障害福祉サービスの管理者|資格要件と配置・兼務の注意点

障害福祉サービスの管理者|資格要件と配置・兼務の注意点

管理者は、事業所の従業者や業務の管理を一元的に行う役割で、資格要件が必要かどうかはサービス種別によって分かれます。他の職種と兼務する場合は、常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分程度を管理業務に充てることが目安とされ、兼務できる職種は1つまでです。指定申請や変更届では、資格や経歴を示す書類が求められます。

  • 資格要件の有無はサービス種別によって異なる
  • 兼務する場合の勤務時間には目安がある
  • 管理者と別に兼務できる職種は1つまで

この記事で分かること

障害福祉サービス事業所の管理者について、サービス種別ごとに資格要件が必要かどうか、他の職種や他の事業所と兼務できる範囲、勤務時間の考え方、指定申請・変更届で求められる書類までを整理します。

はじめに

管理者は、すべての障害福祉サービス事業所に配置が求められる職種です。ところが「資格が要るのか」「サービス管理責任者と兼ねてよいのか」「複数の事業所を見てよいのか」といった点は、サービス種別によって扱いが分かれます。

指定申請の段階で兼務の組み方を誤ると、人員基準を満たさないものとして指定が受けられず、開設が1か月単位で遅れることもあります。この記事では、管理者の資格要件と配置・兼務の考え方を、指定申請の実務に沿って整理します。

この記事のポイント

  • 管理者に資格要件があるのは、生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、障害者支援施設です(療養介護の管理者は医師)。
  • 就労継続支援A型・B型は、社会福祉主事任用資格・社会福祉事業2年以上の従事経験に加えて、企業を経営した経験も要件として認められます。
  • 管理者が他の職種を兼務する場合は、常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分以上を管理業務に充てることが基本です。兼務できる職種は1つまで、3職種以上の兼務は認められません。
  • 管理者のみを兼務する場合、最大3事業所(移動時間30分以内)まで認められます。

1. 管理者とは

管理者は、事業所の従業者や業務の管理を一元的に行い、従業者に指定基準を遵守させるために必要な指揮命令を行う職種です。事業所ごとに1人の配置が必要で、指定申請の際は経歴書を提出します。

なお、居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護、共同生活援助については、人員基準上、管理者は常勤であることが必要です(業務に支障がない場合、他の職種との兼務は可能です)。その他のサービスは「業務に支障がない場合、他の職種を兼務可」とされ、常勤要件は置かれていません。

事業内容を十分に理解している管理者が申請手続きを行う(または手続きに同席する)ことを求める指定権者もあります。手続きを行政書士などに委託する場合でも、遵守すべき指定基準や申請・届出書類の内容は、管理者・従業者において必ず理解しておく必要があります。

図解1管理者の役割と常勤要件
従業者・業務の管理一元的に行う
指揮命令従業者に指定基準を遵守させるために必要な指揮命令
事業所ごとに1人指定申請の際は経歴書を提出

常勤であることが求められるサービス

  • 居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護
  • 共同生活援助
  • (業務に支障がない場合、他の職種との兼務は可能)

その他のサービス

  • 「業務に支障がない場合、他の職種を兼務可」とされ、常勤要件は置かれていない
※手続を行政書士などに委託する場合でも、遵守すべき指定基準や申請・届出書類の内容は、管理者・従業者において必ず理解しておく必要があります。

2. 管理者の資格要件

管理者の資格要件は、サービス種別によって次のとおり分かれます。

サービス種別資格要件
生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、障害者支援施設以下のいずれかに該当する者
●社会福祉主事任用資格を有する(社会福祉士、精神保健福祉士など)
●社会福祉事業に2年以上従事した
●社会福祉施設長資格認定講習会を修了した(これと同等以上の能力を有すると認められる者)
就労継続支援A型、就労継続支援B型以下のいずれかに該当する者
●社会福祉主事任用資格を有する(社会福祉士、精神保健福祉士など)
●社会福祉事業に2年以上従事した
●社会福祉施設長資格認定講習会を修了した(これと同等以上の能力を有すると認められる者)
●企業を経営した経験を有する
療養介護医師
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、就労定着支援、共同生活援助、短期入所、一般相談支援、計画相談支援、障害児相談支援資格要件なし

就労継続支援A型・B型で「企業を経営した経験」が認められている点は、他のサービスにはない特徴です。福祉分野の経験がない経営者が自ら管理者となる場合に用いられます。

資格要件があるサービスでは、指定申請の際に管理者の実務経験証明書の写しなどの提出を求められます。社会福祉事業に2年以上従事したことを根拠とする場合、在籍していた法人から証明を受ける必要がありますので、候補者が決まった段階で早めに手配してください。

図解2サービス種別ごとの資格要件

生活介護/自立訓練(機能訓練・生活訓練)/就労選択支援/就労移行支援/障害者支援施設

  • 社会福祉主事任用資格を有する(社会福祉士、精神保健福祉士など)
  • または社会福祉事業に2年以上従事した
  • または社会福祉施設長資格認定講習会を修了した(これと同等以上の能力を有すると認められる者)

就労継続支援A型・B型

  • 社会福祉主事任用資格を有する
  • または社会福祉事業に2年以上従事した
  • または社会福祉施設長資格認定講習会を修了した
  • または企業を経営した経験を有する

療養介護

  • 管理者は医師

資格要件なし

  • 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、就労定着支援、共同生活援助、短期入所、一般相談支援、計画相談支援、障害児相談支援
就労継続支援A型・B型の「企業を経営した経験」は他のサービスにはない特徴
※本文「2. 管理者の資格要件」の表を図解化したものです。

3. 管理者の配置にあたっての留意事項

管理者は、事業所の管理業務に従事することが本来の役割です。他の職種と兼務する場合の考え方は、次のとおり整理されています。

(1)勤務時間の目安

管理者と別の職種を兼務する場合、常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分以上は管理者として従事することを基本に、適切な時間数を確保することが必要です。

たとえば常勤の従業者が週40時間勤務する事業所であれば、週20時間以上を管理業務に充てるのが基本ということになります。勤務形態一覧表を作成する際は、この配分を意識してください。

(2)兼務できる職種の数

管理者と別に兼務できる職種は1つまでです。3職種以上を兼務する場合、業務に支障があるものとみなされ、認められません。

(3)兼務できる事業所の数

管理者のみを兼務する場合、最大3事業所(移動時間30分以内)まで認められます。管理者としての職務のみであれば、複数事業所を統括することが想定されているということです。

図解3兼務の3つのルール
①勤務時間常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分以上は管理者として従事(週40時間なら週20時間以上)
②職種の数管理者と別に兼務できるのは1職種まで(3職種以上は不可)
③事業所の数管理者のみを兼務する場合、最大3事業所(移動時間30分以内)まで
※本文「3. 管理者の配置にあたっての留意事項」を図解化したものです。
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4. 兼務の可否(凡例)

具体的な組み合わせで整理すると、次のようになります。

凡例兼務の可否
【事業所A】生活介護/管理者 ― 生活支援員
【事業所B】共同生活援助/管理者
不可(3職種以上の兼務不可)
【事業所A】生活介護/管理者
【事業所B】共同生活援助/管理者
【事業所C】放課後等デイサービス/管理者
可(管理者は3事業所までは兼務可)
【一の事業所】生活介護/管理者 ― サービス管理責任者 ― 生活支援員不可(共同生活援助は兼務可)
【多機能型事業所】
就労移行支援/管理者 ― サービス管理責任者
就労継続支援B型/管理者 ― サービス管理責任者
可(管理者とサービス管理責任者の2職種とみなすため兼務可)
【一体的に運営を行う事業所】
就労移行支援/管理者
就労定着支援/管理者 ― 就労定着支援員
可(管理者と就労定着支援員の2職種とみなすため兼務可)

多機能型事業所や一体的に運営する事業所では、複数のサービスにまたがっていても「管理者」「サービス管理責任者」という職種の数で判定される点が重要です。事業所の数ではなく職種の数で数える、と理解しておくと整理しやすくなります。

なお、これらの取扱いは指定権者の運用によって細部が異なることがあります。兼務の組み方を前提に人員計画を立てる場合は、事前協議の段階で申請先に確認してください。

図解4兼務の可否(具体例)

不可

  • 【A】生活介護/管理者-生活支援員 +【B】共同生活援助/管理者 → 3職種以上の兼務不可
  • 【一の事業所】生活介護/管理者-サービス管理責任者-生活支援員 → 不可(共同生活援助は兼務可)

  • 【A】生活介護/管理者+【B】共同生活援助/管理者+【C】放課後等デイサービス/管理者 → 管理者は3事業所まで兼務可
  • 【多機能型】就労移行支援/管理者-サビ管、就労継続支援B型/管理者-サビ管 → 管理者とサビ管の2職種とみなすため可
  • 【一体的に運営】就労移行支援/管理者、就労定着支援/管理者-就労定着支援員 → 管理者と就労定着支援員の2職種とみなすため可
※本文「4. 兼務の可否(凡例)」を図解化したものです。
あわせて読みたいサービス管理責任者の資格要件|研修・実務経験の数え方と配置人数

5. 指定申請・変更届で求められる書類

指定申請時

管理者については、管理者の経歴書を提出します。サービス提供責任者やサービス管理責任者を兼務する場合、1つにまとめて提出できる取扱いが一般的です。

資格要件があるサービス(生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、障害者支援施設)では、管理者の実務経験証明書の写しなどを併せて提出します。

変更時

管理者を変更した場合、変更届の提出が必要です。求められる書類は、おおむね次のとおりです。

  • 変更届出書
  • 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表
  • 管理者の経歴書
  • 管理者の実務経験証明書の写しなど(生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、障害者支援施設)
  • 誓約書
  • 暴力団員等の排除の規定に適合する旨の誓約及び所轄警察署長への照会に対する同意書(相談支援事業は不要とする指定権者もあります)
  • 役員等名簿

提出期限は、変更後10日以内としている指定権者が多くみられます。様式番号や添付書類は指定権者ごとに異なりますので、申請先の最新の手引きで確認してください。

実務上の注意点

兼務ありきで人員計画を組まない

管理者を他職種と兼務させる前提で人員を絞り込むと、開設後に管理業務の時間が確保できず、記録・研修・苦情対応といった管理者本来の業務が回らなくなります。指定基準上は可能でも、実務が回るかどうかは別問題です。

管理者が交代する場面を想定しておく

管理者は変更届の対象です。資格要件のあるサービスでは、後任も要件を満たす必要があります。開設時から後任候補の要件(社会福祉主事任用資格、社会福祉事業の従事年数など)を把握しておくと、急な退職にも対応できます。

勤務形態一覧表で兼務の実態を示す

兼務は、勤務形態一覧表の記載で確認されます。管理者としての勤務時間と、兼務する職種としての勤務時間を分けて記載し、管理業務の時間が確保されていることが読み取れるようにしてください。

図解5実務上の注意点

兼務ありきで人員計画を組まない

  • 管理業務の時間が確保できず、記録・研修・苦情対応といった本来の業務が回らなくなる
  • 指定基準上は可能でも、実務が回るかは別問題

管理者が交代する場面を想定しておく

  • 管理者は変更届の対象。資格要件のあるサービスでは後任も要件を満たす必要がある
  • 開設時から後任候補の要件を把握しておく

勤務形態一覧表で兼務の実態を示す

  • 管理者としての勤務時間と兼務する職種の勤務時間を分けて記載
  • 管理業務の時間が確保されていることが読み取れるように
変更届の提出期限は変更後10日以内としている指定権者が多い
※様式番号や添付書類は指定権者ごとに異なりますので、申請先の最新の手引きで確認してください。

開業前チェックリスト

□ 申請するサービスに管理者の資格要件があるか確認した

□ 資格要件がある場合、候補者の資格または従事年数を確認した

□ 実務経験証明書の発行を前職に依頼した

□ 兼務する職種を1つまでに収めた

□ 管理業務に充てる時間を勤務形態一覧表に反映した

□ 複数事業所を兼務する場合、移動時間が30分以内であることを確認した

よくある質問

Q
管理者に資格は必要ですか。
A

サービス種別によります。生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、障害者支援施設は、資格要件があります。社会福祉主事任用資格、社会福祉事業に2年以上従事した経験、社会福祉施設長資格認定講習会の修了のいずれかが必要です(A型・B型は企業を経営した経験でも可。療養介護の管理者は医師)。居宅介護、共同生活援助、短期入所、相談支援などは資格要件がありません。

Q
管理者とサービス管理責任者を兼ねることはできますか。
A

業務に支障がない範囲で兼務できます。ただし、同一の事業所で管理者・サービス管理責任者・生活支援員の3職種を兼務することは認められません(共同生活援助を除く)。

Q
管理者は何か所の事業所を兼務できますか。
A

管理者のみを兼務する場合、移動時間30分以内であれば最大3事業所まで認められます。管理者に加えて別の職種も兼務する場合は、この限りではありません。

Q
管理者は常勤でなければなりませんか。
A

居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護、共同生活援助は常勤が必要です。その他のサービスは常勤要件が置かれていませんが、兼務する場合でも常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分以上を管理業務に充てることが基本とされています。

あわせて読みたい障害福祉サービスの変更届とは?どんな場合に必要?

まとめ

管理者は、資格要件の有無がサービス種別で分かれ、兼務の可否は「職種の数」と「事業所の数」の2つの物差しで判断されます。整理すると、兼務できる職種は1つまで、管理者のみの兼務であれば3事業所まで、そして管理業務には常勤の勤務時間の半分以上を充てる、という3点に集約されます。

人員計画は、この枠内で無理なく回る形に組んでおくことが、開設後の運営を安定させる近道です。なお、兼務の細かな取扱いや提出書類は指定権者によって異なりますので、事前協議の段階で申請先に確認してください。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、管理者の要件確認と兼務を前提とした勤務形態一覧表の作成を、ひとつの窓口でご相談いただけます。開業支援は20万円〜、物件や人員計画の検討段階から承っています。

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主な参考資料

  • 参考:厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」/指定権者が公表する障害福祉サービス等指定申請の手引き

※本記事は令和8年8月時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。