就労移行支援の基本報酬|就労定着率で決まる区分と単位数

就労移行支援の基本報酬|就労定着率で決まる区分と単位数

就労移行支援の基本報酬は、前年度までの「就職後6月以上定着率」によって区分が決まります。収入は訓練等給付費が中心で、単位数は1日につきの設定です。あん摩マッサージ指圧師等の養成施設として行う場合には、別のサービス費(Ⅱ)が適用されます。

  • 区分を決めるのは就職後6月以上定着率
  • 定員20人以下では、定着率5割以上で1日1210単位
  • 養成施設として行う場合はサービス費(Ⅱ)が適用される

この記事で分かること

就労移行支援の基本報酬が、前年度までの就労定着実績によってどのように決まるのかを整理し、全区分の単位数を一覧で掲載します。あわせて、あん摩マッサージ指圧師等の養成施設に適用されるサービス費(Ⅱ)、標準利用期間の考え方、開業初年度の取扱いまで解説します。

はじめに

就労移行支援は、一般就労を目指す方に対して訓練や職場開拓、定着支援を行うサービスです。その基本報酬は、事業所が実際にどれだけの利用者を就労に結びつけ、定着させたかによって大きく変わります。

最上位の区分と最下位の区分では、定員20人以下の事業所で1日あたり731単位の差があります。同じ人数の利用者を受け入れていても、実績次第で収入がまったく違う水準になるということです。この記事では、その区分の決まり方と全区分の単位数を整理します。

この記事のポイント

    • 基本報酬は「就職後6月以上定着率」と「利用定員」の組み合わせで決まります。定着率は7区分です。
    • 定員20人以下の場合、定着率5割以上で1210単位、定着率0で479単位と、2.5倍以上の差があります。
    • 就労移行支援には標準利用期間(原則2年)があり、これを超えて利用する場合は減算の対象となります。
    • 令和8年度報酬改定では、就労移行支援の基本報酬の単位数は見直しの対象外です。

1. 就労移行支援の基本報酬の全体像

就労移行支援の収入は、訓練等給付費が中心です。基本報酬は1日につきの単位数として定められ、利用者がサービスを利用した日ごとに算定します。

B型のように生産活動収入が柱になるサービスとは異なり、就労移行支援は給付費が収入のほぼすべてです。したがって、基本報酬の区分がそのまま事業所の収支を決めることになります。

単位数に1単位あたりの単価を掛けたものが実際の金額です。1単位の単価は10円を基本としながら、事業所の所在地に応じた地域区分と、サービスごとに定められた人件費割合によって上乗せされます。

あわせて読みたい地域区分と1単位の単価|級地ごとの上乗せ割合と計算方法

2. 基本報酬は「就職後6月以上定着率」で決まる

就労移行支援の基本報酬の区分を決めるのは、「就職後6月以上定着率」です。事業所を利用して一般就労に移行し、就労を継続している期間が6月に達した方が、どれだけいるかを評価する指標です。

区分は次の7段階です。

    • (一)5割以上 (二)4割以上5割未満 (三)3割以上4割未満 (四)2割以上3割未満
    • (五)1割以上2割未満 (六)0割超1割未満 (七)0

利用定員は、20人以下/21人以上40人以下/41人以上60人以下/61人以上80人以下/81人以上の5区分です。定員が小さいほど1人あたりの単位数は高くなります。

この2要素の組み合わせにより、基本報酬は35区分に分かれます。

重要なのは、単に就職者を出せばよいのではなく、6月以上定着していることが評価されるという点です。就職させて終わりではなく、その後のフォローまで含めた支援体制が、報酬に直接反映される設計になっています。

図解1基本報酬は2つの要素で35区分に分かれる
就職後6月以上定着率|7区分5割以上/4割以上5割未満/3割以上4割未満/2割以上3割未満/1割以上2割未満/0割超1割未満/0
×
利用定員|5区分20人以下/21〜40人/41〜60人/61〜80人/81人以上
35区分
※評価されるのは、単に就職者を出したことではなく、就労を継続している期間が6月に達していることです。就職させて終わりではなく、その後のフォローまで含めた支援体制が報酬に直接反映される設計です。定員が小さいほど1人あたりの単位数は高くなります。

3. 基本報酬の単位数一覧(全区分)

以下は令和8年8月時点で適用されている単位数です。いずれも1日につきの単位数です。

表1 就労移行支援サービス費(Ⅰ)

就職後6月以上定着率定員20人以下21〜40人41〜60人61〜80人81人以上
(一)5割以上1210単位1055単位1023単位968単位935単位
(二)4割以上5割未満1020単位881単位857単位816単位779単位
(三)3割以上4割未満879単位743単位711単位664単位625単位
(四)2割以上3割未満719単位649単位614単位562単位516単位
(五)1割以上2割未満569単位524単位515単位494単位478単位
(六)0割超1割未満519単位466単位446単位418単位392単位
(七)0479単位432単位413単位387単位364単位

定員20人以下の事業所で見ると、定着率5割以上の1210単位に対し、定着率0では479単位です。利用者20人が月22日利用する前提であれば、月あたりの給付費に2.5倍程度の開きが生じます。就労移行支援の事業計画では、この定着率をどの水準に置くかが最大の変数になります。

図解2定着率と単位数(サービス費(Ⅰ)・定員20人以下・1日につき)
(一)5割以上
1210単位
(二)4割以上5割未満
1020単位
(三)3割以上4割未満
879単位
(四)2割以上3割未満
719単位
(五)1割以上2割未満
569単位
(六)0割超1割未満
519単位
(七)0
479単位
最上位と最下位の差は1日あたり731単位定着率5割以上なら1210単位、定着率0なら479単位で2.5倍以上の差
※グラフはサービス費(Ⅰ)・定員20人以下の場合です。利用者20人が月22日利用する前提であれば、月あたりの給付費に2.5倍程度の開きが生じます。就労移行支援の事業計画では、この定着率をどの水準に置くかが最大の変数になります。
あわせて読みたい就労継続支援A型の基本報酬|スコア方式と単位数の決まり方

4. 養成施設に適用されるサービス費(Ⅱ)

あん摩マッサージ指圧師、はり師またはきゅう師の養成施設として行う就労移行支援には、サービス費(Ⅱ)が適用されます。区分の決まり方は(Ⅰ)と同じく、就職後6月以上定着率と利用定員の組み合わせです。

表2 就労移行支援サービス費(Ⅱ)(養成施設)

就職後6月以上定着率定員20人以下21〜40人41〜60人61〜80人81人以上
(一)5割以上756単位699単位665単位658単位653単位
(二)4割以上5割未満644単位587単位560単位554単位545単位
(三)3割以上4割未満553単位495単位464単位453単位439単位
(四)2割以上3割未満468単位433単位402単位384単位363単位
(五)1割以上2割未満381単位351単位338単位338単位337単位
(六)0割超1割未満348単位313単位295単位286単位277単位
(七)0323単位291単位272単位266単位258単位

一般の就労移行支援と比べて単位数は低く設定されています。養成施設としての教育課程が並行して行われることを前提とした水準です。

図解3養成施設に適用されるサービス費(Ⅱ)(定員20人以下・1日につき)
(一)5割以上
756単位
(二)4割以上5割未満
644単位
(三)3割以上4割未満
553単位
(四)2割以上3割未満
468単位
(五)1割以上2割未満
381単位
(六)0割超1割未満
348単位
(七)0
323単位
対象はあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の養成施設区分の決まり方は(Ⅰ)と同じ(定着率×定員)
※グラフの目盛りはサービス費(Ⅰ)と揃えています(最大1210単位)。一般の就労移行支援と比べて単位数は低く設定されており、養成施設としての教育課程が並行して行われることを前提とした水準です。

5. 標準利用期間と超過減算

就労移行支援には標準利用期間が定められており、原則2年(養成施設の課程によっては3年または5年)です。

この期間を超えて利用する場合、市町村審査会の個別審査を経て支給決定期間の更新が認められることがありますが、一定の要件のもとで減算の対象となります。

開業時の収支計画では、利用者が2年で入れ替わっていくことを前提に、新規利用者の獲得ペースを見込む必要があります。就労移行支援は、生活介護やB型のように長期間同じ利用者が通い続けるサービスではありません。就職者を出すほど利用者が減るという構造を持っていますので、送り出しと受け入れの両輪を回せる体制が必要です。

図解4標準利用期間があるため、利用者は入れ替わる

標準利用期間

  • 原則2年(養成施設の課程によっては3年または5年)
  • 超えて利用する場合は市町村審査会の個別審査を経て更新が認められることがあるが、一定の要件のもとで減算の対象

収支計画での注意点

  • 就職者を出すほど利用者が減るという構造
  • 送り出しと受け入れの両輪を回せる体制が必要
  • 稼働率の維持には相談支援事業所・特別支援学校・医療機関との継続的な連携が欠かせない
※生活介護やB型のように長期間同じ利用者が通い続けるサービスではありません。開業時の収支計画では、利用者が2年で入れ替わっていくことを前提に、新規利用者の獲得ペースを見込む必要があります。

6. 令和8年度報酬改定での取扱い

令和8年6月1日施行の令和8年度報酬改定(臨時応急的な見直し)において、就労移行支援の基本報酬の単位数は見直しの対象とされていません。本記事に掲載した単位数は、令和6年度報酬改定によるものが引き続き適用されているものです。

なお、同改定では、就労移行支援体制加算について、一事業所の年間就職者数の上限を定員数までとする適正化が行われています。基本報酬とは別に、加算の要件は最新の告示で確認してください。

図解5つまずきやすい3点
開業初年度の報酬区分を確認していない定着率は前年度実績に基づく指標。事前協議の段階で指定権者に必ず確認する
就職実績だけを追ってしまう評価されるのは6月以上の定着。就職件数を増やしても定着しなければ区分は上がらない
利用者の入れ替わりを見込んでいない標準利用期間があるため利用者は一定期間で入れ替わる
※令和8年度報酬改定では就労移行支援の基本報酬の単位数は見直しの対象外ですが、就労移行支援体制加算について、一事業所の年間就職者数の上限を定員数までとする適正化が行われています。
あわせて読みたい就労移行支援の開業|指定申請の要件と流れ

つまずきやすいポイント

開業初年度の報酬区分を確認していない

定着率は前年度実績に基づく指標ですので、開業初年度の取扱いは指定権者への確認が必要です。事前協議の段階で必ず確認し、その前提で収支計画を作成してください。

就職実績だけを追ってしまう

評価されるのは6月以上の定着です。就職件数を増やしても定着しなければ区分は上がりません。就労定着支援事業との連携も含めて、送り出した後の支援体制を設計してください。

利用者の入れ替わりを見込んでいない

標準利用期間があるため、利用者は一定期間で入れ替わります。稼働率を維持するには、相談支援事業所や特別支援学校、医療機関との継続的な連携が欠かせません。

よくある質問

Q
就労移行支援の基本報酬は1日あたりいくらですか。
A

就職後6月以上定着率と利用定員の組み合わせで決まり、サービス費(Ⅰ)では364単位から1210単位までの幅があります。

Q
定着率はどのように計算しますか。
A

事業所の利用を経て一般就労に移行し、就労を継続している期間が6月に達した方の数を基礎として算出します。算定の詳細は告示および留意事項通知で定められていますので、届出前に確認してください。

Q
標準利用期間を超えるとどうなりますか。
A

市町村審査会の個別審査を経て更新が認められる場合がありますが、一定の要件のもとで減算の対象となります。

Q
令和8年度の改定で就労移行支援の基本報酬は変わりましたか。
A

基本報酬の単位数は見直しの対象外です。ただし就労移行支援体制加算については適正化が行われています。

まとめ

就労移行支援の基本報酬は、就職後6月以上定着率と利用定員で35区分に分かれます。定着率による差が非常に大きいサービスであり、支援の質がそのまま収入に反映される設計です。

開業を検討する際は、どの定着率を目指すのか、そのためにどのような職場開拓と定着支援の体制を組むのかを、事業計画の中心に据えてください。標準利用期間があるために利用者が入れ替わる点も含めて、複数年の収支を試算しておくことをおすすめします。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。開業支援は20万円〜(税別)、物件や事業計画の検討段階から承っています。

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主な参考資料

  • 参考:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」/「介護給付費等単位数サービスコード表」/「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」/「指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」

※本記事は令和8年8月27日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。単位数は厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年6月施行)」および「介護給付費等単位数サービスコード表」により確認しています。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。