人員基準の判定では、常勤換算方法・勤務延べ時間数・常勤・専従という4つの用語の定義が前提になります。常勤換算方法は、従業者の勤務延べ時間数を常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って算出し、端数は小数点第二位以下を切り捨てます。「常勤の従業者が勤務すべき時間数」は、原則として就業規則に規定する時間で決まります。
- 常勤換算の端数は切り上げではなく切り捨て
- 勤務延べ時間数は、勤務表上サービス提供に従事する時間で数える
- 併設事業所での兼務が常勤要件を満たす条件がある
はじめに
人員基準は「常勤換算で利用者数を10で除した数以上」といった書き方をされます。この一文を正しく読むには、常勤換算方法・勤務延べ時間数・常勤・専従という4つの用語の定義を押さえる必要があります。
定義を取り違えたまま勤務形態一覧表を作成すると、人員基準を満たしていないと判断され、指定が受けられなかったり、運営指導で減算・返還の指摘を受けたりします。この記事では、それぞれの定義と、実務でミスが起こりやすい場面の取扱いを整理します。
1. 常勤換算方法
常勤換算方法とは、事業所の従業者の勤務延べ時間数を、事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいいます。
分母となる「常勤の従業者が勤務すべき時間数」は、1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とします。この場合の勤務延べ時間数は、事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ時間数であることが必要です。
計算例(常勤の従業者が勤務すべき1週間の時間数が40時間の場合)
| 配置例 | 常勤換算数 |
|---|---|
| 常勤の | (40時間+20時間) |
| 非常勤の | (30時間+20時間) |
端数は小数点第二位以下を切り捨てます。切り上げではありません。1.25は1.2人であり、1.3人ではない点に注意してください。
計算例(週40時間の場合)
- 常勤(週40時間)1人+非常勤(週20時間)1人 →(40+20)÷40=1.5人
- 非常勤(週30時間)1人+非常勤(週20時間)1人 →(30+20)÷40=1.25≒1.2人
間違えやすい点
- 端数は切り上げではなく切捨て
- 1.25は1.2人であり1.3人ではない
2. 勤務延べ時間数
勤務延べ時間数とは、勤務表上、事業に係るサービスの提供に従事する時間、または事業に係るサービス提供のための準備などを行う時間(待機時間を含む)として、就業規則などで明確に位置付けられている時間の合計時間数をいいます。
重要なのは、従業者1人につき、勤務延べ時間数に算入することができる時間数は、事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とするという点です。
週40時間の事業所で、ある職員が週50時間勤務したとしても、算入できるのは40時間までです。残業で人員基準を満たそうとしても、常勤換算上は増えません。
また、「就業規則などで明確に位置付けられている時間」であることが必要です。準備時間や待機時間を算入する場合は、就業規則や勤務表でその位置付けを説明できるようにしておいてください。
算入できる時間
- 事業に係るサービスの提供に従事する時間
- サービス提供のための準備などを行う時間(待機時間を含む)で、就業規則などで明確に位置付けられている時間
上限がある
- 従業者1人につき、算入できるのは常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数まで
- 週40時間の事業所で週50時間勤務しても算入は40時間まで
- 残業で人員基準を満たそうとしても常勤換算上は増えない
3. 常勤と兼務
常勤
常勤とは、事業所における勤務時間が、事業所において就業規則などで定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする)に達していることをいいます。この時間数に達していない場合は「非常勤」となります。
ただし、「育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の所定労働時間の短縮措置などの対象者について、常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間としているときは、30時間勤務することで常勤として取り扱ってよいこととされています。
なお、常勤として取り扱うにあたって、雇用契約における正規職員であるか、非正規職員であるかは問いません。パート契約であっても、勤務時間が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば常勤です。逆に、正社員であっても短時間勤務であれば常勤には該当しません。
常勤の従業者が勤務すべき時間数はどう決まるか
「常勤の従業者が勤務すべき時間数」は、原則として、就業規則に規定する所定労働時間とします。所定労働時間とは、就業規則上の始業時刻から終業時刻までの時間(所定就業時間)から休憩時間を除いたものをいいます。
ただし、事業所の運営規程に定める営業時間が所定労働時間より短い場合は、営業開始時刻から営業終了時刻までの時間から休憩時間を除いたものを、常勤の従業者が勤務すべき時間数とできます。もっとも、前述のとおり常勤の判定に用いる時間数には32時間の下限が置かれているため、これを下回る時間数まで短くできるかどうかは指定権者の運用によります。事前に確認してください。
注意が必要なのは、この取扱いによる場合、常勤であっても常勤換算上は1.0として取り扱うことができないという点です。例えば、常勤の従業者が勤務すべき時間数を週30時間として常勤と取り扱う場合であっても、常勤換算上は30時間÷40時間=0.7となります(小数点第2位以下切捨て)。「常勤である」ことと「常勤換算で1.0人と数えられる」ことは一致しません。
なお、これは後述する、育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置の対象者を常勤換算1.0人としてカウントしてよいとする取扱いとは別の場面の話です。どちらに当たるかで結論が変わりますので、根拠を確認したうえで整理してください。
育児休業などを取得している期間の取扱い
育児休業法等による休業を取得中の期間においては、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことができます。休業に入った職員の代替を常勤1人で確保できない場合でも、要件を満たす非常勤職員を複数配置して員数に換算する方法が認められています。
なお、育児休業法等の規定により時短勤務となっている従業者について、常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことができるのは、利用者の処遇に支障がない体制が事業者として整っている場合です。この場合、30時間以上の勤務であれば、常勤換算方法での計算に当たっても、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとして1として取り扱うことができます。
併設事業所での兼務と常勤要件
常勤かどうかは、原則としてその事業所での勤務時間で判断します。ただし例外があり、事業所に併設されている事業所の職務など、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと指定権者が認めた場合です。この場合、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間に達していれば、常勤の要件を満たすものとされています。
「併設されている事業所」とは
併設されている事業所とは、同一法人が運営する事業所であって、同一敷地内又は隣接した敷地内に所在する当該事業所以外の事業所をいいます。したがって、所在地の異なる複数の事業所を兼任する場合は、勤務時間を合計しても常勤の要件を満たしません。
「同時並行的に行われることが差し支えない」場合とは
人員配置基準上、ただし書きなどで「支障がない場合」に例外的に兼務ができる旨規定されている場合をいいます。基準上そうした規定が置かれていない職務との兼務は、これに当たりません。
| ケース | 常勤要件の判定 |
|---|---|
| 同一敷地内又は | それぞれの |
| 所在地の | 勤務時間を |
| 人員配置基準上、 | 「同時並行的に |
なお、ここでいう併設事業所との兼務は、別の事業所の職務を兼ねる場面の話です。同一の指定における主たる事業所と従たる事業所の取扱いは別の整理になりますので、後述の「勤務形態一覧表を作成するうえでの留意点」を確認してください。
併設事業所での兼務を前提に常勤要件を満たす場合は、勤務形態一覧表でも双方の勤務時間が確認できるように整理し、指定権者が認める範囲かどうかを事前に確認してください。
4. 専従と常勤専従
専従
専従とは、原則として、サービス提供時間帯を通じて障害福祉サービスなど以外の職務に従事しないことをいいます。
この場合のサービス提供時間帯とは、従業者の事業所における勤務時間(療養介護及び生活介護については、サービスの単位ごとの提供時間)をいい、従業者の常勤・非常勤の別は問いません。
「常勤・専従」と書かれている場合は、常勤要件と専従要件の両方を満たす必要があります。混同しやすいのは、専従=常勤ではないという点です。非常勤の職員でも、その勤務時間帯に他の職務を兼ねていなければ専従です。
なお、専従に対する概念が兼務です。事業所ごとの勤務時間帯において、複数の職務に従事する場合は「兼務」となります。
「常勤専従」とは――常勤と専従の組み合わせ
指定基準や加算の要件には「常勤かつ専従の従業者1人以上」という書き方がよく出てきます。「常勤専従」という1つの用語があるわけではなく、「常勤」と「専従」という別々の要件を、同じ人が同時に満たしている状態を指します。
「常勤」は勤務時間の話、「専従」は職務の範囲の話です。切り口が違うので、次の4つの組み合わせが生まれます。
| 区分 | 意味 | 例 | 人員基準での |
|---|---|---|---|
| 常勤専従 | その | 週40時間勤務で、 | 常勤1人と |
| 常勤兼務 | 勤務時間は | 管理者と | 兼務が |
| 非常勤専従 | 常勤の | 週20時間だけ生活支援員と | 常勤換算では |
| 非常勤兼務 | 勤務時間も | 週20時間の | 職務ごとに |
間違いが多いのは、常勤の職員だから自動的に「常勤専従」になると考えてしまうことです。管理者を兼ねていれば、その時間は専従ではありません。加算の要件が「常勤かつ専従」となっている場合、兼務している職員ではその要件を満たせないことがあります。
また、「常勤」の判定に使う時間は、その事業所の就業規則等で定める常勤職員の所定労働時間です。法人内の別の事業所の勤務時間を合算して常勤とみなせるのは、常勤換算の対象となる職種で、かつ同一敷地内などの要件を満たす場合に限られます。
5. 勤務形態一覧表と実務上の注意点
勤務形態一覧表を作成するうえでの留意点
従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表を作成する際、判断に迷いやすい場面の取扱いは次のとおりです。
| 区分 | 留意点 |
|---|---|
| 祝日などの休業日 | 祝日など |
| 有給休暇や出張 | 有給休暇や |
| 月途中での | 常勤の |
| 産休・育休・病休など | 産休・育休・病休などで、 |
| 育児・介護休業法の | 短縮措置などの |
| 介護保険法に | 事業所間の |
| 従たる事業所 | 勤務形態一覧表は、 |
実務上の注意点
分母を確認してから計算する
常勤換算の分母は「その事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数」です。就業規則で週37.5時間としている法人であれば、分母は37.5時間になります(32時間を下回らないため32時間への読み替えは不要)。他社の計算例をそのまま当てはめると誤ります。
短縮措置対象者の扱いは有利に働く
育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置対象者は、常勤換算で1.0人としてカウントできます。通常の按分計算より有利ですので、該当者がいる場合は取扱いを確認してください。ただし、法の対象者であることが前提です。
準備時間・待機時間は就業規則で位置付ける
勤務延べ時間数に算入できるのは「就業規則などで明確に位置付けられている時間」です。実態として準備や待機をしていても、就業規則に位置付けがなければ説明が困難になります。開業時に就業規則を整備する段階で、この点を織り込んでください。
「常勤」と「常勤換算1.0」は別物として管理する
常勤かどうかの判定と、常勤換算で何人分と数えられるかは別の話です。運営規程の営業時間により常勤の勤務すべき時間数を短く設定した場合、その職員は常勤であっても常勤換算上は1.0になりません。人員基準を「常勤1人以上」と読むのか「常勤換算1.0以上」と読むのかを、基準の条文ごとに確認してください。
併設事業所の兼務は事前に指定権者へ確認する
併設事業所との兼務によって常勤要件を満たす取扱いは、指定権者が同時並行的に行って差し支えないと認めた場合の例外です。基準上ただし書きなどで兼務ができる旨の規定があるかを確認したうえで、申請前に指定権者へ相談しておくと、指定審査での補正を避けられます。
あわせて読みたい障害福祉事業所に必要な就業規則|作成義務と整備すべき内容よくある質問
小数点第二位以下を切り捨てます。1.25人は1.2人です。
原則として常勤にはなりません。常勤かどうかは、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数に達しているかで判断し、その時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とするためです。ただし、育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置などの対象者について、常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間としているときは、30時間勤務することで常勤として取り扱ってよいこととされています。
なれます。常勤かどうかは勤務時間で判断し、雇用契約における正規職員か非正規職員かは問いません。
できません。従業者1人につき算入できる時間数は、常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数が上限です。
暦月で1か月を超えて勤務しない場合、常勤換算には含められませんが、勤務時間数を「0」として氏名を記載し、運営規程などにおける員数に含めても差し支えありません。
なりません。勤務時間の合計で常勤要件を判定できるのは、同一法人が運営し、同一敷地内又は隣接した敷地内にある併設事業所の職務を、同時並行的に行って差し支えないと指定権者が認めた場合に限られます。所在地の異なる複数の事業所を兼任する場合は、常勤の要件を満たしません。
運営規程に定める営業時間が所定労働時間より短い場合は、営業開始時刻から営業終了時刻までの時間から休憩時間を除いたものを、常勤の従業者が勤務すべき時間数とできます。ただし、常勤の判定に用いる時間数には32時間の下限があるため、どこまで短くできるかは指定権者の運用を確認してください。また、この取扱いによる場合は常勤換算上1.0として取り扱うことができず、例えば週30時間を常勤の勤務すべき時間数とするときも、常勤換算上は30時間÷40時間=0.7となります。
育児休業法等による休業を取得中の期間については、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことができます。
専従は、サービス提供時間帯を通じて障害福祉サービスなど以外の職務に従事しないことをいいます。これに対して、事業所ごとの勤務時間帯において複数の職務に従事する場合が「兼務」です。
まとめ
常勤換算方法・勤務延べ時間数・常勤・専従の4つは、人員基準を読むための基本語です。整理すると、常勤換算は「勤務延べ時間数÷常勤が勤務すべき時間数(32時間下限)、小数点第二位以下切捨て」です。勤務延べ時間数は「1人あたり常勤の勤務すべき時間数が上限」、常勤は「勤務時間で判断し雇用形態は問わない」、専従は「サービス提供時間帯に他の職務に就かない」となります。
勤務形態一覧表は、指定申請でも変更届でも運営指導でも必ず確認される書類です。祝日・有給・産休育休・短縮措置・兼務といった場面ごとの取扱いを押さえておけば、作成の手戻りを大きく減らせます。
あわせて、次の点も押さえておいてください。常勤の従業者が勤務すべき時間数は原則として就業規則の所定労働時間であること、併設事業所での兼務は同一法人かつ同一敷地内・隣接敷地内で指定権者が認めた場合に限り勤務時間を合計できること、育児休業取得中は複数の非常勤の員数に換算して人員基準を満たせることです。
なお、細かな取扱いは指定権者の運用によって差があります。判断に迷う場合は、申請先の担当課に確認してください。
勤務形態一覧表と常勤換算の確認、承ります
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、常勤換算の計算と勤務形態一覧表の作成を、労務管理の観点も踏まえて支援します。開業支援は20万円〜承っています。
静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。判断に迷う点こそ、早めにご相談ください。
関連記事
主な参考資料
※本記事は令和8年8月時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
