グループホームの夜間支援等体制加算|(Ⅰ)〜(Ⅵ)の要件・単位数と夜間支援対象利用者数の数え方

グループホームの夜間支援等体制加算のアイキャッチ

夜間支援等体制加算は、夜間および深夜の時間帯における支援体制を評価する加算で、(Ⅰ)から(Ⅵ)までの6類型があります。(Ⅰ)は夜勤、そのほかに宿直や連絡体制を評価する類型があり、要件がそれぞれ異なります。(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は、事業所単位での加配を評価する位置づけです。

  • 6類型があり、夜勤・宿直・連絡体制で要件が分かれる
  • (Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は事業所単位の加配を評価する
  • 夜間支援対象利用者数の数え方に決まりがある

この記事で分かること

共同生活援助(グループホーム)の夜間支援等体制加算について、(Ⅰ)から(Ⅵ)までの6類型の違い、夜勤・宿直・連絡体制それぞれの算定要件、事業所単位の加配を評価する(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)の位置づけ、夜間支援対象利用者数の数え方と按分、単位数の一覧、併給できない組み合わせ、届出の実務までを整理します。

はじめに

夜間支援等体制加算は、グループホームの収支に最も大きく影響する加算のひとつです。一方で、(Ⅰ)から(Ⅵ)までの類型があり、それぞれ「夜勤か宿直か」「住居単位か事業所単位か」「同じ利用者に重ねて算定できるか」が異なるため、体制届の提出時や運営指導の場面で判断に迷いやすい加算でもあります。

特に間違いが起こりやすいのが、単位数の基礎となる夜間支援対象利用者数です。現に入居している人数ではなく、前年度の平均利用者数によって算定するため、実際の入居者数で届け出てしまうと、報酬の過大請求として返還の対象になります。

この記事では、厚生労働省の留意事項通知と報酬告示をもとに、夜間支援等体制加算の全体像と実務上の判断ポイントを整理します。単位数は令和8年度時点のものです。

この記事のポイント

  • 対象は介護サービス包括型・外部サービス利用型のグループホーム。日中サービス支援型は夜勤職員加配加算で評価されます。
  • (Ⅰ)は夜勤、(Ⅱ)は宿直、(Ⅲ)は夜間防災体制または常時の連絡体制を評価する類型です。
  • (Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は、(Ⅰ)を算定している利用者に対して、さらに事業所単位で夜間支援従事者を加配した場合の加算です。
  • 単位数の基礎となる夜間支援対象利用者数は、前年度の平均利用者数(前年度の延べ利用者数÷開所日数)で算定し、小数点第1位を四捨五入します。
  • 1人の夜間支援従事者が支援できる利用者数は、複数の共同生活住居にまたがる場合は20人まで、1か所の共同生活住居内の場合は30人まで。21人以上の単位数は、同一の共同生活住居に入居している場合に限られます。
  • 同じ利用者について(Ⅰ)と(Ⅱ)、(Ⅳ)と(Ⅴ)などを重ねて算定することはできません

1. 夜間支援等体制加算の全体像

夜間支援等体制加算は、夜間および深夜の時間帯における支援体制を評価する加算です。ここでいう夜間及び深夜の時間帯とは、事業所ごとに利用者の生活サイクルに応じて、1日の活動の終了時刻から開始時刻までを基本として設定するもので、午後10時から翌日の午前5時までを最低限含む必要があります。

類型は6つあり、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は夜間支援の基本的な体制を、(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は(Ⅰ)に上乗せする加配を評価しています。日中サービス支援型グループホームは、基準上すでに夜間支援従事者の配置が求められているため、この加算ではなく夜勤職員加配加算の対象です。

図解16つの類型の位置づけ

基本の3類型

  • (Ⅰ)夜勤を行う夜間支援従事者を配置
  • (Ⅱ)宿直を行う夜間支援従事者を配置
  • (Ⅲ)夜間防災体制または常時の連絡体制を確保

(Ⅰ)への上乗せ3類型

  • (Ⅳ)事業所単位で夜勤を加配(全時間帯)
  • (Ⅴ)事業所単位で夜勤を加配(一部の時間帯)
  • (Ⅵ)事業所単位で宿直を加配

対象外

  • 日中サービス支援型グループホーム(夜勤職員加配加算で評価)
  • 経過的居宅介護利用型の住居に入居する利用者(Ⅰ)
夜間及び深夜の時間帯は午後10時〜翌日午前5時を最低限含めて設定する(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は(Ⅰ)を算定していることが前提
※対象サービスは介護サービス包括型・外部サービス利用型の共同生活援助です(宿泊型自立訓練にも同名の加算があります)。

2. 加算(Ⅰ)|夜勤を行う夜間支援従事者を配置する場合

加算(Ⅰ)は、夜勤を行う夜間支援従事者を配置し、夜間および深夜の時間帯を通じて必要な介護等の支援を提供できる体制を確保している場合に算定します。留意事項通知では、配置・勤務内容・算定方法の3点について要件が示されています。

配置については、夜間支援を行う利用者が居住する共同生活住居(サテライト型住居を除く)に配置することが原則です。1人の夜間支援従事者が複数の共同生活住居の利用者を支援する場合は、配置されている住居とその他の住居が概ね10分以内の地理的条件にあり、利用者の呼び出しに速やかに対応できる連絡体制が必要です。この場合、少なくとも一晩に1回以上は対象となる住居を巡回します(サテライト型住居は、住居の形態や利用者の状態像を勘案して巡回の必要性を判断できます)。

勤務内容は、就寝準備の確認、寝返りや排せつの支援、緊急時の対応などで、その内容は利用者ごとに共同生活援助計画に位置付ける必要があります。常勤・非常勤は問わず、世話人・生活支援員以外の委託を受けた者でも差し支えありませんが、障害者支援施設や病院などの夜勤・宿直と兼務している場合は加算の対象になりません。併設の短期入所事業所の従業者が兼務することは差し支えないとされています。

図解2加算(Ⅰ)の要件
①夜勤者の配置支援を行う利用者が居住する住居に、就寝前から翌朝の起床後まで夜勤の夜間支援従事者を配置
②複数住居なら10分以内概ね10分以内の地理的条件+特別な連絡体制。一晩1回以上の巡回
③計画への位置付け夜間支援の内容を利用者ごとに共同生活援助計画へ記載

対象にならない例

  • 障害者支援施設・病院・宿泊型自立訓練の夜勤/宿直と兼務している
  • 夜間及び深夜の時間帯の一部しか配置していない

差し支えない例

  • 世話人・生活支援員以外の委託を受けた者による夜間支援
  • 併設する短期入所事業所の従業者との兼務
  • シフト制の交代勤務(引き継ぎが適切に行われる場合)
※1人の夜間支援従事者が支援を行うことができる利用者の数は、複数の共同生活住居における夜間支援を行う場合は20人まで、1か所の共同生活住居内において夜間支援を行う場合は30人までが上限です。
あわせて読みたい夜間支援等体制加算(Ⅰ)と休憩時間|夜勤1人で算定できるか

3. 加算(Ⅱ)|宿直を行う夜間支援従事者を配置する場合

加算(Ⅱ)は、夜間および深夜の時間帯を通じて宿直を行う夜間支援従事者を配置し、定時的な居室の巡回や電話の収受、緊急時の対応等を行う場合の加算です。配置や計画への位置付けの考え方は(Ⅰ)と共通しています。

夜勤か宿直かは労働基準法上の取扱いの違いであり、宿直は常態としてほとんど労働をする必要のない勤務で、相当の睡眠設備が確保されていることなどが前提になります。単位数は(Ⅰ)より低く設定されており、同じ利用者について(Ⅰ)と(Ⅱ)を同時に算定することはできません。

4. 加算(Ⅲ)|夜間防災体制・常時の連絡体制

加算(Ⅲ)は、夜間および深夜の時間帯を通じて、必要な防災体制または緊急時に速やかに対応できる常時の連絡体制を確保している場合の加算で、1日につき10単位です。夜間防災体制とは、警備会社と共同生活住居に係る警備業務の委託契約を締結している場合をいい、委託の際には利用者の状況等を警備会社に伝達しておく必要があります。

常時の連絡体制は、従業者が常駐する場合のほか、携帯電話等により連絡体制が確保されている場合や、世話人・生活支援員以外の夜間支援を委託された者により連絡体制を確保している場合も対象です。ただし、障害者支援施設の夜勤職員など、別途報酬により評価される職務に従事する者による連絡体制は対象になりません。緊急時の連絡先や連絡方法は運営規程に定め、住居内の見やすい場所に掲示します。

図解3(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の比較

(Ⅰ)夜勤

  • 夜間・深夜を通じて夜勤者を配置
  • 就寝準備・寝返り・排せつの支援など
  • 利用者数と障害支援区分で単位数が変動

(Ⅱ)宿直

  • 夜間・深夜を通じて宿直者を配置
  • 定時的な居室の巡回・電話の収受
  • 利用者数で単位数が変動

(Ⅲ)連絡体制

  • 警備会社との委託契約、または常時の連絡体制
  • 1日につき10単位
  • 運営規程への記載と掲示が必要
同じ利用者について(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)の対象となる利用者は(Ⅲ)を算定できない
※(Ⅰ)は障害支援区分ごとに単位数が分かれますが、(Ⅱ)は区分による差がありません。

5. 加算(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)|事業所単位の加配

(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は、加算(Ⅰ)を算定している利用者に対して、さらに事業所単位で夜間支援従事者を加配した場合の加算です。手厚い支援体制の確保と、夜間支援従事者の適切な休憩時間の確保を図ることが目的とされています。

  • (Ⅳ)…夜勤を行う夜間支援従事者を、夜間および深夜の時間帯を通じて加配する場合
  • (Ⅴ)…夜勤を行う夜間支援従事者を、夜間および深夜の一部の時間帯に加配する場合。午後10時から翌日の午前5時までの間に、少なくとも2時間以上の勤務時間が必要です
  • (Ⅵ)…宿直を行う夜間支援従事者を、夜間および深夜の時間帯を通じて加配する場合。少なくとも一晩に1回以上、対象となる住居を巡回します

いずれも、対象となるのは加算(Ⅰ)により配置される夜間支援従事者が1人のみ常駐する共同生活住居の利用者です。すでに(Ⅰ)の夜間支援従事者が2人以上常駐している住居の利用者は対象になりません。また、加配された夜間支援従事者と常駐する夜間支援従事者との間で、緊密な連携体制が確保されている必要があります。

図解4(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は(Ⅰ)への上乗せ
前提加算(Ⅰ)を算定している(夜勤者1人が常駐する住居の利用者)
事業所単位で加配(Ⅳ)夜勤・全時間帯/(Ⅴ)夜勤・一部時間帯(2時間以上)/(Ⅵ)宿直・全時間帯

算定できない場合

  • (Ⅰ)の夜間支援従事者が2人以上常駐している住居の利用者
  • (Ⅰ)を算定していない利用者

単位数の目安

  • (Ⅳ)は(Ⅴ)(Ⅵ)のおよそ2倍の単位数
  • (Ⅴ)と(Ⅵ)は同じ単位数
※(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は、同じ利用者について重ねて算定することはできません。

6. 夜間支援対象利用者数の数え方

単位数は、1人の夜間支援従事者が支援を行う夜間支援対象利用者の数によって決まります。この人数は、現に入居している利用者の数ではなく、前年度の平均利用者数によって算定します。前年度の平均利用者数は「前年度の全利用者の延べ数÷前年度の開所日数」で求め、計算の過程で小数点以下の端数が生じる場合は、小数点第1位を四捨五入します。

1か所の共同生活住居において2人以上の夜間支援従事者が夜間支援を行う場合は、それぞれの夜間支援従事者が実際に夜間支援を行う利用者数に応じて、当該住居の利用者数を按分して算定します。

図解5夜間支援対象利用者数の求め方
①前年度の延べ利用者数夜間支援を行う住居に入居していた利用者の延べ数
÷
②前年度の開所日数
③小数点第1位を四捨五入この人数の欄の単位数を算定

通知に示された例

  • 5人定員の住居で、前年度の延べ利用者数1,570人、開所日数365日
  • 1,570÷365=4.3人 → 四捨五入して4人
  • 区分4以上であれば336単位を算定

よくある誤り

  • その日の入居者数で届け出てしまう
  • 2人体制なのに按分せず、それぞれ全員分で算定する
  • 空室が続いた期間を延べ数に含めてしまう
※新規指定や増設の場合の取扱いは、指定権者の運用によって異なることがあるため、事前に確認してください。
あわせて読みたい障害者グループホーム(共同生活援助)の基本報酬|類型別の単位数

7. 単位数一覧

いずれも1日につき算定する加算です。(Ⅰ)は夜間支援対象利用者の障害支援区分によって3つに分かれます。21人以上の単位数は、夜間支援対象利用者が同一の共同生活住居に入居している場合に限られるため、複数の住居にまたがって夜間支援を行う場合は20人までが上限になります。

夜間支援等体制加算(Ⅰ)

夜間支援対象利用者数区分4以上区分3区分2以下
2人以下672単位560単位448単位
3人448単位373単位299単位
4人336単位280単位224単位
5人269単位224単位179単位
6人224単位187単位149単位
7人192単位160単位128単位
8人168単位140単位112単位
9人149単位124単位99単位
10人135単位113単位90単位
11人122単位102単位81単位
12人112単位93単位75単位
13人103単位86単位69単位
14人96単位80単位64単位
15人90単位75単位60単位
16人84単位70単位56単位
17人79単位66単位53単位
18人75単位63単位50単位
19人71単位59単位47単位
20人67単位56単位45単位
21人64単位53単位43単位
22人61単位51単位41単位
23人58単位48単位39単位
24人56単位47単位37単位
25人54単位45単位36単位
26人51単位43単位34単位
27人50単位42単位33単位
28人48単位40単位32単位
29人46単位38単位31単位
30人45単位38単位30単位

夜間支援等体制加算(Ⅱ)

夜間支援対象利用者数単位数
4人以下112単位
5人90単位
6人75単位
7人64単位
8人56単位
9人50単位
10人45単位
11人40単位
12人37単位
13人34単位
14人32単位
15人30単位
16人28単位
17人26単位
18人25単位
19人23単位
20人22単位
21人21単位
22人20単位
23人19単位
24人18単位
25人18単位
26人17単位
27人16単位
28人16単位
29人15単位
30人15単位

夜間支援等体制加算(Ⅲ)は、利用者数にかかわらず1日につき10単位です。

夜間支援等体制加算(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)

夜間支援対象利用者数(Ⅳ)(Ⅴ)・(Ⅵ)
15人以下60単位30単位
16人56単位28単位
17人53単位26単位
18人50単位25単位
19人47単位23単位
20人45単位22単位
21人43単位21単位
22人41単位20単位
23人39単位19単位
24人37単位18単位
25人36単位18単位
26人34単位17単位
27人33単位16単位
28人32単位16単位
29人31単位15単位
30人30単位15単位
図解6加算(Ⅰ)区分4以上の単位数(1日につき)
2人以下
672単位
4人
336単位
6人
224単位
10人
135単位
15人
90単位
20人
67単位
30人
45単位
夜間支援対象利用者が1人増えるごとに単位数は大きく下がる2人以下は同額(672単位)
※区分4以上の場合のグラフです。区分3・区分2以下はこれより低い単位数になります。

8. 併給できない組み合わせ

夜間支援等体制加算は、同じ利用者について複数の類型を重ねて算定することができません。留意事項通知では、次のように整理されています。

  • 夜勤の夜間支援従事者が支援を行う住居の利用者は、(Ⅱ)を算定できない
  • 宿直の夜間支援従事者が支援を行う住居の利用者は、(Ⅰ)を算定できない
  • (Ⅳ)の対象となる利用者は、(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅴ)(Ⅵ)を算定できない
  • (Ⅴ)の対象となる利用者は、(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅵ)を算定できない
  • (Ⅵ)の対象となる利用者は、(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)を算定できない

判定は事業所単位ではなく利用者単位で行います。同じ事業所の中で、夜勤者が支援する住居の利用者は(Ⅰ)、宿直者が支援する住居の利用者は(Ⅱ)というように、住居ごとに異なる類型を算定することは可能です。

図解7併給の可否(利用者単位で判断)

できる

  • 住居ごとに(Ⅰ)と(Ⅱ)を分けて算定する
  • (Ⅰ)を算定している利用者に(Ⅳ)〜(Ⅵ)のいずれか1つを上乗せする

できない

  • 同じ利用者に(Ⅰ)と(Ⅱ)を重ねる
  • (Ⅳ)〜(Ⅵ)のうち2つ以上を同じ利用者に算定する
  • (Ⅳ)〜(Ⅵ)の対象者に(Ⅲ)を重ねる
※(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は(Ⅰ)を算定していることが前提のため、(Ⅰ)との併算定は当然に必要です。

9. 届出と実務の準備

算定には、指定権者への事前の届出(体制届)が必要です。届出が毎月15日以前になされた場合は翌月から、16日以降になされた場合は翌々月から算定できます。要件を満たさなくなったときは、その日から算定を取りやめ、速やかに実態に合った届出を行います。

届出にあたっては、夜間支援等体制加算に関する届出書のほか、従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表、夜間支援対象利用者数の算定根拠を示す資料が求められるのが一般的です。(Ⅲ)を算定する場合は、警備業務委託契約書の写しや、常時の連絡体制について定めた運営規程・掲示物が確認されます。

あわせて読みたい障害福祉サービスの体制届とは?提出時期と加算算定の関係
図解8個別支援計画の夜間の欄はここまで書く

よくある記載

  • 「夜間に巡視する」の一文で終わっている
  • 全利用者が同じ文言になっている
  • その利用者に夜間支援が必要な理由が書かれていない

望ましい記載

  • 巡視・安否確認に加えて、就寝・起床時の支援、排せつ等の支援、緊急時の対応まで書く
  • 利用者ごとに、夜間支援が必要な理由を書く
  • 支援記録に、計画に書いた支援の実施が残っている
※加算は利用者ごとに夜間支援対象利用者として数えます。計画に理由が書いてあれば、アセスメントから支援記録までが一本の線でつながります。

10. 個別支援計画への書き方

夜間支援等体制加算は、届出と勤務体制だけで完結する加算ではありません。運営指導では、夜間支援の実施を裏づける記録とあわせて、個別支援計画に夜間の支援がどう位置づけられているかが確認されます。ところが実際の計画を見ると、夜間の欄が「夜間に巡視する」の一文で終わっていることが少なくありません。

まず押さえたいのは、支援の中身まで書き切ることです。たとえば、次のような書き方になります。

夜間帯について、定期的な巡視・安否確認を行う。また、利用者の状況に応じて就寝・起床時の支援、排せつ等の必要な支援を行うとともに、体調急変その他緊急時には速やかに対応する。

巡視だけでなく、就寝・起床時の支援、排せつ等の支援、緊急時の対応まで書いてあれば、夜間支援従事者が実際に行っている業務と計画の記載が一いたします。加算の要件として求められているのは体制ですが、その体制が利用者の支援としてどう機能しているかは、計画と記録でしか説明できません。

そのうえで、可能であれば全利用者に一律の文言を並べるのではなく、利用者ごとに夜間支援が必要な理由が分かる内容にしておくと、より安心です。

  • 夜間覚醒・自傷行為があるため安否確認を行う
  • 転倒リスクがあるため夜間巡視を行う
  • 体調変化に対応できるよう見守りを行う

夜間支援等体制加算は、夜間支援対象利用者として利用者ごとに数える加算です。一律の文言だけだと、なぜその利用者に夜間の支援が必要なのかが計画から読み取れません。理由が書いてあれば、アセスメントから個別支援計画、支援記録、加算の算定までが一本の線でつながります。

最後に、記録との整合を忘れないでください。計画に「排せつ等の必要な支援を行う」と書いたのであれば、支援記録にもその実施が残っている必要があります。計画にだけ丁寧に書いてあって記録がない、という状態がいちばん危うい形です。運営指導の当日確認資料でも、夜間支援等体制加算に関する支援記録は名指しで挙げられています。

あわせて読みたい静岡市の運営指導|事前提出資料・自己点検票と当日確認資料の準備

実務上の注意点

  • 年度が変わったら人数を計算し直す。夜間支援対象利用者数は前年度の平均利用者数で決まるため、入居が進んだ年度の翌年度は単位数が下がることがあります。年度当初に再計算し、必要な変更の届出を行います。
  • 勤務形態一覧表と加算の内容を一致させる。夜勤か宿直かは勤務形態一覧表で確認されます。宿直として届け出ながら実態が夜勤である場合、労働基準法上の問題にもつながります。
  • 共同生活援助計画への位置付けを忘れない。夜間支援の内容を計画に記載していないと、体制があっても算定要件を満たしません。
  • 兼務の有無を確認する。他の施設や病院の夜勤・宿直と兼務している場合は算定できません。併設の短期入所との兼務は差し支えありません。

実務チェックリスト

□ 算定する類型(Ⅰ〜Ⅵ)を住居ごと・利用者ごとに整理した

□ 夜間及び深夜の時間帯を、午後10時〜翌日午前5時を含めて設定している

□ 夜間支援対象利用者数を前年度の平均利用者数から算定した

□ 2人以上で夜間支援を行う場合、利用者数を按分した

□ 複数住居を支援する場合、概ね10分以内・巡回の要件を満たしている

□ 夜間支援の内容を利用者ごとの共同生活援助計画に位置付けた

□ 他施設の夜勤・宿直との兼務がないことを確認した

□ 併給できない組み合わせで請求していないか確認した

□ 体制届を15日以前/16日以降の区切りを踏まえて提出した

よくある質問

Q
夜間支援対象利用者数は、その日の入居者数で数えるのですか。
A

現に入居している利用者の数ではなく、前年度の平均利用者数(前年度の全利用者の延べ数÷前年度の開所日数)により算定します。小数点第1位を四捨五入した人数の欄の単位数を算定します。

Q
1つの住居に夜勤者を2人配置した場合はどうなりますか。
A

それぞれの夜間支援従事者が実際に夜間支援を行う利用者数に応じて、住居の利用者数を按分して算定します。なお、加算(Ⅰ)により配置される夜間支援従事者が2人以上常駐する住居の利用者は、(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)の対象になりません。

Q
複数の共同生活住居を1人の夜勤者が担当できますか。
A

夜間支援従事者が配置されている住居とその他の住居が概ね10分以内の地理的条件にあり、利用者の呼び出し等に速やかに対応できる連絡体制が確保されていれば可能です。この場合、少なくとも一晩に1回以上は住居を巡回する必要があります。この場合の対象となる共同生活住居は5か所までとされ(サテライト型住居の数は本体住居と併せて1か所と数えます)、1人の夜間支援従事者が支援できる利用者数は20人までが上限です(1か所の共同生活住居内で夜間支援を行う場合は30人までが上限です)。

Q
夜勤者が休憩を取ると加算は算定できませんか。
A

夜間支援従事者が配置されている共同生活住居内で休憩時間を過ごす場合は、夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な支援を提供できる体制を確保しているものとして取り扱って差し支えないとされています。休憩時間の設定と労務管理の考え方は別の記事で詳しく整理しています。

Q
短期入所を併設していますが、夜勤者が兼務してもよいですか。
A

グループホームが設置する併設の指定短期入所事業所の従業者が夜間支援従事者の業務を兼務することは差し支えないとされています。一方、障害者支援施設や病院、宿泊型自立訓練の夜勤・宿直と兼務している場合は加算の対象になりません。

Q
日中サービス支援型でも算定できますか。
A

日中サービス支援型共同生活援助は、基準上すでに夜間支援従事者の配置が求められているため、夜間支援等体制加算ではなく夜勤職員加配加算で評価されます。

Q
加算(Ⅴ)の「一部の時間帯」とはどのくらいですか。
A

午後10時から翌日の午前5時までの間において、少なくとも2時間以上の勤務時間がある場合に算定できるとされています。

まとめ

夜間支援等体制加算は、(Ⅰ)夜勤・(Ⅱ)宿直・(Ⅲ)連絡体制という基本の3類型に、(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)という事業所単位の加配が重なる構造になっています。どの類型を算定できるかは、住居ごとの配置と利用者ごとの支援内容で決まるため、事業所単位でまとめて考えると誤りが生じます。

実務で最も注意したいのは、夜間支援対象利用者数を前年度の平均利用者数で算定する点と、2人以上で夜間支援を行う場合の按分です。ここを誤ると、体制そのものは整っていても過大請求となり、返還の対象になります。年度替わりのタイミングで人数を計算し直し、勤務形態一覧表・共同生活援助計画・体制届の内容が一致しているかを確認しておくことが、安定した算定につながります。

グループホームの加算算定と体制届をご相談ください

障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、加算の算定要件と夜勤・宿直の労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。「この夜勤体制で(Ⅰ)を算定できるか」「夜間支援対象利用者数の数え方が合っているか」といったご相談も承っています。

運営顧問(パートナー契約)の内容を見る

無料相談はこちら

関連記事

体系的に知りたい方はこちら障害者グループホーム(共同生活援助)完全ガイド|開業・物件・人員配置・夜間支援・加算

主な参考資料

  • 参考:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号)
  • 参考:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(報酬告示第15の1の5)
  • 参考:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」
  • 参考:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」

※本記事は令和8年9月2日時点の法令・通知・公表資料に基づく一般的な整理です。単位数や取扱いは改定により変わることがあり、届出の運用は指定権者によって異なる場合があります。実際の算定にあたっては、最新の通知および指定権者の指示をご確認ください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。