家族支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)|単位数とモニタリング面談との線引き

家族支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)|単位数とモニタリング面談との線引き

家族支援加算は令和6年度に創設された加算で、個別に行う(Ⅰ)とグループで行う(Ⅱ)に分かれます。算定には条文が求める3つの条件を満たす必要があり、実務では個別支援計画作成後のモニタリング面談との線引きが最大の論点になります。支援提供中の職員が相談援助を行う場合は、人員配置上の問題が生じる点にも注意が必要です。

  • (Ⅰ)は個別、(Ⅱ)はグループで行う支援
  • 居宅を訪問する場合は短時間でも「1時間未満」として扱う
  • 支援提供中の職員が相談援助を行うと人員配置上の問題が生じる

この記事で分かること

令和6年度に創設された家族支援加算について、(Ⅰ)(Ⅱ)の単位数と月の上限回数、実務で最も問題になるモニタリング面談との線引き、相談援助を行う職員の人員配置上の扱い、多機能型での通算ルールを整理します。

はじめに

令和6年度の報酬改定で、旧「家庭連携加算」と旧「事業所内相談支援加算」が再編され、家族支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)が創設されました。家族への支援を報酬上どう評価するかを整理し直した加算であり、算定機会も多い一方で、「どこまでが加算の対象になる相談援助なのか」という線引きが実務上の最大の論点になります。令和8年度の期中改定では本加算の改正は行われていません。

この記事のポイント

  • (Ⅰ)(Ⅱ)の単位数と、月の上限回数
  • モニタリング面談との線引き
  • 人員配置への影響と、多機能型の通算ルール

1. 単位数の全体像

家族支援加算は、個別に行う(Ⅰ)と、グループで行う(Ⅱ)に分かれ、さらに実施場所・方法によって単位が変わります。児童発達支援・放課後等デイサービス共通です。

区分実施方法単位
(Ⅰ)個別の相談援助居宅を訪問・所要時間1時間以上300単位
居宅を訪問・所要時間1時間未満200単位
事業所等において対面100単位
オンライン(情報通信機器を活用)80単位
(Ⅱ)グループでの相談援助対面80単位
オンライン60単位

(Ⅰ)で月4回、(Ⅱ)で月4回、あわせて月8回まで算定できます(1日につきそれぞれ1回まで)。訪問して1時間以上の相談援助を行えば300単位ですから、月4回で1,200単位。家族支援を丁寧に行っている事業所ほど、報酬上の評価が積み上がる設計になっています。

図解1家族支援加算の単位数(児発・放デイ共通)
(Ⅰ)訪問・1時間以上
300単位
(Ⅰ)訪問・1時間未満
200単位
(Ⅰ)事業所等で対面
100単位
(Ⅰ)オンライン
80単位
(Ⅱ)グループ・対面
80単位
(Ⅱ)グループ・オンライン
60単位
(Ⅰ)月4回+(Ⅱ)月4回=あわせて月8回まで1日につきそれぞれ1回まで訪問1時間以上を月4回なら1,200単位
※本文「1. 単位数の全体像」の表をグラフにしたものです。

2. 算定の前提となる3つの条件

条文が求めているのは、次の3点です。

  1. 児童発達支援計画(個別支援計画)に基づくものであること
  2. あらかじめ保護者の同意を得ていること
  3. 事業所に置くべき従業者(栄養士・管理栄養士・調理員を除く)が相談援助を行うこと

裏を返せば、計画に位置づけのない、その場限りの関わりは対象になりません。送迎時の立ち話や日常的な連絡帳のやり取りを家族支援加算として算定してしまう例がありますが、これは計画に基づく相談援助とはいえません。

なお、対象となる家族には障害児のきょうだいが含まれます。本人が不在の場面で保護者やきょうだいに相談援助を行った場合も算定できます。

図解2算定の前提となる3条件
①計画に基づく児童発達支援計画(個別支援計画)に基づくものであること
②事前同意あらかじめ保護者の同意を得ていること
③実施者事業所に置くべき従業者(栄養士・管理栄養士・調理員を除く)が行うこと

対象にならない例

  • 計画に位置づけのない、その場限りの関わり
  • 送迎時の立ち話
  • 日常的な連絡帳のやり取り

対象になる相手

  • 保護者
  • 障害児のきょうだいも含まれる
  • 本人が不在の場面での相談援助も算定できる
※本文「2. 算定の前提となる3つの条件」を図解化したものです。

3. 最大の論点――モニタリング面談は算定できるか

結論から言えば、個別支援計画作成後のモニタリングにおける保護者との面談は、家族支援加算の算定対象になりません。モニタリングは運営基準において児童発達支援管理責任者に求められている業務であり、加算で重ねて評価するものではない、という整理です。

これは報酬改定Q&Aで明確に否定されている論点であり、運営指導でも確認されやすい箇所です。「保護者と面談したのだから算定できるはずだ」という感覚で運用していると、後日まとめて返還を求められることになりかねません。

したがって、実務では次の線引きを職員間で共有しておく必要があります。

場面家族支援加算
モニタリング面談算定不可
個別支援計画に位置づけた家族への相談援助算定可
送迎時の短い会話・連絡帳のやり取り算定不可
計画に基づく居宅訪問での相談援助算定可

記録上も、モニタリング記録と家族支援の相談援助記録は別の書類として管理し、実施日・実施者・内容が重ならないようにしておくことが望ましいといえます。

図解3モニタリング面談との線引き

モニタリング面談 → 算定不可

  • 運営基準において児童発達支援管理責任者に求められている業務
  • 加算で重ねて評価するものではない
  • 報酬改定Q&Aで明確に否定されている論点

個別支援計画に位置づけた家族への相談援助 → 算定可

  • 計画に基づく相談援助であること
運営指導で確認されやすい箇所職員間で線引きを共有しておく
※本文「3. 最大の論点――モニタリング面談は算定できるか」を図解化したものです。
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4. 時間の考え方

居宅を訪問する場合は、10分程度の短時間であっても「1時間未満」として算定すること自体は可能とされています。ただし、30分以上行うことを基本とし、事前の計画では30分以上となるよう設定することが求められています。

事業所内での個別相談援助・グループ相談援助については、30分未満では算定できません。ここは訪問の場合と扱いが異なるため、混同しないよう注意してください。

図解4時間の考え方は「訪問」と「事業所内」で異なる

居宅を訪問する場合

  • 10分程度の短時間でも「1時間未満」として算定すること自体は可能
  • ただし30分以上行うことを基本とし、事前の計画では30分以上となるよう設定

事業所内(個別・グループ)

  • 30分未満では算定できない
訪問と事業所内で扱いが異なる
※本文「4. 時間の考え方」を図解化したものです。

5. 実施体制に関する注意点

支援提供中の職員が相談援助を行う場合には、人員配置上の問題が生じます。相談援助を行っている間、その職員は基準人員として数えられないため、別途配置が必要です。実務上は、児童発達支援管理責任者が対応するのが望ましいとされています。

支援時間中に職員が保護者対応で抜け、結果として人員配置基準を割ってしまえば、家族支援加算を算定した以上の減算を招きます。相談援助の時間帯を、支援の時間割と人員配置表の上で事前に設計しておくことが必要です。

ペアレントトレーニングや保護者会で外部講師を招く場合は、事業所の従業者がファシリテーター等として参画し、相談援助を行うことが必要です。外部講師に任せきりで、従業者が介在しない支援は算定できません。

図解5実施体制でつまずきやすい点

人員配置

  • 相談援助を行っている間、その職員は基準人員として数えられない
  • 支援時間中に抜けて人員配置基準を割れば、加算以上の減算を招く
  • 児童発達支援管理責任者が対応するのが望ましい

外部講師を招く場合

  • 事業所の従業者がファシリテーター等として参画し相談援助を行うことが必要
  • 外部講師に任せきりで従業者が介在しない支援は算定できない
相談援助の時間帯を支援の時間割・人員配置表の上で事前に設計する
※本文「5. 実施体制に関する注意点」を図解化したものです。
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6. きょうだい・複数事業所利用の取扱い

  • きょうだいで利用している場合は、それぞれにつき月4回ずつ算定できます。
  • きょうだいが同日・同一の場で支援を受けた場合も、それぞれ算定できます。ただし、各児の特性や関わり方について相談援助を行っている必要があります。
  • 障害児が別の事業所で支援を受けている日に保護者が相談援助を受けた場合も、(Ⅰ)(Ⅱ)いずれも算定できます。
  • 同一日に複数の事業所で相談援助を受けた場合、両方の事業所で算定できます。

一方、多機能型事業所で同一の児童に複数のサービスを提供している場合、家族支援加算は各サービスを合計して上限回数をカウントします。児童発達支援で4回、放課後等デイサービスで4回、合計8回という算定はできません。加算によって通算の要否が異なる点は、請求ソフトの設定でも間違えやすいところです。

図解6回数のカウント(きょうだい・複数事業所)

それぞれ算定できる

  • きょうだいで利用 → それぞれ月4回ずつ
  • きょうだいが同日・同一の場で支援を受けた場合(各児について相談援助を行っていることが前提)
  • 障害児が別の事業所で支援を受けている日の相談援助
  • 同一日に複数の事業所で相談援助を受けた場合は両方の事業所で

通算・併算定に注意

  • 多機能型事業所で同一児童に複数サービス → 各サービスを合計して上限回数をカウント(児発4回+放デイ4回=8回とはできない)
※本文「6. きょうだい・複数事業所利用の取扱い」を図解化したものです。

7. 算定誤りのチェックリスト

  • モニタリング面談を家族支援加算で算定していないか
  • 送迎時の会話や連絡帳のやり取りを算定していないか
  • 個別支援計画に家族支援を位置づけ、保護者の事前同意を得ているか
  • 事業所内の個別相談・グループ相談を30分未満で実施していないか
  • 相談援助中の職員を基準人員として数えていないか
  • 多機能型で児発・放デイの回数を別々に4回ずつ算定していないか
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)を取り違え、グループ支援を(Ⅰ)の単位で請求していないか
  • 居宅訪問の1時間以上・未満の区分を、実績時間の記録に基づいて判定しているか
  • 外部講師任せの講座で(Ⅱ)を算定していないか

8. 運用設計のヒント

家族支援加算を安定して算定するには、「家族支援を個別支援計画の中に最初から書き込んでおく」ことが出発点になります。計画作成時に、①誰に対して、②どのような目的で、③月に何回、④どの方法(訪問・事業所内・オンライン、個別・グループ)で家族支援を行うかを決め、保護者に説明して同意を得ておく。この一手間があるだけで、算定の適否をその都度判断する必要がなくなります。

そのうえで、モニタリング面談の月と家族支援の月をカレンダー上で色分けし、記録様式も分けておけば、運営指導での説明も容易になります。

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9. まとめ

家族支援加算は、家族への支援という日常的に行っている業務を報酬として評価できる、活用価値の高い加算です。ただし、①計画への位置づけと保護者同意、②モニタリング面談との明確な区別、③時間要件、④人員配置への影響、という4点を外すと、算定が否認されるリスクを抱えることになります。

制度の細部は告示・留意事項通知および報酬改定Q&Aで定められています。個別の判断は所轄の指定権者にご確認ください。

よくある質問

Q

モニタリング面談で家族支援加算を算定できますか。

A

算定できません。個別支援計画作成後のモニタリングにおける保護者との面談は、運営基準において児童発達支援管理責任者に求められている業務であるため、加算の対象になりません。記録も別書類で管理してください。

Q

居宅を訪問した場合、短時間でも算定できますか。

A

10分程度でも「1時間未満」として算定すること自体は可能とされていますが、30分以上行うことを基本とし、事前の計画で30分以上となるよう設定することが求められます。事業所内での相談援助は30分未満では算定できません。

Q

多機能型で児発と放デイの両方を提供している場合、月4回ずつ算定できますか。

A

できません。家族支援加算は、多機能型において各サービスを合計して上限回数をカウントします。加算によって通算の要否が異なるため、請求ソフトの設定にもご注意ください。

Q

支援の時間中に職員が保護者対応をしても問題ありませんか。

A

相談援助を行っている間、その職員は人員配置基準上の職員として数えられず、別途配置が必要です。実務上は児童発達支援管理責任者が対応する設計にすると無理がありません。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請・報酬請求の実務と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

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主な参考資料

  • 参考:「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(報酬告示)」/こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(障害児支援関係)VOL.1・VOL.2・VOL.4・VOL.5」/こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」

※本記事は令和8年8月28日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。