令和6年度の報酬改定で、共同生活援助の基本報酬区分が見直されました。改定前は世話人の配置密度(4対1・5対1・6対1)で3区分に分かれていましたが、改定後の介護サービス包括型は(Ⅰ)6対1と(Ⅱ)体験利用の2区分に整理され、手厚い配置は人員配置体制加算で評価する形になりました。あわせて、加配の判定は常勤換算から特定従業者数換算に変わっています。
- 改定前の3区分が(Ⅰ)6対1と(Ⅱ)体験利用の2区分に統合された
- 手厚い配置は人員配置体制加算で評価する
- 特定従業者数換算は勤務延べ時間数を40時間で除して算出する
この記事で分かること
令和6年度の報酬改定で見直された、共同生活援助(障害者グループホーム)の基本報酬区分を整理します。世話人の配置4対1・5対1・6対1で分かれていた区分がどう統合されたのか、廃止された区分が人員配置体制加算にどう置き換わったのか、旧区分と新しい体系の対応関係、常勤換算方法から特定従業者数換算方法に変わったことの意味、外部サービス利用型・日中サービス支援型の扱いまで解説します。
はじめに
共同生活援助の基本報酬は、令和6年度の報酬改定で組み立て方そのものが変わりました。それまでは、世話人を4対1・5対1・6対1のどの密度で配置するかによって基本報酬の区分が分かれていましたが、改定後は6対1の1区分に統一され、上乗せの配置は人員配置体制加算で評価されています。
単位数が上がった下がったという話ではなく、報酬の建て付けが入れ替わった改定です。開設から年数が経っている事業所ほど、旧区分の感覚のまま収支を見ていることがあります。この記事では、改定前後の区分を並べて、何がどこへ移ったのかを整理します。
この記事のポイント
- 改定前の介護サービス包括型は、世話人の配置に応じて共同生活援助サービス費(Ⅰ)4対1・(Ⅱ)5対1・(Ⅲ)6対1の3区分と、(Ⅳ)体験利用に分かれていました。
- 改定後は(Ⅰ)6対1と(Ⅱ)体験利用の2区分になり、4対1・5対1の区分は廃止されました。
- 廃止された分は、人員配置体制加算(Ⅰ)(加配12対1)・(Ⅱ)(加配30対1)で評価されます。
- 加算の判定は常勤換算方法ではなく特定従業者数換算方法(勤務延べ時間数を週40時間で除する)で行います。旧区分と同じ配置密度でも、要件の数え方が変わっている点に注意が必要です。
- 外部サービス利用型は6対1と10対1に、日中サービス支援型は5対1に整理されました。
1. 令和6年度改定で変わったこと
国の資料では、この見直しは「支援の実態に応じた報酬の見直し」として整理されています。世話人の配置基準に応じた基本報酬区分を改め、サービス提供時間の実態に応じて加算する報酬体系へと見直す、という考え方です。あわせて、障害支援区分ごとの基本報酬も、重度障害者の受入れなどの支援内容や経営の実態等を踏まえて見直されました。
2. 改定前の基本報酬区分
改定前の介護サービス包括型は、世話人の配置密度で3区分に分かれていました。1日あたりの単位数は次のとおりです。
| 障害支援区分 | (Ⅰ)4対1 | (Ⅱ)5対1 | (Ⅲ)6対1 |
|---|---|---|---|
| 区分6 | 667単位 | 616単位 | 583単位 |
| 区分5 | 552単位 | 500単位 | 467単位 |
| 区分4 | 471単位 | 421単位 | 387単位 |
| 区分3 | 381単位 | 331単位 | 298単位 |
| 区分2 | 292単位 | 243単位 | 209単位 |
| 区分1以下 | 243単位 | 198単位 | 170単位 |
世話人を手厚く置くほど高い区分になる、分かりやすい仕組みです。ただし、この配置数の判定に使っていたのは常勤換算方法でした。常勤換算方法は、勤務延べ時間数を「その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数」で除して員数を出します。常勤の勤務時間を1週間32時間と定めている事業所は、40時間と定めている事業所より短い勤務時間で同じ配置数に届いた、ということです。
常勤の勤務時間が1週間40時間の事業所
- 常勤換算1.0=週40時間
- 同じ配置数を満たすのに必要な勤務時間は長い
常勤の勤務時間が1週間32時間の事業所
- 常勤換算1.0=週32時間
- 同じ配置数でも必要な勤務時間は短くて済む
3. 改定後の基本報酬と人員配置体制加算
改定後の介護サービス包括型は、(Ⅰ)6対1と(Ⅱ)体験利用の2区分です。1日あたりの単位数は次のとおりで、令和8年度の期中改定でも見直されていません。
| 障害支援区分 | 区分6 | 区分5 | 区分4 | 区分3 | 区分2 | 区分1以下 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単位数(1日につき) | 600単位 | 456単位 | 372単位 | 297単位 | 188単位 | 171単位 |
これに、上乗せ配置を評価する人員配置体制加算が加わります。
| 加算の区分 | 加配の割合 | 区分4以上 | 区分3以下 |
|---|---|---|---|
| 人員配置体制加算(Ⅰ) | 12対1 | 83単位 | 77単位 |
| 人員配置体制加算(Ⅱ) | 30対1 | 33単位 | 31単位 |
4. 旧区分と新しい体系の対応関係
廃止された区分がどこへ移ったのかは、配置の密度をそろえて見ると分かります。基準の6対1に12対1の加配を上乗せすると、利用者6人に1人と利用者12人に1人を足して、利用者4人に1人。旧4対1と同じ密度です。30対1を上乗せすると利用者5人に1人となり、旧5対1に相当します。
| 改定前の区分 | 改定後の組み立て |
|---|---|
| (Ⅰ)4対1 | 基本報酬(6対1)+人員配置体制加算(Ⅰ) |
| (Ⅱ)5対1 | 基本報酬(6対1)+人員配置体制加算(Ⅱ) |
| (Ⅲ)6対1 | 基本報酬(6対1)のみ |
ここで気をつけたいのは、対応しているのは配置の密度であって、要件が同じわけではないという点です。旧区分は常勤換算方法で判定していましたが、加算は特定従業者数換算方法で判定します。旧4対1で運営してきた事業所が、そのままの勤務シフトで加算(Ⅰ)を算定できるとは限りません。
5. 常勤換算から特定従業者数換算に変わった意味
特定従業者数換算方法は、勤務延べ時間数を「40時間」で除して員数に換算する方法です。事業所が常勤の勤務時間を1週間32時間と定めていても、加算の判定は40時間で計算します。基準を満たしているかどうかの判定は、従来どおりその事業所の常勤の勤務すべき時間数で行います。
国の通知には、利用者15人(区分6が5人、区分5が4人、区分4が6人)で加算(Ⅰ)を算定する場合の例が示されています。常勤の勤務時間が1週間40時間の事業所では、基準上置くべき世話人等が260時間、加配が48時間で、合わせて308時間以上を確保する必要があります。同じ条件で常勤の勤務時間を1週間32時間と定めている事業所は、基準部分が208時間にとどまるため、加配は100時間以上が必要です。
常勤の勤務時間が1週間40時間の事業所
- 基準上置くべき世話人等 260時間
- 加配すべき世話人等 48時間
- 確保すべき合計 308時間
常勤の勤務時間が1週間32時間の事業所
- 基準上置くべき世話人等 208時間
- 加配すべき世話人等 100時間
- 確保すべき合計 308時間
改定前は、常勤の勤務時間の定め方によって、同じ区分でも実際の配置時間に差が生じていました。加算の判定を週40時間に統一したことで、その差はなくなりました。旧区分と同じ密度で配置しているつもりでも、加算の要件に届かないことがあるのはこのためです。
あわせて読みたいグループホームの人員配置体制加算|介護サービス包括型の単位数と特定従業者数換算方法6. 外部サービス利用型と日中サービス支援型
区分の整理は、ほかの2類型でも行われました。外部サービス利用型は、改定前の4対1・5対1・6対1・10対1・体験利用の5区分から、6対1・10対1・体験利用の3区分になっています。
| 類型 | 改定前の区分 | 改定後の区分 |
|---|---|---|
| 介護サービス包括型 | 4対1/5対1/6対1/体験利用 | 6対1/体験利用 |
| 外部サービス利用型 | 4対1/5対1/6対1/10対1/体験利用 | 6対1/10対1/体験利用 |
| 日中サービス支援型 | 3対1/4対1/5対1/体験利用 | 5対1/体験利用 |
日中サービス支援型は5対1に統一され、共同生活援助サービス費(Ⅰ)の単位数は区分6が997単位、区分5が860単位、区分4が771単位、区分3が524単位です。外部サービス利用型の(Ⅰ)6対1は171単位、(Ⅱ)10対1は115単位となっています。
人員配置体制加算は、日中サービス支援型と外部サービス利用型にも区分がありますが、加配の割合や単位数は介護サービス包括型と異なります。自分の類型の告示を確認してください。
7. 収支の見直しをどこから始めるか
旧4対1・5対1で運営してきた事業所は、加算を算定して初めて改定前に近い水準になります。加算を算定しない前提で試算すると、基本報酬だけを比べることになり、実態と合いません。順序としては、次のように見ていくと整理しやすくなります。
つまずきやすいポイント
旧区分の感覚のまま加算を算定できると思ってしまう
旧4対1と「6対1+加算(Ⅰ)」は配置密度が同じですが、判定の物差しが違います。常勤の勤務時間を週40時間より短く定めている事業所は、旧区分を満たしていた勤務シフトのままでは加算の要件に届かないことがあります。
加算の判定を常勤換算方法でしてしまう
加算の必要加配数は特定従業者数換算方法で出します。除する時間数は40時間で固定です。指定基準を満たしているかどうかの判定と、加算の判定を、同じ表の中で混ぜないようにします。
有給休暇や病気休暇を1人として数えてしまう
常勤換算方法では、常勤の職員に1月未満の有給休暇や病気休暇があっても1人として計算します。特定従業者数換算方法は勤務延べ時間数で計算するため、休んだ分だけ換算数が減ります。
よくある質問
基本報酬の区分としてはなくなりました。手厚い配置は人員配置体制加算で評価される仕組みに置き換わっています。
配置密度としては同じですが、判定は特定従業者数換算方法で行います。常勤の勤務時間を週40時間より短く定めている場合、必要な勤務延べ時間数が旧区分のときより長くなります。勤務体制一覧表で総時間数を確認してください。
変わりました。区分の統合とあわせて、障害支援区分ごとの単位数も、重度障害者の受入れなどの支援内容や経営の実態等を踏まえて見直されています。
令和8年度は臨時応急的な見直しで、共同生活援助の基本報酬区分と人員配置体制加算の単位数は変わっていません。新規指定事業所への応急的な報酬単価など、別の枠組みでの見直しが行われています。
まとめ
令和6年度改定で、共同生活援助の基本報酬は世話人の配置区分による建て方をやめ、6対1の1区分と人員配置体制加算の組み合わせに変わりました。旧4対1は「6対1+加算(Ⅰ)」、旧5対1は「6対1+加算(Ⅱ)」に相当します。
見落としやすいのは、対応しているのが配置密度だけだという点です。加算の判定は特定従業者数換算方法で、除する時間数は週40時間で固定されます。常勤の勤務時間を短く定めている事業所ほど、加算のために確保すべき勤務時間は長くなります。区分の読み替えで終わらせず、勤務体制一覧表の総時間数まで確認してください。
報酬改定にあわせた体制の見直しを、根拠から整理します
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、報酬・加算の設計と勤務シフト・労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。
静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。「改定後の体制で加算を算定できるか」「勤務体制一覧表をどう組み直すか」といった運営中のご相談も承っています。
関連記事
主な参考資料
- 参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(令和6年2月6日 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム)別紙1・別紙5
- 参考:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号)
- 参考:厚生労働省 事務連絡「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)問36・問37
- 参考:こども家庭庁・厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」
※本記事は令和8年9月8日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
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