グループホームの総量規制と質の確保|障害者部会の議論と運営ガイドライン

グループホームの総量規制と質の確保|障害者部会の議論と運営ガイドライン

グループホーム(共同生活援助)を総量規制の対象に加えるかどうかが、社会保障審議会障害者部会で議論されています。事業所数の伸びが大きく、多くの都道府県で計画の見込量を超えているためです。一方で質の確保の面では、令和8年2月に運営や支援に関するガイドラインが公表されました。

  • 共同生活援助は現在、総量規制の対象ではない
  • 実際に総量規制を実施している自治体は1割程度にとどまる
  • 総量規制の対象外でも、令和8年6月以降の新規指定は基本報酬が1000分の972になる
  • ガイドラインは公表済み。自己評価と地域連携推進会議が軸になる

はじめに

「グループホームは、そのうち総量規制がかかるらしい」。開業の相談を受けていると、そういう話をよく聞きます。実際のところ、どこまで決まっているのでしょうか。

結論から言うと、令和8年9月の時点で、共同生活援助は総量規制の対象になっていません。ただし、対象に加えるかどうかは社会保障審議会障害者部会で正面から論点に挙げられています。一方で、支援の質の確保については先に動きがあり、運営や支援に関するガイドラインが令和8年2月に公表されました。

この記事では、国の資料をもとに、総量規制の仕組み、議論の中身、自治体の受け止め方、そして事業者がいま何を整えるべきかを整理します。

この記事のポイント

    • 総量規制の対象サービスは省令で決まっている。共同生活援助は入っていない
    • 障害者部会では、共同生活援助の総量規制の取扱いが論点として示された
    • 総量規制を実際に実施している自治体は1割程度
    • 実施に前向きな自治体は41.8%、否定的な自治体は33.6%
    • 「基準は満たしているが指定すべきでないと感じる」自治体は27のうち21
    • 令和8年6月公布の改正法には、共同生活援助の総量規制は含まれていない
    • 総量規制の対象外でも、令和8年6月以降の新規指定は基本報酬が1000分の972になる
    • ガイドラインは公表済み。自己評価と地域連携推進会議が実務の軸になる

1. 総量規制とはどういう仕組みか

総量規制は、サービスの供給が地域のニーズに対して過剰にならないように設けられた仕組みです。都道府県や指定権限を持つ市町村は、障害福祉計画・障害児福祉計画に必要なサービス量の見込みを定めます。その見込量に既に達している場合などには、指定をしないことができるというものです。

図解1指定を拒否できる2つの場合

(1)見込量に達しているとき

  • 区域内のサービスの量(実績値)が、計画で定める必要な量の見込みに既に達している
  • または、その事業者を指定することで達することになる
  • 入所施設は、定員の総数と必要入所定員総数の見込みで判断する

(2)計画の達成に支障があるとき

  • そのほか、障害福祉計画・障害児福祉計画の達成に支障を生じるおそれがあると認めるとき
どちらかに当てはまれば、指定を拒否できます。「必ず拒否する」仕組みではなく、指定権者の判断に委ねられています。

2. いま対象になっているサービス

対象となるサービスは省令で定められています。制度の歴史を追うと、次のように広がってきました。

総量規制の対象サービス
時期対象に加わったサービス
平成18年度から生活介護、就労継続支援B型、障害者支援施設
平成29年度から就労継続支援A型
平成30年度から児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設
現時点で対象外共同生活援助(グループホーム)、就労移行支援、短期入所 など
※表は横にスクロールできます
対象サービスは省令で規定されています。対象に加えるには省令の改正が必要です。

3. グループホームを対象に加える議論

令和7年7月24日の社会保障審議会障害者部会で、「障害福祉分野における地域差・指定の在り方について」が議題になりました。ここで共同生活援助の総量規制の取扱いをどう考えるかが論点として示されています。

理由として挙げられているのは、供給量の伸びが大きく、多くの都道府県で計画の見込量を超えた供給量になっていることです。国の調査研究では、「軽度者向けの住まいが充足する一方で中重度向けは不足している」「過剰な供給が新たな需要を生んでしまっている」という整理がされています。

自治体から挙がった、対象に加えた方がよいと考える理由も公表されています。

    • 他のサービスと比べて事業所数の増加率が特に高い
    • 事業者の知識や理解が乏しい、サービスの提供自体が疑わしいなど、質に疑義があるケースが多い
    • 軽度の障害者向けは充足しているが、重度の障害者向けが足りず、需給のバランスが悪い
    • 日中サービス支援型で充足がみられ、ニーズ調査をせずに開設してから利用者を募る例がある
    • 開設しても利用者が集まらず、すぐ廃止してしまう事業所が多い

背景には、全国で多数のグループホームを運営していた事業者が、食材費の過大徴収などを理由に連座制の適用を受け、全事業所の指定更新が認められなかった事案もあります。広い範囲の利用者に影響が及んだことで、参入のハードルをどう考えるかという議論が強まりました。

4. 総量規制はあまり使われていない

意外に思われるかもしれませんが、すでに対象になっているサービスでも、実際に総量規制を実施している自治体は1割程度にとどまります。国の調査研究(令和6年度障害者総合福祉推進事業)の結果です。

総量規制を実施している自治体の割合(単位:%)
区分回答数生活介護就労継続支援A型就労継続支援B型施設入所支援
都道府県4710.610.612.819.1
政令市120.00.00.00.0
中核市4314.011.614.014.0
指定権限を持つ一般市町村442.32.32.32.3
合計1468.27.58.911.0
※表は横にスクロールできます
複数回答。政令市はいずれのサービスでも実施していないという結果でした。

考え方も分かれています。実施に前向きな自治体が41.8%、否定的な自治体が33.6%。「その他」の19.2%は「実施の可否について検討が進んでいない」という回答が中心でした。

図解2自治体が挙げた賛成と反対の理由

実施に前向きな理由(前向きな61自治体)

88.5
事業所数を適正な量に維持することで、サービスの質を確保するため
3.3
管内市町村から総量規制を求める声が強いため
1.6
必要以上の費用の伸びを抑制するため

否定的な理由(否定的な49自治体)

49.0
障害福祉計画の見込量を超える需要に対応できるようにするため
18.4
事業者の意向がある限りは参入を認めるべきと考えるため
12.2
新規参入の抑制で既存事業所の業務改善のインセンティブが失われるのを防ぐため
前向きな自治体の理由は、費用の抑制ではなく「質の確保」がほとんどを占めています。

5. 基準は満たしているが指定したくないという声

同じ調査で、自治体の本音がはっきり出ている部分があります。「基準は満たしているものの、指定すべきでないと感じることがある」と答えた自治体が、27のうち21でした。

一方で、実際の対応は「指定基準を満たしていれば、原則指定を行う」が89.7%。基準を満たしていても指定しないことがあるという自治体は4.8%にとどまります。気になっていても、書類がそろっていれば指定せざるを得ないという構図です。

報告書は、この状態を「一部の審査業務が形骸化してしまっている」と表現しています。新規指定ガイドラインで事業計画書や生産活動の中身を確認するようになったのも、同じ問題意識からです。

6. 意見申出制度も使われていない

令和6年4月から、都道府県が事業者を指定するときに、市町村があらかじめ意見を出せる制度が始まっています。ところが、指定権限のない一般市町村のうち、制度を「知っている」は50.5%、「知らない」が41.8%という状況でした。

都道府県に事前の通知を求めているかを聞くと、「求めており今後も求める予定はない」が59.3%。制度はあっても動いていない、というのが実態です。

ただし、これは裏を返せば今後この制度の活用が促されれば、指定の前に市町村の意見が入る場面が増えるということでもあります。開業を考えるなら、都道府県だけでなく所在地の市町村とも早い段階で話をしておく意味が大きくなります。

7. 令和8年の法改正には入っていない

令和8年6月25日に社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)が公布され、令和9年4月1日から施行されます。内容は、地域の実情に応じた包括的な支援体制の拡充、福祉人材の安定的な確保・定着支援、支援基盤の強化です。

この改正法に、共同生活援助の総量規制は含まれていません。つまり、令和8年9月の時点では、グループホームを総量規制の対象に加えることは決まっていません。議論の段階です。

とはいえ、対象サービスは省令で定められているため、法律の改正を待たずに動く余地があります。障害者部会の議論の進み方は、引き続き見ておく必要があります。

8. 指定は取れても報酬が下がる仕組み

総量規制とよく混同されるものに、令和8年6月から始まった新規指定の事業所向けの報酬単価があります。現場では「新規開所減算」と呼ばれることもありますが、正式には令和8年度障害福祉サービス等報酬改定の「応急的な報酬単価の特例」です。減算という名前の加減算があるわけではなく、基本報酬の単価そのものが新規の事業所だけ別に定められています。

2つは、効く場所が違います。総量規制は指定そのものを断る仕組みなので、断られれば事業は始まりません。応急的な報酬単価の特例は、指定は受けられます。ただし受け取る基本報酬が、既存の事業所より低い単価になります。

図解3指定を断る仕組みと報酬を下げる仕組み
総量規制
新規に指定を申請計画の見込量に既に達している指定を受けられないことがある事業そのものを始められない
応急的な報酬単価の特例
新規に指定を申請令和8年6月1日以降の新規指定指定は受けられる基本報酬は1000分の972
入口で止まるのが総量規制、入ったあとの単価で差がつくのが応急的な報酬単価の特例です。

グループホームは、ここまで見てきたとおり総量規制の対象外です。指定そのものは受けられます。その一方で、応急的な報酬単価の特例では対象に入っています。量の規制はかからないが、報酬は下がるという位置づけです。

2つの仕組みの違い
総量規制応急的な報酬単価の特例
根拠障害者総合支援法の指定の拒否+省令令和8年度報酬改定(告示改正)
決めるのは都道府県・指定都市・中核市などの指定権者国(全国一律)
働く場面指定申請に対する判断指定を受けたあとの報酬請求
効果指定を受けられないことがある指定は受けられるが基本報酬が低い
グループホーム対象外対象
期間障害福祉計画の期間ごとに見直し令和9年度報酬改定までの間
※表は横にスクロールできます
同じ「増やしすぎない」という方向を向いていますが、根拠も決める人も違います。

対象に選ばれたのは、年間総費用額に占める割合が1%以上で、令和6年度の収支差率が5%以上あるサービスのうち、事業所数が過去3年間5%以上の伸びを続けているものです。次の4つが該当しました。

対象サービスと適用される単位数
サービス新規指定の事業所に適用される単位数従前との差
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)所定単位数の1000分の972▲2.8%
就労継続支援B型所定単位数の1000分の984▲1.6%
児童発達支援所定単位数の1000分の988▲1.2%
放課後等デイサービス所定単位数の1000分の982▲1.8%
※表は横にスクロールできます
出典:令和8年2月18日 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」

引き下げ幅がいちばん大きいのが共同生活援助です。対象は介護サービス包括型と日中サービス支援型で、外部サービス利用型は入っていません

対象になるのは令和8年6月1日以降に新規指定された事業所です。既存の事業所は従前どおりの単価が続きます。合併・分割・事業譲渡に伴う指定でも、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存事業所と同じ扱いになります。

新規指定でも、次に当てはまる基本報酬には従前の単価が適用されます。

    • 重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)、医療的ケア対応支援加算、医療連携体制加算(Ⅳ)を算定する利用者に係る基本報酬
    • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、高次脳機能障害者支援体制加算を算定する事業所に係る基本報酬
    • 離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所に係る基本報酬
    • 自治体が客観的に必要であるとして設置する事業所に係る基本報酬(公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所)

最後の1つは実務上の意味が大きい部分です。自治体の公募に応じて開設した場合や、自治体から補助を受けて開設した場合は、新規指定でも従前の単価が使えます。総量規制を実施している自治体の多くが公募方式を採っていることを考えると、公募に乗る開設ルートは、指定を受けやすいだけでなく、報酬の面でも不利を受けずに済む道筋になります。

この特例は令和9年度報酬改定までの間の措置とされています。そこで元の単価に戻るのか、別の仕組みとして続くのかは決まっていません。開設の収支計画を立てるときは、開所から令和9年度までは引き下げ後の単価で見ておくのが安全です。

9. グループホームのガイドライン

総量規制の結論は出ていませんが、支援の質の確保については、ガイドラインとして先に具体化されています。「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン(第1版)」が令和8年2月に公表されています。

ガイドラインは、令和4年6月の障害者部会報告書にある「障害福祉サービスの実績や経験が少ない事業者の参入が多く見受けられ、障害特性や障害程度を踏まえた支援が適切に提供されないといった支援の質の低下が懸念される」という指摘を受けて作られたものです。

ガイドラインの構成
内容
第1章障害者福祉の基本理念、権利擁護(虐待の防止、意思決定支援)
第2章共同生活援助の全体像。人員配置、勤務体制、設備・定員、運営規程、緊急時対応、BCP、業務管理体制、協力医療機関、情報公表など
第3章提供すべき支援の内容。利用契約、個別支援計画、日常生活の支援、退居、結婚・出産・子育てに係る支援
第4章支援の質の向上のための取組。研修、権利擁護、自己評価、他事業所との連携、地域連携推進会議
別添・別紙実施しなければならない委員会・研修等の一覧、参考資料一覧、自己チェックシート
※表は横にスクロールできます
各項目に指定基準の条番号が付いています。基準省令と解釈通知を体系的に整理した内容です。

注目したいのは、「結婚、出産、子育てに係る支援」が章立てで入っていることです。グループホームを一時的な通過点ではなく、暮らしの場として捉える方向がはっきり出ています。

10. 自己評価と第三者評価

指定基準では「提供する指定共同生活援助の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない」とされています。ガイドラインは、これを次のように具体化しました。

    • ガイドラインに基づいて自己評価を行い、結果に基づく改善を行う(自己チェックシートが付いている)
    • 自己評価を事業所内で共有し、支援の改善につなげる
    • 地域連携推進会議でも自己評価を活用し、構成員から客観的な助言を受ける
    • 第三者による外部評価を積極的に受審することが望ましい

自己評価を「作って終わり」にせず、外部の目に通すところまでが一つの流れとして書かれています。次の運営指導では、自己評価の有無とその使い方が見られると考えておいた方がよいでしょう。

11. 地域連携推進会議

グループホームの実務で、特に判断に迷いやすいのがこの点です。ガイドラインの記述を整理します。

地域連携推進会議の決まりごと
項目内容
構成員利用者およびその家族、地域住民の代表者、共同生活援助について知見を有する者、市町村担当者など
開催の頻度おおむね年に1回以上
指定申請の時点すでに設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要
訪問の機会おおむね年に1回以上、構成員が事業所を訪問する機会を設ける
複数の住居がある場合住居ごとに、おおむね年に1回以上、構成員が見学する機会を設ける(サテライト型住居を含む)
記録報告した内容と構成員からの要望・助言を記録し、5年間保存したうえで公表する
代わりになる措置第三者評価を受け、その実施状況を公表した場合などは、会議の開催に代えることができる(記録は5年間保存)
※表は横にスクロールできます
住居ごとの見学機会は見落としやすい部分です。5棟あれば、5棟それぞれに外部の目を入れることになります。

指定申請の時点で設置されているか、確実に設置される見込みが必要という点も重要です。開設準備の段階から、誰に構成員を頼むかを考えておく必要があります。

12. 委員会・研修の一覧

ガイドラインの別添1に、実施しなければならない委員会・研修等が一覧になっています。バラバラの通知に散っていたものが1枚にまとまったので、年間計画を作るときに使えます。

共同生活援助事業者が実施しなければならない委員会・研修等
項目委員会・指針・方針研修・訓練
ハラスメント対策方針の明確化(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント)必須
感染症・食中毒の予防およびまん延防止感染症対策委員会 おおむね3か月に1回以上/指針の整備 必須研修 年2回以上(新規採用時に必ず実施)/訓練 年2回以上
業務継続計画業務継続計画 必須研修 年1回以上(新規採用時にも別で実施することが望ましい)/訓練 年1回以上
虐待の防止虐待防止委員会 少なくとも年1回研修 年1回以上(新規採用時に必ず実施)
身体拘束等の適正化身体拘束適正化検討委員会 少なくとも年1回/指針の整備 必須研修 年1回以上(新規採用時に必ず実施)
※表は横にスクロールできます
感染症だけ研修も訓練も年2回である点、新規採用時の実施が求められる研修がある点に注意してください。

13. 事業者がいま備えること

図解4運営中の事業所とこれから開設する事業所

すでに運営している場合

  • ガイドラインの自己チェックシートで、いまの運営を点検する
  • 自己評価の結果を事業所内で共有し、改善につなげる
  • 地域連携推進会議を年1回以上開き、記録を5年保存して公表する
  • 住居ごとの見学機会を年1回以上設ける
  • 委員会と研修・訓練の年間計画を、別添1の一覧で作り直す

これから開設する場合

  • 所在地の障害福祉計画で、共同生活援助の見込量と実績を確認する
  • 都道府県だけでなく、所在地の市町村にも早い段階で相談する
  • 地域連携推進会議の構成員を、申請前から手当てしておく
  • 軽度者向けに偏っていないか、地域のニーズを確かめる
  • ガイドラインを読み、支援の中身を事業計画に落とし込む
総量規制の結論が出るのを待つ必要はありません。求められている中身は、すでにガイドラインの形で示されています。

相談を受けていて感じるのは、「指定が取れるか」ばかりに関心が向きがちだということです。今回の議論の出発点は、基準を満たしていても質に不安がある事業者をどうするか、というところにありました。基準を満たすことと、支援ができることは別の話です。

ガイドラインは、その「支援ができること」を文章にしたものです。総量規制の行方がどうなろうと、ここに書かれた中身ができていれば困ることはありません。

よくある質問

Q
グループホームはもう総量規制の対象になったのですか。
A

いいえ。なっていません。令和8年9月の時点で、共同生活援助は総量規制の対象サービスに含まれていません。社会保障審議会障害者部会で対象に加えるかどうかが論点として示されている段階です。

Q
いま総量規制の対象になっているのはどのサービスですか。
A

生活介護、就労継続支援B型、障害者支援施設(平成18年度から)、就労継続支援A型(平成29年度から)、児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設(平成30年度から)です。対象サービスは省令で定められています。

Q
総量規制の対象になると、指定は受けられなくなりますか。
A

必ず受けられなくなるわけではありません。区域内のサービス量が計画の見込量に達している場合などに、指定権者が指定をしないことができるという仕組みです。実際に運用するかどうかは指定権者の判断によります。

Q
自分の地域が総量規制をしているかは、どこで分かりますか。
A

指定権者に確認するのが確実です。国の調査では、実際に実施している自治体は1割程度でした。同じ都道府県内でも、政令市・中核市で扱いが違うことがあります。

Q
令和8年の法改正でグループホームの総量規制は決まりましたか。
A

いいえ。決まっていません。令和8年6月25日公布の社会福祉法等の一部を改正する法律には、共同生活援助の総量規制は含まれていません。

Q
共同生活援助のガイドラインは守らないと減算になりますか。
A

ガイドライン自体に減算の定めはありません。ただし、自己評価や地域連携推進会議のように、指定基準に根拠のある事項が含まれています。これらを行っていない場合は、運営指導で指摘の対象になります。

Q
地域連携推進会議は、住居ごとに開かなければいけませんか。
A

会議そのものは事業所として年1回以上で差し支えありません。ただし、構成員が住居を見学する機会は、サテライト型住居を含めて住居ごとにおおむね年1回以上設ける必要があります。

Q
第三者評価を受ければ地域連携推進会議は不要ですか。
A

代えることができます。第三者評価を受けてその実施状況を公表した場合などは、会議の開催に代えられるとされています。その場合も、実施年月日、評価機関の名称、評価結果を公表し、記録を5年間保存します。

Q
グループホームは総量規制の対象外なのに、報酬が下がるのはなぜですか。
A

別の制度だからです。総量規制は指定を断ることができる仕組みで、グループホームは対象に入っていません。一方、令和8年度報酬改定の応急的な報酬単価の特例は、指定を受けたあとの基本報酬を新規の事業所だけ低くする仕組みで、こちらには共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)が入っています。

Q
令和8年5月までに指定を受けていれば、低い単価にはなりませんか。
A

なりません。対象は令和8年6月1日以降に新規指定された事業所です。既存の事業所は従前どおりの単価が続きます。合併・分割・事業譲渡による指定でも、前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存事業所と同じ扱いです。

Q
新規の開設でも従前の単価が使える場合はありますか。
A

あります。離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所、自治体の公募によりサービスが不足する地域に設置する事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所は、従前の単価が適用されます。重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)や医療的ケア対応支援加算などを算定する利用者に係る基本報酬も同じです。

まとめ

グループホームの総量規制は、まだ決まっていません。ただ、議論の出発点にあるのは「量」ではなく「質」です。前向きな自治体の9割近くが、理由として質の確保を挙げていました。

そして、支援の質についても、すでにガイドライン等で具体的な取組が示されています。自己評価、地域連携推進会議、委員会・研修の3つを継続的に実施できているかが、今後の運営上の重要なポイントになります。

あわせて押さえておきたいのが報酬面です。総量規制の対象外であっても、令和8年6月1日以降に新規指定を受けたグループホームには、所定単位数の1000分の972という低いほうの単価が適用されます。開設を検討している場合は、この点も収支計画に入れておいてください。

    • ガイドラインの自己チェックシートで、いまの運営を点検する
    • 地域連携推進会議を年1回以上開き、記録を5年保存して公表する
    • 住居ごとの見学機会を年1回以上設ける
    • 別添1の一覧で、委員会と研修・訓練の年間計画を作り直す
    • 開設を考えるなら、地域の見込量と実績を先に確認する
    • 障害者部会の議論は、引き続き見ておく

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主な参考資料

※本記事は令和8年9月22日時点の情報に基づく一般的な整理です。総量規制の実施状況は指定権者によって異なります。開業や運営の判断は、必ず指定権者にご確認ください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。