定員超過利用減算は、1日の利用者数と過去3か月の実績という2つの基準で判定します。どちらかに該当すると、その日またはその月について、利用者全員の基本報酬が所定単位数の70%になります。
- 1日の判定は、定員50人以下なら定員の150%を超えた日
- 過去3か月の判定は、定員12人以上なら定員×開所日数×125%を超えたとき
- 減算の対象は超過した人だけでなく、その日・その月の利用者全員
- 減算に当たらなくても、定員を超える受入れそのものが運営基準違反
はじめに
定員超過利用減算は、事業所が定員を超えて利用者を受け入れたときに、基本報酬が下がる仕組みです。
注意したいのは、減ったぶんを超過した人の報酬から引く、という形ではないことです。その日、あるいはその月の利用者全員が減算の対象になります。数人の超過でも、事業所全体の収入に響きます。
もう一つは、判定が1日単位と過去3か月単位の2本立てになっている点です。片方だけを見ていると、もう片方で引っかかります。
1. 減算されると報酬はどうなるか
定員超過利用減算に該当すると、基本報酬は所定単位数の100分の70になります。3割減です。
対象になるのは、その日または その月の利用者全員です。定員を超えた人だけではありません。
よくある誤解
- 定員を超えた人のぶんだけ減らされる
- 超過した日の翌日から気をつければよい
- 定員の150%までは受け入れてよい
実際の取扱い
- その日・その月の利用者全員が減算の対象
- 過去3か月の実績にもその日の人数が入る
- 定員を超える受入れ自体が運営基準違反
たとえば、就労継続支援B型で1人あたりの基本報酬が600単位、定員20人の事業所が、ある日31人を受け入れたとします。20人×150%=30人が線なので、この日は超過です。その日の利用者31人全員が600単位→420単位になります。
2. 判定の基準は2つある
定員超過利用減算の判定は、次の2つをそれぞれ見ます。どちらか一方でも超えれば減算です。
① 1日の利用者数
- その日に利用した人数で判定する
- 超えた日について、利用者全員が減算
- 定員50人以下は、定員×150%が線
② 過去3か月の実績
- 直近3か月の延べ利用者数で判定する
- 超えた場合、その1か月について利用者全員が減算
- 定員12人以上は、定員×開所日数×125%が線
3. 1日の利用者数による判定
その日に利用した人数が、次の人数を超えたときに減算です。
| 利用定員 | 減算になる利用者数 |
|---|---|
| 50人以下 | 利用定員 × 150% を超えたとき |
| 51人以上 | (利用定員 − 50)× 125% + 75 を超えたとき |
| 利用定員 | 計算 | 減算になる人数 |
|---|---|---|
| 10人 | 10 × 150% = 15人 | 16人から |
| 20人 | 20 × 150% = 30人 | 31人から |
| 40人 | 40 × 150% = 60人 | 61人から |
| 70人 | (70 − 50)× 125% + 75 = 100人 | 101人から |
この基準で減算になるのは、超えた日だけです。翌日に人数が戻れば、翌日は通常の単位数で算定します。
4. 過去3か月の実績による判定
直近3か月の延べ利用者数が、次の人数を超えたときに減算です。1日ごとの人数ではなく、3か月分を合計して見ます。
| 利用定員 | 減算になる延べ利用者数 |
|---|---|
| 11人以下 | (利用定員 + 3)× 開所日数 を超えたとき |
| 12人以上 | 利用定員 × 開所日数 × 125% を超えたとき |
| 利用定員 | 計算 | 減算になる延べ人数 |
|---|---|---|
| 10人 | (10 + 3)× 66日 = 858人 | 859人から |
| 20人 | 20 × 66日 × 125% = 1,650人 | 1,651人から |
| 40人 | 40 × 66日 × 125% = 3,300人 | 3,301人から |
この基準による減算は、その1か月について利用者全員が対象です。判定は毎月行うので、実績が基準内に戻れば減算は解消されます。
5. 対象となるサービス
定員超過利用減算は、通所・施設系の多くのサービスに設けられています。ここまで説明した計算式が当てはまるのは、次のサービスです。
| 区分 | サービス |
|---|---|
| 日中活動系 | 生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型 |
| 障害児通所支援 | 児童発達支援、放課後等デイサービス など |
6. 多機能型事業所の数え方
多機能型でサービスごとに定員を定めている場合は、サービスごとに判定します。全体の合計人数で見るのではありません。
放課後等デイサービス 定員10人
- 1日の線は 10 × 150% = 15人
- 16人から減算
- 過去3か月は(10+3)× 開所日数
生活介護 定員20人
- 1日の線は 20 × 150% = 30人
- 31人から減算
- 過去3か月は 20 × 開所日数 × 125%
7. やむを得ない事情があるときの扱い
指定基準(運営基準)には、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、定員を超えて受け入れてもよいという定めがあります。
ただし、ここは分けて考える必要があります。この定めは運営基準(定員の遵守)についてのものであり、報酬上の定員超過利用減算が当然に外れるという意味ではありません。
超過が避けられない事情が生じたときは、その時点で指定権者に相談し、受け入れた理由と経過を記録に残してください。取扱いは指定権者によって異なります。
8. 減算を防ぐための実務
毎月確認したいこと
- 毎日の利用実績を、定員の150%にあたる人数と並べて記録する
- 月末に、過去3か月の延べ利用者数と開所日数を集計する
- 多機能型は、サービスごとに分けて数える
- 定員に近い日が続いていないか、月の途中でも確認する
- 超過が見込まれるときは、利用日の調整を先に検討する
定員超過利用減算は、数えれば必ず事前にわかる減算です。前年度平均利用者数や基本報酬区分のように年度単位で動くものと違い、日々の記録をそのまま足せば判定できます。
よくある質問
1日の基準による減算は、その日について利用者全員が対象です。ただし、その日の人数は過去3か月の判定にも入ります。超過が続くと、月単位の減算につながります。
違います。定員を超える受入れそのものが運営基準違反です。150%は減算になるかどうかの線であって、受け入れてよい人数ではありません。
いいえ。その日(または その月)の利用者全員が対象です。数人の超過でも、事業所全体の報酬が下がります。
定員超過利用減算は、基本報酬の所定単位数に100分の70を乗じるものです。加算の取扱いは加算ごとに異なるため、請求前に確認してください。
サービスごとに定員を定めている場合は、サービスごとに判定します。合計では見ません。
直近の3か月です。月が進むたびに対象期間が動くので、月末ごとに集計し直してください。
運営基準では、災害や虐待などやむを得ない事情がある場合、定員を超えた受入れは基準違反となりません。ただし報酬上の減算が当然に外れるわけではないため、指定権者に確認してください。
定員の変更には変更届が必要で、人員配置基準や基本報酬区分にも影響します。目先の減算だけで決めず、あわせて検討してください。
まとめ
定員超過利用減算は、1日の利用者数と過去3か月の延べ利用者数の2つで判定します。どちらか一方でも超えれば、その期間の利用者全員について基本報酬が3割下がります。
線になる人数は、定員が決まれば計算できます。毎日の利用実績と並べて記録しておけば、超える前に気づけます。
そして、150%や125%は「ここまで受け入れてよい」という数字ではありません。定員を超える受入れは、減算に当たらなくても運営基準違反です。日々の利用調整で定員内に収めることが、いちばん確実な対策になります。
参考資料
- 厚生労働省告示第523号「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
- 厚生労働省「障害福祉サービス費等の算定に関する留意事項について」
- 京都府「定員超過減算について」
