人員配置体制加算は、共同生活援助の人員基準を超えて生活支援員等を加配している場合に算定できる加算です。加配の判定には、常勤換算方法とは異なる「特定従業者数換算方法」を使い、加算(Ⅰ)なら利用者の数÷12、加算(Ⅱ)なら÷30で必要な加配数を計算します。加算(Ⅱ)は、加算(Ⅰ)を算定している場合には算定できません。
- 判定に使うのは常勤換算ではなく特定従業者数換算方法
- 必要な加配数は12対1・30対1で計算する
- 換算数だけでなく、1週間に確保すべき勤務延べ時間数で確認する
この記事で分かること
障害者グループホーム(共同生活援助)の人員配置体制加算について、介護サービス包括型を対象に整理します。加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)の単位数、加配の基準となる12対1・30対1の考え方、常勤換算方法とは異なる「特定従業者数換算方法」の計算、有給休暇や病気休暇があったときの取扱い、届出と運営指導での確認まで解説します。
はじめに
人員配置体制加算は、令和6年度の報酬改定で共同生活援助に創設された加算です。基準上置くべき世話人・生活支援員に「加えて」職員を配置している事業所を評価するもので、手厚い支援体制を組んでいるグループホームにとっては収支を左右する加算になります。
一方で、判定に使う「特定従業者数換算方法」は、これまで人員基準で使ってきた常勤換算方法とは計算のしかたが異なります。同じつもりで計算すると、届出はしたものの実際には要件を満たしていなかった、ということが起こり得ます。この記事では、介護サービス包括型を対象に、加算の内容と計算の実務を整理します。
この記事のポイント
- 人員配置体制加算は、基準上必要な世話人・生活支援員に上乗せして配置した分を評価する加算です。
- 介護サービス包括型では、加配12対1の加算(Ⅰ)と加配30対1の加算(Ⅱ)が基本で、単位数は障害支援区分に応じて決まります。
- 判定に使う特定従業者数換算方法は、勤務延べ時間数を「週40時間」で除して員数に換算します。事業所の常勤の所定労働時間が週40時間より短くても、加算の判定は40時間で計算します。
- 常勤換算方法と違い、有給休暇や病気休暇があるとその分だけ換算数が減ります。
- 確認は1週間に確保すべき勤務延べ時間数で行います。常勤の勤務時間を短く定めている事業所ほど、加配として上乗せする時間が長くなります。
- 計算の過程で端数が出たときは小数点第2位以下を切り捨て、勤務延べ時間数には労働基準法上の最低限の休憩時間を含めて差し支えないとされています。
- 令和8年度の期中改定では、この加算の単位数の見直しは行われていません。
1. 人員配置体制加算とは
共同生活援助の人員基準では、利用者の数に応じて世話人と生活支援員を配置します。人員配置体制加算は、この基準上の人員に加えて、一定の割合以上の世話人又は生活支援員を配置している事業所について、障害支援区分に応じ1日につき所定単位数を加算するものです。
加算の対象は介護サービス包括型に限られません。日中サービス支援型や外部サービス利用型にも区分が設けられていますが、加配の割合や単位数が異なります。この記事では介護サービス包括型を扱います。
2. 介護サービス包括型の区分と単位数
| 区分 | 加配の基準 | 障害支援区分4以上 | 障害支援区分3以下 |
|---|---|---|---|
| 人員配置体制加算(Ⅰ) | 12対1 | 83単位/日 | 77単位/日 |
| 人員配置体制加算(Ⅱ) | 30対1 | 33単位/日 | 31単位/日 |
| 人員配置体制加算(Ⅲ) | 12対1(個人単位特例) | 84単位/日 | |
| 人員配置体制加算(Ⅳ) | 30対1(個人単位特例) | 33単位/日 | |
加算(Ⅱ)は、加算(Ⅰ)を算定している場合には算定できません。加算(Ⅲ)は加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)を算定している場合、加算(Ⅳ)は加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを算定している場合には、それぞれ算定できません。要件を満たす最も高い区分をひとつ選ぶ、と理解すると分かりやすいでしょう。
加算(Ⅲ)(Ⅳ)は、令和9年3月31日までの間、個人単位で居宅介護等を利用する特例の適用を受ける利用者に対して共同生活援助を行った場合の区分です。この場合、居宅介護又は重度訪問介護の利用について所要時間が8時間以上であるときは、所定単位数の100分の95に相当する単位数となります。
3. 特定従業者数換算方法とは
この加算でつまずきやすいのが、加配の判定に使う「特定従業者数換算方法」です。これは、従業者の勤務延べ時間数を「週40時間」で除して従業者の員数に換算する方法です。
人員基準で使う常勤換算方法は、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で除します。したがって、常勤の所定労働時間を週35時間や週37.5時間と定めている事業所では、両者で答えが変わります。国のQ&Aでは、常勤の勤務時間を週35時間と定めている事業所について、加算の必要加配数を算出する際にのみ特定従業者数換算方法を用い、指定基準上の人員配置に係る常勤換算はこれまでどおり週35時間で計算してよいと示されています。
つまり、同じ職員について「基準上の人員としての数え方」と「加配としての数え方」が別々になります。勤務体制一覧表を作るときは、この2つを混同しないことが出発点です。
常勤換算方法(指定基準上の人員配置)
- 除する時間数はその事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数(例:週35時間)
- 使う場面は人員基準を満たしているかの判定
- 常勤職員に有給休暇・病気休暇(1月未満のもの)があっても1人として計算
特定従業者数換算方法(加算の判定)
- 除する時間数は週40時間(事業所の所定労働時間が週40時間より短くても40時間)
- 使う場面は加算の必要加配数の算出
- 雇用形態を問わず勤務延べ時間数で計算するため、有給休暇・病気休暇があると換算数が減る
4. 必要な加配数の計算
加算(Ⅰ)であれば「利用者の数÷12」、加算(Ⅱ)であれば「利用者の数÷30」が、基準上の人員に上乗せして必要となる換算数です。これに40時間を掛けると、1週間あたりに必要な加配の勤務延べ時間数が出ます。
| 区分 | 利用者24人の場合の必要換算数 | 1週間あたりの必要勤務延べ時間数 |
|---|---|---|
| 加算(Ⅰ)(12対1) | 24÷12=2.0 | 2.0×40時間=80時間 |
| 加算(Ⅱ)(30対1) | 24÷30=0.8 | 0.8×40時間=32時間 |
判定に用いる利用者の数の取り方(前年度の平均利用者数によるかなど)と端数処理は小数点第2位以下を切り捨てます(後述)。判定に用いる利用者の数の取り方は、指定権者が示す体制届の様式・手引きに従って確認してください。加配としてカウントできるのは世話人又は生活支援員として勤務した時間です。夜間支援等体制加算の夜間支援従事者として勤務した時間を加配の時間に重ねて計上しないよう、勤務体制一覧表の段階で整理しておきます。
5. 1週間に確保すべき勤務延べ時間数
加配の換算数だけを見ていると、実際に何時間の勤務を組めばよいのかが見えません。国の留意事項通知は、この加算について「基準上置くべき世話人等」と「加配すべき世話人等」の勤務延べ時間数を合計し、1週間に確保すべき延べ時間数として示しています。届出前の確認は、この総時間数で行うのが確実です。
通知には、利用者15人(区分6が5人、区分5が4人、区分4が6人)、常勤の勤務時間が1週間40時間の事業所が人員配置体制加算(Ⅰ)を算定する場合の例が示されています。
| 内訳 | 計算 | 1週間あたりの勤務延べ時間数 |
|---|---|---|
| 世話人(6対1) | 40時間×(15÷6)人 | 100時間 |
| 生活支援員(区分6・2.5対1) | 40時間×(5÷2.5)人 | 80時間 |
| 生活支援員(区分5・4対1) | 40時間×(4÷4)人 | 40時間 |
| 生活支援員(区分4・6対1) | 40時間×(6÷6)人 | 40時間 |
| 加配すべき世話人等(12対1) | 40時間×(15÷12)人 | 48時間 |
| 合計 | — | 308時間以上 |
同じ利用者構成で、常勤の勤務時間を1週間32時間と定めている事業所ではどうなるか。基準上置くべき世話人等の勤務延べ時間数は32時間で計算するため、80時間+64時間+32時間+32時間=208時間です。確保すべき合計は308時間で変わりませんから、加配すべき勤務延べ時間数は308時間-208時間=100時間以上となります。
常勤の勤務時間が1週間40時間の事業所
- 基準上置くべき世話人等 260時間
- 加配すべき世話人等 48時間
- 確保すべき合計 308時間
常勤の勤務時間が1週間32時間の事業所
- 基準上置くべき世話人等 208時間
- 加配すべき世話人等 100時間
- 確保すべき合計 308時間
ここがこの加算の勘所です。加算の判定を週40時間に統一したことで、常勤の勤務時間の定め方によって必要な配置時間に差が出る状態が解消されました。常勤の勤務時間を週32時間や週35時間と定めている事業所は、基準を満たすだけなら少ない時間数で足りますが、加算を算定する段階では、その差の分だけ加配時間を積み増すことになります。人件費の見通しは、加算の単位数だけでなく、この時間差も含めて立ててください。
なお、基準を満たしているかどうかの判定は、従来どおりその事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数で行います。週40時間で計算するのは、加算の必要加配数を出すときだけです。
6. 端数処理と休憩時間の取扱い
特定従業者数換算方法には、計算そのもののルールが2つ定められています。どちらも通知に明記されているもので、勤務体制一覧表の作り方に直結します。
1つ目は端数処理です。計算の過程で小数点以下の端数が生じる場合は、小数点第2位以下を切り捨てます。四捨五入ではありません。たとえば換算数が2.36となる場合は2.3として扱います。
2つ目は休憩時間です。この加算における勤務延べ時間数の算出では、労働基準法第34条第1項で最低限確保すべきとされている程度の休憩時間を含めて差し支えないとされています。同項では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えることとされています。
端数処理
- 小数点第2位以下を切り捨て
- 四捨五入や切り上げではない
- 例:2.36は2.3、1.98は1.9
休憩時間
- 労働基準法第34条第1項で最低限確保すべきとされる程度の休憩時間は含めて差し支えない
- 労働時間が6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上
実務では、勤務体制一覧表の中で「休憩を含む時間」と「実労働時間」が混在してしまうことがあります。どちらで積み上げたのかを事業所内で統一し、様式の欄外にでも記載しておくと、運営指導での説明がしやすくなります。様式や記載方法は指定権者が指定している場合があるため、あわせて確認してください。
7. 有給休暇・病気休暇があったときの扱い
従来の常勤換算方法では、常勤職員に有給休暇や病気休暇(1月未満のものに限ります)があっても、常勤換算数は1人として計算していました。これに対し特定従業者数換算方法は、雇用形態を問わず勤務延べ時間数で計算するため、有給休暇や病気休暇があるとその分だけ換算数が減ります。国のQ&Aでも、この理解でよいことが示されています。
実務上の意味は小さくありません。ぎりぎりの時間数で届け出ていると、職員が有給休暇を取得した月に要件を満たさなくなる可能性があります。年次有給休暇の計画的付与や、常勤職員の欠勤が見込まれる時期を織り込んで、余裕を持った勤務シフトを組む必要があります。
常勤換算方法
- 常勤職員に有給休暇や病気休暇(1月未満のもの)があっても常勤換算数は1人として計算
特定従業者数換算方法
- 雇用形態を問わず勤務延べ時間数で計算するため、休んだ分だけ換算数が減る
8. 届出と運営指導での確認
算定にあたっては体制届(介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出書)を提出します。人員配置体制加算については、加配の状況を確認するための参考様式が用意されており、基準上必要な人員と加配分を分けて記入します。
届出の時期は加算の一般的なルールに従い、15日以前の届出は翌月から、16日以降の届出は翌々月からの算定になります。運営指導では、届出の内容と実際の勤務実績(勤務体制一覧表、出勤簿やタイムカード、賃金台帳)との突合が行われます。届け出た時間数を実際に確保できていなかった場合は、報酬返還の対象になり得ます。
運営指導で突合される主な書類
- 勤務体制一覧表
- 出勤簿・タイムカード
- 賃金台帳
届け出た時間数を確保できていなかった場合
- 報酬返還の対象になり得ます。
つまずきやすいポイント
常勤換算と同じ計算をしてしまう
常勤の所定労働時間が週40時間未満の事業所では、常勤換算の数字をそのまま加算の判定に使うと過大になります。加算の判定は週40時間で除して計算します。
基準上の人員と加配を区別していない
加算はあくまで「基準上の人員に加えて」配置した部分を評価するものです。基準を満たすために必要な時間を加配としてカウントすることはできません。
要件ぎりぎりで届け出てしまう
有給休暇や病気休暇で換算数が減る仕組みである以上、必要時間数と同じ水準で組むと月によって要件を割り込みます。人の入退職が重なる時期にも注意が必要です。
よくある質問
加算の必要加配数を算出する際は特定従業者数換算方法(週40時間)で計算します。指定基準上の人員配置に係る常勤換算は、これまでどおり週35時間で計算して差し支えないとされています。
特定従業者数換算方法では雇用形態を問わず勤務延べ時間数で計算するため、有給休暇や病気休暇があった場合は換算数が減ります。常勤換算方法とは扱いが異なります。
できません。加算(Ⅱ)は加算(Ⅰ)を算定している場合には算定しないこととされています。要件を満たす区分をひとつ選んで算定します。
令和9年3月31日までの間、個人単位で居宅介護等を利用する特例の適用を受ける利用者に共同生活援助を行った場合の区分です。居宅介護又は重度訪問介護の所要時間が8時間以上のときは、所定単位数の100分の95に相当する単位数となります。
増えます。通知の例(利用者15人、区分6が5人・区分5が4人・区分4が6人)では、確保すべき勤務延べ時間数の合計は308時間で、常勤の勤務時間の定め方にかかわらず変わりません。常勤が週40時間の事業所は加配48時間で足りる一方、常勤が週32時間の事業所は基準部分が208時間にとどまるため、加配は100時間必要です。
この加算における勤務延べ時間数の算出については、労働基準法第34条第1項で最低限確保すべきとされている程度の休憩時間を含めて差し支えないとされています。事業所独自に長く定めた休憩時間まで含められるという趣旨ではありません。
まとめ
人員配置体制加算は、基準上の人員に上乗せした配置を評価する加算です。介護サービス包括型では、加配12対1の加算(Ⅰ)で1日83単位(区分4以上)、加配30対1の加算(Ⅱ)で1日33単位(区分4以上)と、利用者数によっては年間で相応の金額になります。
算定できるかどうかの分かれ目は、特定従業者数換算方法を正しく理解しているかどうかです。週40時間で除すること、有給休暇や病気休暇で換算数が減ること、端数は小数点第2位以下を切り捨てること。この3点を押さえたうえで、1週間に確保すべき勤務延べ時間数として総量を把握し、余裕を持った勤務シフトと記録の整備を進めてください。
グループホームの加算算定と労務管理を、あわせてご相談ください
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、加算の届出・報酬請求の実務と勤務シフト・労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。
静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。「この配置で加算を算定できるか」「勤務体制一覧表の作り方が分からない」といった運営中のご相談も承っています。
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主な参考資料
- 参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」別紙5「共同生活援助における人員配置体制加算の創設について」
- 参考:厚生労働省 事務連絡「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)問36・問37
- 参考:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号)
- 参考:こども家庭庁・厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」
※本記事は令和8年9月8日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
