地域区分と1単位の単価の一覧|級地ごとの上乗せ割合と計算方法

地域区分と1単位の単価|級地ごとの上乗せ割合と計算方法

同じ単位数でも、事業所の所在地によって報酬額は変わります。地域区分は公務員の地域手当に準拠して級地が設定され、1単位の単価は「10円+(10円×上乗せ割合×サービス別の人件費割合)」で計算します。自分の事業所の級地は、国の告示や都道府県・市町村のサイトで確認できます。

  • 級地ごとの上乗せ割合で1単位の単価が変わる
  • 単価はサービス別の人件費割合も反映して計算する
  • 静岡県では35市町のうち21市町が級地に該当する

この記事で分かること

同じ単位数でも事業所の所在地によって報酬額が変わる理由を、級地ごとの上乗せ割合と1単位の単価の計算式から整理し、経過措置の扱いと令和9年度に向けた見直しの動きまでまとめます。

はじめに

同じサービス、同じ単位数でも、事業所の所在地によって報酬額は変わります。これは、地域区分(級地)という仕組みがあるためです。

この記事のポイント

  • 級地と上乗せ割合の一覧
  • 1単位の単価の計算式
  • 経過措置と、令和9年度に向けた見直しの動き
図解1級地ごとの上乗せ割合
1級地
20%
2級地
16%
3級地
15%
4級地
12%
5級地
10%
6級地
6%
7級地
3%
その他
0%
※本文「1. 級地と上乗せ割合」の表をグラフにしたものです。地域区分は公務員の地域手当に準拠して設定されています。

1. 級地と上乗せ割合

級地1級地2級地3級地4級地5級地6級地7級地その他
上乗せ割合20%16%15%12%10%6%3%0%

地域区分は、公務員の地域手当に準拠して設定されています。障害福祉サービスの級地は、原則として介護報酬と同じ区分とすることが基本とされ、公平性を欠く状況にある自治体には特例が設けられています。

図解21単位の単価の計算式
10円基本
10円 × 上乗せ割合級地で決まる
×
人件費割合サービス種別ごとに設定
1単位の単価
人件費割合が高いサービスほど地域による単価差が大きい
※実務で使う数値は、告示の別表にサービス種別×級地の単価そのものが定められています。人件費割合から自分で計算するのではなく、単価表を見るのが正確です。

2. 1単位の単価の計算式

1単位の単価 = 10円 +(10円 × 上乗せ割合 × サービス別の人件費割合)

人件費割合は、そのサービスの報酬に占める人件費の比率を反映したもので、サービス種別ごとに定められています。人件費割合が高いサービスほど、地域による単価差が大きくなります。

生活介護(人件費割合61%)の例

級地1級地2級地3級地4級地5級地6級地7級地その他
1単位の単価11.22円10.98円10.92円10.73円10.61円10.37円10.18円10.00円

1級地とその他で1単位あたり1.22円の差。月10万単位を算定する事業所なら、月12万2千円の差になります。

サービス種別ごとの人件費割合

人件費割合サービス種別
80%共同生活援助
66%施設入所支援
61%生活介護
60%居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所、就労定着支援、自立生活援助、地域相談支援、計画相談支援
59%自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援
57%就労継続支援A型、就労継続支援B型

療養介護は人件費割合の定めがなく、級地にかかわらず1単位10.00円です。同じ級地でも、人件費割合が高いサービスほど1単位の単価は高くなります。1級地でみると、共同生活援助(80%)が11.60円であるのに対し、就労継続支援A型・B型(57%)は11.14円です。

なお、実務で使う数値は、告示の別表にサービス種別×級地の単価そのものが定められています。人件費割合から自分で計算するのではなく、単価表を見るのが正確です。多くの自治体が自区域の級地と単価表を公表しています。

図解3生活介護(人件費割合61%)の1単位の単価
1級地
11.22円
2級地
10.98円
3級地
10.92円
4級地
10.73円
5級地
10.61円
6級地
10.37円
7級地
10.18円
その他
10.00円
1級地とその他で1単位あたり1.22円の差月10万単位なら月12万2千円の差
※本文「2. 1単位の単価の計算式」の表をグラフにしたものです(生活介護の例)。グラフの棒の長さは差を見やすくするための表示で、金額に比例したものではありません。
あわせて読みたい障害福祉サービスの報酬計算|単位数と単価・端数処理・利用者負担

3. 事業所の級地の調べ方

  1. 所轄の都道府県・市町村のサイトで「地域区分」「1単位の単価」を検索する
  2. 事業所所在地の市町村がどの級地かを確認する
  3. 提供するサービス種別の行を見て、単価を確認する

注意点

  • 級地は事業所の所在地で決まります。法人本部の所在地ではありません
  • 同一法人でも、事業所ごとに単価が異なることがあります
  • 市町村合併や制度見直しにより級地が変わることがあります

4. 級地の適用地域一覧(静岡・神奈川・愛知/令和6〜8年度)

級地は、国が告示(こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める一単位の単価並びに厚生労働大臣が定める一単位の単価)で市区町村ごとに定めています。ここでは、当法人が拠点を置く静岡県・神奈川県・愛知県について、令和6年度から令和8年度までの級地を一覧にしました。

各県とも、級地に該当する市町村と「その他」(上乗せ割合0%)の市町村をすべて掲載しています。

静岡県

級地上乗せ割合該当する市区町村
6級地6%静岡市
7級地3%浜松市、沼津市、三島市、富士宮市、島田市、富士市、磐田市、焼津市、掛川市、藤枝市、御殿場市、袋井市、裾野市、湖西市、函南町、清水町、長泉町、小山町、川根本町、森町
その他0%熱海市、伊東市、下田市、伊豆市、伊豆の国市、御前崎市、菊川市、牧之原市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町、吉田町

県内35市町のうち21市町が級地に該当します。西部・中部・東部の主要市はおおむね7級地で、静岡市のみ6級地です。伊豆半島の市町は「その他」が多くなっています。

神奈川県

級地上乗せ割合該当する市区町村
2級地16%横浜市、川崎市
3級地15%鎌倉市、厚木市
4級地12%相模原市、横須賀市、藤沢市、逗子市、三浦市、海老名市
5級地10%平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、大和市、伊勢原市、座間市、綾瀬市、葉山町、寒川町、愛川町
6級地6%秦野市、大磯町、二宮町、中井町、清川村
7級地3%南足柄市、山北町、箱根町
その他0%大井町、松田町、開成町、真鶴町、湯河原町

県内33市町村のうち28市町村が級地に該当し、「その他」は足柄上郡・足柄下郡の5町だけです。横浜市・川崎市の2級地(16%)は、3県のなかで最も上乗せ割合が高くなります。

愛知県

級地上乗せ割合該当する市区町村
3級地15%名古屋市、刈谷市、豊田市
5級地10%知立市、豊明市、みよし市
6級地6%岡崎市、一宮市、瀬戸市、春日井市、津島市、碧南市、安城市、西尾市、江南市、稲沢市、大府市、尾張旭市、岩倉市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、あま市、長久手市、東郷町、豊山町、大治町、蟹江町、飛島村
7級地3%豊橋市、半田市、豊川市、蒲郡市、犬山市、常滑市、小牧市、新城市、東海市、知多市、高浜市、田原市、大口町、扶桑町、阿久比町、東浦町、幸田町、設楽町、東栄町、豊根村
その他0%南知多町、美浜町、武豊町

県内38市はすべていずれかの級地に該当し、「その他」は知多郡の3町だけです。3県のなかでは該当範囲が最も広く、名古屋市・刈谷市・豊田市の3級地(15%)が最上位です。

一覧を見るときの注意点

  • 級地は事業所の所在地で判定します。法人の本店所在地ではありません。従たる事業所を別の市町村に置く場合、主たる事業所と級地が異なることがあります。
  • 介護保険の地域区分とは一致しない市町村があります。介護保険向けの一覧を流用すると級地を取り違えることがあるため、必ず障害福祉サービスの資料で確認してください。
  • 同じ県内でも上乗せ割合の差は小さくありません。たとえば神奈川県では、横浜市・川崎市(16%)と箱根町(3%)で13ポイントの差があります。近隣の市町村で物件を比較する際は、級地の違いも収支に反映して検討してください。
  • 3県以外の地域についても、同じ告示で市区町村ごとに定められています。上記以外の地域での開設をご検討の場合は、申請先の指定権者にご確認ください。

なお、自治体が公表している一覧の中には、改定前の内容がそのまま残っているものや、介護保険向けの表が掲載されているものもあります。収支計画の前提として使う場合は、指定権者の担当課に級地を確認しておくと確実です。

図解4級地の調べ方と注意点
所轄の都道府県・市町村のサイトで「地域区分」「1単位の単価」を検索
事業所所在地の市町村がどの級地かを確認
提供するサービス種別の行を見て単価を確認

間違えやすい点

  • 級地は事業所の所在地で決まる(法人本部の所在地ではない)
  • 同一法人でも事業所ごとに単価が異なることがある
  • 市町村合併や制度見直しにより級地が変わることがある
※本文「3. 事業所の級地の調べ方」を図解化したものです。

5. 経過措置(令和9年3月31日まで)

級地の見直しによる急激な収入変動を避けるため、次の経過措置が令和8年度末まで延長されています。

措置内容
従前設定値との選択従前の設定値と見直し後の設定値の範囲内で選択可能(従前の割合の維持を含む)。3年ごとに段階的に引き上げることも可
介護報酬と同じ区分に変更した自治体への対応現行の区分と従前の区分の範囲内で設定することを認める

適用するかどうかは自治体の意向によります。したがって、実際に適用される級地は「原則どおりの級地」とは限りません。必ず自治体が公表する現在の適用区分を確認してください。

図解5令和9年度に向けた見直しの流れ
令和8年2〜3月市町村への意向調査
令和8年度令和9年度改定に向けた検討
令和8年末頃令和9年度からの地域区分を市町村に提示
令和9年度次期報酬改定
級地が下がる地域では単位数が変わらなくても収入が減る
※国家公務員の地域手当が都道府県単位を基本とする広域化・7区分から5区分へ見直される方向で、これに対応する検討が進んでいます。
あわせて読みたい障害福祉サービスの加算・減算の基本

6. 令和9年度に向けた見直し

国家公務員の地域手当が、市町村単位から都道府県単位を基本とする広域化7区分から5区分へ見直される方向で、これに対応する検討が進んでいます。

時期動き
令和8年2〜3月市町村への意向調査
令和8年度令和9年度改定に向けた検討
令和8年末頃令和9年度からの地域区分を市町村に提示
令和9年度次期報酬改定

級地が下がる地域では、単位数が変わらなくても収入が減ります。事業計画を立てる際は、令和9年度の見直し情報が示される令和8年末以降の動きを確認しておくことをおすすめします。

7. 開業を検討する方へ

物件を選ぶ段階で級地を確認しておくと、収支計画の精度が上がります。

  • 候補地の市町村の級地を調べる
  • 想定する月間単位数 × 単価で月商を試算する
  • 隣接市町村で級地が異なる場合、送迎圏内であれば比較検討の材料になる

ただし、級地だけで立地を決めるのは危険です。利用者の確保、職員の採用、賃料、送迎距離。これらの条件と併せて総合的に判断してください。

あわせて読みたい障害福祉事業所の物件選び|契約前に確認すべきポイント

8. まとめ

  • 級地は事業所の所在地で決まり、上乗せ割合は0〜20%
  • 1単位の単価は告示の別表に定められている。単価表を見るのが確実
  • 経過措置により、原則どおりの級地とは限らない
  • 令和9年度に向けて広域化・5区分化の見直しが進行中

現在の適用区分と単価は、所轄の指定権者が公表する資料でご確認ください。

よくある質問

Q

級地は法人の所在地で決まりますか。

A

事業所の所在地で決まります。同一法人でも事業所ごとに単価が異なることがありますので、事業所単位で確認してください。

Q

1単位の単価は自分で計算する必要がありますか。

A

告示の別表にサービス種別×級地の単価が定められています。人件費割合から自分で計算するのではなく、単価表を確認するのが正確です。多くの自治体が自区域の単価表を公表しています。

Q

経過措置とは何ですか。

A

級地の見直しによる急激な収入変動を避けるため、従前の設定値と見直し後の設定値の範囲内で選択できる措置です。令和9年3月31日まで延長されており、適用は自治体の意向によります。

Q

今後、級地は変わりますか。

A

国家公務員の地域手当が都道府県単位を基本とする広域化・5区分化の方向で見直されており、これに対応する検討が進んでいます。令和9年度からの区分は令和8年末頃に市町村へ示される予定です。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請・報酬請求の実務と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。「この加算は算定できるか」「この記録で足りるか」といった運営中のご相談も承っています。

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主な参考資料

  • 参考:「こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める一単位の単価並びに厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成18年9月29日 厚生労働省告示第539号)/障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「地域区分について」/「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」/「各自治体が公表する地域区分及び1単位単価の資料」

※本記事は令和8年8月28日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。