放課後等デイサービスの開業|指定申請の要件と流れ

放課後等デイサービスの開業|指定申請の要件と流れ

放課後等デイサービスは、児童福祉法に定められた障害児通所支援のひとつです。支援内容はこども家庭庁のガイドラインを土台に5領域で組み立て、支援プログラムの公表が義務づけられています。収入の柱は利用実績に応じた給付費で、開業には人員基準と設備基準を満たす必要があります。

  • 支援は5領域で組み立て、支援プログラムの公表義務がある
  • 対象は受給者証の交付を受けたこども
  • 児童福祉法に基づく制度で、他の障害福祉サービスとは根拠法が異なる

この記事で分かること

放課後等デイサービスの開業に必要な人員基準・設備基準、指定申請の流れ、開業資金の目安、5領域と支援プログラムの公表義務を解説します。

はじめに

放課後等デイサービスの開業を考えている方から、「どんな基準を満たせばよいのか」「指定申請にどのくらいかかるのか」というご相談を数多くいただきます。放デイは児童福祉法に基づくサービスで、就学している障害のあるお子さんに、放課後や学校休業日の居場所と発達支援を提供する事業です。障害者総合支援法のサービスとは根拠法が異なり、所管もこども家庭庁になります。

一方で、放デイの立ち上げは年々ハードルが上がっています。令和6年度報酬改定で5領域とのつながりを明確にした支援プログラムの公表が義務づけられ、総量規制で新規の指定申請を受け付けていない地域もあります。この記事では、指定申請に必要な基準と流れ、物件を借りる前に確認すべき論点を整理します。

この記事のポイント

    • 放課後等デイサービスは児童福祉法に基づくサービスで、所管はこども家庭庁です。指定権者は都道府県・政令指定都市・中核市などで、様式や事前相談の期限は自治体で異なります。
    • 定員は原則10人以上。児童発達支援管理責任者を1人以上(うち1人以上は原則として常勤・専任)、児童指導員または保育士を定員10人なら2人以上(うち1人以上は常勤)配置します。
    • 5領域とのつながりを明確にした支援プログラムの策定・公表が義務化されました。公表・届出がない場合は減算の対象になります。

1. 放課後等デイサービスとは

放課後等デイサービスは、児童福祉法に定められた障害児通所支援の一つです。対象は原則6歳から18歳までの就学している障害児で、放課後や学校休業日に通所します。学校と家庭以外の第三の居場所として、生活能力の向上のための訓練や交流の機会を提供します。

支援内容と5領域

支援内容は、こども家庭庁の「放課後等デイサービスガイドライン」を土台に組み立てます。令和6年度報酬改定以降は、次の5領域を含む総合的な支援が基本です。

  • 健康・生活
  • 運動・感覚
  • 認知・行動
  • 言語・コミュニケーション
  • 人間関係・社会性

報酬の考え方

収入の柱は、利用実績に応じて国保連から支払われる給付費です。基本報酬は「定員規模」と「個別支援計画に位置づけた支援時間の区分」で決まります。時間区分には、長い区分は学校休業日にしか算定できないなどの条件があります。

そこに専門職の配置、個別的・集中的な支援、家族支援、送迎、延長支援などの加算が積み上がります。単位数は改定で変わるため、事業計画は「どの加算を取れる体制か」で考えてください。

なお、放課後等デイサービスの基本報酬|支援時間区分・定員別の単位数と令和8年6月の新規指定特例では、支援時間区分・定員別の全区分の単位数と、新規指定事業所への1000分の982の特例を一覧表で掲載しています。収支計画を作成する際は、あわせてご確認ください。

図解1支援の土台となる5領域
健康・生活
運動・感覚
認知・行動
言語・コミュニケーション
人間関係・社会性
※令和6年度報酬改定以降は、この5領域を含む総合的な支援が基本です。基本報酬は「定員規模」と「個別支援計画に位置づけた支援時間の区分」で決まり、そこに専門職の配置、個別的・集中的な支援、家族支援、送迎、延長支援などの加算が積み上がります。
あわせて読みたい放課後等デイサービスの基本報酬|支援時間区分・定員別の単位数と令和8年6月の新規指定特例

2. 対象となるこどもと、似た制度との違い

誰を受け入れる事業所なのかがはっきりしていないと、支援内容も人員配置も定まりません。開業を検討する最初の段階で、対象と、よく混同される制度との違いを整理しておきます。

対象となるこども|受給者証がなければ請求できません

放課後等デイサービスの主な対象は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などに就学している障害のあるこどもです。

利用するには、保護者が市町村へ申請し、障害児通所支援の支給決定を受けて、通所受給者証の交付を受ける必要があります。事業所と保護者が直接契約しただけでは、障害児通所給付費を請求できません。市町村では、相談・申請を受けたのち、障害児支援利用計画案等を踏まえて支給決定が行われます。手続にかかる期間は自治体によって異なるため、開所時期から逆算して利用者募集の計画を立てます。

児童発達支援との違い|就学しているかどうか

児童発達支援は、主に小学校入学前の未就学児を対象とするサービスです。これに対して放課後等デイサービスは、学校に就学しているこどもを対象としています。同じ事業所で両方を行う多機能型という形もありますが、その場合はそれぞれの基準を満たす必要があります。

放課後児童クラブ(学童保育)との違い|「預かり」では足りません

放課後児童クラブ、いわゆる学童保育は、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童に対して、放課後の生活の場を提供する制度です。

放課後等デイサービスは、障害のあるこどもに対し、個別支援計画に基づく発達支援を提供する障害児通所支援です。そのため、預かりや学習指導だけでは足りず、障害特性や発達状況を踏まえた専門的・計画的な支援が求められます。ここを取り違えたまま事業計画を作ると、事前相談の段階で見直しになります。個別支援計画の作り方は個別支援計画の作成プロセスで解説しています。

図解2似た制度との違い|「預かり」では足りない
放課後等デイサービス就学しているこども。個別支援計画に基づく発達支援を提供する障害児通所支援
児童発達支援主に小学校入学前の未就学児が対象
放課後児童クラブ(学童保育)保護者が就労等で昼間家庭にいない児童に、放課後の生活の場を提供する制度
利用には保護者の申請と通所受給者証の交付が必要直接契約しただけでは障害児通所給付費を請求できない
※預かりや学習指導だけでは足りず、障害特性や発達状況を踏まえた専門的・計画的な支援が必要です。ここを取り違えたまま事業計画を作ると、事前相談の段階で見直しになります。同じ事業所で児童発達支援と両方を行う多機能型もありますが、それぞれの基準を満たす必要があります。

3. 5領域を含む支援プログラムの策定・公表と「総合支援型/特定プログラム特化型」

開業でいま最も重要な論点がここです。令和6年度報酬改定により、5領域とのつながりを明確にした「支援プログラム」の作成と公表が義務づけられました。ホームページなどで公表し、指定権者に届け出るのが一般的な運用です。

公表・届出がない場合、令和7年4月1日以降は「支援プログラム未公表減算」の対象になります。収支に直接響くため、開業時点から用意すべき書類です。

「総合支援型」「特定プログラム特化型」の正確な理解

放デイの類型として「総合支援型」「特定プログラム特化型」という言葉を目にしますが、これは令和3年の「障害児通所支援の在り方に関する検討会」報告書で示された整理です。令和6年度報酬改定で報酬上の区分として制度化されたわけではありません。

実際に導入されたのは、5領域を全て含めた総合的な支援を基本とする考え方と、支援プログラムの公表の仕組みです。特定分野に力を入れる事業所でも5領域を欠いてよいわけではなく、5領域との関連をプログラムで説明する必要があります。

つまり「学習支援だけ」といった単機能の事業所は成り立ちにくくなっています。5領域をどう落とし込むかは、児童発達支援管理責任者となる方と開業前に固めてください。

図解3支援プログラムの公表義務と、「総合支援型/特定プログラム特化型」の正確な理解

実際に導入されたもの

  • 5領域を全て含めた総合的な支援を基本とする考え方
  • 5領域とのつながりを明確にした支援プログラムの作成と公表(ホームページ等で公表し、指定権者に届け出るのが一般的)

よくある誤解

  • 「総合支援型」「特定プログラム特化型」は令和3年の検討会報告書で示された整理で、報酬上の区分として制度化されたわけではありません
  • 特定分野に力を入れる事業所でも5領域を欠いてよいわけではない
  • 公表・届出がない場合、令和7年4月1日以降は支援プログラム未公表減算の対象
※「学習支援だけ」といった単機能の事業所は成り立ちにくくなっています。5領域をどう落とし込むかは、児童発達支援管理責任者となる方と開業前に固めてください。
あわせて読みたい支援プログラム未公表減算|15%減算を防ぐ公表と届出

4. 指定を受けるための基準(人員・設備・運営)

指定には人員・設備・運営の3つの基準をすべて満たす必要があります。大枠は国の省令ですが、適用されるのは各自治体の条例です。細部が異なる場合があるため、必ず指定権者の条例と手引きを確認してください。

区分内容(主に重症心身障害児以外を対象とする場合)
管理者1人。支障がなければ他職務と兼務可。
児童発達支援管理責任者1人以上。うち1人以上は原則として常勤・専任。実務経験に加え、所定の研修要件を満たす必要があります。
児童指導員または保育士定員10人までは提供時間を通じて2人以上、うち1人以上は常勤。10人を超える場合は超えた人数5またはその端数ごとに1人を加える。
機能訓練担当職員・看護職員機能訓練を行う場合や医療的ケア児の受入れ時に配置。一定の条件で児童指導員・保育士の人数に含められる(下記参照)。
定員原則10人以上(主に重症心身障害児を対象とする場合5人以上)。
設備指導訓練室のほか、相談室、事務室、トイレ、洗面設備など。

理学療法士・看護師・公認心理師を人員に含めるときのルール

児童指導員または保育士の必要人数(定員10人までなら2人以上)には、一定の条件を満たす場合、次の職員を含めることができます。

資格位置付け
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士機能訓練担当職員
看護師・准看護師看護職員
公認心理師・臨床心理士等心理指導担当職員(機能訓練担当職員に位置付け)

厚生労働省の解釈通知でも、機能訓練担当職員には「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士及び心理指導担当職員等」が含まれるとされています。人数に含められるのは、機能訓練担当職員は日常生活を営むのに必要な機能訓練を行う場合、看護職員は医療的ケアを行う場合で、いずれもサービス提供時間を通じて専ら放課後等デイサービスの提供に当たることが条件です。

ただし、これらの職員だけで必要人数をすべて満たすことはできません

  • 機能訓練担当職員・看護職員を必要人数に含める場合でも、その半数以上は児童指導員または保育士でなければなりません
  • 児童指導員・保育士のうち1人以上は常勤でなければなりません

定員10人で必要人数が2人の場合、配置の可否は次のとおりです。

配置の例可否
児童指導員1人+理学療法士1人
保育士1人+看護師1人○(看護職員として人数に含められる条件を満たす場合)
児童指導員1人+公認心理師1人
理学療法士1人+看護師1人×(児童指導員・保育士が半数に満たない)

○の例でも、理学療法士・公認心理師は機能訓練を行う場合、看護師は医療的ケアを行う場合に限って人数に含められます。また、児童指導員(保育士)の1人は常勤である必要があります。

管理者の兼務は「1職種まで」「3事業所まで」が目安

放課後等デイサービスの管理者は「支障がなければ他職務と兼務可」とされていますが、どこまで兼務できるかは明確でないまま計画されがちです。ある中核市が発行した指定申請の手引きでは、次の目安が示されており、放課後等デイサービスも兼務の数え方に含まれています。

  • 管理者と別の職種を兼務する場合、常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分以上は管理者として従事することを基本に、適切な時間数を確保すること
  • 管理者と別に兼務できる職種は1つまで。3職種以上を兼務する場合は業務に支障があるとみなされ、認められない
  • 管理者のみを兼務する場合、最大3事業所(移動時間30分以内)まで認められる
兼務の可否
A事業所/生活介護の管理者・生活支援員 + B事業所/共同生活援助の管理者不可(3職種以上の兼務にあたる)
A事業所/生活介護の管理者 + B事業所/共同生活援助の管理者 + C事業所/放課後等デイサービスの管理者可(管理者のみなら3事業所まで)

複数の放課後等デイサービスを展開する場合や、障害福祉サービスと併営する場合、管理者の兼務は事業所数と職種数の両面で確認が必要です。「管理者兼児童発達支援管理責任者兼児童指導員」という組み方は3職種の兼務にあたり、認められません。

兼務の運用は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

指導訓練室の面積は自治体で異なります

国の基準では、指導訓練室について訓練に必要な機械器具等を備えること等が必要ですが、具体的な面積基準を条例・手引き等で定めている自治体があります。必要面積や算入範囲は地域差があるため、物件契約前に図面を示して指定権者へ確認してください。

算入できる範囲や、死角のない一体的な空間かどうかも自治体で違います。契約前に必ず図面を持って事前相談に行ってください。

運営基準で見落としやすい点

  • 運営規程・重要事項説明書・個別支援計画の様式整備
  • 虐待防止・身体拘束適正化委員会の設置と年1回以上の研修
  • 業務継続計画(BCP)、感染症対策委員会、非常災害対策、送迎車両の任意保険

「常勤」「常勤換算」「専従」の意味を確認する

「児童発達支援管理責任者は原則として常勤・専任」「児童指導員または保育士のうち1人以上は常勤」といった要件を満たすには、そもそも「常勤」の意味を正確に押さえる必要があります。

用語内容
常勤換算方法事業所の従業者の勤務延べ時間数を、その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする)で除して、常勤の従業者の員数に換算する方法です。
勤務延べ時間数勤務表上、サービス提供に従事する時間、またはサービス提供のための準備等を行う時間(待機時間を含む)として、就業規則などで明確に位置付けられている時間の合計数です。従業者1人につき算入できる上限は、常勤の従業者が勤務すべき時間数までです。
常勤事業所における勤務時間が、就業規則などで定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していることをいいます。雇用契約における正規職員か非正規職員かは問いません。育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置等の対象者について、常勤が勤務すべき時間数を30時間としているときは、30時間勤務することで常勤として取り扱えます。
専従原則として、サービス提供時間帯を通じて他の職務に従事しないことをいいます。常勤・非常勤の別は問いません。

放課後等デイサービスは、平日は午後、学校休業日は日中と、サービス提供時間帯が日によって変わります。「専従」は勤務時間全体ではなくサービス提供時間帯を通じた考え方であるため、送迎や事務作業との切り分けを勤務表で説明できるようにしておきます。

あわせて、勤務形態一覧表の作成では次の点に留意します。

  • 有給休暇や出張などで勤務予定がない日は、常勤の従業者は出勤するものとして勤務時間数を記入し、非常勤の従業者は記入しません。ただし、法人として常勤で雇用していても、他の事業所と兼任しているため一覧表上「非常勤」となっている従業者の有給休暇は常勤換算に算入できません。
  • 常勤の従業者が月途中で入職・退職した場合、在職期間中は「常勤」として取り扱ってよいものの、常勤換算では実際の勤務時間数に応じて非常勤と同様に算定します。
  • 産休・育休・病休などで暦月1か月以上勤務しない者は常勤換算に含められませんが、勤務時間数を「0」として氏名を記載し、運営規程等の員数に含めることは可能です。
  • 育児・介護休業法の短縮措置対象者は、常勤配置が必要な場合は「常勤」として取り扱い、常勤換算では他の従業者と合算せず、別に常勤換算1.0人としてカウントできます。

勤務形態一覧表の記載方法は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

図解4人員・設備の基準(主に重症心身障害児以外を対象とする場合)
管理者1人。支障がなければ他職務と兼務可
児童発達支援管理責任者1人以上。うち1人以上は原則として常勤・専任
児童指導員または保育士定員10人までは提供時間を通じて2人以上、うち1人以上は常勤。10人を超える場合は超えた人数5またはその端数ごとに1人を加える
機能訓練担当職員・看護職員機能訓練を行う場合や医療的ケア児の受入れ時に配置
定員は原則10人以上(主に重症心身障害児を対象とする場合は5人以上)設備は指導訓練室のほか、相談室・事務室・トイレ・洗面設備など管理者と別に兼務できる職種は1つまで管理者のみを兼務する場合は最大3事業所(移動時間30分以内)
※「管理者兼児童発達支援管理責任者兼児童指導員」という組み方は3職種の兼務にあたり、認められません。指導訓練室の面積基準を条例・手引き等で定めている自治体があり、算入できる範囲や死角のない一体的な空間かどうかも自治体で違います。契約前に必ず図面を持って事前相談に行ってください。
あわせて読みたい常勤換算とは?障害福祉事業所向けに計算方法を解説

5. 総量規制で指定が受けられない地域があります

開業で最初に確認したいのが総量規制です。児童福祉法の規定により、都道府県知事等は、区域内のサービス量が障害児福祉計画の必要見込量に達している場合などに指定をしないことができます。放デイはこの需給調整の対象になり得ます。

実際に、新規申請を受け付けていない地域や、年1回の公募方式の地域があります。規制を実施していない自治体もあり、運用は大きく異なります。

物件を探す前に、指定権者と市町村の障害福祉担当課の双方へ受付状況を確認してください。ここを飛ばして契約し、開業を断念した事例は珍しくありません。

指定の要件と欠格事由

指定を受けるための要件は、人員・設備・運営の3基準だけではありません。次の点も要件とされています。

  • 法人格を有すること
  • 省令や指定権者の条例で定める人員基準・設備基準・運営基準を満たすこと
  • 法に定める欠格事由(申請者が指定を取り消されてから5年を経過しない者であるときなど)に該当しないこと

過去に指定の取消しを受けた法人や役員が関与する場合、基準を満たしていても指定を受けられません。役員名簿の提出を求められるのは、この確認のためでもあります。

また、事業譲渡や吸収合併などにより運営法人が変更となる場合、指定は申請した法人に対し事業所ごとに行われるものであるため、法人に対して行った指定の効力も消滅します。廃止届を提出したうえで、譲受法人が改めて新規指定申請が必要です。既存の放課後等デイサービスをM&Aで引き継ぐ場合、この手続きを前提に日程を組んでください。総量規制を実施している地域では、新規指定申請そのものが受け付けられない可能性もあります。

あわせて、指定後の留意事項として次の点が示されています。

  • 事後調査等で書類の不備により過大に報酬を請求していたことが判明した場合、理由を問わず過大請求分は返還すること
  • 指定内容や加算内容に変更が生じた際の申請・届出は事業者の責任において随時行うこと。提出期限までに提出できなかった場合、遡って報酬を請求することはできない
  • 指定基準や申請・届出書類の内容は、手続きを行政書士などに委託する場合でも、事業所の管理者、従業者において必ず理解しておくこと

体制届や変更届の提出遅れは、そのまま減収につながります。開業時に、届出が必要になる場面と担当者を決めておいてください。

図解5物件を探す前に|総量規制と、法令の確認先

総量規制

  • 区域内のサービス量が障害児福祉計画の必要見込量に達している場合などに指定をしないことができる
  • 新規申請を受け付けていない地域や、年1回の公募方式の地域がある
  • 指定権者と、開業予定地の市町村の障害福祉担当課の両方に受付状況を確認する

指定の要件(人員・設備・運営のほか)

  • 法人格を有すること
  • 欠格事由に該当しないこと(指定を取り消されてから5年を経過しない者であるときなど)
  • 事業譲渡・吸収合併で運営法人が変わると指定の効力も消滅。廃止届のうえ、譲受法人が改めて新規指定申請
消防法消防本部の予防担当課
建築基準法建築指導を担当する部署
都市計画法建築指導を担当する部署
そのうえで障害福祉の担当課へ事前協議「建築物関連法令協議記録」の提出を求める運用もある
※つまり、指定権者に相談する前に消防・建築の窓口を回っておく必要があります。物件の内見時点で図面を入手し、これらの窓口へ持ち込む段取りを組んでください。ここを飛ばして契約し、開業を断念した事例は珍しくありません。
あわせて読みたい障害福祉事業所の物件選び|契約前に確認すべきポイント

6. 開業までの流れ

① 事業構想と総量規制の確認

対象児童像、支援内容、定員、営業日・営業時間を決め、新規指定が可能かを確認します。

② 法人設立

指定を受ける法人について、定款・登記上の事業目的が予定する障害児通所支援をカバーしているか確認します。具体的な記載文言は法人形態や指定権者の運用に合わせて整理します。

③ 物件の選定と法令チェック

面積要件に加え、建築基準法上の用途、用途地域、消防法の設備を確認します。用途変更や消防設備工事が必要になると費用も期間も変わります。

物件の確認は、指定権者への相談だけでは完結しません。ある中核市の手引きでは、消防法、建築基準法、都市計画法などの各種法令について所管部署に適合確認を行ったうえで、障害福祉の担当課へ事前協議の手続きを行うこととされています。

主な法令確認先の例
消防法消防本部の予防担当課
建築基準法建築指導を担当する部署
都市計画法建築指導を担当する部署

事前協議の際に「建築物関連法令協議記録」の提出を求める運用もあります。つまり、指定権者に相談する前に、消防・建築の窓口を回っておく必要があるということです。物件の内見時点で図面を入手し、これらの窓口へ持ち込む段取りを組んでください。

必要な協議記録や確認先は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

④ 人材の確保

最大の関門が児童発達支援管理責任者です。着任予定者の経歴が要件を満たすかは、事前に指定権者へ確認します。

⑤ 事前相談(事前協議)

図面・人員体制・運営規程案を用意して事前相談します。事前相談・申請の期限は指定権者ごとに異なるため、希望指定日から逆算して確認します。

事前協議から指定までの日程感と、工事着手前の協議

事前相談の時期は指定権者ごとに異なりますが、日程感をつかむ参考として、ある中核市の手引きが示す標準スケジュールを挙げます(毎月1日付けの指定が前提)。

時期手続
指定の3か月前の15日まで(厳守)事前協議(予約制)。事前協議書、平面図、建築物関連法令協議記録を持参し提出。その後約1週間の審査
指定の2か月前の7日まで(厳守)申請書類の1回目提出(予約制)。修正等で少なくとも3〜4回の打合せが必要
指定の2か月前の末日まで(厳守)申請書類の最終提出
指定の前月中旬〜下旬現地確認。現地確認までに備品の搬入、運営規程・勤務形態一覧表・重要事項説明の掲示を完了しておく
指定の前月末日指定通知書の送付
指定日毎月1日付けで指定

特に重要なのが、事業所の新築・改築・増設などを行う場合は工事着手前に事前協議を完了するという点です。内装工事を先に始めてから相談に行くと、区画のやり直しが生じます。指導訓練室と相談室の区画は、着工前の図面段階で確認してください。

また、事業内容を十分に理解している管理者などが手続きを行う(または同席する)ことも求められており、書類の不備等により指定日が1か月単位で遅れることがある旨も明記されています。

事前協議の時期、提出期限、現地確認の運用は指定権者によって異なるため、申請先の最新の手引きを確認してください。

⑥ 指定申請書の提出

申請書、登記事項証明書、平面図、勤務形態一覧表、資格証などを提出します。勤務形態一覧表と資格証の整合性は厳しく確認されます。

⑦ 指定・開所

原則として毎月1日付で指定を受けます。並行して国保連の請求登録、加算の体制届、支援プログラムの公表を行います。

図解6開業までの流れ(7ステップ)
① 事業構想と総量規制の確認対象児童像・支援内容・定員・営業日と営業時間を決め、新規指定が可能かを確認
② 法人設立定款・登記上の事業目的が予定する障害児通所支援をカバーしているか確認
③ 物件の選定と法令チェック面積要件に加え、建築基準法上の用途、用途地域、消防法の設備を確認
④ 人材の確保最大の関門が児童発達支援管理責任者
⑤ 事前相談(事前協議)図面・人員体制・運営規程案を用意
⑥ 指定申請書の提出勤務形態一覧表と資格証の整合性は厳しく確認される
⑦ 指定・開所国保連の請求登録、加算の体制届、支援プログラムの公表を並行して行う
新築・改築・増設は工事着手前に事前協議を完了する指導訓練室と相談室の区画は着工前の図面段階で確認書類の不備等により指定日が1か月単位で遅れることがある
※ある中核市の手引きでは、指定の3か月前の15日までに事前協議、2か月前の7日までに申請書類の1回目提出、2か月前の末日までに最終提出、前月中旬〜下旬に現地確認、前月末日に指定通知書の送付という標準スケジュールが示されています(毎月1日付けの指定が前提)。事前協議の時期・提出期限・現地確認の運用は指定権者によって異なります。

7. 開業資金・ランニングコストの目安

初期費用は、物件の状態、内装・消防工事、送迎車両、備品等によって大きく変わります。候補物件ごとに必要工事を確認し、個別見積りで資金計画を作ることが重要です。

  • 必要額は、物件取得費、内装・消防工事、送迎車両、備品等を個別に見積もって算出します。地域や物件状態で差が大きいため、一律の開業資金額で判断しないことが重要です。
  • 毎月の固定費:家賃、人件費、水道光熱費、車両維持費など。人件費が最大の比重を占めます。
  • 給付費の入金までのタイムラグと、開業直後の稼働率を踏まえ、月次資金繰り表で必要な運転資金を見積もってください。

資金調達は日本政策金融公庫の融資や自治体の制度融資が選択肢です。開業直後は定員に達しないのが通常ですので、稼働率が段階的に上がる前提で計画します。

図解7つまずきやすい3点
物件を先に契約してしまう総量規制、用途地域、消防設備の工事費、条例の面積基準といった理由で契約後に断念する例がある
児発管の要件を取り違える実務経験の年数だけでなく、基礎研修・実践研修の修了状況まで確認が必要。研修は年に数回しか実施されないことも
送迎と開所時間の設計が甘い送迎は利用児童の確保に直結する一方、車両・運転者・安全管理の負担も生じる。営業時間が短いと開所時間減算の対象
※体制届や変更届の提出遅れは、そのまま減収につながります。提出期限までに提出できなかった場合、遡って報酬を請求することはできません。開業時に、届出が必要になる場面と担当者を決めておいてください。

8. つまずきやすいポイント

物件を先に契約してしまう

最も多い失敗です。総量規制、用途地域、消防設備の工事費、条例の面積基準といった理由で契約後に断念する例があります。契約前の事前相談を徹底してください。

児童発達支援管理責任者の要件を取り違える

実務経験の年数だけでなく、基礎研修・実践研修の修了状況まで確認が必要です。研修は年に数回しか実施されないこともあり、受講時期が開業時期を左右します。

送迎と開所時間の設計が甘い

学校や居宅への送迎は保護者のニーズが高く、利用児童の確保に直結しますが、車両・運転者・安全管理の負担も生じます。また営業時間が短いと開所時間減算の対象です。

指定後の運営まで見据えた実務ポイント

支援の流れを記録でつなぐ

指定後は、アセスメント、個別支援計画、日々のサービス提供記録、モニタリングが一つの流れとしてつながっていることが重要です。計画にない支援を漫然と続けたり、同じ文章を繰り返すのではなく、本人の変化や支援上の判断が分かる記録にします。

最低基準と報酬・加算要件を分けて確認

指定を維持するための最低人員・設備基準と、より手厚い配置や取組を前提とする基本報酬区分・加算の要件は別物です。開業時に算定予定の報酬を決めたら、最低基準の勤務表とは別に、加算要件まで満たしているかを確認し、月途中の退職・休職・利用者増にも対応できるよう余裕を持った配置を検討します。

実務上の注意

開業前チェックリスト

□ 地域の児童・保護者ニーズを把握した

□ 児発管の実務経験・研修要件を確認した

□ 児童指導員・保育士等の配置を勤務表で確認した

□ 5領域を踏まえた支援プログラムを作った

□ 個別支援計画・モニタリングの運用を決めた

□ 学校・家庭・相談支援との連携方法を整理した

□ 送迎・災害・事故・感染症等の安全管理を整備した

よくある質問

Q
放課後等デイサービスの所管はどこですか。
A

児童福祉法に基づく障害児通所支援であり、令和5年4月のこども家庭庁発足以降は同庁支援局障害児支援課が所管しています。報酬改定の通知やQ&Aもこども家庭庁のサイトに掲載されます。改定自体は厚生労働省と共同で検討されるため、両省庁の資料をあわせて確認すると確実です。

Q
定員10人で開業する場合、最低何人の職員が必要ですか。
A

実人数は勤務時間・営業日・送迎体制等で変わるため、提供時間を通じて必要配置を満たせる勤務表を作成して確認してください。

Q
指定申請から開業まで、どのくらいかかりますか。
A

必要期間は、総量規制・指定受付状況、児童発達支援管理責任者等の人員確保、物件・消防の確認、自治体の事前相談・申請日程で変わります。物件契約前に指定権者のスケジュールを確認してください。

Q
開業したい地域で新規指定を受けられるか、どう確認しますか。
A

指定権者である都道府県・政令指定都市・中核市等と、開業予定地の市町村の障害福祉担当課の両方に確認してください。計画の見込量に達している地域では、新規指定を行わない、または公募制としている場合があります。回答は年度で変わるため、物件を探す前の確認をおすすめします。

まとめ

放課後等デイサービスの開業は、児童福祉法に基づく指定申請が出発点です。定員は原則10人以上、児童発達支援管理責任者は1人以上(うち1人以上は原則として常勤・専任)、児童指導員または保育士は定員10人なら2人以上(うち1人以上は常勤)が土台です。指導訓練室の面積・設備の細部は自治体基準を確認するため、契約前の事前相談が重要です。

令和6年度報酬改定以降は、5領域を全て含めた総合的な支援が基本とされ、支援プログラムの策定・公表が義務づけられました。「総合支援型」「特定プログラム特化型」は検討会で示された整理で報酬上の区分ではありませんが、単機能の事業所が成り立ちにくい方向性は開業計画に反映させる必要があります。

さらに、総量規制により新規指定を受け付けていない地域もあります。開業を思い立った段階で、まず指定権者と市町村に受付状況を確認する。この順番が、無駄な出費を避ける最大のポイントです。

放課後等デイサービスの開業を、計画段階から支援します

障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。放課後等デイサービスの開業について、総量規制の確認、物件の適法性チェック、児発管の要件確認、指定申請書類の作成、支援プログラムの整備まで一貫してお手伝いします。開業支援は20万円〜、静岡・神奈川・愛知を中心にオンラインで全国対応しています。

「この物件で基準を満たせるか」「この地域で指定を受けられるか」といったご相談だけでも構いません。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の両資格を持ち、就業規則、社会保険・労働保険、処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで、開業後を見据えたご提案が可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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体系的に知りたい方はこちら放課後等デイサービス 完全ガイド|開業・人員配置・支援時間区分・加算・運営指導

主な参考資料

  • 参考:こども家庭庁「放課後等デイサービスガイドライン」/「支援プログラムの作成・公表の手引き」/厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定」

※本記事は令和8年8月26日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。