人員欠如減算|減算率と令和8年6月からの特例的取扱い

人員欠如減算|減算率と令和8年6月からの特例的取扱い

人員基準を割ると、30%減・50%減という重い減算が適用されます。減算が始まる月の考え方は、欠如した職種によって異なります。令和8年5月28日付の留意事項通知の改正で、やむを得ない事情による特例的取扱いが新設されましたが、突発的で想定が困難な事象であることなど4つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 減算率は30%・50%で、人員基準の充足はあらゆる加算対策より優先する
  • 減算の開始月は欠如した職種によって変わる
  • 令和8年6月からの特例は4要件をすべて満たし、届出が必要

この記事で分かること

職員が急に辞めた、長期に休んだ。人員基準を割ったときの減算率と減算が始まる月の考え方、令和8年6月から新設された「やむを得ない事情」による特例の要件・届出に加えて、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が欠けた場合の減算の始期と終期、退職日による違い、個別支援計画(通所支援計画)未作成減算との関係を整理します。

はじめに

職員が急に辞めた、長期に休んだ。人員基準を割ったときの減算は、欠如の程度によって始まる月が変わります。そして令和8年6月から、やむを得ない事情がある場合の特例が新設されました。

この記事のポイント

  • 減算率と、減算が始まる月の考え方
  • 令和8年6月からの特例的取扱い(1年に1回、最長3か月)
  • 特例を使うための4つの要件
  • サビ管・児発管の欠如は特例の対象外で、欠如が生じた月の翌々月から解消されるに至った月まで減算されます
  • 退職日と配置日による減算月の違いは、別記事で具体例とともに解説しています

1. 減算率

欠如の内容期間算定率
サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の欠如5月未満100分の70
同上連続して5月以上100分の50
従業者(生活支援員、職業指導員、就労支援員、世話人、児童指導員・保育士等)の欠如3月未満100分の70
同上連続して3月以上100分の50

30%減、そして50%減。人員基準の充足は、あらゆる加算対策より優先度が高いと考えてください。

図解1減算率と、始まる月の違い

従業者の欠如(生活支援員・世話人・児童指導員等)

  • 3月未満:100分の70/連続して3月以上:100分の50
  • 必要員数から1割を超えて減少 → その翌月から
  • 必要員数から1割の範囲内で減少 → その翌々月から(翌月末日に基準を満たすに至っている場合を除く)

サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の欠如

  • 5月未満:100分の70/連続して5月以上:100分の50
  • 割合にかかわらず一律でその翌々月から
  • 1割ルールは適用されません
通常の算定
100
100分の70(30%減)
70
100分の50(50%減)
50
※人員基準の充足は、あらゆる加算対策より優先度が高いと考えてください。従業者の欠如が1割の範囲内であれば、翌月末までに補充できれば減算されません。欠員が出た月の翌月が勝負です。
あわせて読みたい常勤換算とは?障害福祉事業所向けに計算方法を解説

2. 減算が始まる月

従業者(生活支援員・世話人・児童指導員等)が欠如した場合

欠如の程度減算開始
必要員数から1割を超えて減少その翌月から
必要員数から1割の範囲内で減少その翌々月から(翌月末日において基準を満たすに至っている場合を除く)

サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が欠如した場合

割合にかかわらず、一律でその翌々月からです。上の1割ルールは従業者欠如のもので、サビ管・児発管には適用されません。

従業者の欠如が1割の範囲内であれば、翌月末までに補充できれば減算されません。つまり、欠員が出た月の翌月が勝負です。この1か月で採用または勤務時間の調整により基準を満たせるかどうかで、30%の減算が生じるかが決まります。

3. 令和8年6月からの特例的取扱い

令和8年5月28日付で留意事項通知が改正され、やむを得ない事情による人員欠如について減算を猶予する特例が新設されました。令和8年6月サービス提供分から適用されています。

項目内容
対象職種生活支援員、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、地域移行支援員、就労選択支援員、職業指導員、就労支援員、就労定着支援員、世話人(障害児は児童指導員・保育士等)
対象外サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の欠如
対象となる欠如の程度必要員数から1割の範囲内の減少のみ
猶予される期間欠如が生じた日の属する月の翌々月まで(最長3か月)
限度1年に1回限り
1年の起算日欠如の発生日が属する月の翌々月の初日から起算

対象となる「やむを得ない事情」

突発的で想定が困難な事象であることが必要です。示されている例は次のとおりです。

  • 職員や家族の突発的な体調不良等により、1か月を超える不在が見込まれる場合
  • 職員の自己都合による急な離職等が複数重なった場合

計画的な退職や、そもそもの採用不足は該当しません。

満たすべき4要件(すべて必要)

#要件
公共職業安定所(ハローワーク)または無料職業紹介事業を活用した職員確保の取組を行っている
民間職業紹介事業者を利用する場合は、適正認定事業者を含む
自ら採用情報をウェブサイト等で公表するなど、積極的な求人の取組を行っている(ホームページを有しない場合はこの限りでない)
職員の過度な業務負担を回避し、適正な労働時間管理を行っている

届出

所定の様式に記載し、欠如が生じた日の属する月の翌月までに速やかに指定権者へ報告します。有効な求人票の写しの添付が必要です。

図解2令和8年6月からの特例的取扱い(令和8年6月サービス提供分から適用)
対象となる欠如の程度必要員数から1割の範囲内の減少のみ
猶予される期間欠如が生じた日の属する月の翌々月まで(最長3か月
限度1年に1回限り(起算日は欠如の発生日が属する月の翌々月の初日)
対象外サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の欠如

満たすべき4要件(すべて必要)

  • ア:ハローワークまたは無料職業紹介事業を活用した職員確保の取組
  • イ:民間職業紹介事業者を利用する場合は、適正認定事業者を含む
  • ウ:自ら採用情報をウェブサイト等で公表(ホームページを有しない場合はこの限りでない)
  • エ:職員の過度な業務負担を回避し、適正な労働時間管理を行っている

対象となる「やむを得ない事情」

  • 職員や家族の突発的な体調不良等により、1か月を超える不在が見込まれる場合
  • 職員の自己都合による急な離職等が複数重なった場合
  • 計画的な退職や、そもそもの採用不足は該当しません
※対象職種は、生活支援員、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、地域移行支援員、就労選択支援員、職業指導員、就労支援員、就労定着支援員、世話人(障害児は児童指導員・保育士等)です。届出は所定の様式に記載し、欠如が生じた日の属する月の翌月までに速やかに指定権者へ報告します。有効な求人票の写しの添付が必要です。

4. 特例を使うときの実務手順

  1. 欠員が発生した日を記録する
  2. その日のうちにハローワークへ求人を出す(求人票が要件の証拠になります)
  3. 自社サイト等に採用情報を掲載する
  4. 所定様式に記載し、求人票の写しを添えて、翌月までに指定権者へ提出
  5. 猶予期間(最長3か月)のうちに補充する
  6. 職員の勤務時間・時間外労働を管理し、記録を残す

注意:1年に1回限りです。軽微な欠員で使ってしまうと、より深刻な欠員が起きたときに使えません。1割の範囲内かつ翌月末までに補充できる見込みがあるなら、特例を使わずに補充で対応する判断もあり得ます。

図解3特例を使うときの実務手順
① 欠員が発生した日を記録する
② その日のうちにハローワークへ求人を出す求人票が要件の証拠になる
③ 自社サイト等に採用情報を掲載する
④ 所定様式+求人票の写しを翌月までに提出
⑤ 猶予期間(最長3か月)のうちに補充する
⑥ 勤務時間・時間外労働を管理し、記録を残す
※1年に1回限りです。軽微な欠員で使ってしまうと、より深刻な欠員が起きたときに使えません。1割の範囲内かつ翌月末までに補充できる見込みがあるなら、特例を使わずに補充で対応する判断もあり得ます。

5. サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が欠けた場合

サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の欠如は、令和8年6月からの特例の対象外です。減算の始まり方も期間の数え方も従業者の欠如とは異なるため、切り離して押さえておいてください。

減算はいつ始まり、いつ終わるか

欠如が生じた月の翌々月から、人員欠如が解消されるに至った月まで、利用者全員について減算されます。従業者の欠如のような「1割」の区分はなく、不足の程度にかかわらず翌々月からです。

見落としやすいのは終期です。減算は「解消された月の前月まで」ではなく「解消されるに至った月まで」続きます。月初に後任を配置しても、その月は減算の対象になります。

退職日と後任の配置日で減算月がどう変わるか、「配置」が書類の日付ではなく実態で判断されること、個別支援計画(通所支援計画)未作成減算との関係。これらは、児発管・サビ管の欠如減算|減算が始まる月と退職日・配置日の考え方で具体例とともに解説しています。

算定率は1か月目から4か月目が70%、5か月目以降が50%(30%減・50%減)

減算が適用される月から5月未満(1か月目から4か月目)は所定単位数の100分の70、連続して5月以上(5か月目以降)は100分の50です。欠如が長引くほど単価が下がる仕組みになっています。

みなし配置で欠如そのものを避けられる場合がある

やむを得ない事由により欠如した場合には、「みなし配置」の仕組みがあります。要件を満たせば欠如そのものが生じないため、減算を避けられる可能性があります。

類型内容
2人目としてのみなし配置既に1名配置している事業所は、基礎研修修了者を2人目として配置可能。従事できるのはアセスメント、支援内容の検討、原案作成に限られる
やむを得ない事由による欠如時急死・急病・予見不可能な退職等の場合、実務経験要件のみを満たす者を1年間みなし配置可能。欠如時点で基礎研修修了済みかつ欠如前から配置されていた場合は、実践研修修了までの間、最長2年まで延長可

運用の細部は指定権者により異なります。欠如が生じた時点で、まず指定権者に相談してください。

欠如が確定したときの届出

欠如が生じたら、まず指定権者へ連絡します。そのうえで、人員の変更に係る変更届(原則として変更のあった日から10日以内)と、減算の適用を反映する体制届(減算が始まる月に間に合うタイミング)を提出します。減算の届出をしないまま請求を続けると、後日の運営指導で報酬返還と加算金の対象になり得ます。自ら届け出て減算を反映するのが基本です。

図解4サビ管・児発管が欠けた場合|みなし配置の2類型
欠如が生じた月減算なし
その翌月減算なし
翌々月から利用者全員について減算開始
解消されるに至った月まで月初に後任を配置しても、その月は減算の対象

2人目としてのみなし配置

  • 既に1名配置している事業所は、基礎研修修了者を2人目として配置可能
  • 従事できるのはアセスメント、支援内容の検討、原案作成に限られる

やむを得ない事由による欠如時

  • 急死・急病・予見不可能な退職等の場合、実務経験要件のみを満たす者を1年間みなし配置可能
  • 欠如時点で基礎研修修了済みかつ欠如前から配置されていた場合は、実践研修修了までの間、最長2年まで延長可
※要件を満たせば欠如そのものが生じないため、減算を避けられる可能性があります。運用の細部は指定権者により異なりますので、欠如が生じた時点でまず指定権者に相談してください。欠如が確定したら、人員の変更に係る変更届(原則として変更のあった日から10日以内)と、減算の適用を反映する体制届を提出します。減算の届出をしないまま請求を続けると、後日の運営指導で報酬返還と加算金の対象になり得ます。
あわせて読みたい児発管・サビ管の欠如減算|減算が始まる月と退職日・配置日の考え方

6. 平時にやっておくこと

  • 常勤換算の計算書類を毎月更新し、基準に対する余裕がどれだけあるかを把握しておく
  • 必要員数の1割がどれだけの時間数に当たるかを計算しておく
  • ハローワークの求人を常時出しておく(欠員が出てから出すのでは間に合わないことがある)
  • サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の更新研修の期限を管理する(5年ごと)
  • 基礎研修修了者を計画的に育成し、みなし配置に備える
図解5平時にやっておくこと
常勤換算の計算書類を毎月更新し、基準に対する余裕を把握する必要員数の1割がどれだけの時間数に当たるかを計算しておくハローワークの求人を常時出しておくサビ管・児発管の更新研修の期限(5年ごと)を管理する基礎研修修了者を計画的に育成し、みなし配置に備える
※求人は欠員が出てから出すのでは間に合わないことがあります。減算の判断や特例の適用は指定権者が行いますので、欠員が生じたら、まず所轄の指定権者に連絡することをおすすめします。
あわせて読みたいサービス管理責任者の資格要件|研修・実務経験の数え方と配置人数

7. まとめ

  • 人員欠如減算は30%・50%と重い
  • 従業者の欠如が1割の範囲内なら、翌月末までの補充で減算を回避できる
  • 令和8年6月から、やむを得ない事情がある場合は最長3か月の猶予(1年に1回)
  • 特例には求人活動と労働時間管理の要件があり、届出も必要
  • サビ管・児発管の欠如は特例の対象外。翌々月から解消月まで減算され、1か月目から4か月目は70%、5か月目以降は50%
  • 個別支援計画(通所支援計画)未作成減算は別に定められた減算で、計画がない月から効き始める

減算の判断や特例の適用は指定権者が行います。欠員が生じたら、まず所轄の指定権者に連絡することをおすすめします。

よくある質問

Q

1割の範囲内で欠員が出た場合、必ず減算されますか。

A

従業者の欠如が1割の範囲内であれば、翌月末日までに基準を満たせば減算されません。欠員が出た月の翌月が勝負になります。

Q

特例はどのような場合に使えますか。

A

突発的で想定が困難な事象に限られます。職員や家族の突発的な体調不良により1か月を超える不在が見込まれる場合や、自己都合による急な離職等が複数重なった場合が示されています。計画的な退職や採用不足は該当しません。

Q

特例を使うために何が必要ですか。

A

ハローワーク等を活用した職員確保の取組、ウェブサイト等での求人情報の公表、適正な労働時間管理などの要件を満たしたうえで、欠如が生じた月の翌月までに指定権者へ届出を行います。有効な求人票の写しの添付が必要です。

Q

サービス管理責任者が欠如した場合も特例を使えますか。

A

使えません。特例の対象は従業者の欠如に限られます。サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者については、別途みなし配置の仕組みがありますので、欠如の時点で指定権者にご相談ください。

人員基準の管理と欠員時の対応を支援します

障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請・報酬請求の実務と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。

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主な参考資料

  • 参考:「障害福祉サービス費等の算定に関する実施上の留意事項について(令和8年5月28日一部改正)」/「同一部改正に関するQ&A(令和8年5月28日)」/「児童福祉法関係の留意事項通知および同Q&A」/「サービス管理責任者等に係る告示・事務連絡」

※本記事は令和8年8月28日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。