放課後等デイサービスの基本報酬は、支援時間の区分、利用定員、医療的ケアの必要度によって決まります。支援時間は、実際に個別支援計画に基づいて支援を行った時間で判断します。個別支援計画に書くのは時間区分ではなく具体的な支援時間で、計画と実績がずれた日の扱いにも決まりがあります。
- 支援時間は3つの区分に分かれる
- 個別支援計画には区分ではなく具体的な時間を書く
- 計画より短くなった日は、原因が利用者側か事業所側かで扱いが変わる
この記事で分かること
放課後等デイサービスの基本報酬が、支援時間の区分と利用定員、医療的ケアの必要度によってどう決まるのかを整理し、全区分の単位数を一覧で掲載します。あわせて、令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所に適用される応急的な報酬単価(1000分の982)を解説します。
はじめに
放課後等デイサービスの基本報酬は、令和6年度報酬改定で大きく変わりました。それまでの区分1・区分2という利用者の状態像による区分から、実際に支援を行った時間に応じた区分へと考え方が転換されています。
さらに令和8年6月1日からは、新規に指定を受ける事業所に基本報酬を引き下げる特例が適用されることになりました。これから開業する方にとっては見落とせない変更です。
この記事では、厚生労働省が公表する報酬算定構造とサービスコード表に基づき、支援時間区分ごとの単位数を全区分掲載したうえで、新規指定事業所の取扱いまで整理します。
この記事のポイント
- 基本報酬は「支援時間の区分」「利用定員」「医療的ケアの必要度(医療的ケア児の判定スコア)」の組み合わせで決まります。
- 区分3(3時間超5時間以下)は学校休業日のみ算定できます。
- 計画と実際の支援時間がずれた日は、短くなった原因が利用者の都合か事業所の都合かで、算定する区分が変わります。
- 令和8年6月1日以降に新規指定を受けた事業所は、所定単位数の1000分の982で算定します(既存事業所は従前どおり)。
- 自己評価結果等未公表減算、支援プログラム未公表減算など、公表を怠ることによる減算があります。
1. 放課後等デイサービスの基本報酬の全体像
放課後等デイサービスの基本報酬は、次の要素で区分が決まります。
- 利用者の類型:障害児(重症心身障害児を除く)か、重症心身障害児か
- 医療的ケアの必要度:医療的ケア児の判定スコアが32点以上、16点以上、3点以上、それ以外の4区分
- 利用定員:10人以下、11人以上20人以下、21人以上の3区分
- 支援時間:区分1、区分2、区分3の3区分
これらの組み合わせにより、障害児(重症心身障害児を除く)だけで36区分に分かれます。単位数は1日につきの数値です。
2. 支援時間による3つの区分
| 区分 | 支援時間 | 算定できる日 |
|---|---|---|
| 区分1 | 30分以上1時間30分以下 | 授業終了後・学校休業日 |
| 区分2 | 1時間30分超3時間以下 | 授業終了後・学校休業日 |
| 区分3 | 3時間超5時間以下 | 学校休業日のみ |
支援時間は、実際に個別支援計画に基づいて支援を行った時間で判断します。送迎に要する時間は含まれません。
区分3が学校休業日に限られている点は、収支計画上重要です。平日は区分1または区分2でしか算定できませんので、平日と学校休業日で1日あたりの収入が変わります。年間の授業日数と休業日数を踏まえて試算してください。
授業終了後・学校休業日
授業終了後・学校休業日
学校休業日のみ
3. 支援時間の数え方と、計画・実績がずれたときの扱い
時間区分が設けられたことで、日々の請求では「どこまでを支援時間とみるか」「計画どおりに終わらなかった日はどの区分で算定するか」の判断が必要になりました。運営指導では、個別支援計画に定めた提供時間とサービス提供記録を突き合わせて確認されます。
個別支援計画には、区分ではなく具体的な時間を定める
- 計画に定めるのは「1時間30分超3時間以下」という区分ではなく、「2時間30分」のような具体的な提供時間です。
- 支援時間は30分以上とされ、30分未満の支援は原則として報酬の対象外です。この考え方は時間区分が設けられていないサービスにも共通し、主として重症心身障害児を通わせる事業所、共生型、基準該当、保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援でも、個別支援計画に支援の提供時間を定める必要があります。
- 送迎に要する時間は、支援の提供時間に含まれません。
- 同一日に複数の障害児通所支援の報酬を算定することはできません(保育所等訪問支援のみ、他の通所支援と同一日の算定が可能。ただし同一日に複数回は算定できません)。
計画より短くなった日・長くなった日の算定
実際の支援時間が計画と異なる日は、短くなった原因が利用者側にあるか事業所側にあるかで、算定する区分が変わります。
| 状況 | 算定する時間区分 | 30分未満になったとき |
|---|---|---|
| 計画より短くなった/利用者の都合(学校の授業の延長、道路渋滞など事業所に起因しない事情を含む) | 計画に定めた提供時間の区分 | 算定できる |
| 計画より短くなった/事業所の都合 | 実際に支援に要した時間の区分 | 算定できない |
| 計画より長くなった(利用者・事業所いずれの都合でも) | 原則として計画に定めた提供時間の区分 | ― |
| 計画より長くなることがあらかじめ想定され、その内容を個別支援計画に定めて必要な体制をとっている場合(例:学校の短縮授業により3時間になる日) | 実際の提供時間に応じた区分 | ― |
台風等の悪天候で、こどもの安全を確保するため事業所の判断により提供時間を短くした場合は、計画に定める時間で算定できます。悪天候の判断は、その地域に特別警報や各警報が発令されるような場合が想定されています。
また、計画に定めた提供時間と実際の支援時間のずれが続く場合は、速やかに個別支援計画を見直します。たとえば、計画では3時間としながら、利用者の都合で1時間となる日が1か月を通じて続いているようなケースです。実際に支援に要した時間は、日々のサービス提供記録に記録しておく必要があります。
計画に提供時間の定めがない日と、30分未満の支援
- 個別支援計画が未作成の場合や、当初利用する予定がなかった日に支援を提供した場合など、計画に提供時間の定めがないときは、区分1(30分以上1時間30分以下)で算定します。
- 当初利用する予定のない日の利用も、そうした利用の想定と提供時間を個別支援計画(参考様式の別表・特記事項欄)に記載しておけば、その提供時間に応じた区分で算定できます。
- 児童発達支援管理責任者が未配置で計画の作成・見直しができない場合でも、算定できることがあります。アセスメントを行い、支援の方針・目標・内容と提供時間を定めた計画を作成し、あらかじめ保護者に説明して同意を得ていれば、その提供時間に基づいて算定できます。ただし、この場合も個別支援計画未作成減算は適用されます。
- 30分未満の支援は、周囲の環境に慣れるために支援時間を短くする必要がある場合など、あらかじめ市町村と協議し、その必要性が認められた場合に限り算定できます。個別支援計画に具体的な必要性等を定めることが必要で、算定は区分1として扱います。身近な地域に通える事業所がなく、遠方から通うためにやむを得ず短くなる場合も想定例とされています。
計画より短くなった/利用者の都合
- 個別支援計画に定めた提供時間の区分で算定する
- 学校の授業の延長や道路渋滞など、事業所に起因しない事情も同じ扱い
- 結果として30分未満になっても算定できる
計画より短くなった/事業所の都合
- 実際に支援に要した時間の区分で算定する
- 30分未満になった場合は算定できない
4. 基本報酬の単位数一覧(障害児・重症心身障害児を除く)
以下は令和8年8月時点で適用されている単位数です。いずれも1日につきの単位数です。
(一)医療的ケア児(判定スコア32点以上)の場合
| 区分 | 区分1(30分以上1時間30分以下) | 区分2(1時間30分超3時間以下) | 区分3(3時間超5時間以下・学校休業日のみ) |
|---|---|---|---|
| 定員10人以下 | 2,591単位 | 2,627単位 | 2,683単位 |
| 定員11人以上20人以下 | 2,399単位 | 2,423単位 | 2,461単位 |
| 定員21人以上 | 2,304単位 | 2,322単位 | 2,361単位 |
(二)医療的ケア児(判定スコア16点以上)の場合
| 区分 | 区分1(30分以上1時間30分以下) | 区分2(1時間30分超3時間以下) | 区分3(3時間超5時間以下・学校休業日のみ) |
|---|---|---|---|
| 定員10人以下 | 1,583単位 | 1,618単位 | 1,674単位 |
| 定員11人以上20人以下 | 1,391単位 | 1,414単位 | 1,452単位 |
| 定員21人以上 | 1,296単位 | 1,313単位 | 1,352単位 |
(三)医療的ケア児(判定スコア3点以上)の場合
| 区分 | 区分1(30分以上1時間30分以下) | 区分2(1時間30分超3時間以下) | 区分3(3時間超5時間以下・学校休業日のみ) |
|---|---|---|---|
| 定員10人以下 | 1,247単位 | 1,282単位 | 1,339単位 |
| 定員11人以上20人以下 | 1,055単位 | 1,078単位 | 1,116単位 |
| 定員21人以上 | 960単位 | 977単位 | 1,016単位 |
(四)(一)から(三)以外の場合
| 区分 | 区分1(30分以上1時間30分以下) | 区分2(1時間30分超3時間以下) | 区分3(3時間超5時間以下・学校休業日のみ) |
|---|---|---|---|
| 定員10人以下 | 574単位 | 609単位 | 666単位 |
| 定員11人以上20人以下 | 382単位 | 406単位 | 443単位 |
| 定員21人以上 | 287単位 | 305単位 | 343単位 |
多くの一般的な放課後等デイサービスは(四)に該当します。定員10人以下の事業所であれば、平日は574単位から609単位、学校休業日は最大666単位という水準です。定員10人以下と定員21人以上では、区分1で574単位と287単位のちょうど2倍、区分2・区分3でも約2倍の差がありますので、定員設計は収支に直結します。
5. 重症心身障害児・共生型・基準該当の単位数
重症心身障害児を対象とする場合は、支援時間ではなく授業終了後か学校休業日かで区分され、定員規模に応じた単位数が定められています。
| 区分 | 定員5人以上7人以下 | 定員8人以上10人以下 | 定員11人以上 |
|---|---|---|---|
| 授業終了後に行う場合 | 1,771単位 | 1,118単位 | 692単位 |
| 学校休業日に行う場合 | 2,056単位 | 1,299単位 | 817単位 |
共生型放課後等デイサービス(介護保険の通所介護事業所等が共生型の指定を受けて行う場合)および基準該当放課後等デイサービスの単位数は次のとおりです。
| 区分 | 授業終了後 | 学校休業日 |
|---|---|---|
| 共生型放課後等デイサービス給付費 | 430単位 | 507単位 |
| 基準該当放課後等デイサービス給付費(Ⅰ) | 534単位 | 602単位 |
| 基準該当放課後等デイサービス給付費(Ⅱ) | 430単位 | 507単位 |
6. 新規指定事業所への応急的な報酬単価(1000分の982)
これから開業する方にとって、最も影響が大きい変更です。
令和8年度報酬改定では、収支差率が高く事業所数の伸びが続いているサービスについて、制度の持続可能性を確保する観点から、新規事業所に限って基本報酬を引き下げる特例が設けられました。放課後等デイサービスはその対象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象サービス | 就労継続支援B型、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)、児童発達支援、放課後等デイサービス |
| 対象事業所 | 令和8年6月1日以降に新規指定された事業所(既存事業所は従前どおり) |
| 放課後等デイサービスの単位数 | 所定単位数の1000分の982に相当する単位数 |
| 適用期間 | 令和9年度報酬改定までの間 |
合併・分割・事業譲渡に伴う指定であっても、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存事業所と同様の扱いとされます。
従前の単価が適用される配慮措置
- 医療的ケア児・重症心身障害児への支援について報酬上の評価を受けている場合
- 強度行動障害児支援加算、人工内耳装用児支援加算、視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算を算定する事業所
- 離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所に係る基本報酬
- 自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所(公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所)に係る基本報酬
放課後等デイサービスは事業所数の増加が著しく、自治体によっては総量規制に近い運用を行っているところもあります。開業予定地が「サービスが不足する地域」にあたるかどうかは、指定権者に確認する価値があります。
対象サービス
- 就労継続支援B型
- 共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
従前の単価が適用される配慮措置
- 医療的ケア児・重症心身障害児への支援について報酬上の評価を受けている場合
- 強度行動障害児支援加算、人工内耳装用児支援加算、視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算を算定する事業所
- 離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所
- 自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所
7. 基本報酬に影響する減算
放課後等デイサービスには、基本報酬に直接かかる減算がいくつかあります。
- 通所支援計画未作成減算:個別支援計画が作成されていない場合。期間に応じて所定単位数の70/100または50/100となります。
- 開所時間減算:学校休業日に、開所時間が短い場合の減算です。
- 自己評価結果等未公表減算:自己評価結果等を公表していない場合の減算です。
- 支援プログラム未公表減算:支援プログラムを公表していない場合の減算です。
自己評価結果と支援プログラムの公表は、開業後に失念しやすい実務です。公表の時期と方法を、年間の業務スケジュールに組み込んでおいてください。
計画・開所時間にかかるもの
- 通所支援計画未作成減算:期間に応じて所定単位数の70/100または50/100
- 開所時間減算:学校休業日に開所時間が短い場合
公表を怠ることによるもの
- 自己評価結果等未公表減算
- 支援プログラム未公表減算
つまずきやすいポイント
平日と学校休業日の収入差を見込んでいない
区分3は学校休業日のみです。平日の支援時間が3時間を超えても区分2までの算定となりますので、年間の収入見込みは授業日と休業日を分けて計算してください。
定員を大きくすれば収入が増えると考えてしまう
定員が21人以上になると1人あたりの単位数は大きく下がります。定員10人以下と21人以上では、(四)の区分1で2倍の差があります。定員設計は、物件の広さだけでなく単位数への影響も踏まえて判断してください。
新規指定の減率を織り込んでいない
令和8年6月1日以降の新規指定では1000分の982となります。開設初期の資金繰りに反映させてください。
5領域と支援プログラムの整備が後手に回る
令和6年度報酬改定により、5領域を全体の支援計画に位置づけ、支援プログラムを策定・公表することが求められています。未公表は減算につながります。
よくある質問
医療的ケアの必要度、利用定員、支援時間の区分により、287単位から2,683単位までの幅があります。一般的な事業所が該当する(四)の区分では、287単位から666単位です。
区分ではなく、「2時間30分」のように具体的な提供時間を定める必要があります。計画に提供時間の定めがない日は、区分1(30分以上1時間30分以下)での算定になります。
学校の授業の延長や道路渋滞など、事業所に起因しない事情による短縮は利用者の都合として扱い、個別支援計画に定めた提供時間の区分で算定します。この場合は結果として30分未満になっても算定できます。事業所の都合で短くなったときは、実際に支援に要した時間の区分で算定し、30分未満であれば算定できません。
3時間超5時間以下の支援を行った場合で、学校休業日に限られます。
令和8年6月1日以降に新規指定を受けた事業所は、所定単位数の1000分の982で算定します。ただし配慮措置に該当する場合は従前の単価が適用されます。
含まれません。個別支援計画に基づいて実際に支援を行った時間で判断します。
まとめ
放課後等デイサービスの基本報酬は、支援時間・利用定員・医療的ケアの必要度で決まります。令和6年度報酬改定で支援時間による区分に変わったこと、そして令和8年6月から新規指定事業所に1000分の982の応急的な報酬単価が適用されることが、現在の要点です。
開業を検討する際は、平日と学校休業日で単位数が変わること、定員規模によって1人あたりの単位数が大きく変わることを踏まえ、年間ベースで収支を試算してください。
放課後等デイサービスの開業を、報酬の設計から支援します
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。開業支援は20万円〜(税別)、物件や事業計画の検討段階から承っています。
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体系的に知りたい方はこちら放課後等デイサービス 完全ガイド|開業・人員配置・支援時間区分・加算・運営指導主な参考資料
- 参考:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」/「介護給付費等単位数サービスコード表」/「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」/こども家庭庁・厚生労働省「児童福祉法に基づく指定通所支援に要する費用の額の算定に関する基準」/こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1(令和6年3月29日)・VOL.2(令和6年4月12日)」/同「障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A一覧(令和6年6月10日時点)」
※本記事は令和8年9月6日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。単位数は厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年6月施行)」および「介護給付費等単位数サービスコード表」により確認しています。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
