特定障害者特別給付費(補足給付)とは|グループホームの家賃助成1万円と施設の食費・光熱水費

特定障害者特別給付費(補足給付)とは|グループホームの家賃助成と支給額

特定障害者特別給付費(補足給付)は、障害者総合支援法第34条第1項に基づく給付です。対象となるのは生活保護世帯または低所得(市町村民税非課税)世帯に属する障害者で、グループホームの家賃助成は月額1万円が上限となります。施設入所支援では、食費・光熱水費について基準費用額が定められています。

  • 対象は生活保護世帯または市町村民税非課税世帯に属する方
  • グループホームの家賃助成は月額1万円が上限
  • 対象になる費用とならない費用の区別を確認する

この記事で分かること

特定障害者特別給付費(補足給付)について、対象となるサービスと対象者、グループホームの家賃助成(月額1万円が上限)で対象になる費用とならない費用、施設入所支援の食費・光熱水費の基準費用額、申請と受給者証・適用期間、法定代理受領による請求の実務、月の中途で入退居した場合や住居を移った場合の取扱いまでを整理します。

はじめに

グループホームを運営していると、「家賃の1万円は誰がどう手続きするのか」「事業所が代わりに受け取れると聞いたが、いつ入金されるのか」といった質問を受けることがあります。この家賃助成の正式な名称が特定障害者特別給付費で、実務では補足給付と呼ばれています。

補足給付は加算ではありません。障害者総合支援法第34条に基づく給付費で、報酬告示の単位数ではなく、市町村が決定して受給者証に記載した金額を請求します。そのため、算定要件を満たせば事業所の判断で算定できる加算とは、手続きの流れが根本的に違います。

この記事では、グループホームの家賃助成を中心に、施設入所支援の食費・光熱水費の補足給付、申請から請求までの実務、月の中途で入退居した場合の取扱いまでを、法令と国の通知・Q&Aに沿って整理します。

この記事のポイント

  • 補足給付は加算ではなく給付費。市町村が支給額を決定し、受給者証に支給額と適用期間が記載されます。
  • グループホームの家賃助成は月額1万円が上限。家賃が1万円未満のときは実際に支払った家賃の額が支給されます。
  • 対象になるのは家賃のみ。光熱水費・日用品費は対象外で、共益費のようなあいまいな名目の徴収も認められません。
  • 対象者は生活保護世帯または低所得(市町村民税非課税)世帯に属する方で、20歳未満でも所得要件は同じです。
  • 施設入所支援では食費・光熱水費が対象で、基準費用額は令和6年4月から55,500円(従前54,000円)です。
  • 事業者は法定代理受領により請求できます。実際の入金は他の報酬と同じく翌々月ですが、利用者への家賃請求は支給対象月から減額します。
  • 月の中途で入退居しても補足給付は日割りされません。実際に支払った家賃の額と1万円の低いほうが支給されます。
  • 同じ月に別のグループホームへ転居した場合は、前後のグループホームを合計して月額1万円が上限です。両方で1万円ずつは請求できず、事業所間の調整が必要です。

1. 特定障害者特別給付費(補足給付)とは

特定障害者特別給付費は、障害者総合支援法第34条第1項に基づく給付です。施設入所支援や共同生活援助などの支給決定を受けた障害者のうち、所得の状況などから厚生労働省令で定める方(特定障害者)が対象です。指定障害者支援施設や共同生活住居に入所・入居してサービスを受けたときに、食事の提供に要した費用または居住に要した費用について支給されます。

障害福祉サービスの利用者負担には、負担上限月額による軽減(生活保護0円、低所得0円、一般1が9,300円、一般2が37,200円)がありますが、食費・光熱水費・家賃といった実費負担は上限額の対象外です。実費を負担すると生活が成り立たなくなる方が出るため、実費部分を別に補う仕組みとして設けられたのが補足給付です。

なお、入所施設の利用者(20歳以上)とグループホームの利用者は、市町村民税課税世帯の場合は「一般2」として扱われます。

図解1補足給付が置かれている位置
①サービス費介護給付費・訓練等給付費(原則1割の利用者負担)
②負担上限月額生活保護0円/低所得0円/一般1は9,300円/一般2は37,200円
③実費負担食費・光熱水費・家賃は上限額の対象外
④補足給付③の実費のうち、家賃や食費・光熱水費を補う給付
根拠は法第34条(特定障害者特別給付費)加算ではなく給付費支給額は市町村が決定
※本文「1. 特定障害者特別給付費(補足給付)とは」を図解化したものです。

2. 対象となるサービスと対象者

対象となるサービス

補足給付の対象となる「特定入所等サービス」は、法と政令で次のとおり定められています。

  • 施設入所支援
  • 共同生活援助
  • 重度障害者等包括支援の一環として提供される共同生活援助
  • 旧法施設支援(入所の支援に限る)

通所系のサービスや訪問系のサービスは対象ではありません。通所施設の食費については、低所得・一般1の方は食材料費のみの負担とする軽減が別に設けられています。

対象となる方

対象は、生活保護世帯または低所得(市町村民税非課税)世帯に属する障害者です。生活保護境界層措置に該当する方も含まれます。市町村民税課税世帯の方は対象になりません。

国のQ&Aでは、20歳未満の障害者についても年齢に関わりなく同じ所得要件で判断するとされています。「未成年だから対象外」ということはありません。

所得を判断する世帯の範囲は、18歳以上の障害者(施設に入所する18・19歳を除く)の場合は本人と配偶者です。親と同居していても、親の課税状況は原則として判断に影響しません。ここは実務でよく誤解される点です。

あわせて読みたい障害福祉サービスの支給決定までの流れ|申請・障害支援区分・受給者証と事業所の実務

3. グループホームの家賃助成|月額1万円が上限

グループホーム(重度障害者等包括支援の一環として提供される場合を含む)の利用者が負担する家賃を対象に、利用者1人あたり月額1万円を上限として補足給付が行われます。

家賃の額補足給付の額
月額1万円以上1万円
月額1万円未満実際に支払った家賃の額(実費)

たとえば家賃が月額35,000円なら補足給付は1万円で、利用者の実負担は25,000円になります。家賃が月額8,000円なら補足給付は8,000円で、利用者の家賃負担は実質0円です。上限額であって定額ではない、という点に注意してください。

対象になるのは「家賃」だけ

国のQ&Aでは、この補足給付は法第34条第1項の「共同生活住居における居住に要した費用」と規定されており、具体的には家賃のみを対象としていると明示されています。光熱水費、日用品費、その他の日常生活費は対象になりません。

あわせて、介護給付費等の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の受領は認められないため、「共益費」といった名目での徴収は認められないとされています。家賃と光熱水費、日用品費は契約書と重要事項説明書のうえで明確に区分し、金額の根拠を説明できるようにしておく必要があります。

図解2補足給付の対象になる費用・ならない費用

対象になる

  • 共同生活住居の家賃
  • 家賃が1万円未満のときは実際に支払った額

対象にならない

  • 光熱水費
  • 日用品費・その他の日常生活費
  • 食材料費
  • 「共益費」などあいまいな名目の費用(そもそも徴収が認められない)
※国の「グループホーム・ケアホーム利用の際の家賃助成に係るQ&A」の記載を整理したものです。

家賃の設定と証明書類

補足給付の申請には、入居している(または入居する)共同生活住居の家賃の額を証する書類の添付が必要です。事業所側では、家賃の額を明記した入居契約書の写しや家賃証明書を用意します。

家賃を変更したときは、補足給付の支給額も変更の対象になります。利用者が変更申請をしなければ支給額は変わらないため、家賃改定を行う場合は、利用者への説明と市町村への申請をセットで案内してください。

あわせて読みたい障害者グループホームの開業|共同生活援助の指定申請と要件

4. 施設入所支援の食費・光熱水費|基準費用額55,500円

施設入所支援では、対象になるのは家賃ではなく食費・光熱水費です。20歳以上の入所者について、食費・光熱水費の実費を負担しても少なくとも手元に25,000円が残るように、基準費用額から所得に応じた負担限度額を控除した額が補足給付として支給されます。

この基準費用額は、物価高騰を踏まえて令和6年4月から55,500円に見直されました(従前は54,000円)。令和8年度の報酬改定では、補足給付の基準費用額の見直しは行われていません。

区分補足給付の額(月額)
控除後認定収入額が66,667円を超える場合基準費用額-負担限度額
負担限度額=(66,667円-その他生活費の額)+(控除後認定収入額-66,667円)×50%
控除後認定収入額が66,667円以下の場合基準費用額-負担限度額
負担限度額=控除後認定収入額-その他生活費の額
生活保護受給者基準費用額の全額

「控除後認定収入額」は、1か月の収入から税、社会保険料、就労収入を控除した額です。就労収入については、24,000円までは収入として認定せず、24,000円を超える額についてもその30%は収入として認定しない取扱いになっています。

「その他生活費」は原則25,000円ですが、障害基礎年金1級の受給者、60歳から64歳の方、65歳以上で療養介護を利用する方は28,000円で計算します。

グループホームと施設入所支援では、対象になる費用も計算方法もまったく違います。同じ「補足給付」という言葉でも中身が異なる点に注意してください。

図解3グループホームと施設入所支援の違い

共同生活援助(グループホーム)

  • 対象=家賃
  • 月額1万円が上限(1万円未満は実費)
  • 支給額は月額で決定
  • 収入に応じた計算はない

施設入所支援

  • 対象=食費・光熱水費
  • 基準費用額55,500円(令和6年4月〜)
  • 支給額は日額で決定(入院・外泊時の日割りに対応)
  • 控除後認定収入額に応じて計算
※支給額の決定単位は、施設入所支援・旧法施設支援は日額、共同生活援助は月額とされています。

5. 申請・受給者証・適用期間

補足給付は、事業所が体制を届け出れば算定できるものではありません。利用者本人(申請者)が市町村に申請し、市町村が支給額を決定します。原則として、施設入所支援や共同生活援助の介護給付費・訓練等給付費の支給申請時に、あわせて申請します。

申請書と添付書類

申請書には、特定障害者の氏名・居住地・生年月日・連絡先、サービスを受けている施設等の名称、低所得または生活保護に該当する旨を記載します。添付書類は次のとおりです。

  • 低所得・生活保護(生活保護境界層措置によるものを含む)に該当することを証する書類(公簿等で確認できるときは省略できます)
  • 受給者証
  • 食事等の負担限度額の算定に必要な事項に関する書類(施設入所支援の支給決定を受けた方に限る)
  • 入居している(または入居する)共同生活住居の家賃の額を証する書類(共同生活援助・重度障害者等包括支援の支給決定を受けた方に限る)

受給者証への記載

市町村は支給の決定を行ったときに、①特定障害者特別給付費の額(支給額)②支給する期間(適用期間)を受給者証に記載します。事業所は請求前に必ず受給者証を確認し、記載された支給額と適用期間を控えておきます。

適用期間と見直し

決定した支給額の適用期間は、原則として翌年(決定した日の属する月が1月から6月までの間であるときは当該年)の6月30日までで、1年ごとに見直しが行われます。毎年7月が切り替えのタイミングになるため、6月から7月にかけて受給者証の更新を確認する運用にしておくと漏れがありません。

支給額の変更と取消し

適用期間の途中でも、所得更正、生活保護の受給、生活保護境界層への該当、居住に要した費用(家賃)の額の変更など、支給額の決定の基礎としている事由に変更が生じた場合は、変更申請により支給額が変更されます。

変更後の適用開始時期は、共同生活援助については申請日の属する月からです。施設入所支援・旧法施設支援については原則として申請のあった日の属する月の翌月からで、生活保護の受給者または生活保護境界層に該当することとなった場合は申請日の属する月からとされています。

また、補足給付の支給を受ける必要がなくなったと認めるときや、適用期間内に他の市町村の区域に居住地を有するに至ったと認めるときは、市町村は支給を行わないことができます。利用者が他市町村へ転出した場合は、受給者証の記載も変わるため、請求前の確認が欠かせません。

図解4申請から受給者証記載までの流れ
①申請利用者が市町村へ申請(原則としてサービスの支給申請と同時)
②添付非課税等を証する書類・受給者証・家賃額を証する書類
③決定市町村が支給額を決定し通知
④記載受給者証に支給額と適用期間を記載
適用期間は原則6月30日まで・1年ごとに見直し家賃を変えたら変更申請共同生活援助の変更は申請日の属する月から
※本文「5. 申請・受給者証・適用期間」を図解化したものです。

6. 請求と支払い|法定代理受領の実務

補足給付の支給は、施設・事業所からの請求に基づき、市町村が事業所に支払うことにより行われます(法第34条第2項において準用する第29条第5項・第6項。いわゆる法定代理受領)。事業者は、介護給付費・訓練等給付費と同じように、サービス提供月ごとに翌月10日までに国民健康保険団体連合会へ請求します。

つまり、補足給付は介護給付費等と同じ請求サイクルに乗ります。ここで実務上とくに重要になるのが、入金の時期と、利用者に請求する家賃を減額する時期がずれるという点です。

項目タイミング
サービス提供月当月
国保連への請求翌月10日まで
事業所への入金翌々月
利用者へ請求する家賃の減額支給対象月(当月)から

事業者による代理受領が行われる場合、実際に事業者へ補足給付が支給されるのは他の障害福祉サービスに係る報酬と同様に翌々月となりますが、事業者から利用者に請求される家賃は当該支給対象月から減額されることになります。

たとえば家賃35,000円のグループホームで4月分から補足給付の対象になった方は、4月分の家賃請求の時点で25,000円に下げます。事業所への1万円の入金は6月です。この2か月分のずれを見込んでおかないと、資金繰りの読みを誤ります。

家賃の請求書や領収書は、補足給付を控除した後の実際の請求額が分かる形にしておくと、利用者が他の制度を利用する際の確認資料としても使えます。

図解5代理受領のときの家賃と入金のずれ
4月サービス提供月。利用者への家賃請求は35,000円→25,000円に減額
5月10日まで国保連へ請求(介護給付費等と同じサイクル)
6月事業所に補足給付1万円が入金
利用者の負担軽減は支給対象月から事業所への入金は翌々月2か月分の立替を見込んでおく
※家賃35,000円・補足給付1万円のケースを例にした図解です。
あわせて読みたい障害福祉サービスの報酬計算|単位数と単価・端数処理・利用者負担

7. 月の中途で入退居・住居を移った場合

月の途中で共同生活住居に入居または退去した場合は、その月の家賃として実際に支払った額に基づいて補足給付額が算定されます。支払った額が1万円以上なら1万円、1万円未満ならその支払った額が支給されます。

ここで間違えやすいのが日割りです。入退居にあたって家賃が日割りされる場合でも、補足給付自体は日割りされません。たとえば月の後半から入居して家賃を日割りで18,000円支払ったなら、補足給付は1万円です。日割りで6,000円だったなら補足給付は6,000円になります。

事例で確認する|月の途中で退去した場合

言葉だけでは分かりにくいので、具体的な数字で確認します。

項目内容
月額家賃(補足給付を控除する前)19,600円
契約終了日8月15日
その月の日数31日
利用期間8月1日〜15日(15日間)

家賃を日割りで計算すると、19,600円 ÷ 31日 × 15日 = 9,483.87…円となります。事業所の端数処理ルールにより9,484円とした例で考えます。

この利用者が8月中に他のグループホームへ入居していない場合、その月に実際に支払う家賃は1万円未満です。したがって補足給付も9,484円となり、利用者本人の家賃負担は0円になります。

項目金額
8月分の家賃(日割り)9,484円
特定障害者特別給付費△9,484円
利用者本人の家賃負担0円

日割りの端数処理は事業所のルールで整理する

家賃の日割りで生じる1円未満の端数について、特定障害者特別給付費の全国一律の端数処理方法が示されているわけではありません。日割りの方法と端数処理は、利用契約書・重要事項説明書・事業所の家賃請求ルールに沿って整理し、根拠を説明できる状態にしておいてください。

月の中途で別のグループホームに移った場合

国のQ&Aでは、月の中途にグループホーム等から別のグループホーム等に移った場合について、次のように整理されています。

  • それぞれの住居で実際に支払った家賃の合計額と1万円の低いほうが、両方の事業所に支払われる補足給付額の合計になる
  • 法定代理受領による場合の支給手続としては、たとえば先に利用していた事業所から優先して支給し、残余があれば移った先の事業所に支給する方法が考えられる

つまり、1人の利用者について1か月で1万円を超えて支給されることはありません。移転がある月は、移転元・移転先の事業所どうしで請求額の調整が必要です。市町村に確認したうえで請求してください。

ここが実務でいちばん間違えやすいところです。それぞれの事業所が1万円ずつ請求できるわけではありません

事例で確認する|同じ月に別のグループホームへ移った場合

先ほどの利用者が8月16日以降、別のグループホームへ入居したとします。両事業所の間で、補足給付を5,000円ずつとするよう調整した場合は次のようになります。

項目金額
旧グループホームの家賃(日割り)9,484円
旧グループホームでの補足給付△5,000円
旧グループホームでの本人負担4,484円

転居先のグループホームでも5,000円を補足給付として請求すれば、両事業所の補足給付の合計は5,000円+5,000円=10,000円となり、その月の上限に収まります。このように、同じ月に他のグループホームへ転居があると、転居先の請求額によっては旧グループホーム側で利用者の家賃負担が生じることがあります

「5,000円ずつ」にしなければならないわけではない

5,000円ずつというのは、あくまで調整の一例です。国のQ&Aでは、法定代理受領による場合の支給方法として、先に利用していたグループホームから優先して支給し、残余があれば転居先に支給する方法も示されています。

この考え方で旧グループホームの補足給付を9,484円とすれば、月額上限1万円までの残額は10,000円-9,484円=516円です。転居先のグループホームでは、要件を満たす範囲で最大516円が補足給付となります。

ケース補足給付(旧GH)旧GHでの本人負担
その月に他のグループホームの利用がない9,484円0円
他のグループホームあり・5,000円ずつ調整5,000円4,484円
他のグループホームあり・先に利用したGHを優先9,484円0円(転居先での補足給付は残額516円)
図解6同じ月に別のグループホームへ移った場合の1万円の分け方

パターンA|事業所間で分け合う

  • 旧GH 5,000円 + 新GH 5,000円 = 10,000円
  • 旧GHの家賃9,484円のうち4,484円は本人負担になる

パターンB|先に利用したGHを優先

  • 旧GH 9,484円 + 新GH 516円 = 10,000円
  • 旧GHでの本人負担は0円、残額516円が転居先へ
1人につき1か月10,000円が上限両方で1万円ずつは不可請求前に事業所間で調整する
※家賃19,600円・8月15日退去(日割り9,484円)のケースを例にした図解です。実際の取扱いは市町村にご確認ください。

実務では「次のグループホームに入居したか」を必ず確認する

月の途中で契約が終了した利用者については、家賃の日割り計算だけで補足給付の請求額を確定しないでください。同じ月に別のグループホームを利用していないかを確認したうえで請求額を決めます。

  • 退去後、同じ月のうちに別のグループホームへ本入居していないかを確認する
  • 転居先がある場合は、双方の実際の家賃額を確認する
  • 補足給付の合計が月額1万円を超えないよう、事業所間で請求額を調整する
  • 利用者への家賃請求額も、調整後の補足給付額を差し引いて確定する
  • 家賃の日割り計算と端数処理の根拠を、契約書等で明確にしておく

施設入所者がグループホームを体験利用する場合

国のQ&Aでは、施設入所に係る補足給付とグループホーム等に係る補足給付は、支給要件をそれぞれ満たす場合はいずれも支給して差し支えないとされています。ただし、入所施設とグループホーム等が同一敷地にある場合、または隣接・近接していて相互に職員の兼務等が行われている場合は、施設入所に係る補足給付は入居の日は算定され、退居の日は算定されない点に留意が必要です。

図解7月の中途の入退居・移転の取扱い

考え方

  • その月に実際に支払った家賃で判断する
  • 実際に支払った額と1万円の低いほう
  • 家賃が日割りされても補足給付は日割りしない
  • 移転した月は両方の住居の支払額を合計して判断

やりがちな誤り

  • 入居日数に応じて補足給付を日割りしてしまう
  • 移転元・移転先の両方で1万円ずつ請求してしまう
  • 家賃を日割りしたのに、契約家賃の額で請求してしまう
※国の「グループホーム・ケアホーム利用の際の家賃助成に係るQ&A」および関係通知の記載を整理したものです。

8. 特例特定障害者特別給付費

法第35条には特例特定障害者特別給付費が定められています。市町村が必要と認めるときに支給できるもので、対象は次の場合です。

  • 特定障害者が、支給申請をした日から支給決定の効力が生じた日の前日までの間に、緊急その他やむを得ない理由により指定障害福祉サービス等を受けたとき
  • 特定障害者が、基準該当障害福祉サービスを受けたとき

支給決定前のサービス利用分は法定代理受領の対象になりません。市町村は支給決定後に申請書等の提出を受けて支給します。急いで入居を受け入れたときなど、支給決定前の期間がある場合は、この特例の対象になるかどうかを市町村に確認してください。

実務上の注意点

つまずきやすい6つのポイント

① 事業所が「算定」するものではない
補足給付は市町村が支給額を決定するものです。利用者が申請していなければ支給されません。入居契約の段階で、該当しそうな方には申請の案内をしてください。

② 受給者証の記載と適用期間を必ず確認する
請求できるのは受給者証に記載された支給額です。適用期間は原則6月30日までで1年ごとに見直されるため、7月の切り替えを見落とさないようにします。

③ 家賃を変更したら変更申請が必要
家賃改定や住居の移動があったのに変更申請がされていないと、受給者証の記載額と実態が合わなくなります。

④ 対象は家賃のみ
光熱水費や日用品費は対象外です。共益費のようなあいまいな名目の費用は、そもそも徴収が認められません。

⑤ 日割りしない
月の中途の入退居で家賃を日割りしても、補足給付は日割りしません。実際に支払った家賃の額と1万円の低いほうです。

⑥ 入金は翌々月、家賃の減額は当月から
2か月分の立替が生じます。開設初年度は特に資金計画に織り込んでおいてください。

実務チェックリスト

  • 入居予定者の世帯(本人と配偶者)が生活保護世帯または市町村民税非課税世帯かどうかを確認したか
  • 補足給付の申請案内をし、家賃の額を証する書類(契約書の写し・家賃証明書)を用意したか
  • 受給者証に記載された支給額適用期間を控えたか
  • 家賃と光熱水費・日用品費を契約書と重要事項説明書で明確に区分しているか
  • あいまいな名目(共益費など)で費用を徴収していないか
  • 利用者への家賃請求を支給対象月から減額しているか
  • 補足給付を控除した後の実際の請求額が分かる請求書・領収書を発行しているか
  • 7月の適用期間の切り替え時に、受給者証の更新を確認する運用になっているか
  • 家賃を改定したとき、住居を移ったときに変更申請を案内しているか
  • 月の中途の入退居があった月に、日割りせず実際の支払額で請求しているか
  • 月の途中で退去した利用者について、同じ月に別のグループホームへ入居していないかを確認したか
  • 転居がある月は、転居先の事業所と補足給付の請求額を調整し、利用者への家賃請求額に反映したか
あわせて読みたい障害者グループホーム(共同生活援助)の基本報酬|介護サービス包括型の単位数と令和8年6月の新規指定特例

よくある質問

Q
補足給付は事業所が体制届を出せば算定できますか。
A

できません。補足給付は加算ではなく給付費で、利用者本人の申請にもとづいて市町村が支給額を決定します。決定された支給額は受給者証に記載され、事業所はその額を請求します。体制届の対象ではありません。

Q
家賃が8,000円の場合、補足給付はいくらになりますか。
A

8,000円です。グループホームの補足給付は月額1万円が上限で、家賃が1万円未満のときは実際に支払った家賃の額が支給されます。定額1万円ではありません。

Q
光熱水費や共益費も補足給付の対象になりますか。
A

なりません。国のQ&Aでは、対象は共同生活住居の家賃のみと明示されています。光熱水費・日用品費・その他の日常生活費は対象外です。あわせて、介護給付費等の対象サービスと明確に区分されないあいまいな名目の費用の受領は認められないため、「共益費」といった名目での徴収そのものが認められません。

Q
20歳未満の入居者は補足給付の対象になりますか。
A

年齢による除外はありません。国のQ&Aでは、年齢に関わりなく低所得(市町村民税非課税)の世帯または生活保護世帯に属する障害者を支給対象とするとされています。

Q
親が課税されている場合は対象外ですか。
A

18歳以上の障害者(施設に入所する18・19歳を除く)では、所得を判断する世帯の範囲は本人と配偶者です。同居する親の課税状況は原則として判断に影響しません。

Q
月の途中で入居し、家賃を日割りで6,000円支払いました。補足給付はいくらですか。
A

6,000円です。月の中途の入退居では、その月に実際に支払った家賃の額に基づいて算定します。家賃が日割りされる場合でも補足給付自体は日割りされず、実際に支払った額と1万円のいずれか低いほうが支給されます。

Q
月の途中で別のグループホームに移った場合、両方の事業所が1万円ずつ請求できますか。
A

できません。それぞれの住居で実際に支払った家賃の合計額と1万円のいずれか低いほうが、両方の事業所に支払われる補足給付額の合計になります。法定代理受領の場合の手続としては、先に利用していた事業所から優先して支給し、残余があれば移った先の事業所に支給する方法が考えられるとされています。

Q
補足給付はいつ事業所に入金されますか。
A

他の障害福祉サービスの報酬と同じく翌々月です。一方で、利用者に請求する家賃は支給対象月から減額することとされているため、2か月分の立替が生じます。

Q
施設入所支援の基準費用額はいくらですか。
A

令和6年4月から55,500円です(従前は54,000円)。物価高騰を踏まえて見直されました。令和8年度の報酬改定では、補足給付の基準費用額の見直しは行われていません。

Q
8月15日で退去し、家賃を日割りして9,484円になりました。補足給付はいくらですか。
A

その月に他のグループホームを利用していなければ9,484円です。実際に支払う家賃が1万円未満なので、その実額が補足給付になり、利用者本人の家賃負担は0円になります。ただし、同じ月に別のグループホームへ入居している場合は、前後を合計して1万円が上限になるため、この額のままにはなりません。

Q
同じ月に転居した場合、旧グループホーム側で利用者の家賃負担が生じることはありますか。
A

あります。たとえば旧グループホームと転居先で5,000円ずつに調整した場合、旧グループホームの家賃9,484円のうち5,000円が補足給付、残る4,484円は利用者本人の負担になります。国のQ&Aでは、先に利用していたグループホームから優先して支給し、残余を転居先に支給する方法も示されており、この方法なら旧グループホームでの本人負担は0円、転居先の補足給付は残額516円になります。

Q
家賃を日割りしたときの1円未満の端数はどう処理しますか。
A

特定障害者特別給付費について、全国一律の端数処理方法が示されているわけではありません。日割りの計算方法と端数処理は、利用契約書・重要事項説明書・事業所の家賃請求ルールに沿って整理し、根拠を説明できるようにしておいてください。

まとめ

特定障害者特別給付費(補足給付)は、負担上限月額では軽減されない実費部分を補う給付です。グループホームでは家賃を対象に月額1万円が上限、施設入所支援では食費・光熱水費を対象に基準費用額55,500円を基礎として計算します。同じ「補足給付」でも、対象になる費用も計算方法も異なります。

事業所側の実務でいちばん大切なのは、加算ではなく給付費であるという点です。利用者が申請しなければ支給されず、請求できるのは受給者証に記載された支給額だけです。入居契約の段階で申請を案内し、受給者証の支給額と適用期間を控え、7月の切り替えを確認する。この3つを運用に組み込んでおけば、請求の誤りを大きく減らせます。

あわせて、家賃と光熱水費・日用品費を契約書で明確に区分すること、月の中途の入退居では日割りしないこと、入金は翌々月でも利用者への家賃請求は支給対象月から減額することを、経理と現場の両方で共有しておいてください。

そして、月の途中で退去した利用者については、家賃の日割り計算だけで請求額を確定せず、同じ月に別のグループホームへ入居していないかを必ず確認してください。転居がある月は前後のグループホームを合わせて1万円が上限になるため、確認を怠ると過大請求や、利用者への家賃請求額の誤りにつながります。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請から日々の運営、労務管理までをひとつの窓口でご相談いただけます。

静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。「家賃と光熱水費の区分がこれでよいか」「補足給付の申請案内をどう組み込むか」といったご相談も承っています。運営顧問では、実際の契約書や請求の運用を一緒に確認しながら進めます。

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主な参考資料

  • 参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(第34条・第35条)
  • 参考:厚生労働省「障害者総合支援法に基づく給付費等の支給決定事務等について(事務処理要領)」
  • 参考:厚生労働省「グループホーム・ケアホーム利用の際の家賃助成に係るQ&A」
  • 参考:厚生労働省「障害福祉サービス等における日常生活に要する費用の取扱いについて」(平成18年12月6日付け障発第1206002号)
  • 参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」
  • 参考:厚生労働省「特定障害者特別給付費の対象拡大に伴う支援給付制度上の取扱いについて」(平成23年9月27日事務連絡)
  • 参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」

※本記事は令和8年9月4日時点の法令・通知・公表資料に基づく一般的な整理です。金額や取扱いは改定により変わることがあり、申請の様式や運用は市町村によって異なる場合があります。実際の申請・請求にあたっては、最新の通知および市町村の指示をご確認ください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

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