施設外就労は、企業から請け負った作業を、その企業の中で利用者と職員が行う形態です。請負契約が前提のため、作業指導や支援は原則として障害福祉サービス事業者側の職員が行い、請負先企業が利用者へ直接指示することはできません。事業者自身が別の物件を借りて作業する場合は、施設外就労に当たらないことがあるため注意が必要です。
- 請負契約が前提で、契約書に明確にしておくべき事項がある
- 請負先企業から利用者への直接指示は認められない
- 施設外就労を行う日は、本体事業所側の職員配置も確認する
- 請負先企業の事業の実態がない場所での作業は、施設外就労として算定できない
はじめに
就労継続支援A型・B型事業所から、「事業所以外の場所で利用者に作業をしてもらいたい」「別に作業用の物件を借りれば、施設外就労として扱えるのか」「施設外就労をするとき、職員は何人配置すればよいのか」といったご相談をいただくことがあります。
施設外就労は、単に「指定を受けた事業所以外で作業をすること」ではありません。実施場所、請負契約、作業指示の方法、職員配置など、いくつかの要件を満たす必要があります。この記事では、施設外就労の基本的な考え方と、特に間違いが起きやすい職員配置の整理方法を解説します。
1. 施設外就労とは
施設外就労とは?
施設外就労とは、企業から請け負った作業を、その企業の中で行う支援をいいます。
- 清掃会社から請け負った清掃業務を、その会社の作業現場で行う
- 企業から請け負った商品の梱包・仕分け作業を、その企業の倉庫等で行う
- 企業の事業拠点へ利用者と支援員が出向いて請負作業を行う
といったケースが典型です。重要なのは、施設外就労先の企業と事業所との間に請負契約があり、事業所が独立して作業を行うことです。
施設外就労と施設外支援の違い
似た用語に「施設外支援」があります。両者は目的も日数の考え方も異なります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 施設外就労 | 企業から |
| 施設外支援 | 利用者が |
また、施設外就労・施設外支援の対象となるサービスは、就労継続支援A型・B型に限りません。就労移行支援も対象に含まれます。職場実習を組み込む就労移行支援では、施設外支援としての整理が必要になる場面があります。
別の物件を借りれば施設外就労になる?
ここは特に注意してください。障害福祉サービス事業者自身が、指定事業所とは別に作業用の部屋や物件を借り、そこで利用者に作業をさせるだけでは、当然に施設外就労になるわけではありません。
施設外就労は、基本的に請負先企業の事業所等で、その企業から請け負った仕事を行う仕組みだからです。
一方、別法人が実際に事業拠点として使用している場所で、その法人から仕事を請け負い、利用者と職員がその場所へ出向いて作業するのであれば、施設外就労として整理できる可能性があります。
ただし、形式だけ別法人を介在させればよいわけではありません。請負先企業の事業拠点としての実態、請負契約の内容、作業指示の方法などを含め、実態として施設外就労の要件を満たしている必要があります。
あわせて読みたい施設外就労のメリット|事業所と利用者、それぞれの利点2. Q&Aで示された「施設外就労に該当しない事例」
厚生労働省は、令和7年3月31日の「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.8」(問1)で、施設外就労として基本報酬を算定できない事例を2つ示しました。
Q&Aは、施設外就労を「施設外就労先の企業と請負作業に関する契約を締結し、当該企業内で行う支援」とする留意事項通知の定義を確認したうえで、原則として、その企業の実態がある場所で作業を行うべきものとしています。請負契約の形が整っていても、作業場所に企業の事業の実態がなければ、施設外就労とは認められません。指定権者に対しても、指定申請や運営指導でこの点を確認するよう求めています。
施設外就労に該当しない2つの事例
Q&Aの事例を、施設外就労に該当する例と並べると次のとおりです。
| 区分 | 作業場所 | 判断 |
|---|---|---|
| 該当する例 | 請負先企業が | 施設外就労と |
| 該当しない事例① | 事業所を | 形式上は |
| 該当しない事例② | 法人が | 指定を |
事例②について、Q&Aの図では、大阪の事業所を運営する法人が東京に「施設外就労先」と称する施設を開き、東京で支給決定を受けた利用者がそこへ通う例が挙げられています。
事例①で問われているのは、建物の名義だけではありません。その場所に請負先企業の業務に必要な人員体制や業務設備があり、企業の経営が実際にそこで行われているかどうかです。作業場所が施設外就労として整理できるかは、次の順に確認します。
相談事例:施設外就労先の家賃を事業所が負担するケース
実際にあったご相談を、内容を一部変えて紹介します。
就労継続支援A型事業所が入っているビルの別フロアが空き、請負先の企業がそこを借りて自社の作業場にし、事業所の施設外就労先として使う計画でした。ただ、企業側は毎月の経費を増やしたくないため、事業所から「施設利用料」などの名目で家賃相当額を支払えないか、というご相談です。
建物を借りるのは請負先企業なので、Q&Aの事例①(事業所側の法人が借りて企業に貸す形)には当たりません。施設外就労先の家賃や施設利用料を事業所が負担すること自体を禁じた規定もありません。留意事項通知でも、施設外就労先の企業から作業に要する機械や設備等を借りる場合は、賃貸借契約または使用貸借契約を結ぶこととされており、企業の設備を有償で借りること自体は想定されています。
ただし、その支出は施設外就労での作業にかかる費用なので、生産活動の経費として計上します。就労支援事業会計でも、指定事業所の家賃は福祉事業の費用、専ら生産活動に使う場所の賃借料は生産活動の費用に区分されています。就労継続支援A型は、生産活動の収入から経費を引いた額が、利用者に支払う賃金の総額以上でなければなりません(指定基準第192条第2項)。施設利用料を計上すると、その分だけ利用者賃金の原資が減ります。計上したあとも収支がこの水準を保てていれば問題ありません。
問題のない形
- 施設利用料を生産活動の経費として計上している
- 賃貸借契約を書面で結び、金額が使う範囲に見合っている
- 計上後も、収入から経費を引いた額が賃金総額以上ある
- その場所で請負先企業の事業が実際に行われている
避けるべき形
- 給付費(福祉事業の会計)から家賃を補填する
- 今の作業場の「利用料」など、実態と違う名目で支払う
- 企業の人員や設備がなく、利用者と職員だけが作業している
一方、福祉事業の会計(給付費)から家賃を補填する方法は、計上できる適切な費目が見当たりません。給付費が企業を経由して請負代金として戻り、利用者の賃金に充てられる形になると、賃金を自立支援給付で賄ってはならないという規定(同条第6項)に触れるおそれもあります。令和9年度報酬改定に向けた国の検討資料でも、事業所と施設外就労先が結びつき、給付費を施設外就労先経由で利用者の賃金や工賃に充てる例が懸念として挙げられています。
また、前提として、その場所が請負先企業の作業場として実際に使われている必要があります。Q&Aが見ているのは、誰が家賃を払うかではなく、その場所で企業の事業が行われているかです。企業の人員や設備がなく、事業所の利用者と職員だけが作業している状態では、借主が企業であっても施設外就労と認められないおそれがあります。
なお、作業場の家賃は本来、請負先企業が負担するものです。家賃を丸ごと事業所が肩代わりすると、実質的に事業所が場所を用意している形に近づき、確認を受けやすくなります。施設利用料を払う場合は、使う範囲(面積や時間)に見合った金額にし、賃貸借契約を書面で結んでおいてください。金額を決める前に、生産活動の収支を試算しておくことをおすすめします。
3. 請負と契約
請負先企業から利用者へ直接指示することはできない
施設外就労では、利用者への作業指導や支援は、原則として障害福祉サービス事業所の職員が行います。
請負先企業の従業員が利用者へ直接指揮命令を行ったり、請負先企業の従業員と利用者が一体となって作業を行ったりする形は避ける必要があります。
施設外就労であっても、利用者に対して障害福祉サービスを提供する主体は、あくまで指定事業所です。作業現場での連絡調整も、企業から事業所職員へ、事業所職員から利用者へという流れを崩さないように整理します。
あわせて読みたい施設外就労と偽装請負|請負・労働者派遣の区分から見た注意点請負契約で明確にしておく事項
施設外就労は請負契約が前提となるため、契約書の内容も確認が必要です。国の留意事項通知では、次の点を明確にすることが求められています。
| 確認事項 | 整理のポイント |
|---|---|
| 作業完成の責任 | 作業を |
| 報酬の算定方法 | 報酬が、 |
| 機械・材料等の | 請負先企業から |
| 指揮命令の所在 | 利用者への |
契約書の形式が整っていても、現場の運用が異なっていれば、実態として施設外就労と認められない可能性があります。契約と運用を一致させておくことが重要です。
あわせて、次の点も確認が必要です。
- 施設外就労先の企業とは、請負作業に関する契約を締結すること。就労継続支援事業所等を運営している同一法人での契約は認められません。
- 請け負った作業についての利用者に対する必要な指導などは、施設外就労先の企業ではなく、事業所が行うこと
- 事業所は請け負った作業を施設外就労先の企業から独立して行い、利用者に対する指導などは事業所が自ら行うこと
- 事業所が請け負った作業について、利用者と施設外就労先の企業の従業者が共同で処理していないこと
- 施設外就労を含めた個別支援計画が事前に作成され、就労能力や工賃(賃金)の向上及び一般就労への移行に資すると認められること
- 施設外就労の提供について、運営規程に明記すること
同一法人内の別事業との間で請負契約を結んで施設外就労として整理することはできません。グループ会社や関連法人を介在させる場合も、実態として独立した請負関係にあるかが問われます。
また、個別支援計画は施設外就労の開始「前」に作成されている必要があります。先に作業を始め、後から計画へ書き加える運用は認められません。
超えた場合
- その日に施設外就労を行った利用者「全員分」について報酬の請求ができない
- 超過した人数分だけが請求できないのではない
4. 利用者数と職員の配置
施設外就労の利用者数は事業所の定員を超えられません
見落としやすいのが利用者数の上限です。指定申請の手引きでは、次のとおり整理されています。
- 施設外就労の総数は、事業所の利用定員を超えないこと
- 例えば利用定員が20人の事業所では、事業所内20人、施設外就労20人の合計40人まで受入れが可能
- ただし、施設外就労の利用者数が事業所の利用定員を超えた場合、その日に施設外就労を行った利用者全員分について報酬の請求ができない
超過した人数分だけが請求できないのではなく、その日の施設外就労利用者全員分が請求できない点に注意してください。受注量が増えた日に、その場の判断で施設外就労の人数を上積みすることのないよう、上限を勤務・作業の計画段階で共有しておく必要があります。
施設外就労を行う日の職員配置
施設外就労で特に注意したいのが職員配置です。
通常の人員基準では、前年度の平均利用者数などを基礎として常勤換算を確認します。これに対して施設外就労では、施設外就労を行う日の利用者数に対して、算定している基本報酬の人員配置区分に応じた職員を配置する必要があります。
たとえば、就労継続支援B型で「6:1」の人員配置区分により基本報酬を算定している場合、施設外就労先についても、その日の施設外就労利用者数に対して6:1で必要となる職員配置を確認します。
| 場面 | 職員配置の考え方 |
|---|---|
| 通常の人員基準 | 前年度の |
| 施設外就労を | その |
| 本体事業所 | 本体に |
本体事業所に残る利用者の職員配置も必要
もう一つ重要なのが、本体事業所の職員配置です。施設外就労へ職員を出した結果、本体事業所の職員が不足してしまうことは認められません。
そのため、(1)施設外就労先の職員配置、(2)本体事業所の職員配置の両方を確保する必要があります。
施設外就労を開始する際は、「事業所全体では職員数が足りている」という確認だけでは不十分です。施設外就労を実施する日の勤務体制まで確認しておくことが重要です。勤務形態一覧表や勤務実績記録で、当日の配置を説明できる状態にしておいてください。
本体事業所側の必要人数の数え方と、管理者・サビ管の配置
本体事業所側の必要人数は、単純に「全体の平均利用者数」で数えるのではありません。手引きでは次のように整理されています。
| 区分 | 配置の考え方 |
|---|---|
| 施設外就労先 | 施設外就労を |
| 本体事業所 | 前年度の |
| 管理者・サービス管理責任者 | 事業所内での |
| サービス管理責任者の | 施設外就労を |
通知の書き方に戻すと、本体事業所側は「施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数」に対して、報酬算定上必要とされる人数の従業者を配置することとされています。施設外就労に出ている利用者の分を本体の必要人数から外したうえで、本体に残る利用者に見合う職員を別途確保する、という考え方です。施設外就労先に付ける職員と、本体に残す職員は別々に数えます。
例外はサービス管理責任者です。施設外就労を行う者の個別支援計画の作成も担うため、こちらは施設外就労を行う者を含めた前年度の平均利用者数で数えます。
目標工賃達成指導員・賃金向上達成指導員を施設外就労先の配置人数に算入してしまう誤りは、加算を算定している事業所で起こりがちです。加算により加配した職員は、基本報酬の人員配置区分を満たすための人数とは別に整理してください。
あわせて読みたい障害福祉サービスの人員基準とは?5. 施設外就労を始める前に確認したいポイント
施設外就労を検討する場合は、少なくとも次の点を確認しておいてください。
- 施設外就労先が実態のある企業・事業拠点となっているか
- 施設外就労先の家賃や施設利用料を払う場合、生産活動の経費として計上し、収支を確認しているか
- 施設外就労先企業との請負契約が締結されているか
- 作業の責任主体が障害福祉サービス事業者となっているか
- 利用者への作業指導を事業所職員が行う体制となっているか
- 施設外就労が運営規程に位置付けられているか
- 個別支援計画に施設外就労を位置付けているか
- 緊急時に対応できる連絡体制を確保できているか
- 施設外就労先と本体事業所の双方で必要な職員配置を確保できるか
- 施設外就労の実績を記録・保存できる体制となっているか
よくある質問
当然に施設外就労となるわけではありません。施設外就労は、請負先企業の事業所等へ出向いて、その企業から請け負った作業を行う仕組みです。自ら借りた作業場所で作業をするだけの場合は、事業所の作業場所としての取扱いを整理する必要があるため、物件契約の前に指定権者へ確認することをおすすめします。
負担すること自体はできます。ただし、生産活動の経費として計上するため、その分だけ利用者賃金の原資が減ります。就労継続支援A型では、計上後も生産活動の収入から経費を引いた額が賃金総額以上になるかを確認してください。あわせて、賃貸借契約を書面で結び、金額は使う範囲に見合った額にしてください。給付費から補填するのは避けてください。また、その場所で請負先企業の事業が実際に行われていることが前提です。
いいえ。合算では足りません。施設外就労を行う日の施設外就労利用者数に応じた職員配置と、本体事業所に残る利用者に対する職員配置を、それぞれ確保する必要があります。事業所全体の職員数だけで判断しないよう注意してください。
だめです。利用者への作業指導や支援は事業所職員が行い、請負先企業の従業員が利用者へ直接指揮命令を行うことはできません。作業手順の共有が必要な場合も、企業から事業所職員へ伝え、事業所職員が利用者へ支援するという流れを維持します。
まとめ
施設外就労は、利用者の働く場所を広げ、生産活動の選択肢を増やすことができる仕組みです。一方で、単に「別の場所で作業をする」だけでは施設外就労にはなりません。
特に、誰から仕事を請け負うのか、どこで作業するのか、誰が利用者へ指示・支援を行うのか、施設外就労先と本体事業所の職員配置を確保できるか、という点が重要です。
令和7年3月のQ&Aでは、請負契約があっても、請負先企業の事業の実態がない場所での作業は施設外就労に当たらないことが示されました。施設外就労先の家賃を事業所が負担する場合も、生産活動の経費として収支を確認し、企業の事業拠点としての実態を保つことが前提です。
新たな作業場所での施設外就労を検討している場合は、物件を契約したり運用を開始したりする前に、指定権者への確認も含めて制度上の整理を行うことをおすすめします。
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行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズでは、施設外就労として整理できるかの確認、請負契約書や運営規程のチェック、施設外就労日の勤務体制の設計まで、一体的に支援しています。
詳しくは運営顧問のページをご覧ください。
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主な参考資料
- 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(障障発第0402001号) (出典)
- 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(通知本文PDF) (出典)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.8」(令和7年3月31日)問1 (出典)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第192条 (出典)
- 厚生労働省「第64回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料(就労系サービスに係る報酬・基準について)」(令和8年9月28日) (出典)
- 令和3年度障害者総合福祉推進事業「就労支援事業会計の運用ガイドライン」 (出典)
※本記事は令和8年10月19日時点の情報に基づいています。

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