令和8年4月から、障害福祉サービス等の指定申請や届出に使う様式が全国で統一されます。こども家庭庁長官と厚生労働大臣が定めた「標準様式」で手続きを行うための法令上の措置が、令和7年3月31日に講じられました。ただし、すべての書類が全国共通になるわけではありません。
- 施行は令和8年4月。前倒しで切り替えている自治体もある
- 指定申請・加算届出・指導監査の3つで標準様式が示されている
- 付表や自治体独自の添付書類、手続きの進め方は統一されない
はじめに
同じ内容の書類を、自治体ごとに作り直す。複数の市町村で事業所を持つ法人にとって、これは長年の負担でした。勤務形態一覧表ひとつ取っても、列の並びも記載の仕方も自治体によって違うからです。
令和7年3月31日、この状況を変えるための法令上の措置が講じられました。こども家庭庁長官と厚生労働大臣が定める様式(標準様式)で指定申請等の手続きを行うというもので、施行は令和8年4月です。
ただし、これで書類仕事が全部なくなるわけではありません。何が統一され、何が残るのか。この記事では、公表されている標準様式の中身と、実務でどう備えるかを整理します。
この記事のポイント
- 令和7年3月31日に公布、令和8年4月施行
- 障害福祉サービスだけでなく、児童福祉法に基づく障害児支援の様式も対象
- 指定申請は、指定申請書類一覧と標準様式1から4までが示されている
- 加算届出も標準様式が整備され、令和8年8月4日に更新された
- 指導監査は「確認項目及び確認文書」が標準様式にあたる
- 付表、自治体独自の添付書類、事前協議や提出期限のルールは統一されない
- 使える自治体には、施行を待たない早期の活用が促されている
1. 標準様式とは
障害福祉サービスの事業所を開設・運営するには、指定申請、変更届、加算の届出など、さまざまな書類を自治体へ提出します。これまでは自治体ごとに様式が違っていたため、複数の自治体で事業所を運営する法人は、同じ内容でも様式に合わせて作り直す必要がありました。
そこで国が定めたのが標準様式です。こども家庭庁長官と厚生労働大臣が定める全国共通の様式で、どの自治体に対しても同じ書式で申請・届出ができるようにすることを目指しています。障害福祉分野の生産性向上・手続負担軽減の一環という位置づけです。
対象は障害福祉サービスだけではありません。児童福祉法施行規則に基づきこども家庭庁長官が定める様式も同じ告示に含まれているため、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児支援も対象です。
2. 根拠となる法令と告示
令和7年3月31日に公布された一連の命令・告示が根拠です。その後、令和7年12月3日に一部が改正されています。
| 公布日 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 令和7年3月31日 | 障害者総合支援法施行規則の一部を改正する命令(令和7年内閣府・厚生労働省令第3号) | 標準様式で手続きを行うための規則改正 |
| 令和7年3月31日 | こども家庭庁・厚生労働省告示第3号 | こども家庭庁長官・厚生労働大臣が定める様式そのもの |
| 令和7年3月31日 | こども家庭庁・厚生労働省告示第2号 | 介護給付費等・計画相談支援の費用の額の算定基準の一部改正 |
| 令和7年3月31日 | 厚生労働省告示第87号 | 地域相談支援の費用の額の算定基準の一部改正 |
| 令和7年12月3日 | 令和7年内閣府・厚生労働省令第13号/こども家庭庁・厚生労働省告示第10号 | 施行規則と様式告示の一部改正 |
3. 指定申請の標準様式
指定申請の標準様式は令和7年11月28日に更新されています。公表されているのは次のとおりです。
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| 指定申請書類一覧 | 提出書類のチェックリスト |
| 標準様式1 | 主たる対象者を特定する理由等 |
| 標準様式2 | 苦情解決処理の概要 |
| 標準様式3 | 誓約書 |
| 標準様式4 | 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表 |
| 標準様式(一括ファイル) | 上記をまとめたファイル |
実務でいちばん影響が大きいのは標準様式4の勤務形態一覧表です。人員基準の確認に使われる中心的な書類で、これまで自治体ごとに作り方が違っていました。ここが共通になる意味は小さくありません。
4. 加算届出の標準様式
体制届や加算の届出についても標準様式が整備されました。こちらは令和8年8月4日に更新されており、あわせて「介護給付費等の算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」が公表されています。
加算の届出は算定の可否に直結します。留意点の文書には記載の考え方が整理されているので、届出の前に目を通しておくと補正を減らせます。
5. 指導監査の標準様式
運営指導についても標準様式が示されています。こちらは申請書類ではなく、「確認項目及び確認文書」という形です。当日どこを見られ、どの書類を求められるかが一覧になっています。
運営指導の準備は、この確認項目と確認文書を手元に置いて、自事業所の書類と突き合わせるのがいちばん早い方法です。所管は企画課監査指導室で、指定申請の様式とは担当部署が分かれています。
6. いつから使うのか
法令上の施行日は令和8年4月です。ただし国は、標準様式を使える自治体には施行を待たず、できる限り早期に活用するよう促しています。実際にすでに切り替えを済ませた自治体もあります。
手元に保存してあるひな形が、すでに古くなっている可能性があります。前回使った様式をそのまま流用しない。これが当面のいちばんの注意点です。
7. 全国共通になる部分、ならない部分
「全国統一」という言葉から、書類がすべて共通になると受け取られがちですが、そうではありません。実際の申請では標準様式と自治体独自の様式が併存します。
全国共通になる
- 指定申請書類一覧
- 標準様式1から4まで
- 加算届出の標準様式
- 指導監査の確認項目及び確認文書
自治体ごとに残る
- サービス種別ごとの付表
- 加算届に添付する算定シート等
- 誓約書に付ける別紙
- 事前協議の時期や提出期限
- 予約の要否、提出方法
8. 標準様式でも自治体の添付書類は残る
勤務形態一覧表を例にすると、これに添付する書類は指定権者ごとに違います。
| サービス | 求められることがある添付書類 |
|---|---|
| 生活介護 | 平均障害支援区分の算出、平均利用者数算定シート |
| 就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型 | 平均利用者数算定シート |
| 共同生活援助、短期入所 | 平均利用者数算定シート、障害支援区分別平均利用者数算定シート |
加算の届出でも、体制等に関する届出書と体制等状況一覧表を必須としたうえで、加算ごとに個別の届出書と添付書類を求められるのが通常です。算定開始月の前月15日といった期限から逆算して準備を始めます。
9. 手続きのルールは統一されない
統一されるのは様式であって、手続きの進め方は自治体ごとのままです。事前協議が必要かどうか、いつまでに相談すべきか、提出は窓口か郵送か電子か、予約が要るか。こうした点は従来どおり指定権者に確認します。
「様式が同じだから手続きも同じ」と考えてスケジュールを組むと、事前協議の時期を逃して開設が1か月ずれる、といったことが起こります。様式と手続きは別物と切り分けて考えてください。
10. 事業者にとってのメリット
- 複数の自治体で事業所を持つ法人は、標準様式の部分を作り直さずに済む
- 前に作った書類をもとに、次の申請書類を短い時間で用意できる
- 記載の仕方が全国共通になるため、書き方の問い合わせが減る
- 運営指導も確認項目が共通なので、日頃の備え方を1つにそろえられる
効果がいちばん大きいのは、県境をまたいで事業所を持っている法人です。これまでは同じ職員の勤務形態を2通り、3通りの様式で書き直していたものが、標準様式の部分は1回で済みます。
11. 実務での進め方
様式について
- 指定権者が標準様式に切り替え済みか
- 手元のひな形が最新版か
- 標準様式に付ける付表・添付書類は何か
- 加算届に必要な算定シートは何か
手続きについて
- 事前協議が必要か、いつまでか
- 提出期限(加算は算定開始月の前月の締切)
- 提出方法と予約の要否
- 補正を求められたときの再提出期限
新規開設を予定しているなら、物件が決まった段階で指定権者に一度連絡を取り、最新の提出書類一覧をもらうのがおすすめです。標準様式に切り替わっているかどうかも、そのときに確認できます。
よくある質問
こども家庭庁長官と厚生労働大臣が定める全国共通の様式です。これまで自治体ごとに書類の様式が違っていたため、複数の自治体で事業所を運営する法人は作り直しが必要でしたが、標準様式により同じ書式で申請・届出ができるようになります。
指定申請では、指定申請書類一覧(提出書類のチェックリスト)と、標準様式1(主たる対象者を特定する理由等)、標準様式2(苦情解決処理の概要)、標準様式3(誓約書)、標準様式4(従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表)が示されています。
はい。対象です。様式を定めた告示には、児童福祉法施行規則に基づきこども家庭庁長官が定める様式も含まれています。児童発達支援や放課後等デイサービスも同じ流れです。
されます。加算の届出についても標準様式が整備され、令和8年8月4日に更新されました。運営指導についても「確認項目及び確認文書」という形で標準的なものが公表されています。
法令上の施行日は令和8年4月です。ただし、標準様式を使える自治体には施行を待たない早期の活用が促されており、すでに切り替えを済ませた自治体もあります。
いいえ。なりません。実際の申請では標準様式と自治体独自の様式が併存します。サービス種別ごとの付表や、加算届に添付する算定シートなどは指定権者ごとに残ります。
いいえ。統一されません。事前協議の時期、提出期限、提出方法、予約の要否といった進め方は、これまでどおり指定権者ごとです。様式と手続きは別物として考えてください。
おすすめしません。切り替えの時期は自治体ごとに違うため、手元のひな形が古くなっていることがあります。申請や届出のたびに、指定権者のページで最新の様式を確認してください。
まとめ
標準様式は、長く続いてきた「自治体ごとに作り直す」という負担を減らすための仕組みです。令和8年4月の施行に向けて、すでに前倒しで切り替えている自治体もあります。
ただし、共通になるのは様式の一部です。付表や添付書類、手続きの進め方は指定権者ごとに残ります。標準様式をそろえたうえで、指定権者の提出書類一覧と突き合わせる。この2段構えが、当面の正しい備え方です。
- 申請や届出のたびに、指定権者のページで最新の様式を確認する
- 手元のひな形は流用せず、最新版に置き換える
- 標準様式に付ける付表・添付書類を提出書類一覧で確かめる
- 加算届は算定開始月の前月の締切から逆算して準備する
- 事前協議の時期や提出方法は、これまでどおり指定権者に確認する
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主な参考資料
※本記事は令和8年9月22日時点の情報に基づく一般的な整理です。標準様式への切り替え時期や添付書類は指定権者によって異なります。実際の提出書類は指定権者にご確認ください。

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