児発管・サビ管が人員基準上必要な配置を欠いた場合、その事業所は欠如減算の対象になります。減算は欠如が生じた月の翌々月から始まり、欠如が解消された月まで続きます。裏を返せば、欠如が生じた月の翌月末までに後任を配置できれば減算は生じません。
- 減算が始まるのは欠如した月の翌々月から
- 終期は「解消された月の前月まで」ではなく解消された月まで
- 期限は「減算が始まる日まで」ではなく「欠如した月の翌月末まで」
- 配置は書類の日付ではなく勤務の実態で判断される
はじめに
児童発達支援管理責任者(児発管)やサービス管理責任者(サビ管)が退職すると、事業所の収入は大きく変わります。人員欠如減算は加算の有無ではなく、基本報酬そのものを30%、長引けば50%落とすためです。
しかもこの減算は、日付の問題です。いつ欠如したのか、いつ後任を配置したのか。その1日の違いが、1か月分の減算になったりならなかったりします。
この記事では、児発管・サビ管の欠如減算について、減算が始まる月と終わる月、退職日・配置日による違い、あわせて問題になる個別支援計画(通所支援計画)未作成減算との関係を整理します。
1. 欠如減算の始まりと終わり
児発管・サビ管の欠如減算とは
人員基準上必要とされる児発管・サビ管が配置されていない場合、その事業所の基本報酬が減算されます。生活支援員や児童指導員などの従業者が欠如した場合とは、減算が始まる月の考え方も、減算率の区切りも異なります。
| 項目 | 従業者 | 児発管・ |
|---|---|---|
| 減算が始まる月 | 1割を | 不足の |
| 減算率の区切り | 3月未満は | 5月未満は |
| 令和8年6月からの | 対象 | 対象外 |
従業者の欠如には「1割」という区分と、令和8年6月から始まった猶予の特例がありますが、児発管・サビ管にはどちらもありません。欠如が生じれば、機械的に翌々月から減算が始まります。
あわせて読みたい人員欠如減算|減算率と令和8年6月からの特例的取扱い減算はいつ始まり、いつ終わるか
児発管・サビ管の欠如減算は、欠如が生じた月の翌々月から、人員欠如が解消されるに至った月まで、利用者の全員について適用されます。押さえどころは2つです。
始期:欠如した月とその翌月は減算されない
減算は翌々月からです。裏を返せば、欠如が生じた月の翌月末までに後任を配置できれば、減算は生じません。ここが実務上の勝負どころになります。
終期:解消された月「まで」減算される
見落としやすいのが終期です。減算は「解消された月の前月まで」ではなく「解消されるに至った月まで」続きます。月の初日に後任を配置しても、その月は減算の対象です。
2. 退職日・配置日の具体例
6月30日に退職した場合|8月31日配置と9月1日配置の違い
6月30日に児発管が退職したとします。翌7月1日から欠如となるため、欠如が生じた月は7月、減算が始まるのはその翌々月の9月です。ここで後任の配置日が1日違うと、結論が入れ替わります。
| 後任の配置日 | 欠如が | 減算 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 8月31日に配置 | 8月 | なし | 減算が |
| 9月1日に配置 | 9月 | 9月分が減算 | 解消されるに |
わずか1日で、減算がゼロか1か月分かが分かれます。欠如が生じた月の翌月末が実質的な期限だと理解しておいてください。
同じことが退職日の側でも起こります。6月29日退職であれば欠如は6月30日から、欠如が生じた月は6月、減算開始は8月です。月末退職か、その1日前かで、減算の開始が1か月ずれます。
| 退職日 | 欠如が生じた月 | 減算が始まる月 |
|---|---|---|
| 6月29日 | 6月 | 8月 |
| 6月30日 | 7月 | 9月 |
後任が決まっていない段階で退職日を相談できるのであれば、この違いは知っておいて損はありません。ただし、退職前に長期の有給休暇を消化するなど、実際には業務から離れている期間が長い場合、形式的な退職日ではなく実態で欠如の時点を判断される可能性があります。判断に迷う場合は指定権者に確認してください。
8月31日に配置
- 欠如が解消される月:8月
- 減算:なし(減算が始まる9月より前に解消)
9月1日に配置
- 欠如が解消される月:9月
- 減算:9月分が減算(解消されるに至った月まで)
「減算が始まる日に配置すれば間に合う」わけではない
サービス管理責任者(サビ管)や児童発達支援管理責任者(児発管)が退職した場合、すぐに減算が始まるわけではありません。原則として、人員欠如が発生した月の翌々月から人員欠如減算が始まります。
「減算が始まる日に配置すれば間に合う」わけではありません。
翌月末までに配置できれば減算されない
サビ管・児発管が欠如した場合でも、欠如した月の翌月末までに人員基準を満たせば、減算は適用されません。
例えば、8月31日にサビ管が不在になった(8月31日に人員欠如が発生した)ケースで考えます。
| 日付 | 取扱い |
|---|---|
| 8月31日 | サビ管が |
| 9月30日 | 減算回避の期限 |
| 10月1日 | 人員欠如減算の |
| ポイント | 9月30日までに |
この場合、9月30日までに新しいサビ管を配置すれば減算はありません。
一方、配置が10月1日になった場合は、すでに減算期間に入っているため、10月は人員欠如減算の対象となります。
| 配置日 | 減算 |
|---|---|
| 9月30日配置 | 減算なし |
| 10月1日配置 | 10月は減算 |
たった1日の違いですが、報酬上の取扱いは変わります。
「翌々月から減算」だけ覚えると間違いやすい
サビ管・児発管の欠如減算について、「翌々月から減算だから、それまでに見つければいい」と考えてしまいがちです。
しかし、正確には「欠如した月の翌月末までに人員基準を満たしているか」が重要です。
減算開始月の初日に配置するのでは遅く、前月末までに配置を完了させる必要があります。
特に月末に退職や異動が発生した場合は、欠如期間そのものが短くても、月をまたぐタイミングによって減算の有無が変わるため注意が必要です。
確認する日付は3つ|重要なのは②の翌月末
- ① 人員欠如が発生した日
- ② 欠如した月の翌月末
- ③ 減算が開始する翌々月
重要なのは②です。減算を回避するためには、「減算開始日まで」ではなく「欠如した月の翌月末まで」に人員基準を満たす必要があります。
サビ管・児発管の退職が決まった場合は、減算開始月だけを見るのではなく、まず「いつまでに配置すれば減算を回避できるのか」を確認しておくことが重要です。
「配置」は書類の日付ではなく実態で判断される
注意が必要なのは、ここでいう「8月31日に配置した」というのが、実際にその日から児発管・サビ管として業務に従事していることを指すという点です。変更届の日付だけを8月31日にしても、勤務の実態がなければ配置とは認められません。
運営指導では、次のような資料から実際の勤務開始日が確認されます。
- 雇用契約書、辞令、労働条件通知書
- 勤務形態一覧表(従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表)
- 出勤簿、タイムカード、シフト表
- 賃金台帳、給与明細
- アセスメント記録、個別支援計画、会議録など児発管・サビ管としての業務記録
書類上の日付と実態が食い違えば、遡って減算の対象となり、受け取った報酬の返還に加えて加算金が課されることもあります。月末ぎりぎりの配置になる場合ほど、初日にどの業務を行ったかが分かる記録を残しておいてください。
あわせて、配置する人が資格要件(実務経験と研修修了)を満たしているかも確認されます。要件を満たさない者を配置しても、欠如は解消しません。
あわせて読みたいサービス管理責任者の資格要件|研修・実務経験の数え方と配置人数3. 減算率と月数の数え方
減算が適用される月から5月未満は所定単位数の100分の70、連続して5月以上は100分の50です。
| 減算が | 算定できる単位数 | 実質の減算率 |
|---|---|---|
| 1か月目から | 所定単位数の | 30%減 |
| 5か月目以降 | 所定単位数の | 50%減 |
数えるのは「欠如していた月数」ではなく「減算が適用された月数」です。7月に欠如が生じて9月から減算が始まった場合、9月が1か月目、10月が2か月目と数え、翌年1月が5か月目にあたります。
| 1か月目〜4か月目 | 70/100 |
|---|---|
| 5か月目以降 | 50/100 |
4. 個別支援計画(通所支援計画)未作成減算は別に適用される
児発管・サビ管が不在になると、個別支援計画(障害児通所支援では児童発達支援計画・放課後等デイサービス計画などの通所支援計画)の作成や見直しができなくなります。計画未作成減算は欠如減算とは別に定められた減算で、始期も終期も減算率も異なります。
| 項目 | 児発管・ | 個別支援計画 |
|---|---|---|
| 減算が始まる月 | 欠如が | 計画が |
| 減算が終わる月 | 解消されるに | 解消されるに |
| 減算率 | 5月未満は | 3月未満は |
| 対象となる利用者 | 利用者の全員 | 計画が |
未作成減算は計画がない月から始まるため、欠如減算よりも早く効き始めます。先ほどの例でいえば、8月31日に後任を配置して欠如減算を回避できたとしても、7月・8月に更新期限が来ていた利用者について計画が作成されていなければ、未作成減算は別途かかります。
欠如減算を避けられたことと、計画未作成の問題が解消したことは別です。児発管・サビ管が抜けた時点で、更新期限が近い利用者の一覧を作り、誰の計画がいつまでに必要かを押さえてください。
なお、両方の減算に同時に該当した場合の取扱い(重複して適用するのか、いずれか一方なのか)は通知上明示されていません。該当しそうな場合は、請求前に指定権者へ確認してください。
また、加算の中には人員基準を満たさない場合は算定しないこととされているものがあります。欠如の間に算定できる加算かどうかも、加算ごとの要件を確認してください。
| 児発管・サビ管の欠如減算 | 個別支援計画(通所支援計画)未作成減算 |
|---|---|
|
|
5. 欠如を避ける・短くするための実務
やむを得ない事由によるみなし配置を検討する
退職、病休など事業者の責に帰さない事由により児発管・サビ管が欠如し、直ちに配置することが困難な場合には、実務経験要件を満たす者を1年間みなし配置できる取扱いがあります。
さらに、欠如した時点で既に基礎研修を修了しており、欠如する以前からその事業所に配置されていた者については、実践研修を修了するときまで(最長で欠如した日から2年間)延長されます。
適用の可否は指定権者が個別に判断します。欠如が見込まれた時点で、まず指定権者に相談してください。
退職の申出を受けたら、日付を3つ確認する
- 退職日
- 有給休暇の消化予定
- 最終出勤日
実際に業務から離れる日がいつかで、欠如が生じた月が決まります。長期の有給消化がある場合は、形式的な退職日で判断できるとは限りません。
届出を遅らせない
人員の変更に係る変更届(原則として変更のあった日から10日以内)と、減算を反映する体制届を提出します。減算の届出をしないまま請求を続けると、後日の運営指導で報酬返還と加算金の対象になり得ます。自ら届け出て減算を反映するのが基本です。
平時にやっておくこと
- 基礎研修修了者を計画的に育成し、みなし配置に備える
- 児発管・サビ管の更新研修の期限(5年)を管理する
- 求人は欠員が出てから出すのでは間に合わないことがあるため、常時の採用ルートを持っておく
- 個別支援計画の更新期限を一覧で管理し、担当者以外でも把握できる状態にしておく
よくある質問
欠如が生じた月の翌々月からです。6月30日に退職して7月1日から欠如となった場合、欠如が生じた月は7月、減算が始まるのは9月です。
8月31日までに配置できれば減算はありません。9月1日の配置になると、解消されるに至った月まで減算されるため、9月分が減算になります。1日の違いで結論が変わります。
書類上の日付だけでは足りません。実際にその日から児発管・サビ管として勤務している実態が必要です。雇用契約書、勤務形態一覧表、出勤簿、賃金台帳、業務記録などから確認され、実態が伴わなければ遡って減算・報酬返還の対象になります。
されます。減算は解消されるに至った月まで続くため、月の初日に配置してもその月は減算の対象です。
使えません。特例の対象は従業者の欠如に限られ、児発管・サビ管の欠如は対象外です。
別の減算です。欠如減算を回避できても、更新期限が来ていた利用者の個別支援計画(通所支援計画)が作成されていなければ、計画未作成減算は別途かかります。
減算が適用される月から連続して5月以上となった月、つまり5か月目以降です。1か月目から4か月目は所定単位数の100分の70です。
まとめ
- 児発管・サビ管の欠如減算は、欠如が生じた月の翌々月から、解消されるに至った月まで適用されます
- 減算率は1か月目から4か月目が100分の70、5か月目以降は100分の50です
- 6月30日退職なら、8月31日までの配置で減算はゼロ、9月1日の配置だと9月分が減算されます
- 「減算が始まる日に配置すれば間に合う」わけではなく、期限は欠如した月の翌月末です。退職が決まったら、減算開始月だけでなく「いつまでに配置すれば減算を回避できるのか」をまず確認してください
- 「配置」は書類の日付ではなく勤務の実態で判断されます
- 令和8年6月からの人員欠如減算の特例は、児発管・サビ管には使えません
- 個別支援計画(通所支援計画)未作成減算は計画がない月から始まり、欠如減算より早く影響が出ます
減算の判断や、みなし配置の適用は指定権者が行います。児発管・サビ管の退職の申出を受けたら、まず所轄の指定権者に連絡することをおすすめします。
児発管・サビ管の欠如と減算のご相談を承ります
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、人員基準の管理、減算の判定、届出、採用・労務までをひとつの窓口でご相談いただけます。
静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。「いつから減算になるのか」「この配置で欠如は解消するのか」といったご相談も承っています。
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主な参考資料
※本記事は令和8年8月時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
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