変更届は、指定申請時や過去の届出で行政へ提出した事項が変わったときに提出するものです。法人名称や主たる事務所の所在地、営業日・営業時間・サービス提供時間、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者の変更などが代表例です。変更申請や体制届とは別の手続きで、事後の届出では間に合わない変更もあります。
- 法人・事業所・人員に関する届出事項の変更が対象
- 変更申請や体制届とは別の手続き
- 事後の届出では間に合わない変更があるため、原則的な提出期限を確認する
この記事で分かること
障害福祉サービスの変更届が必要な場面、原則的な提出期限、変更申請・体制届との違い、事後届では間に合わない変更を解説します。
はじめに
指定を受けた障害福祉事業所は、申請時に届け出た内容に変更があった場合、指定権者へ変更届を提出する必要があります。
「小さな変更だから届出は不要だろう」と判断し、管理者、運営規程、平面図等の変更を届け出ていないケースは、運営指導でよく問題になります。
この記事のポイント
- 変更届は、原則として変更があった日から10日以内に提出します。
- 事業所移転、定員増、共同生活住居の追加など、事前相談・変更申請が必要なものがあります。
- 加算・減算に関する変更は、変更届ではなく体制届も確認します。
1. 変更届とは?
変更届とは、指定申請時又は過去の届出で行政へ提出した事項が変わったときに、その変更内容を指定権者へ報告する手続です。
令和8年4月から、指定申請等を国の標準様式等により行う仕組みが法令上施行されています。もっとも、変更事項ごとの添付書類、提出方法、事前相談の要否は指定権者によって異なります。
2. 変更届が必要となる代表例
法人に関する変更
法人名称、主たる事務所の所在地
代表者の氏名・住所
登記事項、定款の事業目的
役員等の変更
法人番号自体が変わる組織再編等は、単なる変更届で処理できない場合があります。事前に指定権者へ相談してください。
事業所に関する変更
事業所の名称、所在地、連絡先
平面図、設備の概要、専用区画
建物の賃貸借関係
営業日、営業時間、サービス提供時間
利用定員
通常の事業実施地域
所在地変更は、設備基準、建築、消防を改めて確認する必要があるため、原則として移転前に相談します。
人員に関する変更
管理者
サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者
サービス提供責任者、相談支援専門員等
変更届の対象として指定されている主要従業者
資格証、研修修了証、実務経験証明書、経歴書、勤務形態一覧表等の添付を求められることがあります。
運営規程に関する変更
目的・運営方針
職員の職種・員数・職務内容
営業日、営業時間
利用定員
サービス内容、利用者から受領する費用
通常の事業実施地域
緊急時、虐待防止、苦情対応等の重要事項
運営規程だけを直し、変更届を忘れないように注意します。重要事項説明書、契約書、掲示・公表内容も同時に整合させてください。
見落としやすい変更届の対象
次の項目も変更届の対象です。人員や運営規程に比べて意識されにくく、届出漏れが起きやすい部分です。
- 協力医療機関の名称、診療科名、契約内容の変更(協定書の添付を求められます)
- 共同生活援助における障害者支援施設等との連携体制・支援体制の概要の変更
- 定款または寄付行為等の変更(就労継続支援A型は定款の写しの添付が必要)
- 登記事項証明書または条例等の変更(障害福祉サービス等事業に係るもの)
- 主たる対象者の変更(対象者を特定する理由書の添付が必要になる場合があります)
また、代表者・役員の変更では、登記事項証明書のほか、誓約書、暴力団員等の排除に関する誓約及び照会同意書、役員等名簿の提出を求められる例があります。管理者の変更では経歴書と勤務形態一覧表に加え、サービス種別によっては実務経験証明書の写しも必要です。サービス管理責任者等の変更では、運営規程に規定する人数の増減があれば運営規程も併せて提出します。添付書類と様式は指定権者ごとに異なるため(様式番号は指定権者ごとに異なる)、申請先の最新の手引きを確認してください。
法人に関する変更
- 法人名称、主たる事務所の所在地
- 代表者の氏名・住所/役員等の変更
- 登記事項、定款の事業目的
事業所に関する変更
- 名称、所在地、連絡先/建物の賃貸借関係
- 平面図、設備の概要、専用区画
- 営業日、営業時間、サービス提供時間/利用定員/通常の事業実施地域
人員に関する変更
- 管理者/サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者
- サービス提供責任者、相談支援専門員等
運営規程に関する変更
- 目的・運営方針/職員の職種・員数・職務内容
- 営業日、営業時間/利用定員/サービス内容、利用者から受領する費用
- 緊急時、虐待防止、苦情対応等の重要事項
3. 提出期限は「変更後10日以内」が原則
多くの変更届は、変更があった日から10日以内に提出します。静岡市も、指定障害福祉サービス等事業所の変更届について、変更日から10日以内と案内しています。
期限を過ぎた場合でも、届出義務がなくなるわけではありません。遅延理由書等を求められることがあるため、速やかに指定権者へ連絡して提出方法を確認してください。
4. 変更届ではなく「事前の変更申請」が必要な場合
次のような変更は、サービス種別や自治体により、事後の変更届ではなく事前相談・変更申請・新規指定が必要になることがあります。
- 生活介護、就労継続支援等の定員増
- 事業所の移転
- 共同生活援助の共同生活住居の追加・移転
- 主たる事業所・従たる事業所の新設や変更
- サービス単位、多機能型、事業形態の変更
- 法人格が変わる事業承継・合併・会社分割等
「変更後10日以内」という原則だけを見て、先に変更を実施しないようにしてください。
あわせて読みたい障害福祉サービスの指定申請とは?開業までの流れ5. 事前協議が必要な変更届もある
「事前に手続が必要な変更」は、すべてが変更申請になるわけではありません。ある中核市の手引きでは、手続が次の3つに分かれています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 変更申請(事前協議あり) | 生活介護、就労継続支援A型・B型の定員増加。変更届ではなく指定変更申請として扱う |
| 変更届(事前協議あり) | 事業所の移転、平面図の変更、従たる事業所の追加・廃止、定員の増加、居室の追加、共同生活住居・サテライト型住居の追加など |
| 変更届(事前協議なし) | 法人名称、代表者・役員、事業所名称、管理者、サービス管理責任者、運営規程の内容変更など |
事前協議が必要な変更届は、2段階の手続になります。ある中核市の手引きでは、①事前協議書類(事前協議書、平面図、建築物関連法令協議記録)を変更日の3か月前の15日までに予約制で持参し、②変更届本体を変更日の2か月前の末日までに提出する運用です。指定申請と同じ標準スケジュールが適用され、事業所の新築・改築・増設を行う場合は工事着手前に事前協議を完了させることが求められます。
この2段階の期限は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。「変更後10日以内」の原則で動くと、移転や定員増は間に合いません。
事前協議が必要な変更届の代表例
| 変更内容 | 取扱い |
|---|---|
| 事業所の所在地の変更(移転) | 事前協議が必要 |
| 平面図の変更(増築など事業所を拡張した場合) | 事前協議が必要 |
| 平面図の変更(設備の配置変更など拡張を伴わない場合) | 事前協議が必要 |
| 従たる事業所の追加・廃止 | 事前協議が必要 |
| 利用者の定員の増加 | 事前協議が必要(生活介護・就労継続支援A型・B型は変更申請) |
| 利用者の定員の減少 | 平面図に変更がある場合は事前協議が必要、変更がない場合は事後の変更届 |
| 居室の追加 | 事前協議が必要 |
| 居室の廃止 | 廃止する居室を他の設備として使用する場合は事前協議が必要、使用しない場合は事後の変更届 |
| 共同生活住居・サテライト型住居の追加 | 事前協議が必要 |
| 共同生活住居・サテライト型住居の廃止 | 事後の変更届 |
同じ「定員減少」「居室の廃止」でも、平面図が変わるか、廃止した居室を他の用途に使うかで手続区分が変わります。図面が動くかどうかを最初に確認してください。なお、どの変更に事前協議を求めるかは指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
変更届(事前協議なし)
- 法人名称、代表者・役員、事業所名称、管理者、サービス管理責任者、運営規程の内容変更など
- 変更があった日から10日以内
変更届(事前協議あり)
- 事業所の移転、平面図の変更、従たる事業所の追加・廃止、定員の増加、居室の追加、共同生活住居・サテライト型住居の追加など
- ①事前協議書類を変更日の3か月前の15日までに予約制で持参
- ②変更届本体を変更日の2か月前の末日までに提出
変更申請(事前協議あり)
- 生活介護、就労継続支援A型・B型の定員増加は、変更届ではなく指定変更申請
6. 変更届・体制届・廃止休止届の違い
| 手続 | 主な目的 | 代表例 |
|---|---|---|
| 変更届 | 指定内容・運営内容の変更を報告 | 管理者、運営規程、平面図、法人情報 |
| 体制届 | 報酬・加算・減算に関する体制を届け出る | 新規加算、上位区分、人員欠如、減算 |
| 変更申請 | 指定内容の重要な変更について事前審査を受ける | 定員増など自治体が定める事項 |
| 廃止・休止届 | 事業の廃止・休止を事前に届け出る | 原則として廃止・休止日の1か月前 |
| 再開届 | 休止事業を再開したことを届け出る | 原則として再開後10日以内 |
1つの変更について、変更届と体制届の両方が必要になる場合があります。
表に加えて、次の点も押さえておきます。
- 更新申請/指定は6年ごとに更新が必要です。更新手続を行わないと、期間の経過により指定の効力を失います。ある中核市の手引きでは、指定有効期間満了日の1か月前の末日までに更新申請書を提出する運用です。指定時の内容から変更がある場合は、変更申請・変更届・加算届を先に済ませたうえで更新申請を行います。
- 廃止・休止・再開届/ある中核市の手引きでは、廃止・休止・再開のいずれも事前相談のうえ、1か月前までに提出する運用です。再開届については「再開後10日以内」ではなく事前提出とされている点に注意が必要です。
- 再開時の手続/再開と同時に指定時の内容から変更が生じる場合は、変更申請・変更届を別途提出します。事前協議が必要な手続は、再開の3か月前の15日までに事前協議書類を提出する運用です。
- 廃止・休止時の責務/引き続きサービスの提供を希望する利用者に、必要なサービスが継続的に提供されるよう、他の事業者との連絡調整などを行うことが必要です。利用者一覧表の提出を求められる例もあります。
提出期限と提出方法(郵送可か持参・予約制か)は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
変更届
- 指定内容・運営内容の変更を報告
- 管理者、運営規程、平面図、法人情報
体制届
- 報酬・加算・減算に関する体制を届け出る
- 新規加算、上位区分、人員欠如、減算
変更申請
- 指定内容の重要な変更について事前審査を受ける
- 定員増など自治体が定める事項
廃止・休止届/再開届
- 廃止・休止は原則として廃止・休止日の1か月前
- 再開は原則として再開後10日以内
7. 添付書類は変更内容ごとに異なる
例えば、管理者変更では経歴書・勤務形態一覧表、サービス管理責任者変更では研修修了証・実務経験証明書、平面図変更では変更前後の図面・写真等が必要です。
変更届だけを1枚提出すれば終わりとは限りません。自治体の「変更届提出書類一覧」を確認し、変更前・変更後が分かる資料を添付します。
平面図・写真の作成ルールと新旧対照表
設備に関する変更届では、図面と写真の作り方まで指定されていることがあります。ある中核市の手引きでは、次のような指定があります。
- 平面図には、写真に対する番号と矢印を記載し、撮影位置と撮影方向を示す
- 移転の場合、内観の写真は死角がないよう撮影し、外観の写真は1〜2枚撮影する
- 配置変更や増築の場合、内観の写真は変更した部分のみ撮影する
- 建物が法人所有の場合は登記事項証明書などの写し、賃貸の場合は賃貸借契約書の写しを添付する
- 必要な場合は消防用設備等検査済証の写しを添付する
また、運営規程を変更する場合は新旧対照表の添付が必要ですが、変更届出書の「変更前」「変更後」欄への記載で代えられる運用もあります。写真の枚数や図面の記載方法、新旧対照表の要否は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。
平面図・写真
- 平面図には、写真に対する番号と矢印を記載し、撮影位置と撮影方向を示す
- 移転の場合、内観の写真は死角がないよう撮影し、外観の写真は1〜2枚
- 配置変更や増築の場合、内観の写真は変更した部分のみ撮影
あわせて添付するもの
- 建物が法人所有の場合は登記事項証明書などの写し、賃貸の場合は賃貸借契約書の写し
- 必要な場合は消防用設備等検査済証の写し
- 運営規程を変更する場合は新旧対照表(変更届出書の「変更前」「変更後」欄への記載で代えられる運用もある)
8. 届出漏れが起きやすいケース
- 代表者や役員の変更を法人登記だけで終えている
- 管理者を変更したが、勤務形態一覧表を更新していない
- サービス管理責任者の退職後、後任者の届出をしていない
- 営業日・営業時間を変えたが、運営規程だけ変更した
- 部屋の用途や間仕切りを変えたが、平面図変更を届けていない
- 利用料金、食費、日用品費等を変更したが届出していない
- 加算の要件が変わったのに体制届を出していない
9. 届出漏れを防ぐ管理方法
法人登記、人事、労務、契約、設備、報酬の変更を行う前に、「行政への届出が必要か」を確認する社内フローを作ります。
変更管理表に、変更日、変更内容、社内承認、指定権者への相談日、提出期限、提出日、受理確認、関連書類の改訂状況を記録すると有効です。
届出が遅れた場合の影響も確認しておきます。ある中核市の手引きでは、指定の内容や加算の内容に変更が生じた際の申請・届出は事業者の責任において随時行うものとされ、提出期限までに提出できなかった場合は遡って報酬を請求することはできないとされています。不正に請求していた報酬があれば返還が生じます。
あわせて、手続を行政書士などに委託する場合でも、事業所の管理者・従業者が指定基準や届出書類の内容を必ず理解しておくことが求められています。届出は外部に任せきりにせず、社内で内容を把握できる体制を作ってください。
人・法人まわり
- 代表者や役員の変更を法人登記だけで終えている
- 管理者を変更したが、勤務形態一覧表を更新していない
- サービス管理責任者の退職後、後任者の届出をしていない
運営・設備・報酬まわり
- 営業日・営業時間を変えたが、運営規程だけ変更した
- 部屋の用途や間仕切りを変えたが、平面図変更を届けていない
- 利用料金、食費、日用品費等を変更したが届出していない
- 加算の要件が変わったのに体制届を出していない
よくある質問
期限を過ぎても届出義務はなくなりません。速やかに指定権者へ連絡し、提出方法と遅延理由書等の要否を確認します。
指定事項に関する変更であれば必要になることがあります。運営規程だけでなく、重要事項説明書、契約書、掲示・公表内容も同時に整合させます。
まとめ
障害福祉サービスの変更届は、指定時の内容と現在の実態を一致させるための重要な手続です。多くは変更後10日以内ですが、定員増や移転などは事前の変更申請・相談が必要です。
変更を決めてから届出を考えるのではなく、変更を実施する前に手続区分と期限を確認してください。
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