業務管理体制整備の届出は、平成24年4月から指定障害福祉サービス事業者等に義務づけられているものです。届出書に記載する事項は、設置する事業所等の数によって変わり、事業所等の数は指定を受けたサービス種別ごとに1事業所等と数えます。届出先は事業所等の所在地によって決まります。
- 届出事項は事業所等の数によって変わる
- 同一の事業所番号でもサービス種別ごとに数える
- 届出先は事業所等の所在地で決まる
この記事で分かること
障害福祉サービス事業者等に義務づけられている業務管理体制整備の届出について、届出が必要な事業者の種類、事業所等の数によって変わる届出事項、同一の事業所番号でもサービス種別ごとに数える「事業所等の数え方」、所在地によって国・都道府県・指定都市・中核市・市町村に分かれる届出先、さらに休止・廃止届の事前届出制と、指定の取消しにおける連座制までを整理します。
はじめに
指定を受けたあと、指定申請の書類とは別に提出しなければならない届出があります。そのひとつが業務管理体制の整備に関する届出です。平成24年4月から、法令遵守等の業務管理体制を整え、その内容を届け出ることが義務づけられています。
この届出は、事業所ごとに提出するものではなく事業者(法人)単位で行うものです。そのため、事業所を1か所しか運営していない法人でも必要ですし、事業所を増やしたり、法人の代表者や所在地が変わったりすれば、そのつど届出の内容を見直すことになります。
あわせて平成24年4月からは、休止・廃止の届出が事前届出制に改められ、指定の取消しにおける連座制の適用についても整理されています。この記事では、業務管理体制整備の届出を中心に、これらの制度改正の内容を順に整理します。
この記事のポイント
- 業務管理体制整備の届出は事業者(法人)単位。事業所名や所在地等を変更した場合は変更の届出が必要
- 届出事項は事業所等の数で変わる。20以上で法令遵守規程の概要、100以上で業務執行の状況の監査の方法の概要が加わる
- 事業所等の数は指定を受けたサービス種別ごとに1事業所と数える。事業所番号が同一でもサービスが違えば別に数える
- 届出先は事業所等の所在地の広がり方で、厚生労働省・都道府県・指定都市・中核市・市町村に分かれる
- 休止・廃止の届出は予定日の1月前まで。立入検査後の一定の場面で廃止の届出をすると欠格事由に該当する
- 連座制は、取消しの理由となった不正行為に法人の組織的関与が確認された場合に適用される
1. 業務管理体制整備の届出とは
平成24年4月から、指定障害福祉サービス事業者等には、法令遵守等の業務管理体制の整備と、その届出が義務づけられています。届出は速やかに行う必要があり、事業所名や所在地等を変更した場合には、変更の届出を行うこととされています。
ここでいう業務管理体制の整備とは、指定障害福祉サービス事業者等において、不正事案の発生防止の観点から、事業運営の適正化を図るための体制が整備されているかどうかを指します。具体的には、次の3つが求められます。
- 事業所等の職員の法令遵守を確保するための責任者が置かれていること
- 開設する事業所等の数に応じ、法令遵守を確保するための注意事項や標準的な業務プロセス等を記載した「法令遵守規程」が整備されていること
- 外部監査などによる「業務執行の状況の監査」が行われていること
指定申請のときに提出する書類とは別に、法人としてこの体制を整え、届け出るという位置づけです。指定を受けた直後は事業所の立ち上げに追われがちですが、後回しにせず速やかに済ませておきたい手続きです。
2. 届出が義務づけられる事業者等の種類
届出が義務づけられるのは、次の事業者等です。根拠となる法律ごとに区分されています。
| 根拠法 | 事業者等の種類 |
|---|---|
| 障害者総合支援法に基づくもの | ア 指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設 |
| イ 指定一般相談支援事業者及び指定特定相談支援事業者 | |
| 児童福祉法に基づくもの | ウ 指定障害児通所支援事業者 |
| エ 指定障害児入所施設 | |
| オ 指定障害児相談支援事業者 |
実務上、見落としやすいのが届出はこのア〜オの種類ごとに行う必要があるという点です。たとえば、就労継続支援B型(ア)と計画相談支援(イ)と放課後等デイサービス(ウ)を運営している法人であれば、それぞれの区分について届出を行うことになります。ひとつの届出でまとめて済むわけではありません。
「法令遵守規程」の概要
「業務執行の状況の監査の方法」の概要
3. 届出事項は事業所等の数で変わる
届出書に記載する事項は、設置する事業所等の数によって変わります。数が増えるほど、求められる体制も届け出る内容も増える仕組みです。
| 対象となる事業者等 | 届出事項 |
|---|---|
| 全ての事業者等 | 事業者等の名称又は氏名 主たる事業所の所在地 代表者の氏名、生年月日、住所、職名 「法令遵守責任者」の氏名、生年月日 |
| 事業所等の数が20以上の事業者等 | 上記に加え「法令遵守規程」の概要 |
| 事業所等の数が100以上の事業者等 | 上記に加え「業務執行の状況の監査の方法」の概要 |
単独の事業所から始める法人であれば、当面は最初の区分にあてはまります。ただし、次に見るとおり事業所等の数え方には独特のルールがあるため、多機能型や複数サービスの併設を進めていくと、思っていたより早く20に近づくことがあります。
数え方の原則
- 事業所等の数は、その指定を受けたサービス種別ごとに一事業所等と数える
- 事業所番号が同一でも、サービス種類が異なる場合は異なる事業所として数える
具体例
- 同一の事業所で、居宅介護事業所と重度訪問介護事業所の指定を受けている場合
- → 指定を受けている事業所は2つと数える
4. 事業所等の数え方
事業所等の数は、その指定を受けたサービス種別ごとに一事業所等と数えます。
そして、事業所番号が同一でも、サービス種類が異なる場合は異なる事業所として数えます。たとえば、同一の事業所で居宅介護事業所と重度訪問介護事業所の指定を受けている場合、指定を受けている事業所は2つとなります。
「事業所は1か所だから1つ」と考えて数えると、実際の数と合いません。届出事項の区分にも関わる部分なので、指定通知書を並べて、指定の件数として数えるのが確実です。
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5. 届出先は事業所等の所在地で決まる
届出書の届け先は、事業所の所在地によって決まります。前述のとおり、届出はア〜オの事業者等の種類ごとに行う必要があります。
| 事業所等の区分 | 届出先 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| ① | 指定事業所等が2以上の都道府県に所在する事業者等 | 厚生労働省 | 厚生労働本省 社会・援護局障害保健福祉部 企画課 |
| ② | 特定相談支援事業又は障害児相談支援事業のみを行う事業者であって、全ての指定事業所が同一市町村内に所在する事業者 | 市町村 | |
| ③ | 全ての指定事業所等が同一指定都市内に所在する事業者等 | 指定都市 | 児童福祉法に基づく指定障害児通所支援事業者及び指定障害児入所施設の設置者については、児童相談所設置市を含みます |
| ④ | 全ての指定事業所等(児童福祉法に基づく指定障害児入所施設を除く。)が同一中核市内に所在する事業者等 | 中核市 | |
| ⑤ | ①から④以外の事業者等 | 都道府県 |
ここで注意したいのは、事業所を増やすと届出先そのものが変わることがあるという点です。ひとつの指定都市の中だけで運営していた法人が、隣の県に事業所を開設すれば、届出先は指定都市から厚生労働省に変わります。事業展開の計画を立てる段階で、届出先の変更が生じるかどうかを確認しておくと、開設のタイミングで慌てずに済みます。
6. 変更があったときの届出
事業所名、所在地等を変更した場合は、変更の届出を行うこととされています。届出事項として挙げられている、事業者等の名称、主たる事業所の所在地、代表者の氏名・生年月日・住所・職名、法令遵守責任者の氏名・生年月日は、いずれも法人の運営のなかで動きうる項目です。
とくに、代表者の交代や法令遵守責任者の変更は、事業所の現場ではなく法人側で起きる変更です。事業所ごとの変更届は現場で気づけても、法人側の変更は届出漏れになりやすいところなので、役員変更や本店移転を行ったときのチェック項目に入れておくとよいでしょう。
また、届出先の区分そのものが変わる場合(区分変更)にも、届出が必要です。事業所を新たに開設した結果、届出先が指定都市から都道府県へ、あるいは都道府県から厚生労働省へと移るケースがこれにあたります。
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- 休止・廃止の届出時期は、休止・廃止予定日の1月前まで
- 事後ではなく、事前に届け出る
欠格事由に該当する場合
- 立入検査後、10日以内に指定権者が聴聞決定予定日を事業者に通知した場合
- その聴聞決定予定日までに廃止の届出を行うと、指定・更新の欠格事由に該当する
7. 休止・廃止届は事前届出制
平成24年4月からは、休止・廃止届が事前届出制になっています。ポイントは次の2つです。
- 休止・廃止の届出時期は、休止・廃止予定日の1月前までとされています。
- 立入検査後、10日以内に指定権者が聴聞決定予定日を事業者に通知した場合、聴聞決定予定日までに廃止の届出を行うと、指定・更新の欠格事由に該当することになっています。
事業をやめる判断をしてから届け出るのではなく、やめる1月前には届出が済んでいる状態にしておく必要があります。利用者の受け入れ先の調整も含めると、実際にはもっと前から動き出すことになります。
8. 休止・廃止時における利用者へのサービス確保
休止・廃止時においては、利用者に対する継続的なサービス提供のための便宜提供が必要となります。この義務を果たさない場合、都道府県知事等は勧告・命令を行うことができるとされています。
事業所を閉じる場面では、利用者のサービスが途切れないように措置を講じることが求められ、厚生労働大臣、都道府県知事及び市町村長による援助(助言・相談窓口の設置等)も予定されています。届出を出せば終わり、という手続きではないという点を押さえておいてください。
障害福祉サービス(◎ごとの類型内で適用)
- Ⅰ 居宅介護/重度訪問介護/同行援護/行動援護
- Ⅱ 生活介護/短期入所
- Ⅲ 重度障害者等包括支援
- Ⅳ 共同生活援助/自立生活援助
- Ⅴ 自立訓練/就労移行支援/就労継続支援/就労定着支援
その他の類型
- 障害者支援施設
- 相談支援(障害者):◎地域相談支援/◎計画相談支援
- 障害児通所支援
- 相談支援(障害児):障害児相談支援
9. 指定の取消しにおける連座制
指定の取消しにおける連座制について、次のとおり整理されています。
- 取消しの理由となった不正行為に、法人の組織的関与が確認された場合に連座制が適用されることとなります。
- 同一法人グループ等における密接な関係を有する法人が指定の取消しを受けた場合、指定・更新の欠格事由に該当します。
連座制は、ひとつの事業所の不正が法人全体、さらにはグループ全体に及ぶ仕組みです。適用の前提として「法人の組織的関与」が置かれていることからも、業務管理体制の整備、すなわち法令遵守責任者の設置や規程の整備が、単なる形式的な届出ではないことが分かります。
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必要です。業務管理体制整備の届出は事業者(法人)単位で義務づけられており、事業所の数にかかわらず行います。事業所等の数が20未満であれば、届け出る内容は事業者等の名称、主たる事業所の所在地、代表者の氏名・生年月日・住所・職名、法令遵守責任者の氏名・生年月日となります。
法令遵守責任者は、法令を遵守するための体制の確保にかかる責任者です。氏名と生年月日が届出事項とされているため、法人として誰が責任を負うのかを明確にしておく必要があります。
2つと数えます。事業所等の数は、その指定を受けたサービス種別ごとに一事業所等と数えるためです。事業所番号が同一でも、サービス種類が異なる場合は異なる事業所として数えます。
済みません。届出は、指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設、指定一般相談支援事業者及び指定特定相談支援事業者、指定障害児通所支援事業者、指定障害児入所施設、指定障害児相談支援事業者という事業者等の種類ごとに行う必要があります。
変わります。指定事業所等が2以上の都道府県に所在する事業者等の届出先は厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部企画課)です。それまで指定都市や都道府県に届け出ていた法人でも、事業所の所在地が複数の都道府県にまたがった時点で届出先が変わります。
休止・廃止の届出時期は、休止・廃止予定日の1月前までとされています。あわせて、休止・廃止時には利用者に対する継続的なサービス提供のための便宜提供が必要で、この義務を果たさない場合、都道府県知事等は勧告・命令を行うことができるとされています。
立入検査後、10日以内に指定権者が聴聞決定予定日を事業者に通知した場合、その聴聞決定予定日までに廃止の届出を行うと、指定・更新の欠格事由に該当することになっています。
同一法人グループ等における密接な関係を有する法人が指定の取消しを受けた場合、指定・更新の欠格事由に該当します。なお、連座制は、取消しの理由となった不正行為に法人の組織的関与が確認された場合に適用されることとなっています。
まとめ
業務管理体制整備の届出は、指定申請のように開業のたびに大きく動く手続きではありません。だからこそ、届け出たあとに何年も見直されないまま放置されがちです。
実務で押さえておきたいのは、次の3点です。1つ目は、事業所等の数は指定を受けたサービス種別ごとに数えること。事業所番号が同じでもサービスが違えば別に数えるため、届出事項の区分が変わることがあります。2つ目は、届出先は事業所等の所在地の広がり方で決まること。他県や他市に事業所を開設すれば、届出先そのものが変わります。3つ目は、事業所名や所在地等を変更した場合は変更の届出が必要だということです。
そして、休止・廃止の届出は予定日の1月前までという事前届出制であり、休止・廃止時には利用者への継続的なサービス提供のための便宜提供が必要です。指定の取消しにおける連座制も含め、これらはいずれも法令遵守の体制が実際に機能しているかを問う仕組みです。届出書を出すこと自体が目的ではなく、法令遵守責任者を置き、規程を整え、日々の運営を適正に保つことが本来の趣旨だという点を、あらためて確認しておきたいところです。
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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請から日々の運営、労務管理までをひとつの窓口でご相談いただけます。
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主な参考資料
- 参考:厚生労働省「業務管理体制整備の届出について(障害福祉サービス・障害児施設等の事業者のみなさまへ)」
※本記事は、上記の資料に記載された内容にもとづく一般的な整理です。届出の様式や具体的な運用は指定権者によって異なる場合があり、制度改正により取扱いが変わることもあります。実際の届出にあたっては、最新の通知および届出先の指示をご確認ください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
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