子育てサポート加算は令和6年度に創設された加算で、保護者が支援の場面に参加し、事業所が相談援助を行った場合に算定できます。報酬改定Q&Aを踏まえると、算定には「支援と同時並行であること」「30分以上を確保すること」「対面であること」の3つが特に重要です。家族支援加算との使い分けと、記録に残す項目もあわせて確認します。
- 支援がすべて終わった後にまとめて相談援助を行う形では算定できない
- 保護者が支援時間帯の全体を観察する必要はないが、30分以上は確保する
- オンライン視聴では算定できず、対面であることが必要
この記事で分かること
令和6年度に創設された子育てサポート加算について、算定できる場面とできない場面、「同時並行」「30分以上」「対面」という3つの条件、家族支援加算との使い分け、記録に残すべき項目を整理します。
はじめに
令和6年度の報酬改定で創設された子育てサポート加算は、保護者に支援の場面を実際に見てもらい、あるいは参加してもらったうえで、子どもへの関わり方について助言を行うことを評価する加算です。1回80単位、月4回まで。単位数は控えめですが、家族支援加算と並んで「家族支援をどう報酬化するか」を考えるうえで欠かせない加算です。令和8年度の期中改定では改正は行われていません。
この記事のポイント
- 算定できる場面とできない場面
- 「同時並行」「30分以上」「対面」の3条件
- 家族支援加算との使い分け
1. この加算が求めているもの
条文は、次のような構造になっています。
あらかじめ保護者の同意を得て、指定児童発達支援等とあわせて、家族等に対して、従業者が支援を行う場面を観察する機会、当該場面に参加する機会その他の障害児の特性やその特性を踏まえたこどもへの関わり方に関する理解を促進する機会を提供し、相談援助その他の支援を行った場合に加算する。
ポイントは「あわせて」という言葉です。子どもへの支援が行われている、その場に保護者がいる。見学するか、一緒に参加する。そのうえで、専門職や児童発達支援管理責任者が「いまの場面で、お子さんはこういう反応をしていました」「ご家庭ではこう関わってみてください」と助言する。この一連の流れ全体を評価する加算だ、という理解が出発点になります。
つまり、単なる保護者面談ではなく、支援場面という共通の体験を土台にした助言であることが本質です。
2. 3つの条件
報酬改定Q&Aで示された運用を踏まえると、算定にあたって特に重要な条件は次の3つです。
条件① 同時並行であること
支援がすべて終わった後に、まとめて相談援助を行う形では算定できません。本加算は、支援と同時並行的に相談援助等を行うことを求めており、事後的にまとめて実施することは想定されていない、と明確に示されています。
実務上は、支援の合間に短く助言を挟む、支援の場面を見ながら随時説明する、といった形が想定されます。「今日の様子はいかがでしたか」という終了後の振り返り面談だけでは、この加算の趣旨に合致しません。
条件② 30分以上を確保すること
長時間の支援において、保護者が支援時間帯の全体を観察する必要はありません。保護者と事前に相談援助の実施場面を調整し、計画的に行うことができます。ただし、30分以上を確保する必要があります。
「送迎時に10分見てもらった」という運用では算定できません。事前に日時を調整し、30分以上のまとまった時間を確保することが前提です。
条件③ 対面であること
オンライン(ライブ配信等)での視聴では算定できません。家族が直接 支援場面を観察・参加する機会を前提としており、遠隔での実施は想定されていない、とされています。
家族支援加算にはオンラインの区分がある((Ⅰ)80単位、(Ⅱ)60単位)ため、混同しやすいところです。子育てサポート加算にオンラインの選択肢はない、と覚えてください。
満たすべき3条件
- ① 同時並行であること
- ② 30分以上を確保すること
- ③ 対面であること
算定できない運用
- 支援がすべて終わった後にまとめて相談援助を行う
- 終了後の振り返り面談だけ
- 送迎時に10分見てもらっただけ
- オンライン(ライブ配信等)での視聴
3. 誰が相談援助を行うのか
支援を提供している従業者とは異なる従業者が相談援助を行う場合、児童発達支援管理責任者が実施しても算定できます。
現場の実態を考えると、これは重要な整理です。子どもへの支援に集中している職員が、同時に保護者への助言も担うことは困難です。支援を担当する職員と、保護者に説明する職員を分ける。後者を児発管が担う。この形が、要件上も運用上も最も無理がありません。
ただし、家族支援加算のところでも触れたとおり、相談援助に従事している間、その職員を人員配置基準上の職員として数えることはできません。児発管が対応する設計にしておけば、この問題も同時に解決できます。
4. きょうだいの取扱い
きょうだいが同じ事業所を同日・同一の場で利用した場合、それぞれについて算定できます。ただし、各児の特性や関わり方について、それぞれ相談援助を行っていることが前提です。
支援を提供する従業者
- 子どもへの支援に集中する
相談援助を行う従業者(別の職員)
- 児童発達支援管理責任者が実施しても算定できる
- 相談援助に従事している間は、人員配置基準上の職員として数えられない
5. 家族支援加算との使い分け
両者は目的も要件も異なるため、同一の機会を二重に算定することはできません。整理すると次のようになります。
| 子育てサポート加算 | 家族支援加算(Ⅰ) | |
|---|---|---|
| 中心となる要素 | 支援場面の観察・参加+助言 | 相談援助そのもの |
| 実施のタイミング | 支援と同時並行 | 支援時間外でも可 |
| オンライン | 不可 | 可(80単位) |
| 居宅訪問 | 想定されていない | 可(200/300単位) |
| 時間 | 30分以上 | 事業所内は30分以上/訪問は30分以上を基本 |
| 単位数 | 80単位 | 80〜300単位 |
| 上限 | 月4回 | 月4回 |
同じ日に、支援場面の観察に基づく助言(子育てサポート加算)と、別の時間帯に計画に基づく個別の相談援助(家族支援加算)を行うことは理屈のうえでは考えられますが、記録上、それぞれ別個の支援であることが明確に読み取れる必要があります。安易な同日算定は避け、目的と内容が明確に分かれている場合に限るのが安全です。
子育てサポート加算
- 中心となる要素:支援場面の観察・参加+助言
- タイミング:支援と同時並行
- オンライン:不可/居宅訪問:想定されていない
- 時間:30分以上 単位数:80単位 上限:月4回
家族支援加算(Ⅰ)
- 中心となる要素:相談援助そのもの
- タイミング:支援時間外でも可
- オンライン:可(80単位)/居宅訪問:可(200・300単位)
- 時間:事業所内は30分以上/訪問は30分以上を基本 単位数:80〜300単位 上限:月4回
6. 記録に残すべきこと
所定の様式はありませんが、要件を満たしていることを示すには、少なくとも次の項目が必要です。
- 実施日時と所要時間(30分以上であることが分かる形で)
- 参加した家族(続柄)
- 観察・参加した支援の場面の内容
- 行った相談援助の内容(どの特性について、どのような関わり方を助言したか)
- 相談援助を行った職員名(支援提供者と別であることが分かる形で)
- 保護者の事前同意の記録
「保護者見学」とだけ書かれた記録では、要件を満たしていることを説明できません。
7. 算定誤りのチェックリスト
- 支援終了後にまとめてフィードバックする形になっていないか
- オンライン配信の視聴で算定していないか
- 30分未満の観察・参加で算定していないか
- 支援を提供している職員本人がそのまま相談援助を行っていないか
- 家族支援加算と同一の機会を二重に算定していないか
- 保護者の事前同意を得ているか
- 月5回目以降を算定していないか
- 相談援助を行った職員を、その時間帯の人員配置に数えていないか
8. 導入のすすめ方
この加算は、保護者にとって「事業所で何が行われているかが分かる」という納得感につながり、結果として利用の継続や紹介にも効いてきます。報酬としての80単位以上の価値があると考えてよいでしょう。
導入する場合は、まず月に何日か「保護者参加日」を設定し、時間割・担当職員・記録様式をセットで設計するのが現実的です。個別支援計画のモニタリングの時期に合わせて設定すれば、保護者の来所機会を無駄なく使えます(ただし、モニタリング面談そのものは家族支援加算の対象外です)。
あわせて読みたい障害福祉サービスの加算・減算の基本9. まとめ
子育てサポート加算の要件は、「同時並行」「30分以上」「対面」の3語に集約できます。この3つを外さない運用設計をしたうえで、記録に実施時間・場面・助言内容・担当者を残す。それだけで、算定の適否をめぐる不安はほぼ解消します。
制度の細部は告示および報酬改定Q&Aで定められています。個別の判断に迷う場合は、所轄の指定権者にご確認ください。
よくある質問
支援が終わってから、まとめて保護者に説明する形でも算定できますか。
算定できません。本加算は支援と同時並行的に相談援助等を行うことを求めており、事後的にまとめて実施することは想定されていません。
オンラインで支援場面を配信して見てもらう方法は認められますか。
認められません。家族が直接、支援場面を観察・参加する機会を前提としており、遠隔での実施は想定されていないとされています。家族支援加算にはオンラインの区分がありますが、本加算にはありません。
支援を担当している職員がそのまま相談援助を行ってもよいですか。
支援を提供する従業者とは異なる従業者が相談援助を行うことが前提です。児童発達支援管理責任者が実施する場合も算定できます。
家族支援加算と同じ日に算定できますか。
目的も内容も明確に分かれている場合に限られます。同一の機会を二重に算定することはできませんので、記録上それぞれ別個の支援であることが読み取れる必要があります。
家族支援の体制づくりと加算算定を、あわせてご相談ください
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請・報酬請求の実務と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。
静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。「この加算は算定できるか」「この記録で足りるか」といった運営中のご相談も承っています。
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体系的に知りたい方はこちら放課後等デイサービス 完全ガイド|開業・人員配置・支援時間区分・加算・運営指導主な参考資料
- 参考:「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(報酬告示)」/こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(障害児支援関係)VOL.1・VOL.6」/こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」
※本記事は令和8年8月28日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
