就労継続支援A型・B型は、置くべき職種と人数が指定基準で決まっています。職業指導員と生活支援員の総数を、常勤換算で利用者数の10分の1以上とするのが下限です。報酬で使う6:1や7.5:1は、この最低基準とは別の区分です。ただし、その区分で届け出た以上は、その配置を満たし続ける必要があります。
- 指定基準は10:1、報酬の区分は6:1・7.5:1・10:1で別物
- A型・B型は職業指導員と生活支援員のいずれか1人以上が常勤
- 常勤換算は勤務延べ時間数を常勤の勤務時間で割って求める
はじめに
人員配置の相談で多いのが、「うちは何人置けばいいのか」という質問です。求人を出す前に必要な人数が決まっていないと、採用も資金計画も動かせません。
迷いやすいのは、指定を受けるための最低基準と、報酬で使う人員配置の区分が別物だという点です。「7.5:1にしたい」という話と「指定基準を満たしている」という話は、同じ土俵にありません。
この記事では、就労継続支援A型・B型について、置くべき職種と人数、常勤換算の数え方、利用者数の数え方までを整理します。
この記事のポイント
- 指定基準の配置は、A型・B型とも職業指導員と生活支援員の総数が常勤換算で利用者数の10分の1以上
- 報酬の6:1・7.5:1・10:1は基本報酬の区分。届け出たら、その配置も守るべき基準になる
- 常勤換算は「勤務延べ時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数」で計算する
- 利用者数は前年度の平均を使い、新規指定のときは定員の90%で見る
1. 最低基準と選んだ配置区分の両方を守る
最初に整理しておきます。人員配置には性格の違う2つの基準があります。
指定を受けるための最低基準
- 都道府県の条例(基準省令)で決まっている
- 満たさなければ指定を受けられない
- 下回ると人員欠如減算の対象になる
- A型・B型は職業指導員と生活支援員の総数が10:1
報酬で使う人員配置の区分
- 報酬告示で決まっている
- 基本報酬の単位数が変わる
- 体制届を出して初めて算定できる
- A型は7.5:1と10:1、B型は6:1・7.5:1・10:1
- 届け出たあとは、その配置を満たし続ける必要がある
つまり、10:1は「これ以上減らせない線」、6:1や7.5:1は「報酬を上げるために自分で選ぶ線」です。
ただし、選ぶところまでで終わりではありません。6:1や7.5:1で体制届を出した事業所は、その配置を満たし続ける必要があります。届け出た区分は、その事業所にとっての基準になるからです。
たとえば7.5:1で届け出た事業所の配置が一時的に10:1まで下がった場合、指定基準は満たしているので指定が取り消されることはありません。その一方で、7.5:1の区分では算定できなくなります。区分を下げる変更の届出をせずに算定を続ければ、あとから返還を求められます。
2. A型・B型に置く職種
就労継続支援A型とB型は、置く職種が同じです。管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員の4つで、B型ではここに目標工賃達成指導員が加わることがあります。
| 職種 | 配置数 | 常勤・専従 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1人 | 常勤。管理業務に支障がなければ他の職務と兼務できる |
| サービス管理責任者 | 利用者60人以下は1人以上。61人以上は1人に、40人またはその端数を増すごとに1人を加えた数 | 1人以上は常勤 |
| 職業指導員 | 1人以上 | 職業指導員と生活支援員のうち1人以上が常勤 |
| 生活支援員 | 1人以上 | 同上 |
| 職業指導員・生活支援員の総数 | 常勤換算で利用者数を10で割った数以上 | ― |
見落とされやすいのが職業指導員と生活支援員を両方置くという点です。総数が足りていても、片方の職種が0人であれば基準を満たしません。
管理者は兼務ができます。サービス管理責任者や職業指導員との兼務が一般的ですが、常勤換算の数に入れられるのは、あくまで直接支援に充てた時間だけです。管理業務の時間を職業指導員の勤務時間として数えることはできません。
3. 就労継続支援A型の人員配置
就労継続支援A型の指定基準は、職業指導員と生活支援員の総数が常勤換算で利用者数を10で割った数以上です。これが下限です。
基本報酬はここから一段上がります。A型のサービス費には(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、(Ⅰ)は7.5:1、(Ⅱ)は10:1の配置です。同じ定員・同じ評価点でも、(Ⅰ)のほうが単位数は高くなります。
| 利用者数 | 10:1 | 7.5:1 | 6:1(B型のみ) |
|---|---|---|---|
| 10人 | 1.0人以上 | 1.34人以上 | 1.67人以上 |
| 20人 | 2.0人以上 | 2.67人以上 | 3.34人以上 |
| 30人 | 3.0人以上 | 4.0人以上 | 5.0人以上 |
| 40人 | 4.0人以上 | 5.34人以上 | 6.67人以上 |
たとえば定員20人でA型のサービス費(Ⅰ)を取るなら、職業指導員と生活支援員をあわせて常勤換算2.67人以上が必要です。常勤の職員が週40時間働く事業所であれば、週あたり106.8時間以上の直接支援の勤務時間を確保する計算になります。
A型では、この配置に加えて利用者と雇用契約を結ぶため、労働基準法や最低賃金法の適用があります。人員配置の設計と労務管理の設計は、切り離して考えられません。
4. 就労継続支援B型の人員配置
就労継続支援B型の指定基準もA型と同じで、職業指導員と生活支援員の総数が常勤換算で利用者数を10で割った数以上です。
違うのは報酬の区分の数です。B型のサービス費は(Ⅰ)が6:1、(Ⅱ)が7.5:1、(Ⅲ)が10:1の3段階に分かれています。ここに利用定員と前年度の平均工賃月額が組み合わさって、基本報酬の単位数が決まります。
配置と定員
- 人員配置 (Ⅰ)6:1/(Ⅱ)7.5:1/(Ⅲ)10:1
- 利用定員 20人以下から段階的に区分
- 配置が手厚いほど単位数は高い
工賃の実績
- 前年度の平均工賃月額で区分が決まる
- 令和8年6月1日施行の見直しで区分の基準額が引き上げられた
- 工賃が上がれば単位数も上がる
6:1を選ぶかどうかは、収支の判断です。定員20人であれば10:1で2.0人、6:1では3.34人が必要になり、常勤換算で1.34人分の人件費が増えます。増える単位数と増える人件費のどちらが大きいかを、開業前に試算しておきます。
5. 目標工賃達成指導員を置く場合
B型には、職業指導員・生活支援員とは別に目標工賃達成指導員という職種があります。工賃向上計画に沿って生産活動の改善に取り組む職員で、置くかどうかは事業所の判断です。
目標工賃達成指導員配置加算を算定するには、次の2つをあわせて満たします。
- 目標工賃達成指導員を常勤換算で1人以上配置していること
- 職業指導員、生活支援員および目標工賃達成指導員の総数が、常勤換算で利用者数を7.5で割った数以上であること
注意したいのは、目標工賃達成指導員を数に入れてよいのはこの加算の計算だけという点です。指定基準の10:1や、基本報酬の区分を判断する6:1・7.5:1は、職業指導員と生活支援員の2職種だけで数えます。兼務している職員の時間をどちらに割り当てるかは、勤務実績の記録で分けて管理します。
6. 常勤換算の数え方
常勤換算は、パートを含めた全員の勤務時間を、常勤職員の人数に置き換える計算です。式は1つだけです。
計算式と数え方
- 常勤換算数 = 勤務延べ時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数
- 勤務延べ時間数は、サービス提供に充てた時間だけを数える
- 常勤職員の所定労働時間が週40時間なら、40時間で割る
- 週32時間を下回る事業所は32時間で計算する
数に入らない時間
- 休憩時間
- 管理業務や事務だけに充てた時間
- 研修や出張で事業所の支援に入っていない時間
- 年次有給休暇を取得した日(常勤職員の場合は勤務したものとして扱う取扱いがある)
例を1つ置きます。定員20人のB型で、常勤の所定労働時間が週40時間、職業指導員と生活支援員の勤務が次のとおりだとします。
- 常勤の職業指導員1人 週40時間
- 常勤の生活支援員1人 週40時間
- パートの生活支援員1人 週20時間
勤務延べ時間数は100時間、常勤換算数は100÷40で2.5人です。10:1(2.0人以上)は満たしますが、7.5:1(2.67人以上)には届きません。7.5:1を取るなら、あと週7時間分の勤務を積む必要があります。
7. 利用者数は何を使うか
配置の計算に使う人数は、定員ではありません。前年度の平均利用者数を使います。前年度の延べ利用者数を開所日数で割って求めます。
新しく指定を受ける事業所には前年度の実績がないため、利用定員に0.9を掛けた数を推定数として使います。定員20人なら18人です。この場合、10:1では1.8人、7.5:1では2.4人が必要になります。
開所から時間が経つと、この推定数から実績ベースに切り替わります。利用者が増えて平均利用者数が上がれば、必要な職員数も自動的に上がります。利用者が増えた月に配置がそのままだと、気づかないうちに基準を下回ることがあります。
8. 配置が崩れたときに起きること
人員基準を下回った状態が続くと、人員欠如減算の対象になります。減算は事業所全体の報酬に影響するため、影響額は小さくありません。
職員が退職して配置が崩れたときは、いつから基準を下回ったのかを月単位で確認します。減算の起算は月によって決まるため、退職日と次の職員の配置日をあわせて押さえておきます。令和8年6月からは、一定の場合に最大3か月の猶予が認められる特例が始まっています。
配置を手厚くして報酬の区分を上げている事業所では、もう1つ注意があります。6:1や7.5:1を下回ると、届け出た区分で算定できなくなります。指定基準の10:1を満たしていても、報酬の区分は変更の届出が必要です。
よくある質問
できます。管理業務に支障がない範囲であれば、管理者は他の職務と兼務できます。ただし兼務している職員の勤務時間のうち、常勤換算に入れられるのは直接支援に充てた時間だけです。管理業務の時間を職業指導員の勤務時間として数えることはできません。
指定基準では、職業指導員と生活支援員に資格要件は定められていません。ただし、支援の質を保つうえで、福祉や職業訓練の経験がある職員を置くことが望まれます。
職業指導員と生活支援員をあわせて常勤換算で2.67人以上です。常勤の所定労働時間が週40時間であれば、週106.8時間以上の直接支援の勤務時間が必要になります。
目標工賃達成指導員配置加算の計算では入れられます。一方、指定基準の10:1と、基本報酬の区分を判断する6:1・7.5:1は、職業指導員と生活支援員の2職種だけで数えます。
満たせません。職業指導員と生活支援員のうち1人以上が常勤である必要があります。常勤換算の合計が足りていても、常勤の職員がいなければ基準を満たしません。
あります。配置の計算に使うのは前年度の平均利用者数なので、利用者が増えれば必要な職員数も上がります。定員に対する配置で考えていると、実績が伸びた年に基準を下回ることがあります。
兼務そのものはできます。ただし常勤換算に入れられるのは、職業指導員として直接支援に充てた時間だけです。サービス管理責任者としての個別支援計画の作成や会議の時間は、職業指導員の勤務時間として数えることはできません。
指定基準は同じで、職業指導員と生活支援員の総数が常勤換算で利用者数の10分の1以上です。違うのは報酬の区分で、A型は7.5:1と10:1の2段階、B型は6:1・7.5:1・10:1の3段階に分かれています。
できます。人員配置を変える場合は、変更の届出と体制届の提出が必要です。届出をしないまま配置だけ下がると、届け出た区分で算定できない状態のまま請求を続けることになり、あとから返還を求められます。
まとめ
人員配置は、指定を受けるための最低基準と、報酬を決める配置区分の2層でできています。A型とB型は職業指導員と生活支援員の総数で10:1が下限、報酬ではA型が7.5:1と10:1、B型が6:1・7.5:1・10:1です。選んだ区分は、届け出たあとも満たし続ける必要があります。
どの計算も、勤務実績の記録がなければ証明できません。シフト表と出勤簿を職種ごとに分けて残しておくことが、配置を守るいちばん確実な方法です。
配置を決めるときは、人件費と報酬の両方を同じ表に並べて比べてください。手厚い配置が必ず収支の改善につながるとは限りません。開業前でも運営中でも、数字を置いて比べれば判断はできます。
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- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)
- 障害福祉サービス等報酬告示および留意事項通知
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(令和8年2月18日 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム)
