施設外支援と施設外就労の違い|要件・日数・記録を比較表で整理

施設外支援と施設外就労の違い|要件・日数・記録を比較表で整理

就労移行支援・就労継続支援A型・B型で、事業所の外で支援を行う形は2つあります。企業実習等への支援が「施設外支援」、企業から請け負った作業を企業内で行うのが「施設外就労」です。どちらも加算ではなく基本報酬を算定しますが、要件がまったく違います。

  • 施設外支援は年間180日が限度。施設外就労に日数の上限はない
  • 施設外就労は請負契約が前提で、総数が利用定員を超えられない
  • 記録は、施設外支援が日報、施設外就労が実績記録書類

この記事で分かること

施設外支援と施設外就労の違いを、対象サービス・日数の上限・個別支援計画の扱い・職員配置・請負契約・記録の残し方まで、比較表と要件表で整理します。令和7年3月の通知改正で変わった点もまとめます。

はじめに

就労移行支援・就労継続支援A型・B型では、利用者が事業所の外で過ごす日でも基本報酬を算定できる取扱いがあります。ただし、その形は2つに分かれていて、要件も記録もまったく違います。

ひとつは施設外支援。企業内等で行われる企業実習等への支援です。もうひとつは施設外就労。企業から請け負った作業を、その企業の中で行う支援です。現場では両方まとめて「施設外」と呼ばれることが多く、運営指導で取扱いを指摘されるのは、たいていこの区別が曖昧になっているときです。

ここでは、2つの違いと、それぞれの要件を整理します。根拠は「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(最終改正 令和7年3月31日)です。

この記事のポイント

    • 分かれ目は「請負契約があるかどうか」。契約があれば施設外就労、実習なら施設外支援
    • 施設外支援は年間180日が限度。実際に利用した日数の合計で数える
    • 施設外就労は日数の上限がない代わりに、総数が利用定員を超えられない
    • どちらも運営規程への位置付けと、緊急時の対応ができることが要件
    • 令和7年3月の改正で「1週間ごとの見直し」「定員の7割」「ユニット」「毎月の実績報告」はなくなった

1. まず比較表で違いを整理

先に全体像です。対象となるサービスは、どちらも就労移行支援(在宅で利用する場合の支援を除く)、就労継続支援A型、就労継続支援B型の3つで共通しています。

施設外支援と施設外就労の違い
観点施設外支援施設外就労
支援の中身企業内等で行われる企業実習等への支援企業から請け負った作業を、その企業内で行う支援
企業との契約請負契約は要件になっていない(実習の受入れ)請負作業に関する契約の締結が必須
場所企業内等企業の実態がある場所
日数の上限1年間(4月1日〜翌年3月31日)に180日間定めなし
人数の制限定めなし施設外就労の総数が利用定員を超えないこと
個別支援計画事前に位置付け、1か月ごとに見直し施設外就労を含めた計画を事前に作成
職員配置の規定特段の規定なし施設外就労先・本体それぞれに規定あり
記録日報実績記録書類(作成・保存)
報酬基本報酬を算定(加算ではない)基本報酬を算定(加算ではない)
※表は横にスクロールできます
どちらも加算ではありません。要件を満たした日について、通常どおり基本報酬(所定単位数)を算定します。

2. 施設外支援とは(企業実習等への支援)

施設外支援は、通知で「企業内等で行われる企業実習等への支援」と定義されています。企業に実習に出た利用者を、事業所の職員が支える形です。請負契約は前提になっていません。

一般就労を目指す利用者に実習の機会をつくるための仕組みなので、要件にも「就労能力や工賃の向上および一般就労への移行が認められること」が入っています。実習に出しただけでは足りず、そこに事業所の支援があることが求められます。

3. 施設外支援の4つの要件

次の4つをすべて満たす場合に限って算定できます。ひとつでも欠けると、その日の報酬は算定できません。

施設外支援の要件
要件内容
ア 運営規程施設外支援の内容が、事業所の運営規程に位置付けられていること
イ 個別支援計画事前に個別支援計画に位置付けられ、1か月ごとに必要な見直しが行われていること。あわせて、就労能力や工賃の向上および一般就労への移行が認められること
ウ 日報利用者または実習受入事業者等から、支援の提供期間中の利用者の状況を聞き取り、日報が作成されていること
エ 緊急時の対応支援の提供期間中に、緊急時の対応ができること
※表は横にスクロールできます
指定権者は、実地調査でイの内容を確認することとされています。個別支援計画に「施設外支援」の記載がないまま実習に出している状態は、いちばん指摘されやすい形です。

なお、障害者トライアル雇用などの場合は、施設外でのサービス提供を含めた個別支援計画を3か月ごとに作成し(施設外でサービスを提供している間は1か月ごと)、見直しを行うこととされています。

4. 年間180日の数え方と延長できる場合

施設外支援は、1年間(4月1日に始まり翌年3月31日に終わる1年間)に180日間を限度として算定します。この「180日間」は、利用者が実際に利用した日数の合計です。

数え方で迷いやすいのが、午前は実習、午後は事業所に戻った日の扱いです。同じ日に施設外支援と通常の施設利用を行った場合は、施設外支援の実施日として扱います。半日だから0.5日、とは数えません。

図解1180日の数え方

数え方

  • 4月1日から翌年3月31日までで区切る
  • 実際に利用した日数の合計で数える
  • 午前だけ実習の日も1日として数える

180日を超えられる場合

  • 職場適応訓練を受講する場合は、その訓練の終了日まで延長できる
  • トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)で、個別支援計画の見直しにおいて延長の必要性が認められた場合

5. 施設外就労とは(請け負った作業)

施設外就労は「企業から請け負った作業を、当該企業内で行う支援」です。実習ではなく、事業所が企業から仕事を請け負い、その作業を企業の中で行います。

令和7年3月31日付のQ&Aでは、施設外就労は「施設外就労先の企業と請負作業に関する契約を締結し、当該企業内で行う支援」と定義しており、原則として、その企業の実態がある場所で作業が行われるべきものとされています。場所の実態が問われる点が、施設外支援との大きな違いです。

6. 施設外就労の5つの要件

施設外就労の要件
要件内容
ア 人数施設外就労の総数が、利用定員を超えないこと。施設外就労を基本とする形態で事業を行う場合でも、本体施設に管理者とサービス管理責任者の配置が必要
イ 職員配置施設外就労先には、その日の利用者数に対して報酬算定上必要な人数(常勤換算方法による)を配置。本体事業所には、施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数に対して必要な人数を配置。サービス管理責任者だけは、施設外就労を行う者を含めた前年度の平均利用者数で配置
ウ 運営規程施設外就労の提供が、事業所の運営規程に位置付けられていること
エ 個別支援計画施設外就労を含めた個別支援計画が事前に作成され、就労能力や工賃(賃金)の向上および一般就労への移行に資すると認められること
オ 緊急時の対応緊急時の対応ができること
※表は横にスクロールできます
施設外就労で就労している者と同数を、主たる事業所の利用者として新たに受け入れることができます。報酬の適用単価は、主たる事業所の利用定員に基づく単価を使います。

職員配置は読み違えが起きやすいところです。施設外就労先に付ける職員と、本体に残る利用者のための職員は別々に数えます。本体側は、前年度の平均利用者数から施設外就労を行った分を外した人数で計算します。

7. 請負契約で明確にしておく事項

    • 作業の完成についての財政上および法律上のすべての責任を、事業所を運営する法人が負うことが契約の中で明確にされていること
    • 施設外就労先から法人に支払われる報酬が、完成された作業の内容に応じて算定されるものであること
    • 企業から機械・設備等を借りる場合は、賃貸借契約または使用貸借契約を締結すること
    • 企業から材料等の供給を受ける場合は、代金支払い等の必要事項を明確に定めること

作業の指導も要件に入っています。請け負った作業についての利用者への指導は、施設外就労先の企業ではなく事業所が行います。事業所は請け負った作業を企業から独立して行い、利用者と企業の従業員が共同で作業を処理していないことが求められます。利用者と事業所の関係は、事業所の中で作業をする場合と同じです。

ここが崩れると、請負ではなく労働者供給や偽装請負の問題になります。企業の担当者が利用者に直接指示を出している状態は避けてください。

8. 施設外就労に該当しない例

令和7年3月31日付のQ&Aには、施設外就労に該当しない例が2つ示されています。どちらも「企業の実態がある場所ではない」という点で共通しています。

図解2該当しないとされた2つの例

例1 法人の建物を企業に貸す形

  • 事業所を運営する法人が所有する建物を企業に賃貸し、その建物に事業所の支援員と利用者が出向いて作業を行う
  • 形式上は企業から請け負った作業でも、要件を満たさず基本報酬を算定できない

例2 法人が「施設外就労先」を設ける形

  • 法人が設置した施設で、同じ法人の事業所と契約した利用者に作業を提供し、それを施設外就労と呼ぶ
  • 指定を受けていない場所で生産活動を行っている可能性があり、基本報酬を算定できない

9. 記録と報告の違い

残す書類も違います。施設外支援は日報、施設外就労は実績記録書類です。

図解3残す書類の違い

施設外支援

  • 運営規程への位置付け
  • 個別支援計画(1か月ごとの見直しの記録)
  • 日報(利用者または実習受入事業者等からの聞き取りによる)

施設外就労

  • 運営規程への明記と、施設外就労についての規則
  • 請負作業に関する契約書(必要に応じて賃貸借契約・使用貸借契約、材料代金の定め)
  • 施設外就労を含めた個別支援計画
  • 実績記録書類(作成・保存)

施設外就労の実績は、報酬請求にあたって毎月報告する必要がなくなりました。ただし、記録書類を作らなくてよいという意味ではありません。指定権者が実態を把握する必要があると判断したときに確認できるよう、作成して保存しておくこととされています。

10. 令和7年3月の改正で変わった点

就労系の留意事項通知は令和7年3月31日に改正されています。古い記憶のまま運用していると要件を取り違えるので、変わった点をまとめます。

令和7年3月31日の改正で変わった点
項目改正前現在
施設外支援の個別支援計画の見直し1週間ごと1か月ごと
施設外就労の総数利用定員の100分の70以下利用定員を超えないこと
ユニットの考え方1ユニットあたり1人以上などの定め「ユニット」の記載そのものがなくなった
事業所内での評価月の利用日数のうち最低2日記載なし
施設外就労の実績報告毎月の報酬請求に合わせて提出毎月の報告は不要。実績記録書類を作成・保存
※表は横にスクロールできます
厚生労働省の法令等データベースには改正前の本文が残っているページがあります。要件を確認するときは、通知そのもの(最終改正 令和7年3月31日 障障発0331第2号)にあたってください。

あわせて整理しておくと、施設外就労加算は令和3年度の報酬改定で廃止され、基本報酬に組み込まれました。いまは加算ではなく、要件を満たした日に基本報酬を算定する形です。令和8年度の報酬改定では、施設外支援・施設外就労についての変更はありません。

よくある質問

Q
施設外支援と施設外就労は、どこで見分けますか。
A

請負契約があるかどうかが分かれ目です。企業から作業を請け負い、その企業の中で作業を行うなら施設外就労。実習として企業に出て、そこで支援を行うなら施設外支援です。契約の有無で、日数の上限も職員配置も記録も変わります。

Q
施設外支援の180日は、事業所単位ですか、利用者単位ですか。
A

利用者ごとの日数です。1年間(4月1日から翌年3月31日まで)に、その利用者が実際に利用した日数の合計で180日を数えます。

Q
午前だけ実習に行き、午後は事業所に戻った日はどう数えますか。
A

施設外支援の実施日として1日と数えます。同じ日に施設外支援と通常の施設利用を行った場合は、施設外支援の実施日として扱うこととされています。

Q
施設外就労に日数の上限はありますか。
A

ありません。代わりに、施設外就労の総数が利用定員を超えないという人数の制限があります。

Q
施設外就労をしている利用者の分、本体の定員に空きが出ますか。
A

施設外就労で就労している者と同数を、主たる事業所の利用者として新たに受け入れることができます。報酬の適用単価は、主たる事業所の利用定員に基づく単価を使います。

Q
本体事業所の職員は、何人に対して配置すればよいですか。
A

施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数に対して、報酬算定上必要とされる人数を配置します。施設外就労先に付ける職員とは別に確保してください。サービス管理責任者だけは、施設外就労を行う者を含めた前年度の平均利用者数で数えます。

Q
法人が借りている建物で企業の作業をすれば施設外就労になりますか。
A

なりません。令和7年3月31日付のQ&Aで、法人が所有する建物を企業に賃貸し、そこに支援員と利用者が出向いて作業を行う形は、形式上は請負でも要件を満たさず基本報酬を算定できないとされています。

Q
施設外就労の実績は毎月提出しなくてよいのですか。
A

報酬請求にあたっての毎月の報告は不要とされています。ただし実績記録書類は作成・保存しておく必要があり、指定権者が必要と判断したときに確認されます。

まとめ

施設外支援と施設外就労は、名前が似ているだけで別の制度です。請負契約があるかどうかで分かれ、日数の上限、人数の制限、職員配置、残す書類がそれぞれ違います。

どちらも加算ではなく基本報酬の算定要件です。要件を欠いた日は報酬そのものが算定できず、運営指導で指摘されれば返還の対象になります。個別支援計画への位置付けと運営規程の記載は、実習や作業を始める前に済ませておいてください。

令和7年3月の改正で要件が変わっているので、古い手引きや解説を元に運用している場合は、いちど通知そのもので確認することをおすすめします。

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主な参考資料

※本記事は令和8年9月21日時点の情報に基づく一般的な整理です。要件の当てはめや書類の様式は指定権者の取扱いによって異なる場合があります。実際の運用は指定権者にご確認ください。

執筆者 永野将太(行政書士・社会保険労務士)
執筆者WRITER
永野 将太
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズ 代表

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。

これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。