した
□ 事業所の労働者名簿・給与計算システムの情報を更新した
□ 有資格者の氏名変更について、指定権者への変更届の要否を確認した
□ 基礎年金番号通知書の紛失時は、再交付申請書の提出先を確認した
よくある質問
マイナンバーと基礎年金番号が結びついている従業員であれば、原則として手続きは不要です。結びついていない場合や、協会けんぽの健康保険のみに加入している場合などは、被保険者氏名変更(訂正)届を提出します。
マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば、原則として届出は不要です。ただし健康保険組合の被保険者や、住民票住所以外の居所を登録している場合などは届出が必要です。
協会けんぽの被扶養者の氏名変更は、健康保険被扶養者(異動)届で手続きします。被保険者本人の氏名変更届では手続きできません。
再交付されるのは基礎年金番号通知書です。基礎年金番号通知書再交付申請書を、勤務する事業所を経由して、または直接、事務センターまたは管轄の年金事務所に提出します。
資格確認書が交付されるまでの間に受診が必要な場合は、健康保険 被保険者資格証明書交付申請書を管轄の年金事務所に提出します。証明書の有効期限は証明日から20日以内です。
まとめ
氏名・住所の変更手続きは、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば原則不要という原則と、その例外を押さえておけば判断できます。例外に当たるかどうかは、健康保険組合加入の有無、居所登録の有無、在留資格などで決まります。
届出が不要な場合でも、事業所内の名簿や給与計算システムの更新、指定権者への変更届の要否は別途確認が必要です。「年金事務所には出さない」と「何もしない」を混同しないことが実務の要点です。
社会保険の日常的な手続きを、まとめてご相談ください
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請・報酬請求の実務と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。
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主な参考資料
- 参考:日本年金機構「従業員および被扶養配偶者の住所に変更があったときの手続き」
- 参考:日本年金機構「従業員の氏名に変更があったときの手続き」
- 参考:日本年金機構「基礎年金番号通知書や年金手帳を紛失またはき損したとき」
- 参考:日本年金機構「従業員に健康保険被保険者資格証明書を交付するときの手続き」
※本記事は令和8年8月28日時点の法令・通知・日本年金機構の公表資料に基づく一般的な整理です。実際の届出にあたっては、管轄の年金事務所・事務センターの取扱い、健康保険組合の定め、最新の様式・記載要領を必ずご確認ください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
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