サービス等利用計画と個別支援計画の違い|作成の流れと見直しの期間

サービス等利用計画と個別支援計画の違いと、作成の流れ・見直しの期間を整理

サービス等利用計画は、相談支援事業者が利用者の生活全体を見て作る計画で、支給決定の根拠になります。個別支援計画は、各事業所がサービス等利用計画の内容と自分の事業所の役割を踏まえて作る計画で、サービス提供の根拠になります。個別支援計画は、サービス管理責任者の指揮のもとで決められた手順を踏んで作成し、サービスごとに定められた期間内に見直します。

  • 2つの計画は上下関係ではなく、協力し合う並列の関係
  • 作成は、フェイスシート→アセスメント→原案→個別支援会議→説明と同意→交付の順
  • 見直しは、自立訓練・就労移行支援・自立生活援助が3か月以内、共同生活援助・生活介護・就労継続支援などが6か月以内に1回以上
  • 原案や同意がない、期間内に見直していないなどの場合は、個別支援計画未作成等減算の対象

はじめに

障害福祉サービスを利用する方には、相談支援事業所が作る「サービス等利用計画」と、サービスを提供する事業所が作る「個別支援計画」の2つの計画があります。名前が似ていて混同されやすいのですが、作る人も、計画が果たす役割も違います。

この記事では、2つの計画の違いと相談支援事業所との連携の流れを整理したうえで、個別支援計画の作成から見直しまでの手順と、減算にならないために確認しておきたい点をまとめます。

1. サービス等利用計画と個別支援計画の違い

サービス等利用計画は支給決定の前から作られる

計画相談支援では、指定特定相談支援事業者(以下「相談支援事業者」)が、利用者の希望する生活の実現や適切なサービス利用のために、サービスの必要性や必要量を考えたうえでサービス等利用計画を作成します。支援は支給決定の前から始まり、その後も継続して行われます。

平成27年4月以降、障害福祉サービスの支給決定を受けるには、サービス等利用計画の作成が必須になっています。計画には、利用者の生活全体における目標や希望と、それを実現するために解決していく課題などが書かれます。

各事業所は、このサービス等利用計画の内容と、その中で自分の事業所が果たす役割を踏まえて個別支援計画を作成します。

2つの計画の比較

2つの計画の違いを表にまとめると、次のとおりです。

項目サービス等利用計画個別支援計画
作成する人相談支援事業者各サービス事業所(サービス管理責任者の指揮のもとで作成)
内容生活全般をアセスメントし、本人の願いを中心に、生活と支援の全体像を示したもの。障害福祉サービス等の必要性も見立てるアセスメントをさらに深め、本人の願いをかなえるための具体的な支援内容を盛り込んだもの
何の根拠になるか支給決定サービス提供
支援の向きをそろえる範囲本人と、支援にかかわる複数の事業者本人と、事業所内の職員
支援の特徴複数のサービスをつなぎ、支援の幅を広げる1つのサービスの中で支援を深める

2つの計画は、どちらかがどちらかの下に置かれるものではなく、互いに協力し合う並列の関係です。サービス等利用計画が複数の事業者の支援の向きをそろえ、個別支援計画が事業所の中の職員の支援の向きをそろえる、という役割分担になっています。

あわせて読みたい障害福祉サービスの支給決定までの流れ|申請・障害支援区分・受給者証と事業所の実務

2. 相談支援事業所との連携の流れ

相談支援事業者と事業所は、それぞれの計画を別々に作るのではなく、順番をつないで進めます。個別支援計画ができるまでの大きな流れは次のとおりです。

図解1サービス等利用計画から個別支援計画までの流れ
計画案の作成相談支援事業者がサービス等利用計画案を作る
→
支給決定市町村が決定
→
サービス等利用計画サービス担当者会議を経て作成
→
個別支援計画各事業所が作成
事業所は、相談支援事業者が作成したサービス等利用計画を受けてアセスメントを行い、その内容を踏まえて個別支援計画の原案を作ります。

利用が始まったあとも、両者の動きは連動しています。それぞれの流れを並べると、次のようになります。

図解2相談支援事業者と事業所、それぞれの流れ

相談支援事業者

  • ①アセスメント
  • ②サービス等利用計画案の作成
  • ③支給決定(市町村)
  • ④サービス担当者会議
  • ⑤サービス等利用計画の作成
  • ⑥継続サービス利用支援(モニタリング)
  • ⑦サービス担当者会議
  • ⑧必要に応じてサービス等利用計画を変更

サービス事業所

  • ①アセスメント
  • ②個別支援計画の原案の作成
  • ③個別支援会議
  • ④個別支援計画の作成
  • ⑤個別支援計画の実施(サービスの提供)
  • ⑥モニタリング
  • ⑦必要に応じて個別支援計画を変更
事業所の①アセスメントは、相談支援事業者の⑤サービス等利用計画の作成を受けて始まります。

とくに大事なのは、個別支援計画の原案を作る段階で、サービス等利用計画の内容を踏まえることです。サービス等利用計画に書かれた目標や課題と、自分の事業所の個別支援計画の目標がずれていないかを確認してください。

3. 個別支援計画を作成するまでの流れ

個別支援計画は、利用者に適切で効果的なサービスを提供するための基本になる計画です。サービス管理責任者の指揮のもとで、決められた手順を踏み、必要な書類を整えながら作成します。手順と、それぞれで残す書類は次のとおりです。

手順内容残す書類
①フェイスシートの作成利用者の基本情報や生活歴など、基礎的な情報を簡潔に整理するフェイスシート
②アセスメント利用者と面接し、希望する生活や課題を把握するアセスメントシート
③原案の作成支援の方針、目標と達成時期、支援内容などを検討する個別支援計画(案)
④個別支援会議利用者と担当者を集め、原案への意見を求める個別支援会議の会議録
⑤説明と同意利用者・家族に説明し、文書で同意を得る個別支援計画(同意の署名入り)
⑥交付利用者と相談支援事業者に交付する個別支援計画

フェイスシートには基礎的な情報を整理する

フェイスシートには、利用者の基本情報、家族構成、主な生活歴、ほかの施設の利用状況、施設の利用に至った経緯、障害の状況・程度、健康状態など、利用者の基礎的な情報をできるだけ簡潔にまとめます。

アセスメントは面接で行い、本人の意思を丁寧に確認する

アセスメントでは、利用者の能力、置かれている環境、日常生活全般の状況などを評価し、利用者が希望する生活や課題を把握します。

アセスメントは利用者に面接して行います。自分で意思を決めることが難しい利用者の場合は、適切に意思決定の支援ができるよう、本人の意思や選好、判断能力などを丁寧に把握するよう努めてください。

原案に盛り込む内容

原案では、利用者が自立した生活を送れるよう、適切な支援内容を検討します。計画には次の内容を盛り込みます。

  • 利用者・家族の生活に対する意向
  • 総合的な支援の方針
  • 生活全般の質を向上させるための課題
  • 提供するサービスの目標と達成時期
  • サービスを提供するうえでの留意事項

必要に応じて、ほかの福祉サービス等との連携も計画に含めます。

個別支援会議は原則として本人が同席する

個別支援会議では、利用者とサービス提供の担当者などを集めて、利用者が希望する生活やサービスへの意向を改めて確認し、原案について意見を求めます。

会議には原則として利用者の同席が必要です。利用者の病状などでやむを得ない場合に限り、例外としてテレビ電話装置の活用など、同席以外の方法で意向を確認することもできます。その場合は、同席以外の方法で実施した理由も記録に残してください。

図解3 個別支援会議に本人が同席できるかを確認するフローチャート

個別支援会議の開き方を決める
STEP1本人は会議に同席できるか
はい本人が同席して会議を開く
いいえ同席できない理由を確認する。STEP2へ
STEP2病状などで、同席できないことがやむを得ないか
はいテレビ電話装置などで意向を確認し、同席以外の方法をとった理由を記録する
いいえ原則どおり、本人が同席できる形で会議を開く
会議の内容を会議録に残す

なお、個別支援会議は、意思決定支援ガイドラインにある意思決定支援会議と一体的に行ってもかまいません。

同意は本人の署名で、交付は相談支援事業者にも

原案の内容は利用者と家族に説明し、文書で同意を得ます。署名は本人の名前で行い、本人が署名できない場合は、代筆者の名前と本人との関係を書いてください。

同意を得た個別支援計画は、利用者に交付するとともに、計画相談支援・障害児相談支援を行う相談支援事業者にも交付します。

あわせて読みたいサービス管理責任者の資格要件|研修・実務経験の数え方と配置人数

4. 個別支援計画の見直し

モニタリングで実施状況を把握する

個別支援計画を作ったあとは、モニタリングで計画の実施状況を把握します。モニタリングでは、次のことを行います。

  • 利用者について、継続してアセスメントを行う
  • 定期的に利用者と面接する
  • モニタリングの結果(計画を変更するかどうか)を定期的に記録する
図解4個別支援計画の見直しの流れ
モニタリング継続的なアセスメントと定期的な面接
→
結果の記録計画を変更するかどうかを記録
→
見直しサービスごとに決められた期間内に実施
→
計画の変更必要な場合はアセスメントから交付まで
計画を変更するときは、作成時と同じく、アセスメント、原案の作成、個別支援会議、説明と同意、交付の手順を踏みます。

見直しの期間はサービスごとに決まっている

計画は定期的に見直し、必要に応じて変更します。見直しの期間は、サービスごとに次のように定められています。

サービス見直しの期間
自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、自立生活援助少なくとも3か月以内に1回以上
共同生活援助、療養介護、生活介護、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援、施設入所支援少なくとも6か月以内に1回以上

計画を変更する場合は、作成時と同じくアセスメントから交付までの手順(3章の②〜⑥)を踏みます。モニタリングの結果、変更が不要だった場合も、その結果を記録として残しておいてください。

5. 作成時のポイントと減算になるケース

個別支援計画を作るときのポイント

個別支援計画を作るときは、次の点を押さえておいてください。

  • 計画の作成者として、サービス管理責任者を記載する
  • 同意日を書く欄を設ける
  • 施設入所支援では、「施設入所」と「日中活動」それぞれの支援目標と計画を書く
  • 計画の対象期間を書いておく(次のモニタリングや作り直しのときに分かりやすい)

個別支援計画未作成等減算になるケース

次のような場合は、個別支援計画未作成等減算の対象になります。

  • サービス管理責任者の指揮のもとで、個別支援計画が作成されていない
  • 作成に関する一連の業務が適切に行われていない(例:原案がない、同意がない)
  • モニタリングや計画の見直しが適切に行われていない(例:決められた期間内に見直していない、モニタリングの資料を作っていない)
  • 新規利用者の個別支援計画が、利用開始月に作成されていない

新規利用の場合は、原則として利用開始日までに個別支援計画ができていることが望ましいとされています。自分の事業所の計画が当てはまっていないかは、次のフローチャートで確認できます。

図解5 個別支援計画未作成等減算に当たらないかを確認するフローチャート

利用者ごとの個別支援計画を確認する
STEP1サービス管理責任者の指揮のもとで作成しているか
はいSTEP2へ
いいえ減算の対象になる
STEP2原案を作り、文書による同意を得ているか
はいSTEP3へ
いいえ減算の対象になる
STEP3決められた期間内にモニタリングと見直しを行い、資料を残しているか
はいSTEP4へ
いいえ減算の対象になる
STEP4新規利用者の計画は、利用開始月に作成しているか
はい下の確認完了へ(新規利用者がいない場合も同じ)
いいえ減算の対象になる
この記事で挙げた減算のケースには当たらない

減算の割合や適用される期間は、次の記事で解説しています。

あわせて読みたい個別支援計画の作成プロセス|7ステップと未作成減算

よくある質問

Q
サービス等利用計画と個別支援計画は、どちらを先に作りますか。
A

サービス等利用計画が先です。相談支援事業者がサービス等利用計画を作成したあと、事業所はその内容と自分の事業所の役割を踏まえて、アセスメントから個別支援計画の作成に進みます。

Q
個別支援計画は誰が作りますか。
A

サービス管理責任者の指揮のもとで作成します。計画には、作成者としてサービス管理責任者を記載してください。

Q
個別支援会議に本人が出席できない場合でも、会議を開けますか。
A

原則として本人の同席が必要です。病状などでやむを得ない場合に限り、テレビ電話装置などを使って意向を確認することもできます。その場合は、同席以外の方法をとった理由を記録に残してください。

Q
本人が署名できない場合は、どうすればよいですか。
A

代筆者が署名し、代筆者の名前と本人との関係を書いてください。

Q
完成した個別支援計画は、利用者に渡すだけでよいですか。
A

いいえ。利用者に加えて、計画相談支援・障害児相談支援を行う相談支援事業者にも交付します。

Q
新規利用者の個別支援計画は、いつまでに作ればよいですか。
A

原則として、利用開始日までに作成しておくことが望ましいとされています。利用開始月に作成されていないと、個別支援計画未作成等減算の対象になります。

Q
モニタリングで計画を変更しなかった場合も、記録は必要ですか。
A

はい。モニタリングの結果は、変更の有無にかかわらず定期的に記録します。モニタリングの資料が作成されていないと、減算の対象になります。

まとめ

サービス等利用計画は、相談支援事業者が利用者の生活全体を見て作る計画で、支給決定の根拠になります。個別支援計画は、各事業所がその内容と自分の事業所の役割を踏まえて作る計画で、サービス提供の根拠になります。

個別支援計画は、サービス管理責任者の指揮のもとで、フェイスシートの作成、アセスメント、原案の作成、個別支援会議、説明と同意、交付の順に作り、サービスごとに決められた期間内に見直します。原案や同意、モニタリングの記録が欠けると減算の対象になるため、手順ごとの書類がそろっているかを利用者ごとに確認してください。

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主な参考資料

  • 指定権者が事業者向けに作成した個別支援計画の作成に関する資料(令和6年8月)

※本記事は令和8年10月10日時点の情報に基づいています。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。