配置が必要なサービスでは、要件を満たすサービス管理責任者を確保できなければ指定を受けられません。要件は研修と実務経験の2つで、実務経験は年数だけでなく従事した日数も問われます。基礎研修を修了しただけでは配置できず、実践研修の受講に必要な実務経験(OJT)は原則2年以上ですが、一定の場合は6月に短縮できます。
- 通所系・居住系の主要なサービスでは配置が必要
- 実務経験は年数と従事日数の両方で判定する
- 基礎研修の修了だけでは配置できない
この記事で分かること
サービス管理責任者が確保できないと開業できないのかについて、配置が必要なサービス、研修と実務経験の2つの要件、基礎研修を修了しただけでは配置できない理由、実務経験(OJT)を6月へ短縮できる場合、「みなし配置」を新規開業の代替策にできない理由、採用候補者の資格確認で見る書類、そして見つからないときの現実的な対処を整理します。
はじめに
「サービス管理責任者が見つからないのですが、開業できますか」。開業のご相談で、物件の次に多いご質問です。結論から申し上げると、配置が必要なサービスでは、要件を満たす人を確保できるまで指定は受けられません。人員基準を満たしていることが指定の前提だからです。
ただし、確保が難しいからといって打つ手がないわけではありません。要件の数え方を正しく理解すれば、候補になる人の範囲は思っているより広いことがあります。この記事では、要件の中身を整理したうえで、見つからないときにとれる現実的な対処を順に説明します。
この記事のポイント
- サービス管理責任者は、研修(相談支援従事者初任者研修の講義部分、基礎研修、実践研修)と実務経験の両方を満たして初めて配置できる
- 実務経験は年数だけでなく日数も要件。相談支援業務は5年かつ900日以上、直接支援業務は8年かつ1,440日以上が原則で、資格があれば短縮される
- 基礎研修を修了しただけでは、サービス管理責任者として配置できない
- 実践研修の受講に必要な実務経験(OJT)は原則2年以上。要件を満たす場合は6月以上に短縮できる
- 欠如したときの「みなし配置」は、すでに指定を受けた事業所の特例であり、新規開業の代替策にはならない
1. 結論:サービス管理責任者の確保は開業日の前提
結論として、配置が必要なサービスでは、要件を満たすサービス管理責任者を確保できるまで指定は受けられません。人員基準を満たしていることが指定の要件だからです。開所日を先に決めても、この人が決まらなければ工程全体が止まります。
研修は都道府県が年に数回実施するもので、定員があり、申込時期も決まっています。「採用してから研修を受けてもらう」という進め方では、開所が1年近く先になることもあります。採用の候補者を探す段階から、すでに研修を修了しているかどうかを確認してください。
配置が必要な主なサービス
- 生活介護
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 就労定着支援
- 共同生活援助(グループホーム)
配置が求められないサービスの例
- 居宅介護など(サービス提供責任者を配置)
- 相談支援(相談支援専門員が担う)
- 就労選択支援(就労選択支援員を配置)
- 児童系サービスは児童発達支援管理責任者を配置
2. 配置が必要な主なサービス
結論として、通所系・居住系の主要なサービスでは配置が必要です。児童発達支援や放課後等デイサービスでは、サービス管理責任者ではなく児童発達支援管理責任者を配置します。要件の考え方は共通しており、確保の難しさも同じです。
あわせて読みたいサービス管理責任者の資格要件|研修・実務経験の数え方と配置人数3. 要件は「研修」と「実務経験」の2本立て
結論として、実務経験は「年数」だけでなく「従事した日数」も要件です。原則は、相談支援業務であれば5年かつ900日以上、直接支援業務であれば8年かつ1,440日以上です。国家資格などを有する場合や、社会福祉主事任用資格などを有する場合には、必要な年数が短縮されます。
ここが実務で最も誤解の多い部分です。「福祉の仕事を10年しています」という方でも、業務の内容によっては該当しない期間があります。逆に、資格をお持ちの方であれば、思っていたより短い年数で要件を満たすこともあります。まずは経歴を年表にして、どの期間がどの区分に当たるかを整理してください。
実務のご相談では、「自分は要件を満たさないと思っていた方が、実際には満たしていた」という例が少なくありません。求人を出す前に、法人内の職員や、経営者ご自身の経歴を確認してみる価値があります。
できること
- 実務経験(OJT)として、個別支援計画の作成の業務に従事する
- サービス管理責任者の指導のもとで、原案の作成を担う
- 実践研修の受講に向けて経験を積む
できないこと
- サービス管理責任者として配置し、人員基準を満たすこと
- 単独で個別支援計画を確定させること
- 実践研修を修了しないまま、要件を満たしたと扱うこと
4. 基礎研修を修了しただけでは配置できない
結論として、基礎研修を修了しただけではサービス管理責任者として配置できません。配置できるのは実践研修を修了した後です。求人票に「基礎研修修了」とだけ書かれている方を採用しても、その時点では人員基準を満たせない点に注意してください。
なお、基礎研修修了者は、実践研修の受講に必要な実務経験(OJT)として、個別支援計画の作成の業務に従事できます。将来の配置に向けて育てる、という位置づけであれば有効な選択肢です。
原則
- 基礎研修修了後、2年以上の実務経験(OJT)が必要
- 基礎研修の受講開始時に実務経験要件を満たしていなかった場合はこちら
例外(6月以上)
- 基礎研修の受講開始時に、すでに実務経験要件を満たしていること
- 個別支援計画の作成の業務に従事すること
- 指定権者に届出を行うこと(実践研修の受講開始時までに)
5. 実務経験(OJT)を6月に短縮できる場合
結論として、実践研修の受講に必要な実務経験(OJT)は原則2年以上ですが、要件を満たす場合は6月以上に短縮できます。対象になるのは、基礎研修の受講開始時にすでに実務経験要件(相談支援業務または直接支援業務の年数・日数)を満たしていた方です。
注意が必要なのは、基礎研修を修了した後に実務経験要件を満たした場合は短縮できないという点です。この場合は2年間のOJTが必要です。順序で結論が変わるため、候補者の経歴と研修の受講時期を必ず突き合わせてください。
あわせて読みたいサービス管理責任者等のOJT短縮|6月で実践研修を受けるための3要件と届出6.「みなし配置」は新規開業の代替策にならない
結論として、やむを得ない事由により欠如した場合の取扱いは、すでに指定を受けて運営している事業所についての特例です。これから指定を受けようとする事業所が、要件を満たす人がいない状態で開業するために使えるものではありません。
新規指定の場面では、指定日の時点で人員基準を満たしていることが確認されます。「開業してから探す」「後から届け出る」といった進め方はできないとお考えください。
あわせて読みたい児発管・サビ管の欠如減算|退職から配置までの取扱いと減算の判定7. 採用候補者の資格確認で見る書類
結論として、面接の段階で次の書類を確認します。口頭の説明だけで採用を決めると、指定申請の段階で要件を満たさないことが判明し、開所日がずれます。
- 相談支援従事者初任者研修(講義部分)の修了証/受講年度と実施した都道府県を確認する
- サービス管理責任者等基礎研修の修了証/修了日を確認する。OJT期間の起算点になる
- サービス管理責任者等実践研修の修了証/これがないと配置できない
- 更新研修の修了証/実践研修の修了から5年を超えている場合に必要
- 実務経験証明書/前職から取得する。従事期間だけでなく従事日数と業務内容の記載が必要
- 資格証/国家資格等により実務経験の年数が短縮される場合に必要
実務経験証明書は前職の事業所に作成してもらうものです。退職から年数が経っていたり、事業所が廃止されていたりすると、取得に時間がかかります。内定を出した段階ですぐに依頼してください。
8. 見つからないときの5つの対処
結論として、対処は次の5つです。
- 開所時期をずらす/研修の実施時期に合わせて開所月を再設定します。物件を契約していなければ、費用の負担はほとんどありません
- 探す範囲を広げる/求人だけでなく、法人内の職員や経営者ご自身の経歴を確認します。要件を満たしていることに本人が気づいていない場合があります
- 育てる/実務経験要件を満たす方を採用し、基礎研修から実践研修まで計画的に受講してもらいます。基礎研修の受講開始時に実務経験要件を満たしていれば、OJTを6月に短縮できる可能性があります
- サービス種別を見直す/配置の要否や必要員数はサービスによって異なります。地域のニーズと合うのであれば、計画そのものを見直す選択もあります
- 兼務の可否を確認する/同一敷地内の他の事業所との兼務や、多機能型での配置が認められる場合があります。可否は指定権者の運用によるため、事前協議で確認してください
9. 物件契約と採用を先行しすぎるリスク
結論として、サービス管理責任者が決まっていない段階で物件を契約すると、空家賃を払い続けることになります。逆に、物件が決まっていない段階で採用だけ先行させると、勤務を開始してもらえないまま雇用契約の開始日が来てしまいます。
実務では、物件の一次候補を絞りながら採用活動を始め、どちらも見通しが立った段階で契約と内定を同時に進める形をおすすめしています。どうしても物件を先に押さえたい場合は、指定が受けられなかったときの解約条項やフリーレント期間を交渉してください。
よくある質問
人員基準を満たしていることが指定の要件です。指定日の時点で配置できる方が必要です。事前協議の段階で確保の見通しを説明できるようにしておいてください。
研修と実務経験の要件を満たせば可能です。ただし、管理者との兼務や、他の職種との兼務については指定権者の運用があります。常勤専従が求められる場合もあるため、事前に確認してください。
非常勤でも従事した期間として数えられますが、年数だけでなく従事日数の要件があります。勤務日数が少ない場合は、年数を満たしていても日数が足りないことがあります。
法人が存続していれば法人に、法人も解散している場合は指定権者に取扱いを相談してください。給与明細や雇用保険の記録など、代替となる資料を求められることがあります。
都道府県が実施し、年度ごとに日程と申込期間が決まっています。静岡県の場合、研修は法人として申し込み、県内に配置予定の方が対象とされています。開業を検討し始めた段階で、実施予定を確認しておいてください。
研修と実務経験の2本立てである点、基礎研修の修了だけでは配置できない点、OJTの短縮の考え方は共通です。ただし実務経験として認められる業務の範囲が異なる部分があるため、個別に確認してください。
まとめ
サービス管理責任者の配置が必要なサービスでは、要件を満たす方を確保できるまで指定は受けられません。要件は研修と実務経験の2本立てで、実務経験は年数だけでなく従事日数も見られます。基礎研修を修了しただけでは配置できず、実践研修の修了が必要です。
一方で、要件の数え方を正しく理解すると、候補になる方の範囲は思っているより広いことがあります。国家資格などがあれば必要年数は短縮されますし、基礎研修の受講開始時に実務経験要件を満たしていれば、実践研修に必要なOJTを6月に短縮できる可能性もあります。求人を出す前に、法人内の職員や経営者ご自身の経歴を年表にして確認してみてください。
見つからない場合の最も確実な対処は、開所時期をずらすことです。物件を契約する前であれば、費用の負担はほとんどありません。物件と採用は並行して進め、どちらも見通しが立ってから契約と内定を確定させる進め方をおすすめします。
サービス管理責任者の要件確認から、開業をご支援します
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請だけでなく、人員配置の設計、就業規則や社会保険の手続き、処遇改善加算の取得までご相談いただけます。開業支援は20万円〜です。
静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国対応しています。候補者の経歴が実務経験要件に当たるかの確認、研修の受講計画、指定申請に必要な証明書類の準備まで一緒に進めます。採用の前、物件の契約前にご相談ください。
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体系的に知りたい方はこちら就労移行支援 完全ガイド|開業・人員配置・就労定着率・基本報酬・運営指導主な参考資料
- 参考:厚生労働省告示第544号「指定障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う者として厚生労働大臣が定めるもの等」/厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」/静岡県「相談支援従事者・サービス管理責任者等研修」/静岡市「指定障害福祉サービス等事業所の新規指定・指定更新・指定変更」
※本記事は令和8年9月5日時点の法令・通知・公表資料に基づく一般的な整理です。実務経験として認められる業務の範囲や、兼務の可否は指定権者の運用によって異なります。制度・運用は改正や指定権者ごとの取扱いにより変わるため、最新情報は指定権者等へ必ずご確認ください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
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