処遇改善加算のQ&Aを解説|賃金改善・対象職員・キャリアパス要件の疑問

処遇改善加算のQ&A|賃金改善・対象職員・キャリアパス要件の疑問

厚生労働省の「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)」(令和7年3月17日)は、賃金改善の考え方、対象になる職員、キャリアパス要件などの疑問に国が答えたものです。障害福祉サービスの処遇改善加算も同じ仕組みで運用されているため、実務で迷いやすい問の多くはそのまま参考になります。

  • 賃金改善額が加算額を下回ると返還の対象。ただし一時金で追加配分すれば返還を求めない扱いもある
  • 賃金全体の水準を下げたときは特別事情届出書が必要
  • キャリアパス要件Ⅳは法人単位で、申請する事業所の数以上の人数を設定すればよい

この記事で分かること

介護職員等処遇改善加算のQ&Aのうち、障害福祉サービスの処遇改善加算にも通じる問について、賃金改善の基準点、賃金改善に含めるもの・含めないもの、支給時期と返還、賃金水準を下げるときの手続き、対象になる職員、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳ、職場環境等要件を、問ごとにわかりやすく整理します。

はじめに

処遇改善加算は、要件の文章だけでは判断しにくい場面が多く、国がQ&Aで考え方を示しています。この記事では、厚生労働省の「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)」(令和7年3月17日)をもとに、実務でよく迷う問を解説します。

このQ&Aは介護保険の加算についてのものですが、障害福祉サービスの「福祉・介護職員等処遇改善加算」も同じ仕組みで作られています。この記事では、介護サービスにしかない問(特定施設や介護老人保健施設に関する問など)と、令和6・7年度だけの経過的な問は取り上げていません。本文中の「介護職員」は、障害福祉では「福祉・介護職員」と読み替えてください。

この記事のポイント

  • 賃金改善の基準は、原則として初めて加算を算定した年度の前年度の賃金水準です。
  • キャリアパス要件や職場環境等要件のための費用は、賃金改善額に含められません
  • 賃金改善額が加算額を下回ると返還の対象ですが、不足分を一時金で配分すれば返還を求めない扱いもできます。
  • 賃金全体の水準を下げたときは特別事情届出書が必要です。
  • キャリアパス要件Ⅲの昇給は、基本給だけでなく手当や賞与でもかまいません。

1. このQ&Aを読むときの注意点

このQ&Aは介護保険の加算について出されたものです。障害福祉サービスの処遇改善加算についても、厚生労働省・こども家庭庁から同じ趣旨のQ&Aが出ていますが、金額や年度が異なる部分があります。

項目このQ&A(介護・令和7年3月)障害福祉で確認すること
キャリアパス要件Ⅳの年収年額440万円障害福祉の令和8年度のQ&Aでは年額460万円
対象になる職員の呼び方介護職員福祉・介護職員
加算の算定対象介護報酬の総単位数障害福祉サービス等報酬の総単位数

実際に計画書や実績報告を作るときは、申請先の指定権者が案内している最新の通知・Q&Aもあわせて確認してください。

2. 賃金改善の基準点と比べ方

問1-1 賃金改善の基準点はいつ?

処遇改善加算では、加算の額に相当する賃金改善を行う必要があります。賃金改善額は、加算を使って改善したあとの実際の賃金水準と、加算を算定しなかった場合の賃金水準を比べて出します。

比べる「加算を算定しなかった場合の賃金水準」は、原則として、初めて処遇改善加算(旧3加算や過去の交付金等を含む)を算定した年度の前年度の賃金水準です。

職員構成が大きく変わって前年度の水準を推計しにくい場合や、新しく事業所を開設した場合は、加算を除いた報酬の見込額をもとに営業計画・賃金計画を立て、試算する方法でもかまいません。

問1-2 職員が減ったり入れ替わったりしたときは?

実績報告では、今年度の賃金額(加算の影響を除いたもの)と、前年度の賃金額(加算や独自の賃金改善の影響を除いたもの)を比べます。これは、加算以外の部分で賃金水準を下げていないかを確認するためのものです。

賃金表の改訂などで基本給を一律に下げたわけではないのに、職員数の減少や、勤続年数の長い職員の退職と新卒採用といった入れ替わりで、今年度の額が前年度を下回ることがあります。この場合は、前年度の額を調整してかまいません。

調整の方法として、退職者は前年度に在籍していなかったものとして、新しく採用した職員は同じ職種・同程度の勤続年数の職員が前年度に在籍していたものとして、それぞれ前年度の賃金総額を推計する方法が示されています。

区分勤続10年(月35万円)勤続5年(月30万円)勤続1年(月25万円)賃金総額
前年度(実際)10人・4,200万円5人・1,800万円5人・1,500万円7,500万円
前年度(調整後)5人・2,100万円5人・1,800万円10人・3,000万円6,900万円
今年度(実際)5人・2,100万円5人・1,800万円10人・3,000万円6,900万円

この例では、勤続10年の職員が5人退職し、代わりに5人を新しく採用しています。前年度を調整後の6,900万円で比べれば、賃金水準を下げていないことを示せます。

3. 賃金改善に含めるもの・含めないもの

問1-3 「決まって毎月支払われる手当」とは?

労働と直接の関係があり、本人の個人的な事情に関係なく支払われる手当のことです。毎月支払われるものであれば、月ごとに額が変わる手当も含まれます。名称は「処遇改善手当」に限らず、職能手当、資格手当、役職手当、地域手当などでもかまいません。

一方、月によって支払われるかどうかが変わる手当や、通勤手当・扶養手当のように本人の事情で支払われる手当は、「決まって毎月支払われる手当」には入りません。ただし、賃金改善の対象となる賃金には含めてかまいません。

問1-4 時給や日給の引上げは、基本給の引上げになる?

なります。時給制・日給制の職員の時給や日給を引き上げることは、基本給の引上げとして扱えます。時給や日給に上乗せする形の手当も、「決まって毎月支払われる手当」と同じように扱えます。

問1-5 キャリアパス要件や職場環境等要件の費用は含められる?

含められません。ここでいう賃金改善は賃金を改善することを指すため、研修の実施や職場環境の整備にかかった費用は、賃金改善額に入れることはできません。

問1-6 処遇改善の手当は、最低賃金の計算に含める?

加算額が臨時の賃金や賞与ではなく、毎月の通常の賃金として支払われている場合は、最低賃金と比べる賃金に含まれます。ただし、加算の目的からすると、最低賃金を満たしたうえで賃金を引き上げることが望ましいとされています。

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問1-7 法定福利費はどこまで含められる?

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金、雇用保険料、労災保険料などのうち、賃金改善に応じて増えた事業主負担分を含められます。法人事業税の外形標準課税で増えた付加価値額の分も対象です。計算は合理的な方法に基づく概算でかまいません。

退職手当共済制度の掛金など、任意加入の制度の増加分は含められません。

あわせて読みたい処遇改善加算と法定福利費|賃金改善額に含められる範囲と計算方法
図解1賃金改善額に含めるもの・含めないもの

含められるもの

  • 基本給・手当・賞与の改善分(退職手当は除く)
  • 賃金改善に伴って増えた法定福利費の事業主負担分
  • 法人事業税の外形標準課税の付加価値額の増加分

含められないもの

  • キャリアパス要件のための研修費用など
  • 職場環境等要件のための取組の費用
  • 退職手当共済など任意加入の制度の掛金の増加分
※Q&A問1-5・問1-7をもとに整理したものです。

4. 支給時期と返還の考え方

問1-8-1 賃金改善はいつ支給する?

支給する月は、加算の算定対象月と同じでなくてもかまいません。次の3つのパターンから、事業者が選べます。配分の方法は、あらかじめ労使で合意しておくよう努めてください。

パターン6月分の加算の支給時期
6月の労働時間をもとに、6月中に見込額で支払う
6月の労働時間をもとに、7月中に支払う
6月分の報酬が国保連の審査を経て8月に入金されるため、8月中に支払う

問1-8-2 ③のパターンで事業所を廃止するときは?

通常の支給スケジュールにかかわらず、最後の賃金の支払いまでに、加算額以上の賃金改善を行う必要があります。たとえば③のパターンで支給していた事業所が5月で廃止になる場合、5月の支払いで3月分・4月分・5月分の3か月分をまとめて支給します(一時金での精算でもかまいません)。

加算額以上の賃金改善ができなかった月の加算は、返還の対象になります。

問1-9 賃金改善額が加算額を下回ったら返還?

賃金改善額が加算額以上であることが要件なので、下回った場合は返還の対象になります。ただし、足りない分を賞与などの一時金として職員に追加で配分すれば、返還を求めない扱いにしてかまわないとされています。

図解2廃止する事業所の支給の例
3月の支払い1月分
4月の支払い2月分
5月の支払い(最終)3月分・4月分・5月分
※③のパターン(2か月後に支給)で、5月に事業所を廃止する場合の例です。

5. 賃金水準を下げるときの手続き

問1-12 賃金改善の方法は、労使で協議が必要?

処遇改善計画書の内容と、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲを満たすための書類は、すべての職員に周知する必要があります。就業規則の不利益変更にあたるような場合は、合理的な理由に基づき、労使の合意を得る必要があります。

問1-13 経営悪化で賃金水準を下げてもよい?

利用者数の大幅な減少などで経営が悪化し、事業の継続が難しい場合でも、賃金水準を下げるには、合理的な理由に基づいて労使の合意を得る必要があります。

業績に連動する賞与が業績に応じて変動することは妨げられませんが、処遇改善加算による賃金改善は、その変動とはっきり区分しておく必要があります。

問1-14 基本給は上げたが、賞与を下げたときは?

加算で一部の賃金項目を引き上げていても、事業の継続のために賃金全体の水準が下がった場合は、特別事情届出書の提出が必要です。賃金全体の水準が下がっていなければ、個々の項目が下がっても届出は不要です。

届出書には、次の内容を記載します。

  • 法人の収支(事業による収支に限る)が、利用者数の大幅な減少などで悪化し、一定期間赤字が続いている、資金繰りに支障があるなどの状況
  • 職員の賃金水準の引下げの内容
  • 法人の経営と職員の賃金水準の改善の見込み
  • 労使の合意を得た時期と方法など、必要な手続きの内容

賃金水準を下げる原因となった状況が改善したら、できるだけ早く元の水準に戻す必要があります。

問1-15 一部の職員だけ下げた場合も届出が必要?

一部の職員の賃金を下げても、事業所の職員全体の賃金水準が下がっていなければ、特別事情届出書は不要です。ただし、一部の職員の賃金を下げることは不利益変更にあたると考えられるため、合理的な理由に基づいて労使の合意を得てください。

図解3特別事情届出書が必要かどうか

届出が不要

  • 基本給は上げたが賞与を下げ、賃金全体の水準は下がっていない
  • 一部の職員の賃金を下げたが、職員全体の賃金水準は下がっていない

届出が必要

  • 経営の悪化などで、賃金全体の水準を引き下げた
  • 基本給を上げても、賞与の引下げで賃金全体の水準が下がった
※届出が不要な場合でも、一部の職員の賃金を下げることは不利益変更にあたるため、労使の合意が必要です。

6. 対象になる職員

問2-1 賃金改善の対象者はどう決める?

事業所内での配分は、介護職員(障害福祉では福祉・介護職員)への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分します。そのうえで、事業所内で職種をまたいで柔軟に配分することが認められています。

問2-1-2 柔軟な配分の対象に、すべての職種が入る?

介護のQ&Aでは、看護職員、機能訓練の職員、相談員、栄養士、調理員、事務職など、介護職以外の全職種が対象に含まれるとされています。

問2-2 もともと賃金が高い職員も対象にできる?

できます。令和6年度以降は、加算による賃金改善の前から一定額以上(介護のQ&Aでは年額440万円)の賃金を受けている職員も、賃金改善の対象に含められます。

問2-3 技能実習生や特定技能の外国人は対象になる?

対象になります。EPAによる介護福祉士候補者、介護職種の技能実習生、介護分野の1号特定技能外国人は、いずれも日本人と同等以上の報酬を受けることが要件とされているため、加算の対象です。

問2-4 派遣職員も対象になる?

対象にできます。賃金改善の方法などを派遣元と相談したうえで、派遣職員を含めて計画書と実績報告書を作ります。加算を原資とした派遣料の上乗せが、派遣職員の給与に反映されるよう派遣元と協議してください。在籍型の出向者や業務委託の職員も、同じように考えます(問2-5-1)。

問2-6 一部の職員に集中して配分してもよい?

要件は、事業所(法人)全体での賃金改善額が加算額以上になることです。そのうえで、一部の職員や一部の事業所に集中させるなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分はしないでください。

また、賃金改善の方法は職員に周知し、職員から問い合わせがあったときは、書面を使うなどしてわかりやすく回答してください。

問2-7 介護と障害福祉を兼務する職員の賃金は?

計画書に記載する賃金は、原則として常勤換算方法で計算します。介護サービスと障害福祉サービスを兼務している職員は、常勤換算方法で按分して計算します。計算が難しい場合は、その職員が実際に受け取っている額で判断してもかまいません。

問2-8 法人本部の職員は対象になる?

法人本部の職員でも、加算の対象となる事業所の業務を行っていると判断できる場合は、賃金改善の対象に含められます。一方、加算を算定していない事業所や、加算の対象外のサービスの事業所で働く職員は、対象に含められません。

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7. 月額賃金改善要件

問3-1 手当を基本給に付け替えるとき、収入が減る職員が出てもよい?

賃金の水準は、労働協約や就業規則などに基づいて労使で協議して決めるものです。月額賃金改善要件を満たすために手当や一時金の一部を基本給に付け替える場合も、事業所全体の賃金水準が下がらないようにするだけでなく、職員一人ひとりの賃金水準が下がらないように努めてください。

8. キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ

問4-1 「就業規則等」の「等」とは?

法人全体の取扱要領や、就業規則の作成義務がない事業場(常時10人未満)の内規などを想定しています。

問4-2 「職員と意見を交換しながら」とは、どんな方法?

対面での話し合いに加え、労働組合がある場合は労働組合との意見交換、メールでの意見募集など、できるだけ多くの職員の意見を聴く機会を設けることが望ましいとされています。

問4-3 「資質向上のための目標」の例は?

事業所の運営状況や職員のキャリア志向を踏まえて設定します。例として、利用者のニーズに応じたサービスのために職員が技術や能力(コミュニケーション能力、問題解決能力、マネジメント能力など)を高めること、事業所全体での資格の取得率を上げることが挙げられています。

問4-4 「資質向上のための計画」はどう作る?

決まった様式や基準はなく、事業所の運営方針や求める職員像、職員のキャリア志向に合わせて設定します。計画期間の定めもなく、賃金改善実施期間と合わせる必要もありません。無理な計画で業務の妨げにならないよう配慮してください。

Q&Aでは、テーマ・対象者・実施月を並べた研修計画や、経験の浅い職員に先輩職員を担当者としてつけて日常業務の中で指導する方法、月1回のケース検討、他事業所との交流、都道府県の研修への参加などが例として示されています。

問4-5 「能力評価」とは?

個別面談などを通じて、職員の自己評価に対し、先輩職員やリーダー、管理者などが評価する方法が考えられます。必ずしも全職員に評価を行う必要はありませんが、職員が自分の業務や能力をどう認識し、それが事業所の方向性の中でどう評価されているかを確かめ合うことが大切とされています。

問4-6 キャリアパス要件ⅠとⅢの違いは?

要件Ⅰは、職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整えることで、昇給の内容までは求めていません。要件Ⅲは、経験、資格または評価に基づく昇給の仕組みを設けることが求められます。

問4-7 要件Ⅲの昇給は、手当や賞与でもよい?

基本給で行うことが望ましいとされていますが、基本給・手当・賞与のいずれでもかまいません。

問4-8 非常勤職員や派遣職員も昇給の仕組みの対象?

要件Ⅲの昇給の仕組みは、非常勤職員を含め、事業所や法人に雇用されるすべての職員が対象になり得るものである必要があります。派遣職員を加算の対象にする場合は、その派遣職員にも要件Ⅲにあたる昇給の仕組みが整っていることが必要です。

問4-9 「一定の基準」とは?

昇給の判定基準は、客観的な評価基準や昇給の条件が明文化されている必要があります。判定の時期は事業所の規模や経営状況に応じて決めてかまいませんが、これも明文化しておく必要があります。

図解4キャリアパス要件ⅠとⅢの違い

キャリアパス要件Ⅰ

  • 職位・職責・職務内容に応じた任用要件を定める
  • それに応じた賃金体系を整える
  • 昇給の内容までは求められていない

キャリアパス要件Ⅲ

  • 経験・資格・評価に基づく昇給の仕組みを設ける
  • 判定の基準と時期を明文化する
  • 非常勤職員も含め、全職員が対象になり得る仕組みにする
※Q&A問4-6〜問4-9をもとに整理したものです。

9. キャリアパス要件Ⅳ

問5-1 年収の判定に含める賃金は?

手当なども含めて判断します。社会保険料などの事業主負担や、その他の法定福利費は含めません。

問5-2 法人単位で判断してよい?

法人単位で申請する場合は、一括して申請する事業所の数以上の人数が要件を満たしていればよく、事業所ごとに配置する必要はありません。たとえば5事業所をまとめて申請するなら、法人全体で5人以上いれば足ります。

設定が難しい事業所がある場合は、計画書に合理的な理由を書くことで、人数から除くことができます。

問5-3 対象は経験・技能のある職員に限られる?

経験・技能のある職員であることが必要です。勤続10年以上の介護福祉士を基本としつつ、事業所の裁量で設定できます。他法人や医療機関での経験を通算する、既存の能力評価や等級制度を使って勤続10年未満の職員を対象にするなど、柔軟に決めてかまいません。小規模で有資格者がいない事業所では、資格のない職員を対象にすることもできます。

問5-4 対象の職員が年度の途中で退職したら?

予定していた職員が退職した場合などは、指定権者に合理的な理由を説明すれば、要件を満たしたものとして扱うことができます。

問5-8 「合理的な説明」とは、どんな理由?

小規模な事業所で職員間の賃金のバランスに配慮が必要、職員全体や地域の賃金水準が低くすぐに引き上げるのが難しい、規程の整備や研修・実務経験の蓄積に一定の期間がかかる、といった理由が例として挙げられています。指定権者の判断で、幅広く認められるものとされています。

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10. 職場環境等要件とその他

問7-1 職場環境等要件の取組は、毎年新しく必要?

前年度から続けて加算を算定する場合は、これまでの取組を続けていればよく、毎年新しい取組を行う必要はありません。

問7-2 項目に並んでいる取組は、すべて必要?

各項目に並んでいる取組のうち、1つ以上を満たせば、その項目を満たしたことになります。たとえば「事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築」の項目なら、「事業者の共同による採用」だけを行えば足ります。

問7-4 「有給休暇が取得しやすい環境の整備」の例は?

取得目標(1週間以上の休暇を年に何回取る、付与日数の何%以上を取るなど)を決めて取得状況を定期的に確認し、上司から声をかける取組や、情報共有や複数担当制で業務の属人化や偏りをなくす取組が例として挙げられています。

問8-1 自治体独自の加算は、総単位数に含める?

介護のQ&Aでは、地域密着型サービスの市町村独自加算は、処遇改善加算の算定に使う総単位数に含めるとされています。

よくある質問

Q
介護のQ&Aを、障害福祉の処遇改善加算にそのまま使えますか?
A

考え方の多くは共通していますが、年収の基準額など異なる部分があります。障害福祉サービスについては、厚生労働省・こども家庭庁が出しているQ&Aと、指定権者の案内をあわせて確認してください。

Q
実績報告で賃金改善額が足りないと分かったら、どうすればよいですか?
A

不足分を賞与などの一時金として職員に追加で配分すれば、返還を求めない扱いにできるとされています。実績報告の期限までに支給できるよう、早めに計算してください。

Q
職員が大幅に入れ替わり、前年度より賃金総額が下がりました。問題になりますか?
A

賃金表の改訂などで賃金を一律に下げたのでなければ、退職者・新規採用者の分を調整した前年度の額と比べることができます。調整の考え方を説明できるよう、計算表を残しておいてください。

Q
通勤手当の増額分を賃金改善に含められますか?
A

通勤手当は「決まって毎月支払われる手当」にはあたりませんが、賃金改善の対象となる賃金には含めてかまわないとされています。

Q
キャリアパス要件Ⅲの昇給を、賞与の増額で行ってもよいですか?
A

かまいません。基本給で行うことが望ましいとされていますが、手当や賞与による昇給でも要件を満たします。判定の基準と時期は明文化しておいてください。

Q
職場環境等要件の取組を、毎年入れ替える必要はありますか?
A

ありません。前年度から続けて算定する場合は、これまでの取組を継続していれば足ります。

まとめ

処遇改善加算のQ&Aは、計画書や実績報告を作るときに迷いやすい点を、国がひとつずつ整理したものです。賃金改善の基準点、含めてよい費用、返還の扱い、賃金水準を下げるときの手続きは、どの事業所でも確認しておきたい内容です。

介護のQ&Aと障害福祉のQ&Aは、考え方は共通していても金額や年度が異なる部分があります。実際の手続きでは、障害福祉サービス向けの最新の通知・Q&Aと、指定権者の案内を必ずあわせて確認してください。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、加算の区分の選び方から、配分方法、賃金規程・キャリアパスの整備、実績報告まで、ひとつの窓口でご相談いただけます。

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主な参考資料

  • 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)」(令和7年3月17日)

※本記事は上記Q&Aの内容をもとにした一般的な整理です(令和8年9月16日時点)。障害福祉サービスの処遇改善加算の取扱いは、最新の通知・Q&Aと指定権者の案内をご確認ください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。

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