精神障害者支援体制加算は、計画相談支援・障害児相談支援の事業所が、精神障害の特性と支援方法について研修を修了した常勤の相談支援専門員を配置し、その体制を公表している場合に算定できる加算です。令和6年度の報酬改定で、(Ⅰ)60単位/月と(Ⅱ)30単位/月の2区分になりました。
- 研修修了の常勤相談支援専門員の配置と、体制の公表は(Ⅰ)(Ⅱ)共通
- (Ⅰ)は、精神障害者への支援実績と、病院等との連携体制が必要
- 体制加算なので、加算だけを単独で請求することはできない
この記事で分かること
精神障害者支援体制加算の対象事業所、(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い、研修修了者の配置・公表・届出の要件、(Ⅰ)に必要な支援実績と病院等との連携、1か月の算定の考え方と計算例、算定でつまずきやすい点を整理します。
はじめに
精神障害のある方の計画相談支援では、症状の波や通院・服薬の状況に合わせた支援が必要になり、医療機関との連携も欠かせません。こうした支援ができる体制を整えている相談支援事業所を評価するのが、精神障害者支援体制加算です。
令和6年度の報酬改定で、この加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分に見直されました。この記事では、計画相談支援の事業所向けに、2つの区分の違いと算定の要件をわかりやすく整理します。
この記事のポイント
- 算定できるのは、指定特定相談支援事業所(計画相談支援)と指定障害児相談支援事業所です。
- (Ⅰ)は60単位/月、(Ⅱ)は30単位/月です。
- どちらも、研修を修了した常勤の相談支援専門員を1名以上配置し、体制を公表する必要があります。
- (Ⅰ)は、精神障害者への支援実績と、病院等・訪問看護事業所との連携体制が追加で必要です。
- 体制加算なので、算定する月はその月に計画作成・モニタリングを行う利用者全員に加算します。
1. 精神障害者支援体制加算とは
精神障害者支援体制加算は、精神障害の特性や、それに応じた支援の方法を学ぶ研修を修了した相談支援専門員を配置し、精神障害のある方に適切に対応できる体制を整えている事業所を評価する加算です。
算定できるのは、計画相談支援を行う指定特定相談支援事業所と、障害児相談支援を行う指定障害児相談支援事業所です。個々の利用者への支援を評価する加算ではなく、事業所の体制を評価する「体制加算」に分類されます。
相談支援には、同じ仕組みの加算として、強度行動障害に対応する「行動障害支援体制加算」と、医療的ケアに対応する「要医療児者支援体制加算」もあり、いずれも(Ⅰ)60単位・(Ⅱ)30単位の2区分になっています。
あわせて読みたい計画相談支援の基本報酬|サービス利用支援費・継続サービス利用支援費の単位数2. (Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、「実際に精神障害者を支援しているか」と「医療機関等との連携体制があるか」です。
| 項目 | 加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 単位数 | 60単位/月 | 30単位/月 |
| 研修修了の | 必要 | 必要 |
| 体制の公表 | 必要 | 必要 |
| 精神障害者への | 必要 | 不要 |
| 病院等・訪問看護事業所との | 必要 | 不要 |
研修修了者を配置していても、まだ精神障害のある方の計画相談支援を行っていない事業所は、まず(Ⅱ)から算定することになります。実績と連携体制が整った段階で(Ⅰ)に切り替える、という順番が現実的です。
(Ⅰ)60単位/月
- 研修修了の常勤相談支援専門員を1名以上配置
- 体制を事業所に掲示し、公表する
- 研修修了者が精神障害者の計画相談支援を行っている
- 病院等・訪問看護事業所の看護職員等と年1回以上の面談・会議
(Ⅱ)30単位/月
- 研修修了の常勤相談支援専門員を1名以上配置
- 体制を事業所に掲示し、公表する
- 支援実績や連携体制は問わない
3. (Ⅰ)(Ⅱ)に共通の要件
研修を修了した常勤の相談支援専門員を配置する
精神障害者等の障害特性と、それに応じた支援技法などに関する研修を修了した常勤の相談支援専門員を、1名以上配置します。対象となるのは、地域生活支援事業として行われる精神障害関係従事者養成研修や、精神障害者支援の障害特性と支援技法を学ぶ研修、これらと同等と都道府県知事が認める研修です。
研修は都道府県などが実施し、開催回数や定員は地域によって異なります。どの研修が対象になるかは、受講前に指定権者へ確認しておくと安心です。修了証は届出と運営指導の両方で確認されるため、原本を保管し、写しを届出に添付します。
体制が整っていることを公表する
研修修了者を配置し、精神障害のある方に適切に対応できる体制が整っていることを、事業所に掲示するとともに公表します。公表の方法は、ホームページへの掲載など、利用者や関係機関が確認できる形にしておきます。
市町村へ届け出る
算定を始めるには、体制等に関する届出書と、研修修了証の写し、勤務の体制がわかる書類などを市町村に提出します。算定を始められる月は届出の時期によって決まるため、提出期限を確認してから準備してください。
あわせて読みたい障害福祉サービスの体制届とは?4. (Ⅰ)だけに求められる要件
精神障害者への支援実績
(Ⅰ)では、研修を修了した相談支援専門員が、前6月の間に精神障害者に対して計画相談支援を行っていることが必要です。精神障害者であることは、精神障害者保健福祉手帳、自立支援医療(精神通院医療)の受給者証、診断書、医療機関からの診療情報提供書などで確認します。
病院等・訪問看護事業所との連携体制
あわせて、利用者が通院する病院等や訪問看護事業所の保健師・看護師・精神保健福祉士と連携する体制を整えます。研修修了者とこれらの職員との間で、少なくとも1年に1回以上、面談または会議を行うことが求められます。
連携先の病院等・訪問看護事業所には、療養生活継続支援加算や精神科重症患者支援管理連携加算を算定・届出していることなどの条件があります。連携先を決める前に、相手の医療機関が条件に当てはまるかを確認してください。面談や会議を行ったときは、日時・参加者・内容を記録に残しておきます。
5. 算定のしかたと計算例
体制加算なので、算定するのはサービス利用支援費または継続サービス利用支援費を算定する月です。その月に計画作成やモニタリングを行う利用者について、精神障害のある方かどうかにかかわらず、全員に加算します。加算だけを単独で請求することはできません。
たとえば、1か月にサービス等利用計画の作成とモニタリングを合わせて30件行った場合の加算額は、次のとおりです。
| 区分 | 計算 | 加算の合計 |
|---|---|---|
| 加算(Ⅰ) | 60単位×30件 | 1,800単位 |
| 加算(Ⅱ) | 30単位×30件 | 900単位 |
1単位の単価は地域区分によって変わります。報酬の計算方法は、基本報酬の記事もあわせて確認してください。
6. 算定でつまずきやすい点
- 研修修了者が退職した、または非常勤に変わったのに、届出を変えずに算定を続けてしまう
- 研修を修了したことを口頭で確認しただけで、修了証を確認・保管していない
- 体制の公表をしていない、または掲示だけで終わっている
- (Ⅰ)の面談・会議を行ったのに、記録が残っていない
- 精神障害者への支援実績が途切れたのに、(Ⅰ)のまま算定している
要件を満たさなくなったときは、速やかに加算の取下げや区分変更の届出を行ってください。要件を満たさないまま算定を続けると、運営指導で報酬の返還を求められることがあります。
あわせて読みたい相談支援専門員の資格要件|実務経験の一覧表と研修・兼務の要件よくある質問
できます。体制を評価する加算なので、サービス利用支援費または継続サービス利用支援費を算定する月には、精神障害の有無にかかわらず、その月の利用者全員に加算します。
できません。研修を修了した相談支援専門員は常勤で配置する必要があります。常勤者が退職した場合などは、取下げや区分変更の届出が必要です。
できません。要件を満たしているほうの区分を、どちらか一方だけ算定します。
精神障害関係従事者養成研修など、精神障害の特性と支援技法を学ぶ研修や、都道府県知事がこれと同等と認める研修が対象です。受講前に指定権者へ確認してください。
少なくとも1年に1回以上、研修修了者と病院等・訪問看護事業所の保健師・看護師・精神保健福祉士との間で、面談または会議を行う必要があります。
できます。指定障害児相談支援事業所にも同じ加算があります。
まとめ
精神障害者支援体制加算は、研修を修了した常勤の相談支援専門員を配置し、体制を公表することで算定できる加算です。まず(Ⅱ)から算定を始め、精神障害のある方への支援実績と、病院等との連携体制が整った段階で(Ⅰ)へ切り替えるのが現実的な進め方です。
体制加算は、配置している職員の変化がそのまま算定の可否に影響します。退職や勤務形態の変更があったときは、届出の変更が必要かどうかを必ず確認してください。
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主な参考資料
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定」(計画相談支援・障害児相談支援)
- 都道府県・市町村による相談支援事業所の加算に関する案内資料
※本記事は令和8年9月17日時点の情報に基づいています。要件の細部や届出様式は指定権者によって異なるため、申請先の手引きもあわせてご確認ください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
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