社会保険料の納付と退職者の保険料徴収|納付期限・延滞金・猶予制度

社会保険料の納付と退職者の保険料徴収|納付期限・延滞金・猶予制度

事業主は、毎月の給料や賞与から被保険者負担分の保険料を差し引き、事業主負担分とあわせて納付します。納入告知書は毎月20日頃に送付され、口座振替や電子納付も利用できます。退職者の保険料は、資格を取得した日の属する月から喪失日の属する月の前月までが対象です。

  • 納入告知書は毎月20日頃に送付される
  • 退職者の保険料は喪失日の属する月の前月まで発生する
  • 納付が遅れると督促状が送付され、延滞金がかかる

この記事で分かること

厚生年金保険料等の納付について、納付期限と納入告知書、口座振替・電子納付の方法、退職者の保険料をいつまで給与から控除できるか、納付が遅れた場合の督促状と延滞金、資金繰りが厳しいときの換価の猶予・納付の猶予までを整理します。

はじめに

社会保険料は、事業主が従業員負担分を給与から控除し、事業主負担分とあわせて納付します。障害福祉サービスは報酬の入金が概ね2か月後になるため、開設直後や利用者数が変動した時期には、保険料の納付が資金繰りの負担になることがあります。

納付が遅れると督促状が送付され、指定期日を過ぎると延滞金が発生します。放置すると差押えに至ることもあるため、支払いが難しい場合には猶予の制度があることを知っておくことが重要です。

この記事では、日本年金機構が公表している案内をもとに、保険料の納付実務を整理します。

この記事のポイント

  • 保険料の納付期限は、納付対象月の翌月末日です。末日が休日にあたる場合は、翌日以降の最初の営業日となります。
  • 納入告知書は毎月20日頃に送付されます。3部構成で、切り離さずに金融機関へ提出します。
  • 従業員が負担する保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から、喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生します。
  • 納付期限までに納付が確認できないときは督促状が送付され、督促状の指定する期日より後の日に納付したときは延滞金がかかります。
  • 一時に納付することが困難な場合は換価の猶予(納期限から6か月以内に申請)、災害等により財産に相当な損害を受けた場合は納付の猶予を申請できます。

1. 納付期限と納入告知書

事業主は毎月の給料および賞与から被保険者負担分の保険料を差し引いて、事業主負担分の保険料とあわせて納付期限までに納めます。納付期限は納付対象月の翌月末日です。

たとえば4月分の保険料の納付期限は5月末日です。末日が休日にあたる場合は、翌日以降の最初の営業日が期限になります。

納入告知書の見方

納入告知書は毎月20日頃に送付されます。3部構成になっており、それぞれ次の役割があります。

枚数名称
1枚目領収済通知書
2枚目領収控
3枚目納入告知書・領収証書

1枚目の領収済通知書は、社会保険料の領収にかかるお知らせではありません。切り離さずに金融機関へ提出してください。届かない場合は、管轄の年金事務所に再発行を依頼できます。

納入告知書の対象には、厚生年金保険料のほか、健康保険料、船員保険料、子ども・子育て拠出金等が含まれます。

図解1納付期限と納入告知書
対象月給料・賞与から被保険者負担分を控除
翌月20日頃納入告知書が届く
翌月末日納付期限(末日が休日なら翌営業日)

納入告知書は3部構成

  • 1枚目:領収済通知書
  • 2枚目:領収控
  • 3枚目:納入告知書・領収証書

注意

  • 1枚目は領収のお知らせではない。切り離さずに金融機関へ提出
  • 届かない場合は管轄の年金事務所に再発行を依頼できる
  • 対象には健康保険料、船員保険料、子ども・子育て拠出金等も含まれる
※本文「1. 納付期限と納入告知書」を図解化したものです。

2. 納付の方法

方法手続き
口座振替「保険料口座振替納付(変更)申出書」に必要事項を記入し、金融機関の確認を経て事務センターまたは年金事務所に提出
金融機関窓口保険料納入告知書を提出
電子納付(Pay-easy)インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATM、テレフォンバンキングで手続き

電子納付では、収納機関番号00500、納付番号16桁、確認番号6桁を使用します。

納付忘れを防ぐという観点では口座振替が最も確実です。ただし、残高不足による引落し不能は納付遅延と同じ結果になるため、月末の資金繰りには余裕を持たせてください。

図解2納付の3つの方法

口座振替

  • 「保険料口座振替納付(変更)申出書」を金融機関の確認を経て事務センターまたは年金事務所に提出
  • 納付忘れを防ぐという観点では最も確実

金融機関窓口

  • 保険料納入告知書を提出

電子納付(Pay-easy)

  • インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATM、テレフォンバンキング
  • 収納機関番号00500、納付番号16桁、確認番号6桁
残高不足による引落し不能は納付遅延と同じ結果になる。月末の資金繰りには余裕を持たせる
※本文「2. 納付の方法」を図解化したものです。

3. 退職した従業員の保険料の徴収

従業員が負担する保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から、喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生します。事業主は毎月の給与から前月分の保険料を控除できます。

退職のパターン退職月の給与から控除できる保険料
月の途中で退職退職月の前月分
月末に退職退職月の前月分と退職月の2か月分

賞与に対する保険料は、支給する賞与から控除できます。ただし、退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象となりません

退職月の給与から2か月分を控除する場合は、事前に本人へ説明しておくとトラブルを防げます。

図解3退職した従業員の保険料の徴収

月の途中で退職

  • 退職月の給与から控除できるのは、退職月の前月分

月末に退職

  • 退職月の前月分と退職月の2か月分
保険料は資格取得日の属する月から、喪失日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き保険料控除の対象とならない2か月分を控除する場合は事前に本人へ説明しておく
※本文「3. 退職した従業員の保険料の徴収」を図解化したものです。
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4. 納付が遅れた場合

納付期限までに厚生年金保険料等の納付が確認できないときは、督促状が送付されます。督促状の指定する期日までに納付がなく、指定期日より後の日に納付がされたときは延滞金がかかります。

延滞金は、保険料額(1,000円未満切捨て)に延滞金の割合と日数を乗じ、365で除して計算します。納付期限の翌日から3か月を経過する日までと、それ以降とで割合が異なり、合計額の100円未満の端数は切り捨てられます。

延滞金の割合は毎年変動します。参考として、令和8年1月1日から令和8年12月31日までの割合は、納付期限の翌日から3か月を経過する日までが年2.8%、3か月経過後が年9.1%とされています(令和7年は2.4%・8.7%でした)。適用される年の割合は、日本年金機構の公表資料で確認してください。

図解4納付が遅れた場合と猶予の制度
納付期限を経過督促状が送付される
指定期日後の納付延滞金がかかる
滞納が続く財産調査、差押えといった滞納処分

換価の猶予

  • 一時に納付することで事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあり、納付に対する誠実な意思があると認められる場合
  • 申請期限:納期限から6か月以内
  • 猶予期間内に分割納付でき、延滞金の一部が免除される

納付の猶予

  • 災害等で事業所の財産に相当な損害を受け、納付が困難となった場合
延滞金の割合は毎年変動する(日本年金機構の公表資料で確認)介護給付費・訓練等給付費の請求債権が差押えの対象になることも考えられる
※申請窓口は管轄の年金事務所です。資金繰りが厳しくなった段階で早めに相談してください。

5. 換価の猶予

保険料等を一時に納付することにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあり、かつ保険料等の納付に対する誠実な意思を有すると認められる場合には、換価の猶予を申請できます。

項目内容
申請期限猶予を受けようとする保険料等の納期限から6か月以内
効果猶予期間内に分割して納付することができる/猶予期間における延滞金の一部が免除される
申請窓口管轄の年金事務所

申請にあたっては、財産収支状況書、財産目録、収支明細書等の提出が必要です。日本年金機構は、記載方法を説明する動画も公表しています。

納期限から6か月以内という期限がある点が重要です。滞納が長期化してから相談するのではなく、支払いが難しいと分かった段階で早めに年金事務所に相談してください。

6. 納付の猶予

災害等によって事業所の財産に相当な損害を受け、厚生年金保険料等の納付が困難となった場合には、納付の猶予を申請できます。

  • 猶予期間、納付が猶予されます
  • 猶予期間における延滞金の全部または一部が免除されます
  • 申請窓口は管轄の年金事務所です

日本年金機構は、猶予を受けず保険料等を納付しないまま納付期限を経過した場合、督促状の送付を受け、さらに指定期限を経過すると延滞金が発生することがあるとして、早めに管轄の年金事務所へ相談するよう案内しています。

7. 滞納が続いた場合の対応

日本年金機構は、保険料等を納付期限までに納めていない事業所に対する取り組みを行っています。督促、財産調査、差押えといった滞納処分に至ることもあります。

障害福祉サービス事業所の場合、介護給付費・訓練等給付費の請求債権が差押えの対象になることも考えられます。事業運営そのものに影響するため、資金繰りが厳しくなった段階で猶予制度の利用を検討してください。

あわせて読みたい賞与支払届|提出期限と標準賞与額の上限

実務上の注意点

報酬の入金サイクルと納付期限のずれを織り込む

障害福祉サービスの報酬は、サービス提供月の翌々月に入金されるのが一般的です。一方、保険料の納付期限は翌月末日です。開設直後や利用者数が急増した時期は、人件費と保険料の支出が先行します。事業計画の段階で、この時間差を織り込んだ資金計画を立ててください。

子ども・子育て拠出金も納入告知の対象

納入告知書には子ども・子育て拠出金も含まれます。全額事業主負担で、従業員の給与から控除するものではありません。給与計算ソフトの設定で誤って控除しないよう確認してください。

納入証明書・納入確認書の取得

補助金の申請などで社会保険料の納付状況の証明が必要になることがあります。日本年金機構では納入証明書・納入確認書の案内が用意されています。必要な場面が想定される場合は、事前に取得方法を確認しておいてください。

図解5報酬の入金と納付期限のずれ
サービス提供月人件費が発生
翌月末日社会保険料の納付期限
翌々月報酬が入金される

開設直後や利用者数が急増した時期

  • 人件費と保険料の支出が先行する
  • 事業計画の段階でこの時間差を織り込んだ資金計画を立てる

あわせて確認

  • 子ども・子育て拠出金は全額事業主負担。従業員の給与から控除しない
  • 補助金の申請等で必要になる納入証明書・納入確認書の取得方法を事前に確認
※本文「実務上の注意点」を図解化したものです。

実務チェックリスト

□ 納付期限(翌月末日)を資金繰り表に反映した

□ 納入告知書を切り離さずに金融機関へ提出した

□ 口座振替を利用する場合、残高不足に注意した

□ 電子納付の収納機関番号(00500)と納付番号を確認した

□ 退職者について、月末退職か月途中退職かで控除月数を確認した

□ 退職月に賞与を支給した場合、保険料控除の要否を確認した

□ 納付が困難な場合、納期限から6か月以内に換価の猶予を申請した

□ 災害等の場合、納付の猶予の相談を行った

□ 子ども・子育て拠出金を従業員から控除していないことを確認した

よくある質問

Q
保険料の納付期限はいつですか。
A

納付対象月の翌月末日です。末日が休日にあたる場合は、翌日以降の最初の営業日が期限になります。

Q
納入告知書が届きません。
A

管轄の年金事務所に再発行を依頼できます。届かないことを理由に納付が遅れると延滞金の対象になり得るため、早めに連絡してください。

Q
月末に退職する職員の最終給与から2か月分引くのはなぜですか。
A

月末退職の場合、資格喪失日が翌月1日となり退職月分の保険料が発生します。そのため、前月分と退職月の2か月分を退職月の給与から控除できます。

Q
資金繰りが厳しく納付できません。
A

一時に納付することで事業の継続を困難にするおそれがある場合は、換価の猶予を申請できます。申請期限は納期限から6か月以内です。放置せず、早めに管轄の年金事務所に相談してください。

Q
延滞金はいくらかかりますか。
A

保険料額(1,000円未満切捨て)に延滞金の割合と日数を乗じて計算し、100円未満は切り捨てます。割合は毎年変動するため、適用される年の割合を日本年金機構の公表資料で確認してください。

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まとめ

保険料の納付は、翌月末日という期限と、退職者について月末退職か月途中退職かで控除月数が変わることを押さえておけば、日常的な処理は安定します。

資金繰りが厳しくなったときに重要なのは、猶予の制度が用意されていること、そして換価の猶予には納期限から6か月以内という申請期限があることです。滞納を放置すると延滞金と滞納処分につながるため、早い段階で相談してください。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請・報酬請求の実務と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。開業時の資金計画から、報酬請求と人件費・保険料のバランスまでご相談いただけます。

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主な参考資料

  • 参考:日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」「納付期限」
  • 参考:日本年金機構「社会保険料の納入告知書(納付書)について」
  • 参考:日本年金機構「延滞金について」
  • 参考:日本年金機構「退職した従業員の保険料の徴収」
  • 参考:日本年金機構「厚生年金保険料等の猶予(換価の猶予・納付の猶予)」

※本記事は令和8年8月28日時点の法令・通知・日本年金機構の公表資料に基づく一般的な整理です。実際の届出にあたっては、管轄の年金事務所・事務センターの取扱い、健康保険組合の定め、最新の様式・記載要領を必ずご確認ください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。