空床型短期入所とは?|対象施設・人員配置・設備・基本報酬と指定申請の注意点

空床型短期入所とは?対象施設・人員配置・設備・基本報酬・指定申請の注意点をわかりやすく解説

空床型短期入所(空床利用型事業所)は、グループホーム等で現に利用者が使用していない居室を使って短期入所を行う形態です。短期入所には、居室の確保の仕方によって3つの事業形態があり、どの施設に併設するかによって整理されています。本体施設にできる事業者は指定基準で定められています。

  • グループホーム等の空いている居室を使って実施する形態
  • 短期入所には居室の確保の仕方による3つの事業形態がある
  • 本体施設にできる事業者は指定基準で定められている

この記事で分かること

空床型短期入所(空床利用型事業所)の仕組み、対象となるグループホーム、使用できる居室、人員配置、設備・定員、基本報酬(Ⅰ〜Ⅳ)、利用者負担、指定申請の流れ、運営上の注意点までをまとめています。

はじめに|空床型短期入所は「グループホームの指定だけ」では実施できません

障害者グループホームを運営していると、入居者の退居後や新規入居までの間に、居室が一時的に空くことがあります。この空室を活用して短期間の宿泊支援を提供する仕組みが、一般に「空床型短期入所」と呼ばれるサービスです。

正式には「空床利用型事業所」といい、グループホームとは別に短期入所の指定を受けることで、現に利用者が使用していない居室において短期入所を提供できます。制度の理解で特に重要なのは、グループホームの指定だけでは短期入所として報酬請求できないという点です。共同生活援助とは別に「短期入所」の指定を受ける必要があります。

重要ポイント

グループホームの指定だけでは、短期入所として報酬請求することはできません。共同生活援助とは別に「短期入所」の指定を受けたうえで、空床の管理、人員配置、定員、報酬区分、利用者負担を明確に分けて運営する必要があります。

この記事の要点

    • 空床型短期入所(空床利用型事業所)は、グループホーム等の現に利用者が使用していない居室を活用して短期入所を行う形態です。
    • 共同生活援助とは別に「短期入所」の指定が必要で、グループホームの指定だけでは報酬請求できません。
    • 使用できるのは、現に利用者が使用していない居室に限られ、空床の発生・予約状況を管理簿で説明できる体制が必要です。
    • 人員は、グループホーム入居者と短期入所利用者を合計した利用者数を基に判定します。
    • 基本報酬は、成人(Ⅰ・Ⅱ)/障害児(Ⅲ・Ⅳ)と、同じ日の他サービス利用の有無により4区分に分かれます。
    • 利用者からは、食事・光熱水費・日用品費等の実費相当額を、運営規程等に明記した上で受領できます。

1. 空床型短期入所とは

短期入所は、家族等の介護者が病気になった場合、休養を必要とする場合、冠婚葬祭その他の事情により、一時的に居宅での介護が難しくなった障害者・障害児に対して、宿泊を伴う支援を提供する障害福祉サービスです。

法令上の名称

「空床型短期入所」は実務上よく使われる呼び方です。指定基準では「空床利用型事業所」と定義されています。

空床利用型事業所は、対象となる施設の全部または一部にある「現に利用者が使用していない居室」を利用して短期入所を行う形態です。既存設備を活用できるため、短期入所専用の建物を新たに設ける場合と比べ、開設コストを抑えやすい点が特徴です。主な支援内容は次のとおりです。

  • 食事、入浴、排せつ等の介助
  • 夜間の見守り、服薬管理、緊急時対応
  • 生活上の相談・援助
  • 家族等のレスパイト支援
  • 地域生活を継続するための一時的な受入れ
グループホームの指定だけでは請求できません

グループホームの指定だけでは、短期入所として報酬請求することはできません。共同生活援助とは別に「短期入所」の指定を受ける必要があります。

2. 短期入所の3つの事業形態

短期入所には、居室の確保の仕方によって次の3つの事業形態があります。

形態概要居室の考え方
併設型本体施設と一体的に運営する短期入所短期入所専用の居室を設ける
空床利用型本体施設の空いている居室を活用する短期入所現に利用者が使用していない居室を使う
単独型併設型・空床利用型以外の短期入所短期入所事業として必要な居室を確保する

空床利用型は、短期入所専用の居室を常時確保する形態ではなく、本体施設の実際の空室を利用することが基本です。短期入所用として常に1室を空け、通常のグループホーム入居者には使用させない運営を想定する場合は、併設型等の別形態に該当する可能性があります。事前に指定権者へ運営方法を説明し、事業形態を確認してください。

単独型は「共同生活援助事業所・障害者支援施設など以外」の居室を使う形態

3つの類型は、どの施設に併設するかによって整理されています。ある中核市の手引きでは、次のとおり定義されています。

分類内容
併設事業所共同生活援助事業所、障害者支援施設などに併設され、共同生活援助事業所などと一体的に運営を行う
空床利用型事業所利用者に利用されていない共同生活援助事業所、障害者支援施設などの居室において短期入所を行う
単独型事業所併設事業所・空床利用型事業所以外の短期入所事業所。短期入所専用の建物のほか、生活介護事業所など(共同生活援助事業所、障害者支援施設など以外)の空きスペースを活用する場合も含む

単独型は、併設事業所・空床利用型事業所以外の短期入所事業所をいいます。短期入所専用の建物で行う場合も、他の事業所の空きスペースを活用する場合も含まれます。いずれの場合も、居室・食堂・浴室・洗面所・便所等を自ら備え、居室は収納設備を除き8平方メートル以上・1室4人以下・地階に設けないなどの設備基準を満たす必要があります。

設備内容
居室収納設備を除き8平方メートル以上。1つの居室の利用定員は4人以下。地階に設けてはならない。寝台またはそれに代わる設備、ブザーまたはそれに代わる設備を設けること
その他の設備食事の提供に支障がない広さの食堂と必要な備品。利用者の特性に応じた浴室。居室のある階ごとに、利用者の特性に応じた手洗い設備・便所

日中活動系の事業所の空きスペースを使って短期入所を始めたいという相談では、この単独型の設備基準に該当します。地階が使えないこと、階ごとに手洗い設備と便所が必要になることは、既存物件では制約になりやすい項目です。事業形態の判断は運営方法によって変わるため、申請前に指定権者へ運営方法を説明して確認してください。

図解1短期入所の3つの事業形態

併設型

  • 本体施設と一体的に運営する短期入所
  • 短期入所専用の居室を設ける

空床利用型

  • 本体施設の空いている居室を活用
  • 現に利用者が使用していない居室を使う

単独型

  • 併設型・空床利用型以外
  • 短期入所事業として必要な居室を確保する
グループホームの指定だけでは短期入所として報酬請求できない(別の指定が必要)短期入所用に常に1室を空けておく運営は、併設型等の別形態に該当する可能性がある
※事前に指定権者へ運営方法を説明し、事業形態を確認してください。

3. グループホームで実施できる範囲

指定基準上、次の事業者が設置する施設は、空床利用型事業所の本体施設となることができます。

  • 介護サービス包括型共同生活援助
  • 外部サービス利用型共同生活援助
  • 宿泊型自立訓練
  • 障害者支援施設等の入所施設

日中サービス支援型グループホーム

日中サービス支援型共同生活援助は、空床利用型事業所の対象から除外されています。短期入所を実施する場合は、併設型等の別形態としての指定・運営方法を指定権者と協議する必要があります。

空床型短期入所は、共同生活援助の「多機能型事業所」になるものではありません。共同生活援助と短期入所という別の障害福祉サービスの指定を、同じ施設で運営する整理になります。

4. 使用できる居室

空床利用型事業所で使用できるのは、現に利用者が使用していない居室です。例えば、次のような居室が想定されます。

  • 入居者の退居後、次の入居者が決まるまでの空室
  • 開設直後で、まだ入居契約を締結していない居室
  • 入居定員の範囲内で、現に誰も使用していない居室

一方、入居者が入院・外泊しているだけで利用契約が継続し、私物が置かれている居室を第三者に使用させることは、占有関係やプライバシーの問題が生じます。このような居室を使用する場合は、指定権者への事前確認が不可欠です。

実務上の管理

空床の発生日、入居契約の有無、短期入所の予約期間を管理簿で整理し、「その日に使用可能な空床があったこと」を説明できる状態にしておくことが重要です。

5. 人員配置基準

グループホームと短期入所を同時に提供する時間帯

グループホーム入居者と短期入所利用者が同時に滞在する時間帯は、両者を合計した利用者数を基に、本体のグループホームに必要な生活支援員またはこれに準ずる従業者の数を確保します。

グループホーム入居者4人に短期入所利用者1人を受け入れる場合、原則として利用者5人として、本体施設の人員基準を判定します。

グループホームを提供していない時間帯

日中など、グループホームのサービス提供と同時でない時間帯に短期入所を提供する場合は、短期入所利用者数に応じて次の従業者を配置します。

当日の短期入所利用者数必要な従業者数
6人以下1人以上
7人以上1人+6人を超えて6人または端数を増すごとに1人追加

したがって、短期入所利用者が1人だけであっても、日中に事業所内で過ごす場合は、原則として1人以上の支援従事者を配置する必要があります。

サービス管理責任者・管理者

短期入所には、短期入所独自のサービス管理責任者の配置基準はありません。そのため、短期入所専属のサービス管理責任者を新たに配置する必要はありません。

一方、短期入所事業所には管理者が必要です。管理業務に支障がなく、自治体の取扱いに適合する場合は、グループホームの管理者等との兼務を検討できます。

勤務形態一覧表の注意

共同生活援助と短期入所の双方で勤務する職員は、サービスごとの勤務時間や役割が分かるように整理してください。同じ時間を双方の配置数へ二重計上することはできません。

本体施設が障害者支援施設の場合は取扱いが異なる

空床利用型の人員基準は、本体施設が何かによって求められる内容が変わります。ある中核市の手引きでは、次のとおり整理されています。

本体施設必要な配置
共同生活援助事業所①本体施設のサービス提供時間における生活支援員などは、本体施設と短期入所の利用者数の合計を本体施設の利用者数とみなした場合に、本体施設として必要とされる数以上
②①以外の時間帯における生活支援員などは、利用者数6人以下の場合1人以上(7人以上の場合、6人を超えて6人を増す、または端数が増すごとに1人を加えた数以上)
障害者支援施設①のみ

本体施設がグループホームの場合は①と②の両方が求められ、障害者支援施設の場合は①だけとされています。障害者支援施設は元々24時間の人員体制が組まれているためです。

なお、人員配置の算定に用いる利用者数は前年度の平均値を使用し、新規指定の場合は推定数として「利用定員×0.9」を用いるとされています。空床利用型は利用実績が読みにくいサービスですが、指定時点では定員から機械的に算出することになります。算式は指定権者によって異なる場合があるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

管理者については、業務に支障がない場合は兼務可とされています。

図解2人員配置は「同時に提供する時間帯」かどうかで変わる

GHと短期入所を同時に提供する時間帯

  • 両者を合計した利用者数を基に、本体のGHに必要な生活支援員等の数を確保
  • 例:GH入居者4人+短期入所1人 → 原則として利用者5人として判定

GHを提供していない時間帯(日中など)

  • 当日の短期入所利用者6人以下 → 1人以上
  • 7人以上 → 1人+6人を超えて6人または端数を増すごとに1人追加
※本文「5. 人員配置基準」を図解化したものです。
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6. 設備基準

空床利用型事業所は、本体施設の居室であって、現に利用者が使用していない居室を用いることが前提です。本体施設として必要な設備を備え、短期入所利用者の支援に支障がない場合は、既存設備を活用できます。主な確認事項は次のとおりです。

  • 居室の面積・定員
  • 浴室、便所、洗面設備、食堂等の利用可否
  • 利用者の障害特性に応じた安全対策
  • 消防設備、避難経路、夜間の避難支援体制
  • 建築基準法上の用途や使用方法
  • 鍵、私物保管、感染症対策等の運用
指定申請前に消防・建築へ相談してください

グループホームの指定時に建築・消防上の確認を受けていても、短期入所の追加により利用形態や収容人員の扱いが変わることがあります。指定申請前に、消防署および建築担当部署へ改めて相談することが安全です。

併設型と空床利用型で設備の考え方が異なる

併設型と空床利用型は同じ表で整理されることが多いものの、設備の考え方には差があります。ある中核市の手引きでは、次のとおり記載されています。

区分内容
居室本体施設の居室であって、その全部または一部が入所者に利用されていない居室を利用すること
その他の設備(併設型)本体施設の入所者支援に支障がない場合、居室以外の本体施設の設備を共用することができる
その他の設備(空床利用型)本体施設に必要な設備を有することで足りる

空床利用型は「本体施設に必要な設備を有していれば足りる」とされており、短期入所のために新たな設備を設けることは想定されていません。裏を返せば、本体のグループホームが設備基準を欠いた状態では、短期入所の指定も受けられないということです。居室、居間・食堂、台所、浴室、便所・手洗い設備が基準を満たしているかを、短期入所の申請前に改めて確認してください。

図解3設備の考え方(併設型と空床利用型の違い)

居室(共通)

  • 本体施設の居室であって、その全部または一部が入所者に利用されていない居室を利用する

その他の設備(併設型)

  • 本体施設の入所者支援に支障がない場合、居室以外の本体施設の設備を共用できる

その他の設備(空床利用型)

  • 本体施設に必要な設備を有することで足りる
  • 短期入所のために新たな設備を設けることは想定されていない
本体のGHが設備基準を欠いた状態では、短期入所の指定も受けられない居室、居間・食堂、台所、浴室、便所・手洗い設備を申請前に改めて確認
※GHの指定時に建築・消防上の確認を受けていても、短期入所の追加により利用形態や収容人員の扱いが変わることがあります。
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7. 定員の考え方

空床利用型短期入所では、短期入所利用者を受け入れた結果、本体施設の共同生活住居・ユニット等の定員を超えることはできません。次の例で考え方を確認します。

本体の定員GH入居者空床型短期入所受入可否
5人5人1人不可(定員超過)
5人4人1人原則可
5人3人2人指定定員等の範囲内で検討

指定申請では、短期入所としての利用定員・受入上限、対象となる居室、空床がない場合の予約管理方法を明確にしておく必要があります。

図解4定員の考え方

本体定員5人・GH入居者5人・短期入所1人

  • 不可(定員超過)

本体定員5人・GH入居者4人・短期入所1人

  • 原則可

本体定員5人・GH入居者3人・短期入所2人

  • 指定定員等の範囲内で検討
短期入所の受入れにより、本体施設の共同生活住居・ユニット等の定員を超えることはできない空床の発生日、入居契約の有無、短期入所の予約期間を管理簿で整理する
※本文「7. 定員の考え方」を図解化したものです。

8. グループホームの体験利用との違い

空床を使った受入れという点で似ているのが、グループホームの体験利用です。両者は、サービス種別と目的、必要な指定が異なります。

項目空床型短期入所グループホームの体験利用
サービス種別短期入所共同生活援助
主な目的介護者の疾病・休養、緊急受入れ等将来のグループホーム入居に向けた体験
必要な支給決定短期入所共同生活援助
算定報酬短期入所サービス費共同生活援助の体験利用報酬
必要な指定短期入所の指定が必要グループホーム指定の範囲内

将来の入居を検討するための宿泊であれば体験利用、家族のレスパイトや緊急時の受入れであれば短期入所というように、利用目的と受給者証の支給決定に応じて整理します。

図解5空床型短期入所とグループホームの体験利用の違い

空床型短期入所

  • サービス種別:短期入所
  • 目的:介護者の疾病・休養、緊急受入れ等
  • 支給決定:短期入所/報酬:短期入所サービス費
  • 短期入所の指定が必要

グループホームの体験利用

  • サービス種別:共同生活援助
  • 目的:将来のグループホーム入居に向けた体験
  • 支給決定:共同生活援助/報酬:共同生活援助の体験利用報酬
  • グループホーム指定の範囲内
利用目的と受給者証の支給決定に応じて整理する
※本文「8. グループホームの体験利用との違い」を図解化したものです。

9. 基本報酬(Ⅰ〜Ⅳ)

福祉型短期入所の基本報酬は、利用者が成人か障害児か、また、同じ日に日中活動サービスまたは障害児通所支援等を利用したかによって、(Ⅰ)から(Ⅳ)までの4区分に分かれます。以下は令和8年7月現在の単位数です。

利用者同日の他サービス利用基本報酬
成人日中活動サービスの利用なし福祉型短期入所サービス費(Ⅰ)
成人生活介護・就労継続支援B型等を利用福祉型短期入所サービス費(Ⅱ)
障害児障害児通所支援等の利用なし福祉型短期入所サービス費(Ⅲ)
障害児放課後等デイサービス等を利用福祉型短期入所サービス費(Ⅳ)

成人の基本報酬

障害支援区分サービス費(Ⅰ)サービス費(Ⅱ)
区分6923単位602単位
区分5784単位527単位
区分4648単位318単位
区分3583単位240単位
区分1・2509単位173単位

サービス費(Ⅰ)は、区分1以上の成人に対して短期入所を提供した場合に算定します。サービス費(Ⅱ)は、短期入所の利用日に生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型等を利用した場合に算定します。

障害児の基本報酬

障害児支援区分サービス費(Ⅲ)サービス費(Ⅳ)
区分3784単位527単位
区分2615単位279単位
区分1509単位173単位

サービス費(Ⅲ)は、障害児支援区分1以上の障害児に対して短期入所を提供した場合に算定します。サービス費(Ⅳ)は、短期入所の利用日に児童発達支援、放課後等デイサービス、共生型通所支援、基準該当児童発達支援または基準該当放課後等デイサービスを利用した場合に算定します。

算定例

障害児が学校終了後に放課後等デイサービスを利用し、その後短期入所へ宿泊した日は、原則としてサービス費(Ⅳ)です。放課後等デイサービス等を利用せず、短期入所事業所で日中から支援を受けた日は、サービス費(Ⅲ)の対象となります。

空床利用型事業所であっても、基本報酬(Ⅰ)〜(Ⅳ)の区分は同じです。利用当日の他サービスの利用状況を確認し、請求区分を誤らないようにしてください。

主な加算

加算名令和8年7月現在の主な単位注意点
短期利用加算30単位/日利用開始日から一定期間等の要件
食事提供体制加算48単位/日所得区分・提供体制等の要件
緊急短期入所受入加算(Ⅰ)270単位/日緊急受入れの理由・記録等が必要。緊急短期入所体制確保加算を算定していることが前提。利用開始日の前々日・前日・当日に連絡があった緊急利用で、7日(やむを得ない事情がある場合14日)が限度
送迎加算186単位/片道送迎記録・対象者等の要件
処遇改善加算所定単位数に率を乗じる区分別の体制届・賃金改善が必要

空床型で算定できない代表例

「単独型加算」は単独型事業所を評価する加算であり、空床利用型事業所では算定しません。また「緊急短期入所受入加算(Ⅱ)」は医療型短期入所サービス費等を算定する事業所向けの加算であり、空床型(福祉型)では算定しません。

10. 利用者から徴収できる費用

短期入所事業者は、サービスの利用者負担額のほか、基準に基づき次の費用を利用者から受領できます。

  • 食事の提供に要する費用
  • 光熱水費
  • 日用品費
  • 通常の日常生活でも必要となる費用で、利用者に負担させることが適当なもの

費用の内容と金額は、あらかじめ運営規程、重要事項説明書、利用契約書等に明記し、利用者または家族へ説明して同意を得る必要があります。徴収時には領収証を交付します。

「家賃」として請求できるか

短期入所の利用者負担に関する基準には、共同生活援助のような「家賃」は明記されていません。そのため、グループホームの月額家賃を単純に日割りして請求するのではなく、食材料費、光熱水費、日用品費等の実費相当額として整理するのが基本です。

1日500円等の定額設定

光熱水費等を1日500円のように定額設定すること自体が直ちに否定されるものではありませんが、実費相当額として合理的に説明できる金額とし、算定根拠や見直し方法を整備してください。自治体ごとの取扱いも確認が必要です。

11. 指定申請の主な流れ

空床利用型事業所の指定申請は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 指定権者へ事前相談し、空床利用型としての運営方法を説明する
  2. 対象居室、受入定員、予約管理方法を確定する
  3. 建築担当部署・消防署へ相談し、必要な手続を確認する
  4. 勤務形態一覧表、人員配置計画、組織体制を作成する
  5. 運営規程、重要事項説明書、利用契約書、各種記録様式を整備する
  6. 短期入所の新規指定申請を提出する
  7. 必要な体制届・加算届を提出する
  8. 国保連請求ソフトを設定し、受給者証・契約情報を登録する
  9. 指定日以後に利用契約を締結し、サービス提供を開始する

申請期限や事前相談の時期、必要書類は自治体によって異なります。指定希望日の2〜3か月以上前を目安に協議を始めると安全です。

提出書類と、共同生活援助と同時に申請する場合の取扱い

短期入所の指定申請で求められる書類は、ある中核市の手引きでは次のとおりです(様式番号は指定権者ごとに異なる)。

区分主な書類
申請の基本指定申請書、短期入所の付表、法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
建物・設備事業所の平面図、外観の写真、設備の概要、事業所の構造概要、建物が法人所有の場合は登記事項証明書等の写し・賃貸の場合は賃貸借契約書の写し
運営運営規程、苦情を解決するために講ずる措置の概要、主たる対象者を特定する理由等(特定する場合)、誓約書
人員従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表、平均利用者数算定シート、障害支援区分別平均利用者数算定シート、管理者の経歴書
その他協力医療機関に関する協定書、暴力団員等の排除に関する誓約および照会に対する同意書、役員等名簿、事業開始届、消防用設備等検査済証の写し(必要な場合)
報酬関係体制等に関する届出書、体制等状況一覧表、処遇改善計画書(算定する場合)

短期入所ではサービス管理責任者の配置が不要なため、サービス管理責任者の経歴書・研修修了証は求められません。一方、協力医療機関に関する協定書は必要とされています。

共同生活援助と短期入所を同時に申請する場合、1つの申請書にまとめて提出できるとされています。グループホームの新規開設時に空床型短期入所も併せて始めるのであれば、別々に申請するより手続きの負担が軽くなります。事業開始届については、記載のある収支予算書・事業計画書などの添付は不要とされています。

書類の種類と添付の要否は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

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12. 運営・請求で注意したいポイント

空床型短期入所は既存のグループホームを活かせる一方、運営・請求では次のような点が問題になりやすいため、注意が必要です。

  • 短期入所利用者を人員配置上の利用者数に含めていない
  • 空室がない日や本体定員を超える日に受け入れている
  • 短期入所の指定前に宿泊支援を提供している
  • グループホームの体験利用と短期入所を混同している
  • サービス費(Ⅰ)〜(Ⅳ)の区分を誤っている
  • 短期入所用の契約書・重要事項説明書を作成していない
  • 入退所日時、支援内容、食事、服薬、送迎等の記録が不足している
  • 空床の発生状況や使用居室を説明できない
  • 実費負担の金額・根拠・同意手続が不十分
  • 共同生活援助と短期入所の職員配置を二重計上している

運営指導に備える記録

利用申込・受入判断、空床確認、受給者証確認、契約、個別の支援内容、入退所時刻、食事・服薬、事故・緊急対応、送迎、利用者負担の請求・領収まで、利用の流れが一連で確認できるように記録を整備してください。

指定後に変更が生じた場合の届出

空床型短期入所は、本体のグループホームの居室構成に変更が生じると、短期入所側の届出も必要です。ある中核市の手引きでは、定員や居室の変更について、事前協議が必要なものと不要なものが区分されています。

変更の内容取扱い
定員の増加、居室の追加、平面図に変更がある定員減少、廃止する居室を他の設備として使用する場合事前協議が必要。事前協議書類は変更日の3か月前の15日まで、変更届は変更日の2か月前の末日まで
平面図に変更がない定員減少、廃止する居室を他の設備として使用しない場合事前協議は不要。変更後10日以内に変更届を提出

居室を1室つぶして事務スペースにするといった変更でも、他の設備として使用するのであれば事前協議の対象になります。定員増加の場合は、勤務形態一覧表と平均利用者数算定シート、障害支援区分別平均利用者数算定シートの添付が求められます。

提出期限、事前協議の要否・時期、様式は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。工事や居室配置の変更を計画する場合は、着手前に確認することが必要です。

図解6指定後に居室構成が変わったときの届出

事前協議が必要

  • 定員の増加、居室の追加、平面図に変更がある定員減少、廃止する居室を他の設備として使用する場合
  • 事前協議書類は変更日の3か月前の15日まで
  • 変更届は変更日の2か月前の末日まで

事前協議は不要

  • 平面図に変更がない定員減少、廃止する居室を他の設備として使用しない場合
  • 変更後10日以内に変更届を提出
居室を1室つぶして事務スペースにする変更でも、他の設備として使用するなら事前協議の対象定員増加の場合は勤務形態一覧表と平均利用者数算定シート等の添付が必要
※提出期限、事前協議の要否・時期、様式は指定権者によって異なります。工事や居室配置の変更は着手前に確認してください。

よくある質問

Q
グループホームの指定だけで短期入所として請求できますか。
A

できません。共同生活援助とは別に「短期入所」の指定を受ける必要があります。そのうえで、空床の管理、人員配置、定員、報酬区分、利用者負担を明確に分けて運営します。

Q
どのような居室を空床として使えますか。
A

現に利用者が使用していない居室です。入居者の退居後で次の入居者が決まるまでの空室、開設直後でまだ入居契約を締結していない居室、入居定員の範囲内で現に誰も使用していない居室などが該当します。入院・外泊中で利用契約が継続し私物が置かれている居室を第三者に使用させる場合は、占有関係やプライバシーの問題が生じるため、指定権者への事前確認が不可欠です。

Q
グループホームと同時に提供する時間帯の人員配置はどう考えますか。
A

グループホーム入居者と短期入所利用者が同時に滞在する時間帯は、両者を合計した利用者数を基に、本体のグループホームに必要な生活支援員またはこれに準ずる従業者の数を確保します。入居者4人に短期入所利用者1人を受け入れる場合は、原則として利用者5人として判定します。

Q
日中など、グループホームを提供していない時間帯はどうなりますか。
A

短期入所利用者数に応じて従業者を配置します。当日の利用者が6人以下であれば1人以上、7人以上であれば1人に加えて6人を超えて6人または端数を増すごとに1人を追加します。利用者が1人だけでも、日中に事業所内で過ごす場合は原則として1人以上の配置が必要です。

Q
短期入所専属のサービス管理責任者は必要ですか。
A

短期入所には独自のサービス管理責任者の配置基準がないため、専属で新たに配置する必要はありません。一方、管理者は必要で、管理業務に支障がなく自治体の取扱いに適合する場合は、グループホームの管理者等との兼務を検討できます。

Q
定員を超えて受け入れることはできますか。
A

できません。短期入所利用者を受け入れた結果、本体施設の共同生活住居・ユニット等の定員を超えることはできません。定員5人で入居者が5人であれば短期入所の受入れは不可、入居者が4人であれば1人の受入れが原則可能です。

Q
グループホームの体験利用と何が違いますか。
A

サービス種別と目的、必要な指定が異なります。空床型短期入所は短期入所の指定と支給決定が必要で、介護者の疾病・休養や緊急受入れが主な目的です。体験利用は共同生活援助の範囲内で行い、将来の入居に向けた体験が目的です。

Q
利用者から家賃を請求できますか。
A

短期入所の利用者負担に関する基準には共同生活援助のような「家賃」は明記されていません。グループホームの月額家賃を単純に日割りして請求するのではなく、食材料費・光熱水費・日用品費等の実費相当額として整理するのが基本です。定額設定をする場合も、実費相当額として合理的に説明できる金額とし、算定根拠と見直し方法を整備してください。

まとめ

空床型短期入所は、グループホーム等の現に使用されていない居室を活用し、地域の緊急受入れや家族のレスパイトに対応できる有用なサービスです。

一方、共同生活援助とは別に短期入所の指定が必要であり、空床の管理、人員配置、定員、報酬区分、利用者負担を明確に分けて運営しなければなりません。特に、短期入所利用者を含めた人員配置と、成人のサービス費(Ⅰ・Ⅱ)/障害児のサービス費(Ⅲ・Ⅳ)の区分は、請求実務上の重要事項です。開設を検討する際は、具体的な受入方法と勤務体制を整理したうえで、指定権者、消防署、建築担当部署等との事前協議を行うことが、円滑な指定・運営につながります。

当法人での対応例

障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

空床型短期入所の指定要件や、対象居室・定員の考え方、共同生活援助との人員配置の整理について、ご相談・助言を承っています。運営顧問では、実際の書類や運用を一緒に確認しながら進めます。

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主な参考資料

  • 厚生労働省令第171号「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」
  • 厚生労働省告示第523号「指定障害福祉サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」
  • 厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年6月1日適用)」
  • 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A

※本記事は令和8年7月時点の国の法令・報酬資料に基づく一般的な解説です。自治体独自の申請様式、事前協議、消防・建築上の取扱い、報酬審査の運用があるため、実際の指定申請・請求時には所管自治体の最新の取扱いをご確認ください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。