令和8年1月に示された「令和8年度における臨時応急的な見直し」は、就労移行支援体制加算の適正化、就労継続支援B型の基本報酬区分の見直し、新規指定事業所への応急的な報酬単価という3本柱で構成されています。給付費の増加と事業所数の伸びを背景としたもので、3つの施行時期は同じではありません。自分の事業所にどれが当てはまるかを確認する必要があります。
- 見直しは3本柱で、施行時期がそれぞれ異なる
- 就労移行支援体制加算は算定の適正化が図られる
- 新規指定事業所には応急的な報酬単価が適用される
はじめに
令和8年1月22日、障害福祉サービス等報酬改定検討チームの議論を踏まえて「令和8年度における臨時応急的な見直し」が示されました。令和9年度の報酬改定を待たずに、令和8年度の途中で報酬の一部を見直すという対応です。
その後、令和8年2月18日に厚生労働省から「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」が公表され、具体的な区分と単位数が明らかになりました。
この記事では、臨時応急的な見直しを3つの柱に分けて整理します。サービスごとの単位数は個別の記事で扱っていますので、ここでは「何が、いつから、どの事業所に影響するのか」という全体像に絞ってご説明します。
1. 見直しの全体像
「令和8年度における臨時応急的な見直し」とは
障害福祉サービス等の給付費は増加が続いています。一方で、事業所数の伸びが必ずしも地域のニーズを反映しているとはいえないサービスもあり、サービスの質を保ちながら制度を持続させるための対応が求められていました。
そこで、令和9年度の報酬改定を待たずに、令和8年度のうちに手当てをすることとされたのが今回の臨時応急的な見直しです。名称のとおりあくまで応急的な措置であり、本格的な見直しは令和9年度の報酬改定で行われます。
見直しは3本柱|施行時期が4月と6月に分かれます
今回の見直しは3つの内容で構成されています。すべてが同じ日から始まるわけではなく、就労移行支援体制加算だけが令和8年4月からと、2か月早く動き出す点に注意が必要です。
| 見直しの内容 | 主な対象 | 施行時期 |
|---|---|---|
| ① 就労移行支援体 | この加算を算定する就労継続支援A型・就労継続支援B型・生活介護・自立訓練 | 令和8年4月 |
| ② 就労継続支援B型の | 就労継続支援B型サービス費Ⅰ〜Ⅲを | 令和8年6月 |
| ③ 新規指定事業所への | 令和8年6月1日以降に新規指定を受けた就労継続支援B型・共同生活援助(介護サービス包括型など)・児童発達支援・放課後等デイサービス | 令和8年6月 |
2. ① 就労移行支援体制加算の適正化(令和8年4月〜)
就労移行支援体制加算は、利用者が一般企業などに就職し、6か月の雇用継続に至った場合に、その翌年度の1年間算定できる加算です。1人あたりの単位数が大きく、事業所の収入に与える影響も大きい加算です。
一方で、同じ利用者が就労継続支援A型事業所と一般企業の間で離転職を繰り返し、そのたびに加算を算定するという、制度の趣旨に沿わない運用が指摘されていました。今回の見直しは、この点を適正化するものです。
変更点は2つあります。1つ目は、年間で算定できる就労定着者数に上限が設けられたことです。上限はその事業所の利用定員までとなり、定員20人の事業所であれば、年間で算定対象にできる就労定着者は20人までです。
2つ目は、過去3年間の算定実績による制限が、自事業所だけでなく他の事業所も含めて判定されるようになったことです。令和6年度の改定では自事業所の過去の就労定着者が対象外とされていましたが、令和8年度の改定では、自法人の別事業所か他法人の事業所かを問わず、過去3年間に加算の算定対象となった利用者は原則として算定できません。
ただし、ハラスメントなどやむを得ない事情で離職した場合など、市町村長が適当と認める事情がある場合には、例外として算定対象となることがあります。
あわせて読みたい【令和8年度改定対応】就労移行支援体制加算とは?算定要件や計算方法をわかりやすく解説3. ② 就労継続支援B型の基本報酬区分の見直し(令和8年6月〜)
令和6年度の報酬改定では、利用日数の少ない方を多く受け入れている事業所に配慮し、平均工賃月額を「1日あたりの平均利用者数」で計算する方式に改められました。実態に近い数字が出るようになった一方で、全国の平均工賃月額は約6千円上昇し、想定以上に高い報酬区分に該当する事業所が増えました。
そこで、区分の基準となる平均工賃月額を全体的に3千円引き上げ、あわせて基本報酬の減少が3%に収まるよう中間区分(A〜F)を新設する対応が行われました。平均工賃月額に応じた区分は8区分から14区分になりました。ただし、令和6年度改定で単価を引き下げた区分七と八の間の基準額は据え置かれています。このほか、平均工賃月額の実績がない新規指定の事業所については、報酬告示第14の1の注9により、平均工賃月額が1万円未満の場合とみなして基本報酬を算定する取扱いがあります。
見直しの対象は、就労継続支援B型サービス費Ⅰ〜Ⅲを算定している事業所のうち、令和6年度以降に算定区分が上がった事業所です。区分が上がっていない事業所と、区分七・八に該当する事業所は対象外です。
なお、「就労継続支援B型に係る基本報酬の算定区分に関する届出書」の様式も改められています。令和8年4月・5月分と、報酬改定が適用される6月以降分では様式が異なりますので、提出前にご確認ください。
4. 新規指定事業所への応急的な報酬単価
③ 新規指定事業所への応急的な報酬単価(令和8年6月〜)
事業所数の伸びが著しいサービスについて、過度な増加を抑えつつサービスの質を担保する観点から、新規に指定を受ける事業所に限って基本報酬を引き下げる特例が設けられました。それぞれの収支差率を踏まえ、基本報酬単価から1%強〜3%弱程度の引下げを行うものです。
対象は、令和8年6月1日以降に新規に指定された事業所です。すでに指定を受けている事業所には適用されません。適用期間は令和9年度の報酬改定までとされています。
| サービス | 適用される単位数 | 引下げの目安 |
|---|---|---|
| 就労継続支援B型 | 所定単位数の | 約1.6% |
| 共同生活援助(介護サービス包括型など) | 所定単位数の | 約2.8% |
| 児童発達支援 | 所定単位数の | 約1.2% |
| 放課後等デイサービス | 所定単位数の | 約1.8% |
なお、合併・分割・事業譲渡に伴う指定であって、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存の事業所と同じ取扱いになります。判断は指定権者によりますので、事前にご確認ください。
応急的な報酬単価が適用されない事業所(配慮措置)
応急的な報酬単価には、重度障害児者への支援やサービスが不足している地域への配慮として、適用対象外となるケースが設けられています。
就労継続支援B型でいう「報酬上の一定の評価」としては、次の加算の算定が想定されています。
- 医療連携体制加算(Ⅳ)
- 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)
- 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅱ)
- 高次脳機能障害者支援体制加算
5. いま確認すべきことと注意点
事業所の状況別・いま確認すべきこと
| 事業所の状況 | 確認すること |
|---|---|
| 就労移行支援体制加算を算定している(A型・B型・生活介護・自立訓練) | 令和8年度に |
| 令和6年度以降に | 見直し後の |
| 区分が | 今回の |
| 令和8年6月1日以降に | 収支計画に |
ミスが起こりやすいポイント
| ここを間違えやすい | こう確認する |
|---|---|
|
|
よくある質問
なりません。応急的な報酬単価は、令和8年6月1日以降に新規に指定を受けた事業所に限って適用されます。
応急的な報酬単価は適用されません。ただし、就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しは既存の事業所にも関係します。令和6年度以降に算定区分が上がっている場合は、6月から区分が変わる可能性があります。
いいえ。令和8年度の改定で、自事業所か他の事業所かを問わず判定することとされました。他の事業所から移ってこられた利用者については、前の事業所や市町村へ照会して確認する必要があります。
令和9年度の報酬改定までとされています。
合併・分割・事業譲渡に伴う指定であって、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存の事業所と同じ取扱いになります。判断は指定権者によりますので、事前にご確認ください。
まとめ
令和8年度の臨時応急的な見直しは、令和9年度の報酬改定に向けた過渡的な措置です。就労移行支援体制加算の適正化は令和8年4月から、就労継続支援B型の基本報酬区分の見直しと新規指定事業所への応急的な報酬単価は令和8年6月から適用されます。
すでに運営している事業所は「算定区分と届出様式」、これから開業する事業所は「収支計画に織り込む単価」が確認のポイントになります。区分の判定や届出の要否は指定権者の運用によって取扱いが分かれることもありますので、迷ったときは早めにご相談ください。
令和8年度の報酬改定への対応をサポートします
障害福祉リーガルパートナーズは、障害福祉サービスに専門特化した行政書士法人です。代表の永野将太は行政書士と社会保険労務士の資格を併せ持ち、指定申請と労務管理の両面を、ひとつの窓口でご相談いただけます。
報酬区分の確認、届出の要否、開業前の収支計画づくりなど、判断に迷う段階でのご相談を承っています。静岡・神奈川・愛知を中心に、オンラインで全国に対応しています。
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参考資料
参考:厚生労働省「令和8年度における臨時応急的な見直しについて」/「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」/「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」/「介護給付費等単位数サービスコード表」
※本記事は令和8年9月1日時点の法令・告示・通知等に基づく一般的な整理です。指定権者の条例・手引き・個別運用、最新の報酬告示・Q&Aを必ずご確認ください。

障害福祉分野に専門特化し、行政書士・社会保険労務士の資格を活かして、指定申請・開業支援から、人員配置、加算・減算、処遇改善加算、運営指導対応、労務管理まで幅広く支援しています。
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