専門的支援体制加算・専門的支援実施加算|放課後等デイサービス・児童発達支援の要件と算定回数の上限

専門的支援体制加算・専門的支援実施加算|要件と算定回数の上限

専門的支援体制加算と専門的支援実施加算は、体制を整えることを評価する加算と、実際に支援を行ったことを評価する加算という2階建ての関係にあります。体制加算は、給付費の算定に必要な従業者の員数に加えて専門職を配置することが要件で、単位数は定員規模と事業所類型で変わります。実施加算には月の算定回数の上限があり、専門的支援実施計画の作成と保護者の同意が前提です。

  • 体制加算と実施加算は役割が分かれた2階建ての構造
  • 体制加算は必要員数に加えて専門職を配置することが要件
  • 実施加算には月の上限回数があり、計画の作成と保護者同意が必要

はじめに

令和6年度の報酬改定で、旧「専門的支援加算」と旧「児童指導員等加配加算(専門職種)」が再編され、専門的支援体制加算と専門的支援実施加算という2階建ての仕組みに整理されました。「専門職を置いていること」を評価する加算と、「実際に専門的な支援を行ったこと」を評価する加算が分かれた、というのが改定の核心です。令和8年度の期中改定では本加算の改正は行われておらず、令和6年度改定時の枠組みがそのまま続いています。

よくある算定誤りのチェックリスト

運営指導や自主点検で確認しておきたい項目を整理します。

  • 専門職が基準人員に充当されておらず、確かに「加配」になっているか
  • 保育士・児童指導員の5年の経験に、教職経験を算入していないか
  • 派遣・業務委託の専門職で算定していないか
  • 専門職が1か月以上不在なのに体制加算を継続していないか
  • 専門的支援実施計画を個別支援計画とは別に作成し、保護者の同意を得ているか
  • 支援時間が30分以上確保されているか、その記録があるか
  • 月の利用日数に対応する限度回数を超えていないか
  • 児童発達支援管理責任者の欠如期間中に実施加算を算定していないか
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1. 2階建て構造を最初に押さえる

この2つの加算は、次のように役割が分かれています。

加算評価しているもの算定単位
専門的支援体制加算専門職を基準人員に加えて配置していること1日につき(定員規模別)
専門的支援実施加算計画に基づく専門的な支援を実際に行ったこと1回につき150単位(月の上限あり)

体制加算は「配置していれば毎日算定できる」加算、実施加算は「支援を行った回数だけ算定できる」加算です。したがって、体制加算だけを算定して実施加算を算定しないという運用はあり得ますが、その逆――実施加算だけを算定する――は成り立ちません。実施加算も、専門職を1以上配置している旨の届出を前提としているためです。

2. 専門的支援体制加算

配置要件

給付費の算定に必要となる従業者の員数に加えて、次のような専門職を常勤換算方法で1以上配置し、都道府県知事等に届け出ることが要件です。

  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
  • 保育士(保育士として5年以上児童福祉事業に従事した者に限る)
  • 児童指導員(児童指導員として5年以上児童福祉事業に従事した者に限る)
  • 心理担当職員等、別に定める基準に適合する専門職員

見落としやすいのは「加えて」の3文字です。専門職が基準人員に充当されている場合は、加配とは認められません。人員配置基準を満たすための人数を確保したうえで、さらに1(常勤換算)を上乗せする必要があります。

もう一つ注意したいのが、保育士・児童指導員の5年要件における「児童福祉事業」の範囲です。特別支援学校・特別支援学級・通級による指導における教育の経験は、この5年に含まれないとされています。教職経験の長い職員を採用したケースでは、ここで要件を満たさないことがあります。

また、専門職は事業者と雇用契約を締結して配置されている者である必要があり、外部から派遣された者による支援では算定できません。病気欠勤や有給休暇の取得中も要件は満たしますが、欠勤等が1か月以上続く場合は配置要件を満たさなくなります。長期の休職が発生した時点で、体制加算の算定を止める判断が必要です。

単位数

定員規模と事業所類型によって単位数が変わります。

児童発達支援(センター以外・主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く)

利用定員単位(1日につき)
10人以下123
11〜20人82
21人以上49

放課後等デイサービス(主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く)

利用定員単位(1日につき)
10人以下123
11〜20人82
21人以上49

主として重症心身障害児を通わせる事業所(児発・放デイ共通)

利用定員単位(1日につき)
5人247
6人206
7人176
8人154
9人137
10人123
11人以上82

児童発達支援センターの場合は、定員30人以下の41単位から81人以上の15単位まで、規模に応じて段階的に設定されています。

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3. 専門的支援実施加算

単位数と回数の上限

1回につき150単位です。ただし、個別支援計画(児童発達支援計画・放課後等デイサービス計画)に位置づけられた支援の日数に応じて、1月あたりの限度回数が定められています。

サービス月の利用日数限度回数
児童発達支援12日未満月4回
12日以上月6回
放課後等デイサービス6日未満月2回
6日以上12日未満月4回
12日以上月6回

放課後等デイサービスで「6日未満なのに月4回算定していた」というのは、返戻の典型例です。利用日数の集計と算定回数の突合を、月次の請求前チェックに組み込んでおくことをおすすめします。なお、限度回数は事業所ごとにカウントし、事業所間で通算はしません。

専門的支援実施計画

実施加算を算定するには、個別支援計画とは別に「専門的支援実施計画」を作成し、あらかじめ保護者の同意を得る必要があります。記載すべき内容は、アセスメントの結果、5領域のうち特に支援を要する領域との関係、目指すべき達成目標、具体的な支援内容、支援の実施方法などです。

専門的支援実施計画を個別支援計画と一体にしてしまっている事業所は少なくありません。個別支援計画に専門的支援の記載を書き加えただけでは、要件を満たしたことになりません。別文書として作成し、保護者の同意を得た記録を残してください。

支援の形態と時間

1対1で行うことは必須ではありません。おおむね5名程度までの小集団、あるいは小集団を2つ組み合わせた形での実施も認められています。ただし、少なくとも30分以上を確保することが求められます。30分未満の関わりでは算定できません。

また、児童発達支援管理責任者が欠如している期間中は、実施加算を算定することはできません。

4. 運用設計のポイント

この加算は、「専門職を採用したから算定する」という順番で考えると、記録と計画が後追いになりがちです。実務上は、次のように逆の順番で考えます。

  1. どの児童のどの領域に専門的支援が必要かをアセスメントで整理する
  2. その支援を月に何回、何分、どの形態で行うかを専門的支援実施計画に落とす
  3. 保護者に説明し同意を得る
  4. 実施記録を残す
  5. 月末に利用日数と算定回数を突合する

この流れを標準業務に組み込むほうが、結果として算定漏れも算定誤りも減ります。専門職の採用は投資額の大きい判断ですから、加算として確実に回収できる運用を先に設計しておくことが重要です。

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5. まとめ

専門的支援体制加算は「加配していること」、専門的支援実施加算は「計画に基づき30分以上の支援を行ったこと」を評価する加算です。体制加算の落とし穴は加配要件と経験年数の範囲、実施加算の落とし穴は別計画の作成・保護者同意・時間・回数上限にあります。

単位数や要件の細部は、告示および留意事項通知、報酬改定Q&Aで定められています。個別の判断に迷う場合は、所轄の指定権者に確認されることをおすすめします。

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よくある質問

Q

専門的支援体制加算だけを算定することはできますか。

A

できます。体制加算は専門職を加配していることを評価する加算で、実施加算は計画に基づく支援を実際に行ったことを評価する加算です。ただし逆に、実施加算だけを算定することはできません。実施加算も専門職を1以上配置している旨の届出を前提としているためです。

Q

保育士の5年の経験に、特別支援学校での教職経験を含められますか。

A

含められません。経験年数に算入できるのは児童福祉事業に従事した期間であり、特別支援学校・特別支援学級・通級による指導における教育の経験は含まれないとされています。

Q

専門的支援実施計画は、個別支援計画に書き加える形でよいですか。

A

個別支援計画とは別に作成し、あらかじめ保護者の同意を得る必要があります。アセスメントの結果、特に支援を要する領域との関係、達成目標、具体的な支援内容、実施方法などを記載します。

Q

1対1でなければ算定できませんか。

A

1対1は必須ではありません。おおむね5名程度までの小集団、小集団を2つ組み合わせた形での実施も認められています。ただし、少なくとも30分以上を確保する必要があります。

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障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請・報酬請求の実務と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

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主な参考資料

※本記事は令和8年8月28日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。