体制届作成時の注意点|返還が必要な場合と遡って請求できない場合

体制届を間違えたらどうなる?|返還と遡及の可否

体制届は、実態と届出内容が違っていた場合に「後から正しい内容に直せばよい」とは限りません。実態より有利に届け出ていた場合と、不利に届け出ていた場合とで、発覚後の取扱いが異なります。

  • 実態より有利な内容で届け出ていた場合は、過大請求分の返還が必要
  • 実態より不利な内容で届け出ていた場合は、遡っての増額請求は原則できない
  • 単位数が増える届出は、15日以前なら翌月、16日以降なら翌々月から算定
  • 届出は正しく国保連請求だけ誤っていた場合は、過誤申立て・再請求で訂正できる

はじめに

障害福祉サービスでは、加算や基本報酬の算定にあたり、「介護給付費等算定に係る体制等に関する届出」、いわゆる体制届を提出する場面が多くあります。

この体制届で特に注意したいのが、「実態と届出内容が違っていた場合、後から正しい内容に直せばよい」とは限らない、という点です。

体制届は、実態より有利に届けた場合と不利に届けた場合で、発覚後の取扱いが異なります。

1. 体制届の修正は原則できない

例えば、本来より高い報酬が算定される内容で届け出ており、後から算定要件を満たしていなかったことが判明した場合には、過大に受け取った報酬について返還が必要となります。

一方、実際にはもっと高い報酬を算定できる状態だったにもかかわらず、低い区分で誤って届け出ていた場合、原則として後から遡って増額請求することはできません

図解1届け出た内容と実態がずれたとき

実態より有利に届け出ていた

  • 本来より高い報酬が算定される内容で届け出ていた
  • 後から算定要件を満たしていなかったことが判明
  • 過大に受け取った報酬について返還が必要

実態より不利に届け出ていた

  • 実際にはもっと高い報酬を算定できる状態だった
  • 低い区分で誤って届け出ていた
  • 後から遡って増額請求することは原則できない
体制届は、実態より有利に届けた場合と不利に届けた場合で、発覚後の取扱いが異なります。

また、算定単位数が増える届出については、原則として、毎月15日以前に届出をした場合は翌月から、16日以降の場合は翌々月から算定を開始する取扱いとされています。

算定単位数が増える届出の算定開始時期
届出日算定を開始できる月
毎月15日以前に届出翌月から
16日以降に届出翌々月から
※表は横にスクロールできます

つまり、体制届は単に「実際の体制を行政へ報告する書類」ではなく、高い報酬を算定するための手続要件でもある、ということです。

2. 具体例:グループホームの夜間支援対象利用者数

分かりやすい例が、共同生活援助(グループホーム)の夜間支援等体制加算です。

夜間支援等体制加算では、「夜間支援対象利用者数」によって算定単位数が変わります。対象利用者数が少ないほど、1人当たりの夜間支援従事者の負担が大きくなるため、基本的には高い単位数が設定されています。

図解2夜間支援対象利用者数を誤って届け出たとき

例① 本来7人なのに、誤って5人で届け出てしまった場合

  • 本来届け出るべき夜間支援対象利用者数は7人だった
  • 誤って5人として届け出ていた
  • 5人の方が高い単位数になるため、結果として報酬を多く請求していた場合には、正しい「7人」の区分に基づいて計算し直し、過大請求分の返還が必要となる可能性がある

例② 本来5人なのに、7人として届け出ていた場合

  • 本来は5人だったにもかかわらず、誤って7人として届け出ていた
  • 実態としては5人の高い単位数を算定できる状態だった
  • それでも「本当は5人だったから過去に遡って差額を請求」とは原則いかない
実態5人・届出7人 → 原則7人区分のまま。実態7人・届出5人 → 5人区分の過大算定は認められず返還。

高い区分で算定するためには、正しい内容で体制届を提出しておく必要があるためです。

3. 体制届は正しく記載しましょう

誤って提出した場合、本来受け取れるはずだった報酬を、長期間にわたって受け取れなくなる可能性があります。逆に、実態より有利な区分で届け出れば、後から確認された際に返還が生じるため、必ず正しく提出をしましょう。

届出内容と、後から判明した場合の取扱い
届出内容後から判明した場合
実態より有利な内容で届出・請求過大請求分の返還が必要
実態より不利な内容で届出過去に遡った増額請求はできない
届出は正しいが国保連請求だけ誤っていた過誤申立て・再請求で訂正できる
※表は横にスクロールできます

4. 作成するときに確認したいポイント

体制届を作成するときの確認ポイント

    • 前年度平均利用者数や直近実績の計算に誤りがないか
    • 夜間支援対象利用者数など、報酬単位に直結する人数が正しいか
    • 職員配置や常勤換算数が届出内容と一致しているか
    • 加算要件を満たした日と届出日を確認しているか
    • 前年度からそのまま同じ区分を使用してよいか確認しているか
    • 体制届と国保連に登録されている事業所情報が一致しているか

特に、前年度実績や直近6か月などの実績によって毎年数字が変わる項目は要注意です。夜間支援等体制加算や人員配置体制加算など、実績に応じて区分が変わるものは、年度替わりや変更時に必ず再計算する必要があります。

5. まとめ

体制届は、単なる行政への報告書ではありません。届出した内容が、その後の報酬額を決める重要な書類です。

多く請求していれば返還を求められる一方、少なく請求していたからといって、必ずしも後から取り戻せるわけではありません。

そのため、「去年と同じでいいだろう」「少なめに届けておけば安全だろう」と処理するのではなく、毎年度・変更時点で算定根拠を確認したうえで、正確な内容を届け出ることが重要です。

参考資料

    • 厚生労働省「介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出等の取扱い」
    • 豊橋市「障害福祉サービス等の体制届・加算届に関する案内」
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