就労継続支援B型は、一般企業で働くことが難しい方に、雇用契約を結ばない形で就労や生産活動の機会を提供するサービスです。収入の中心は通所日数に応じた訓練等給付費で、基本報酬は平均工賃月額によって変わります。指定を受けるには人員基準・設備基準・定員の要件を満たす必要があります。
- 雇用契約を結ばずに就労や生産活動の機会を提供する
- 基本報酬は平均工賃月額で決まる
- 利用できる方の要件が定められている
はじめに
就労継続支援B型は、障害福祉サービスのなかで最も事業所数が多いサービスです。厚生労働省の令和6年度工賃実績では全国18,245か所が実績を報告しています。一方で就労継続支援B型の指定申請には、「定員は原則20人以上」「サービス管理責任者の確保」というハードルがあります。
この記事では、これからB型事業所の立ち上げを考えている方に向けて、指定を受けるための基準、開業資金の目安、報酬額を決める平均工賃月額の仕組みを整理しました。様式や事前相談の時期は自治体ごとに異なります。最終確認は指定権者へお願いします。
1. 就労継続支援B型とは
就労継続支援B型とは
就労継続支援B型は、一般企業で働くことが難しい障害のある方に、雇用契約を結ばずに働く場を提供するサービスです。利用者は生産活動に参加し、対価として「工賃」を受け取ります。最低賃金の適用や利用期間の制限はありません。
利用できる方の要件
利用できるのは、次のいずれかに該当する方です。
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった方
- 50歳に達している方、または障害基礎年金1級を受給している方
- 上記に該当せず、就労面の課題を把握するアセスメントを受けた方
3つ目のアセスメントは、令和7年10月1日施行の新サービス「就労選択支援」による評価が原則です。ただし経過措置や、近隣に事業所がない場合の取扱いもあり、指定権者への確認が必要です。
報酬の考え方
収入の中心は通所日数に応じた訓練等給付費です。令和6年度報酬改定により、基本報酬は次の2体系から年度単位で選ぶ形になりました。
- 平均工賃月額に応じた報酬体系:前年度の工賃が高いほど単価が上がる
- 利用者の就労や地域連携活動の実施等による報酬体系:一般就労への移行実績や地域連携の取組を評価する
単価はさらに人員配置と定員規模で変わり、人員配置は6:1・7.5:1・10:1の区分があります。多くは前者を選ぶため、「工賃をいくら出せるか」が事業計画の核心です。
なお、就労継続支援B型の基本報酬|平均工賃月額の区分と単位数(令和8年6月改定対応)では、令和8年6月に14区分となった平均工賃月額の区分と全区分の単位数を一覧表で掲載しています。収支計画を作成する際は、あわせてご確認ください。
A型・B型・就労移行支援の違い
就労系のサービスは名称が似ていますが、雇用契約の有無、利用目的、支援内容が異なります。B型で指定を受けるなら、想定する利用者像と、予定している支援内容・生産活動が噛み合っているかを、事業計画の段階で確認しておきます。
| 項目 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 |
|---|---|---|---|
| 雇用契約 | あり | なし | 原則なし |
| 利用者への支払い | 賃金 | 工賃 | 原則なし |
| 最低賃金 | 適用あり | 原則と | 原則と |
| 利用期間 | 原則制限なし | 原則制限なし | 原則2年間 |
| 主な目的 | 雇用契約に | 生産 | 一般就労への移行 |
| 主な対象者 | 雇用契約に | 雇用契約に | 一般 |
ほかの類型での開業を検討している場合は、就労継続支援A型の開業、就労移行支援の開業もあわせてご確認ください。
就労選択支援との関係|B型は利用の入口が変わりました
就労選択支援は、障害のある方がご自身に合った働き方や就労先を選べるよう支援するサービスです。短期間の生産活動などを通じて、本人の希望、就労能力、適性、必要な配慮、作業上の課題を整理します。
令和7年10月以降、新たに就労継続支援B型を利用する場合は、原則として利用前に就労選択支援を利用します。開業後の利用者募集に直結する点なので、事業計画の段階で押さえておいてください。
| 場面 | 取扱い |
|---|---|
| 50歳以上の | 就労選択支援事業者に |
| 近隣に | 就労移行支援事業所等に |
| 特別支援学校等を | 原則と |
開業予定地の周辺に就労選択支援事業所がどれだけあるかは、利用者の確保しやすさに直結します。事前相談の際に、指定権者へあわせて確認しておくとよいでしょう。就労選択支援そのものの指定を検討する場合は、就労選択支援の開業で解説しています。
2. 指定の基準と平均工賃月額
指定を受けるための基準(人員・設備・運営)
法人の定款・登記上の事業目的が、予定する障害福祉サービス事業をカバーしているかも確認します。具体的な記載方法は法人形態や自治体運用に合わせて確認してください。
人員基準
| 職種 | 配置と |
|---|---|
| 管理者 | 専ら |
| サービス管理責任者 | 利用者60人以下で |
| 職業指導員 | 生活支援員との |
| 生活支援員 | 上記の |
注意したいのが「10:1」と「7.5:1」の違いです。指定の最低基準は10:1で、7.5:1や6:1は基準ではなく、手厚く配置した場合に高い報酬を算定できる区分です。常勤換算の利用者数は前年度の平均で算定し、新規指定時は指定権者が認める推定数(利用定員に一定の割合を乗じた数など)を用います。
参考までに、新規指定の場合の推定数を利用定員×0.9としています。定員20人であれば18人を基礎とし、10:1では常勤換算1.8人以上、6:1では常勤換算3.0人以上が必要という計算になります。
定員は原則20人以上です。多機能型では事業所全体で20人以上とした上で、B型単独の定員を10人以上とする必要があります。生活介護等の最低定員6人と混同しやすい点です。
管理者の資格要件と兼務のルール
就労継続支援B型の管理者には資格要件があります。居宅介護や共同生活援助のように資格要件のないサービスと混同されやすい点です。
| サービス種別 | 資格要件 |
|---|---|
| 就労継続支援A型・B型 | 次の ●社会福祉主事任用資格を |
| 生活介護、 | 次の ●社会福祉主事任用資格を |
B型では「企業を経営した経験」も要件として認められています。福祉分野の経歴がない経営者が管理者に就任する場合の根拠になりますが、多機能型で就労移行支援や生活介護を組み合わせると、その事業の管理者には企業経営経験の要件が使えません。
兼務についても、次の目安が示されています。
- 管理者と別の職種を兼務する場合、常勤の従業者が勤務すべき時間数の半分以上は管理者として従事すること
- 管理者が兼ねられる職種は1つが上限。3職種以上の兼務は業務に支障があるとみなされ、認められない
- 管理者のみを兼務する場合、最大3事業所(移動時間30分以内)まで
「管理者兼サービス管理責任者兼生活支援員」という組み方は3職種の兼務にあたるため認められません。一方、多機能型事業所で就労移行支援とB型のそれぞれについて管理者・サービス管理責任者を兼ねる形は、2職種の兼務とみなされ認められます。
サービス管理責任者の実務経験は「年数+日数」で判定します
サービス管理責任者の実務経験は、年数だけでなく従事日数もあわせて判定します。「5年勤めたから足りる」と考えて不足が判明する例が多い部分です。
| 区分 | 主な業務内容 | 必要年数など |
|---|---|---|
| 相談支援業務 | 相談支援事業所、 | 5年かつ900日以上 |
| 直接支援業務 | 障害児入所施設、 | 8年かつ1,440日以上 |
| 有資格者など | 社会福祉主事任用資格、 | 5年かつ900日以上 |
| 国家資格などに | 医師、 | いずれも |
また、サービス管理責任者が欠如した場合や欠如の見込みがある場合は、サービス管理責任者欠如減算・個別支援計画未作成減算の適用が必要となることがあるため、速やかに指定権者へ報告することとされています。開業後の退職リスクも織り込んで体制を検討してください。
実務経験の内容は国の告示に基づく全国共通の要件ですが、証明書類の様式や確認方法は指定権者によって異なります(様式番号は指定権者ごとに異なります)。
設備基準
- 訓練・作業室:作業に支障のない広さと必要な機械器具等
- 相談室:会話が漏れない間仕切り等を設けること
- 洗面所・トイレ:利用者の特性に応じたもの
- 多目的室その他運営に必要な設備(相談室と兼用可の場合も)
- 消火設備その他の非常災害に必要な設備
面積の目安は指定権者の手引きで確認します
設備基準は、国の省令では「訓練または作業に支障のない広さ」といった定め方ですが、実務では指定権者が具体的な面積の目安を示していることがあります。指定申請の手引きの例は、次のとおりです。
| 設備 | 内容 |
|---|---|
| 訓練・作業室 | ●部屋の |
| 事務室 | 事業の |
| 相談室 | 利用者、 |
| 手洗い設備 | 便所内の |
| 便所 | 利用者の |
| 多目的室 | ●部屋の |
この例では、定員20人なら訓練・作業室だけで40㎡以上が必要です。手洗い設備を便所内の手洗いとは別に設けることも見落としやすい項目で、内装工事の見積りに影響します。
これらの数値は指定権者によって異なるため、物件の契約前に、申請先の最新の手引きを確認し、平面図を持参して事前相談を行ってください。
運営基準
- 運営規程の整備、重要事項の説明・同意
- 個別支援計画の作成とモニタリング
- 生産活動の収入から必要経費を控除した額を工賃として支払う
- 虐待防止委員会・感染症対策委員会の設置、身体拘束等の適正化の指針と研修
- 業務継続計画(BCP)の策定と、情報公表システムによる情報の公表
これらのうち、BCP未策定、虐待防止措置未実施、身体拘束廃止未対応など、未実施時に減算が設けられている項目があります。開業時点から必要な委員会・指針・研修・計画を整理してください。
運営基準で特に留意すべき事項
運営基準のうち、指定権者が特に留意すべき事項として挙げている項目は次のとおりです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 生産活動 | 生産 |
| 工賃の支払 | ●生産 |
| 会計の区分 | 障害福祉サービス事業所ごとに |
| 利用定員の遵守 | 利用定員を |
| 利用者負担の範囲 | ●食事の |
工賃を上げようとして作業量が過重になる、という逆方向のリスクも基準に明記されています。工賃向上計画は、生産性の向上と負担への配慮を両立させる内容にしてください。
実費徴収は、金額の設定だけでなく、事前の説明と同意、領収書の交付、定期的な精算と返金までが一連の要件です。開業時に重要事項説明書と料金表を整える段階で、精算の頻度と方法まで決めておきます。
事業所の形態|多機能型・従たる事業所・出張所
B型の最低定員は原則20人ですが、多機能型事業所または従たる事業所として設置する場合は10人となります。従たる事業所の考え方は、多機能型ほど知られていません。
| 形態 | 内容 |
|---|---|
| 多機能型事業所 | 生活介護、 |
| 従たる事業所 | 主たる |
| 出張所 | 本体事業所の |
「自主製品の販売所を出したい」「作業スペースだけ別に借りたい」という相談は、まずこの出張所と従たる事業所の切り分けから検討します。その場所で生産活動を行うかどうかで結論が変わります。
あわせて読みたいサービス管理責任者の資格要件|研修・実務経験の数え方と配置人数平均工賃月額と工賃向上計画
B型の経営で最も重要なのが平均工賃月額です。前年度の実績が翌年度の基本報酬区分を決めます。令和6年度の全国平均は月額24,141円でした。
算定方法と基準額の見直し
令和6年度報酬改定で計算式が変わり、「年間の工賃支払総額 ÷(年間延べ利用者数 ÷ 年間開所日数)÷ 12か月」で算出します。1日あたりの平均利用者数を分母にするため、週に数日だけ通所する方も受け入れやすくなりました。
さらに令和8年6月算定分から、平均工賃月額に応じた基本報酬区分の基準額が見直されました。原則として基準額を3,000円引き上げる一方、令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所を対象外とするなどの配慮措置や、中間的な区分が設けられています。算定区分は最新の届出様式・Q&Aで確認してください。
なお、令和8年6月1日以降に新規に指定を受ける就労継続支援B型の事業所には、基本報酬を引き下げる応急的な報酬単価が適用されます。所定単位数の1000分の984(約1.6%の引下げ)で算定し、適用期間は令和9年度の報酬改定までとされています。すでに指定を受けている事業所には適用されません。これから開業される場合は、収支計画にこの単価を織り込んでおく必要があります。
工賃の下限と工賃向上計画
基準を下回る状態は適切ではなく、工賃向上に向けた改善が必要です。指定権者による運営状況の把握・指導では、工賃の支払状況や生産活動の実態も確認対象となります。
そのため事業所には、目標工賃を定めた工賃向上計画の作成と実行が必要です。都道府県も工賃向上計画支援等事業として専門家派遣や共同受注窓口を用意しています。工賃を上げる打ち手は、おおむね次の3つです。
- 単価の高い作業を確保する(下請けから自主製品へ)
- 利用者の得意分野に合わせて工程を設計し、生産性を上げる
- 販路を広げる(共同受注窓口や官公需の活用)
なお工賃は、生産活動の収入から必要経費を差し引いた額から支払うのが原則で、訓練等給付費を原資にすることは想定されていません。
工賃を上げる3つの打ち手
- 単価の高い作業を確保する(下請けから自主製品へ)
- 利用者の得意分野に合わせて工程を設計し、生産性を上げる
- 販路を広げる(共同受注窓口や官公需の活用)
押さえておくこと
- 1か月あたりの工賃平均額は3,000円を下回らないこと
- 工賃は生産活動の収入から必要経費を差し引いた額から支払うのが原則。訓練等給付費を原資にすることは想定されていない
- 作業量が過重な負担とならないよう配慮することも基準に明記
3. 開業までの流れと提出書類
開業までの流れ
① 法人の設立と定款の確認
既存法人では、定款・登記上の事業目的が就労継続支援B型を含む予定事業をカバーしているか確認します。目的変更が必要かは、現在の目的文言と法人形態を踏まえて判断します。
登記事項証明書の目的欄には、申請に係る事業を記載します。就労継続支援B型を含む障害福祉サービス事業の記載例は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」といった表記です。相談支援を行う場合は「一般相談支援事業」「特定相談支援事業」、障害児相談支援は「児童福祉法に基づく障害児相談支援事業」と、根拠法ごとに書き分けます。
なお、就労継続支援A型は「専ら社会福祉事業を行う法人でなければならない」とされ、社会福祉法人を除き、定款に社会福祉事業以外の目的が記載されていると認められません。B型にはこの制約がないため、他の事業を営む法人でもB型の目的を追加すれば足ります。A型との違いとして押さえておいてください。
また、事業譲渡や吸収合併などで運営法人が変更となる場合、指定は申請した法人に対し事業所ごとに行われるものであるため、法人に対して行った指定の効力も消滅します。廃止届を提出したうえで、譲受法人が改めて新規指定申請が必要です。既存事業所の引継ぎを検討している場合の前提になります。
② 指定権者への事前協議
自治体によっては指定希望日の数か月前から事前相談・事前協議を求めます。
総量規制で新規指定を受け付けていない地域があります
就労継続支援B型は、総量規制の対象になり得るサービスです。指定申請の手引きでは、障害者福祉実施計画でサービス見込量を設定するとされています。そのうえで、生活介護、就労継続支援A型・B型について、必要な事業所数が確保できている場合は定員増加を伴う事業所の指定をしないという総量規制を実施することとされています。
総量規制を実施しているサービスは、新規の指定申請だけでなく、定員増加を伴う変更申請も受け付けられません。実施状況は自治体のホームページ等で公表されるため、物件を探し始める前に確認してください。
また、同手引きでは、毎月1日付けの指定を前提に次の標準スケジュールが示されています。
| 時期 | 手続 |
|---|---|
| 指定の | 事前協議 |
| 指定の | 申請書類の |
| 指定の | 申請書類の |
| 指定の | 現地確認。 |
| 指定の前月末日 | 指定通知書の送付 |
| 指定日 | 毎月 |
事業所の新築・改築・増設などを行う場合は、工事着手前に事前協議の手続きを完了することとされています。内装工事の着工前に協議を終える前提で工程を組んでください。あわせて、事業内容を十分に理解している管理者などが手続きを行う(または手続きに同席する)ことも求められています。
③ 物件の選定と法令チェック
訓練・作業室と相談室を確保できる物件を探し、用途地域・用途変更・消防設備を契約前に確認します。
④ 人材の確保
最大の関門はサービス管理責任者です。実務経験年数と研修修了の両方を満たす人材は限られるため、物件探しと並行して着手します。要件は経歴書を示して指定権者に確認してください。
⑤ 内装工事と生産活動の準備
内装工事と並行して生産活動の仕事を確保します。開所初月から工賃を払えるのが理想です。
⑥ 指定申請書の提出
提出期限は指定権者ごとに異なります。事前相談の完了を申請受付の前提とする自治体もあるため、希望指定日から逆算して確認してください。
⑦ 指定と開所
審査を経て原則毎月1日付で指定されます。開所後は請求業務や就業規則の届出、労働・社会保険の手続きも進めます。
あわせて読みたい障害福祉サービスの指定申請とは?開業までの流れ指定申請で提出する書類
指定申請時に添える書類は、おおむね次のとおりです。指定権者ごとに様式は異なるものの、記載が求められる事項に大きな差はありません。
| 区分 | 提出書類 |
|---|---|
| 申請書 | 指定申請書、 |
| 法人関係 | 法人の |
| 建物・設備 | 事業所 |
| 運営 | 運営規程/指定障害福祉サービス等の |
| 人員 | 従業者の |
| 医療連携 | 協力医療機関に |
| その他 | 暴力団員等の |
| 報酬関係 | 介護給付費等算定に |
書類作成のポイント
- 平面図には撮影位置と撮影方向が分かるよう、写真番号と矢印を記載します。外観は1〜2枚撮影します。
- 管理者がサービス管理責任者を兼務する場合、経歴書は1つにまとめて提出できる取扱いが一般的です。
- 介護福祉士の資格を証明する場合、合格証の写しは認められません。資格証の写しを用意してください。
提出部数や様式、添付書類の要否は、指定権者の定めによって変わります。事前予約のうえ窓口へ持参する方式をとり、提出前に複数回の面談を求める指定権者もあります。申請先の最新の手引きを確認し、早い段階で事前相談を行ってください。
4. 開業資金・ランニングコストの目安
初期費用は、生産活動の内容、物件の改修、消防設備、送迎車両、機械設備の有無で大きく変わります。定員だけで一律の金額を置かず、物件・設備・生産活動ごとの見積書を積み上げて算出するのが安全です。
| 費目 | 考え方と目安 |
|---|---|
| 物件・内装工事 | 敷金・ |
| 設備・作業機材 | 机や |
| 送迎車両 | 送迎を |
| 開所前の人件費 | サービス管理責任者は |
| 運転資金 | 給付費の |
資金調達は、自己資金に日本政策金融公庫や制度融資を組み合わせるのが一般的です。審査では利用者確保の見込みや工賃の目標額を数字で示せるかがポイントです。ランニングコストの大半は人件費で、処遇改善加算は職員の定着に直結します。
5. ミスが起こりやすい点と指定後の運営
ミスが起こりやすいポイント
サービス管理責任者の要件確認が不十分
内定後に実務経験年数の不足が判明する例が最も多く見られます。必要年数は施設種別や職種で変わり、研修も基礎研修と実践研修の両方が必要です。採用前に指定権者にご確認を。
物件を先に契約してしまう
用途地域で福祉施設が建てられない、消防用設備の追加工事に費用がかかるといった問題は、契約後では取り返しがつきません。契約前に指定権者・建築部局・消防署へ相談を。
生産活動の準備が間に合わない
申請書類に追われ、肝心の仕事の確保が後回しになる例は少なくありません。工賃を払えない状態が続けば、月額平均3千円の下限に抵触するおそれもあります。
スケジュールの逆算ができていない
事前協議の時期と提出期限は自治体ごとに異なり、準備期間は半年以上が現実的です。開所日から逆算した工程表を作ってください。
指定後の運営まで見据えた実務ポイント
支援の流れを記録でつなぐ
指定後は、アセスメントから個別支援計画、日々の提供記録、モニタリングまでが一本の流れになっていることが求められます。計画にない支援を続けたり、同じ文章を書き写したりせず、本人の変化や判断の根拠が分かる記録にします。
最低基準と報酬・加算要件を分けて確認
指定を維持するための最低基準と、基本報酬区分や加算が前提とする手厚い配置・取組の要件は、分けて考える必要があります。算定予定の報酬が決まったら、最低基準の勤務表とは別に加算要件を満たせているかを確認し、月途中の退職や休職、利用者増にも耐えられる配置を考えておきます。
実務上の注意
開業前チェックリスト
□ B型を選択する利用者像と支援目的を整理した
□ 就労選択支援を含む利用開始プロセスを確認した
□ 生産活動の受注先・売上・原価・工賃を試算した
□ 職業指導員・生活支援員・サビ管の配置を確認した
□ 工賃規程・工賃計算方法を整備した
□ 就労支援事業会計を区分できる経理体制を作った
□ 施設外就労・在宅利用を行う場合の要件を確認した
よくある質問
開所までの期間は、サービス管理責任者の確保、物件・消防等の確認、事前協議・申請期限によって大きく変わります。希望開所日から逆算し、指定権者のスケジュールを最初に確認してください。
単独で指定を受ける場合、定員は原則20人以上です。多機能型では事業所全体で20人以上とした上で、B型の定員を10人以上とする必要があります。生活介護等の最低定員6人とは異なります。
令和7年10月1日に就労選択支援が施行され、アセスメントが必要な方は原則このサービスを利用することになりました。ただし50歳以上の方や障害基礎年金1級を受給している方は、アセスメント自体が不要です。経過措置もあり運用は自治体で異なります。
A型は雇用契約を結び最低賃金以上の賃金を支払うため、生産活動の収支で賃金を賄う必要があり、経営のハードルは高くなります。B型は雇用契約がなく対象者の幅も広く、参入しやすい面があります。ただしB型も平均工賃月額が報酬に直結し、生産活動の組み立ては共通の課題です。
まとめ
就労継続支援B型の指定申請では、人員・設備・運営の3基準を満たすことが出発点です。職業指導員と生活支援員の総数は、常勤換算で利用者数を10で割った数以上が最低ライン。7.5:1や6:1は高い報酬のための区分で、定員は原則20人以上です。
B型の運営では平均工賃月額が重要です。選択する報酬体系によっては前年度の工賃実績が基本報酬区分に直結し、工賃水準の向上に向けた計画的な取組も求められます。工賃向上計画を形だけにせず、単価の高い仕事の確保と販路開拓を開業前から仕込むことが安定につながります。
指定基準は全国共通ですが、事前協議の時期や提出書類、実地確認の運用は自治体ごとに異なります。まずは開所したい時期を決め、指定権者の運用を確認して工程表を作ることから始めてください。
就労継続支援B型の開業を、計画段階から支援します
行政書士法人 障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請だけでなく就業規則の整備や社会保険の手続き、処遇改善加算の取得までご相談いただけます。開業支援は20万円〜です。
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主な参考資料
※本記事は令和8年8月26日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ず確認してください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
これまで5,000件を超える相談に対応。法令・通知・行政実務を踏まえながら、制度上の正しさだけでなく、実際の事業所運営まで見据えた実務的な情報発信を行っています。
